2024年05月05日

50年間で分かった事、その4:ショットガン効果。

  12ショットガン効果はパワー無関係の3粒被弾で撃墜。
散弾銃はバラ弾をバラ撒く銃ですが、これにも似た様な現象がありました。上半身に3粒被弾すると、1粒のパワーには概ね無関係に3粒被弾を満たすだけで、「ショットガン効果」で撃墜が可能な事を発見しました。

ショットガンは古く1850年頃からあった筈なのに、どうして1970年まで分からなかったのか? 
実は近距離で撃つバックショットでは分かっており、駅馬車の護衛や保安官はショットガンを多用したのも「ショットガン効果」があったからでした。

ライフル弾は1884年の無煙火薬の発明で直ちに弾速が2倍以上に向上出来ましたが、鳥猟では散弾の構造に原因がありました。
50年間で分かった事、その4:ショットガン効果。
永らくボール紙のピストンで散弾を押し出し、高圧になった火薬ガスは吹抜け易かった。
また弾速が上がると散弾粒は銃身壁に擦られ、溶けてしまいました。その為、無煙火薬によって弾速が上げられない構造にあり、初速は300m/sを下廻っておりました。

鳥猟で50mでショットガン効果により3粒被弾撃墜を満足させるには当然フルチョークの運用が前提です。

しかし旧構造散弾では初速が遅く、30m程度で弾速低下に依り無効弾となってしまい、故にやむなくもう少し大粒散弾を運用しなくてはならず、そうなるとショットガン効果成立の「3粒被弾撃墜には粒数不足」となり、鳥猟でショットガン効果を得る事は不可能だったのです。

3粒撃墜は急所である必要は無く、パワーには概ね無関係と申しましたが、ある程度は皮下まで弾粒が入らなければなりません。

それが旧構造では弾速途中低下で不可能だったのですが、右側1970年以降の新構造になりますと、ピストンは樹脂製で高圧ガスが吹抜け無くなり、散弾も樹脂製カップで、銃身壁で溶けなくなり、初速は400m/sを超える様になりました。その為、2.4㎜粒を50m弱まで無効弾にならず、3粒キープ密度で送り出す事が可能になりました。

その結果、マガモやカルガモでも50m弱で7.5号の3粒被弾撃墜が可能となりました。
急所でなくても3粒被弾で撃墜出来るのがショットガン効果の特徴でした。
鳥猟では2.4㎜粒が400個入った「7.5号 クレー射撃装弾」とフルチョークがベストパフォーマンスとなりました。

獣猟の場合は6.1㎜が27粒入った「4号バックショット」が最強装弾となり、射程は20m前後が多く適正チョークはスキート又はインプシリンダーとなります。

              散弾新旧適合表
散弾重量    32 (g) 散弾サイズ㎜  主な新用途      主な旧用途   
 スラグ     1 粒     18.0      使わない       熊・猪・鹿 
  OOO     6粒      9.14        ↑            ↑      
  OO      9粒      8.38        ↑            ↑
  O       12粒     8.13        ↑            ↑

 NO.1     16粒     7.62        ↑          猪・鹿・中型獣  
 NO.3     20粒      6.35        ↑            ↑
 NO.4     27粒      6.10    猪・鹿(獣猟最大効率)  ↑    
 NO.5     38粒      5.50      中型獣           ↑

 BB(号)    55粒     4.57      中型獣      沖鴨・中小型獣  
 1(号)     80粒     4.06        ↑ (キヨン)    遠鴨・小型獣    
 2(号)     95粒     3.81      使わない         ↑      
 3(号)    123粒     3.56        ↑             ↑     
 4(号)    152粒     3.30   小型獣(キツネ等)       ↑
 
 5(号)     191粒     3.05      使わない        雉・山鳥       
 6(号)     253粒     2.79        ↑             ↑         
 7(号)     336粒     2.54        ↑             雉鳩        
 7.5(号)    400粒     2.41  雉・山鳥・マカモ(最大効率) ↑    
 8(号)     461粒     2.29        ↑              ↑
 9(号)     658粒     2.03     タシギ・小鳥類         ←     

現在の散弾粒の序列は大きい方から、(スラグ18㎜)(OOO・9.1㎜・6粒)(OO・8.4㎜・9粒)(O・8.1㎜・12粒)と並び、次が1~5号のバックショット(7.6㎜・16粒)(6.4㎜・20粒)(6.1㎜・27粒)(5.5㎜・38粒)と続きますが、2号バックはありません。

この後にバードショット1~9号が続きますが、古い系列のBB号4.6㎜55粒だけが残っており、トラップ射撃用の7.5号2.4㎜400粒だけが少し系列外になります。

昔は7号もあり、小粒は12号まで、更に1~12号までの上にBシリーズ(BBB・4.75㎜・50粒、BB・4.50㎜・59粒、B・4.25㎜・84粒)がありました。

その上にAシリーズが(AAA・5.50㎜・32粒、AA・5.25㎜・ 37粒、A・5.00㎜・43粒)ありました。

更にその上がOシリーズ(OOO・9.1㎜・6粒)(OO・8.4㎜・9粒)(O・8.1㎜・12粒)でした。1~5号バックショットに換わり多少寸法違いですが、F・T・SG・SSG・SSSG等があり、様々な名称でした。
50年間で分かった事、その4:ショットガン効果。50年間で分かった事、その4:ショットガン効果。ビロードキンクロとカナダガン
旧用途よりもう少し昔の黒色火薬時代ではBシリーズが主に鴨用、Aシリーズは主に雁用、Oシリーズは中型獣用でした。

ケンさんが狩猟を始めた直後は旧用途時代で、黒色火薬と無煙火薬が両方使用されていましたが、市販弾は紙薬莢の無煙火薬、多くのハンターは黒色火薬の手詰めの時代でした。
市販弾の多くは銃砲店組立製でした。無煙・黒色の性能は概ね同じと言えました。

それ以前の時代では村田銃や空気銃も、かなりの数が町の銃砲店製であり、未登録銃が大手を振って横行していました。

1955年に「狩猟ブーム」が始まり、水平2連銃の時代となり、町の銃砲店製の銃は衰退して行きました。

ケンさんの狩猟を始めは1970年、この時代もカモにはBB号が多かった様に思います。
その頃はビロードキンクロと言うカルガモよりかなり大きな大型カモが20羽程の群で波状的に大量にやって来ました。

待受ける側は2m毎に1人、鴨の群が来る毎にBB号100発 前後が鳴り1~2羽が被弾し、飛行継続困難となり遠方に不時着、回収出来るのは10%も無いと言う酷いカモ撃ちでした。

誰の弾が当たったかは厚顔で手を挙げた人の物となりましたが、配慮で新人にも1羽持たせてくれました。弾数100発に対し1羽程度にしかならない低効率でした。

給料3万円時代に1発50円が100発はキツイ時代でした。これはケンさんの求めている狩猟ではなく、2度行っただけで終わりました。

2014年にケンさんがNZでカナダガン猟をした時は4号装弾を使いショットガン効果で撃墜、9発9中でした。

昔の雁撃ちはAシリーズの30~40粒クラスで撃ち、Bシリーズのカモ撃ちより散弾の粒数の比例で撃墜効率が低下し、捕獲効率は桁違いに悪かったと思われます。

この様に「ショットガン効果」の「3粒被弾撃墜」に比べ、撃墜効率は1/10を大きく下廻ったと思われます。その特殊効果を使わない場合は余程当たり場所が良くない限り撃墜回収に結び付きません。

 鉛散弾の規制
:すでにエゾ鹿猟では2000年から、2004年からヒグマ猟も禁止となり、2014年 からは所持その物が禁止されました。

2025年からは一般の散弾含む全てが対象となりますが、取り敢えずはモデル地区のみの実施となり、2030年を目途に全面禁止となる様です。

そうなると現在の時点ではスチール装弾5号までしか販売されておらず、「ショットガン効果」を利用した、「7.5号射撃装弾」+「フルチョーク」の組合せにより、「3粒被弾撃墜」の特殊効果が使えなくなってしまいます。

鉛の比重は11.36(鉛基準100%)、銅は8.93(78.6%)、鉄は7.87(69.3%)、錫は7.30(64.3%)、亜鉛は7.14(62.9%)、比重とコストで行けば鉄か銅と言う事になります。

ライフル弾やサボットスラグ弾では銅が使われており、散弾では主に鉄が使われています。現在市販されているのは主にスチール装弾で、同じ粒径で合計重量が同じであれば、1.44倍の粒数となります。

鉛7.5号トラップ装弾は32g時に400粒が入っています。
これで50m弱まで3粒被弾撃墜が可能です。

これと概ね同じ条件と言う事になりますと、鉄6号装弾があれば、散弾は364粒となり、鉛7.5号に比べ91%が保たれ45m前後まで3粒被弾撃墜が可能となります。

スチール弾の方がややチョークが強く作用し、もう少し善戦出来るかも知れません。
鉄6号装弾に10%以上飛行体重量を多くした、マグナム装弾があれば概ね対等と言えます。

しかし、現在は鉄5号275粒装弾までしか販売されておらず、鉛7.5号に比べ69%しか粒数が入っておらず、3粒被弾撃墜を35m弱までしか満足出来ません。

ショットガン効果の3粒被弾撃墜を満足出来なくなりますと、35mを超える射撃の撃墜は当たり場所が良かった場合に限られ、推定1桁撃墜率が下がります。

35m以下の射撃では下がらない為、総合撃墜率は推定で約半分程度になると思われます。





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Posted by little-ken  at 09:36 │ハンティング銃と弾