2023年03月25日

バックショット専用銃。

  バックショット専用銃の運用:レミントン1100ディアーガンはバックショット運用で念願の本州鹿の捕獲には成功しましたが、20番バックは粒が小さい事、そして粒数が少ない事から、即倒させる事が困難であり、即倒には2~3発連射の追加被弾が必要でした。
次の銃は強力な12番のレミントン11-87の21インチリブバレルの銃身で、新銃は8万円でした。
バックショット専用銃。
本当は12番で4号バックショットの27粒弾をインプシリンダーから撃ちたかったのですが、当時27粒弾は入手出来ず、フルよりも更に絞ったターキーチョークから6粒弾を撃つ事にしました。
この設定は通常の3粒被弾即死のショットガン効果を狙うのではなく、20mからのテストでは全弾が 20㎝強に集弾、心臓狙いでパターンの1粒が急所直撃と言う作戦でした。

4年間で20頭を捕獲成功、失中&半矢ゼロのパーフェクト、全ての鹿は即死、5m未満で止まりました。急所狙いバックショット運用作戦は大成功でしたが、鳥撃ちやクレー射撃にはやや不満があり、そこで6項の様な全ての用途に使える万能散弾銃を作りました。

  万能銃の運用:使い慣れたSKB1900オートをベースに24㌅リブバレルを取付け、インナー式のフルチョークを入れました。フロントには250gのバランサーを取り付け、ストックの全長はそのままですが、ピッチダウンを大きくする為にバッドの下側のみ10㎜程カットし、成形し直しました。
バックショット専用銃。
結果は30㌅銃身時のオートに匹敵するバランスを持ち、クレー射撃連続ヒット54枚、2008年カルガモ駆除で全体51羽中、ケンさんは32羽を撃墜、1.6発/羽を記録しました。本州鹿猟の運用実績はゼロですが、6項のバックショット専用銃に負けない成果が可能だと思います。

  スコープ専用銃の運用:アイアンサイトのスラグ銃でもバックショット運用で短期に本州鹿  6頭を捕獲出来ましたが、本州鹿の巻狩りに限界を感じ、本来のコースであったドッグレスのエゾ鹿猟メインに転向しました。
バックショット専用銃。
当時、レミントン1100類似のレミントンオート742ライフル銃30-06を所持していましたが、100m精度は実用性に乏しく、そこでこれに対応する為に、新しくデビューしたルガー77ボルトアクションスコープ専用銃の308を購入、新銃で19万円でした。当時としてはアイアンサイトの無い事、プラストックで ある事、白磨きステンレス製だった事等々、全てが新しい構成でした。

エゾ鹿猟の当所は民宿巻狩りでしたが、その初日、待ち場の配置に付く過程で中型エゾ鹿オスを踏み出し、50mランニング射撃3発目で即倒、エゾ鹿捕獲第1号となりました。ルガーではスナップショットの練習をしなかったのですが、極めて簡単に走るエゾ鹿をスコープに捉えられました。更に本銃では1051頭捕獲中のNO.1である角長88㎝も、根室のランニング射撃で1発即倒でした。

しかし当時のランニング射撃はまだまだ未熟、射程距離は僅か50m、命中は時々と言う程度でした。しかし本銃は1900年前後から進化が無い様に見えた、旧式ボルトアクション銃はスコープ専用銃と言うアイデアにより、最も不得意に見えたスナップショットや、ランニングショットが得意側となる可能性をケンさんに教えてくれました。ランニング射撃にはショットガンの射撃技術が非常に役立ちました。

  高精度自動ライフル銃の運用:それらの結果、5発5中達成が新たな目標となりました。
ケンさんは元々自動銃派であり、何時の日にか、ランニング射撃の5発5中と300m遠射達成の願望があり、ランニング射撃にはオートが不可欠、300mには高精度が必要だと思っていたからです。

高精度さえあれば、全体的にオートの方がメリット大と考えており、そこでボルト銃並高精度が謳いのH&Kオートを購入、メーカー試射的は50m3発が10㎜でした。 
バックショット専用銃。
バックショット専用銃。バックショット専用銃。バックショット専用銃。  
写真の1マスが10㎜ですが、本銃はその後150mで5発が12㎜と言う驚異的なワンホールが達成されました。回転ミスも殆ど無く、ならば究極の銃は本銃であるかに見えました。しかし本銃は究極の銃ではなく、結果的にランニング射撃5発5中も300m遠射も、共に未達成のままでした。

本銃の着弾グルーピングは抜群に優秀でしたが、毎回5㎝以上違う所にまとまったグルーピングで着弾しました。弾頭は銃口を出る時にライフリングによる回転が与えられますが、それ以外にも頭と尻を振った状態と、更に弾頭自体が螺旋飛行をしながら飛んで行きます。本銃はこの螺旋径が大きいのではと」推測しています。この為と落差不安もあって、300m遠射は1度も成功せずでした。

しかしランニング射撃には一応の成果があり、射程距離はMax.50mでしたが、1頭捕獲に要する弾数は5発強であり、2マガジン10発で3頭捕獲と言うのが最高記録、そんな所で概ね安定しました。
ランニング射撃とはこの程度で大きな成果だと、その頃の未熟なケンさんは思っていました。

しかし、この思いは後述9項のサコーボルトで立ち所に完全にひっくり返されました。
H&Kオートは最も得意な筈の連射でも旧式のボルト銃に大敗する事になり、しかもそれは想像を絶する程の大差でした。高精度自動銃は究極の銃では無く、ダメ側代表格の銃でした。

  究極の最強銃:H&Kでは300m遠射を達成出来ず、やはり遠射達成はボルト銃しか無いのかと、銃を再びボルト銃のサコー75バーミンター改に換えました。
オリジナルからの変更点は銃身5㎝カット、ストック2㎝カット、ストック軽量化チューニングとグリップの小変更だけです。連射性能はオートに比べ、著しく劣ると予想していました。
所が結果的には全くの大違い、本銃こそが「夢にまで見ていた究極の銃」だった事が分かりました。
バックショット専用銃。バックショット専用銃。
本銃の精度は弾のグレードを落とした為、150mの5発ワンホールは1度も達成出来ずでした。
しかし、150m3発が10㎜代前半は複数回達成し(右写真は150m3発が11㎜)、また念願であった300mの遠射は当然の様に決まり、最早外し様がないと感じる程までになりました。

ランニング射撃では初弾命中率はオート時と概ね同等、連射はオートに比べ大幅に劣るだろうと予想しておりましたが、遥かに遥かに予想外の好成績となり、その驚きの結果を纏めますと、次の様になりました。

1.射程距離と命中率:銃を換えた途端に「射程距離は4倍の200m」まで延長されました。
命中率は 距離4倍と遠くなったにも拘らず、命中率低下無し所か、1頭捕獲に必要な弾数は、半分の2.7発に減少、更に2か月後には更に半分の1.4発に1頭まで向上、初弾急所ヒット率70%まで上がり、ト-タルでは「15倍のパフォーマンス」となりましたから驚きました。

2.ランニング5発5中もH&Kでは1度も達成出来ず、長い間の念願でしたが、これを短期に3度も達成、マグレとは言わせない結果となりました。

3.スナップスイングは予想よりも遥かに速く操作完了、ボルト銃連射は再肩付スナップスイング射撃となり、連射速度は比較にならない程、遅くなるだろうと予想していました。信じられない事ですが、ボルト銃再肩付射撃の連射は、肩に付けたままの自動銃より多少速く撃てました。

4.自動銃の低命中率:自動銃は連射時の反動で見失った目標の、再度補足に思ったよりも遥かに時間を要し、故に低連射速度となり、且つその間に焦りの心が発生し、低命中率になったと思われます。

それに対し再肩付射撃は、肩から銃が降りている間も体全体が目標を継続追尾し、目標を見失っておらず、そこに追尾指向中の銃が嵌め込まれ、直ちにスイング射撃に移れたので、自動銃より速い連射速度ながら高命中率が可能になりました。

ケンさんはパフォーマンス15倍にも驚きましたが、自動銃より速い連射にはもっと驚きました。
結果的に最新鋭の自動銃は、全ての射撃項目で第1次大戦時代の旧型ボルト銃に比べ、足元にも及ばない結果となり、得意な筈の連射でも僅か7%の能力しか出せなかったのです。

連射の為に作られた自動銃は、「超情けない程の低性能な銃」である事が判明、結局自動銃は幻を追い掛けていたと言えました。
一方旧式のボルト銃はスコープ専用銃のアイデアと、射撃方法の再肩付スナップスイングと言う組合せにより、予想より遥かに速く高精度の最強の銃となりました。

しかし1ホール射撃や300mの遠射の達成には、射撃には反動を伴わないと体を騙す事に成功しなくてはなりません。ケンさんは偶然からですが、交通事故に巻き込まれ、実射を2年近く遮断され、弾を入れないドライファイアを1年強行った結果、射撃再開の日にH&Kオートと市販弾薬僅か20発から、150m射撃5発が8㎜と12㎜の1ホール射撃を2回達成出来ました。

しかし1ホールや遠射の達成は100人に1人以下ですが、ランニング射撃に至っては1000人に1人以下と言う寂しい数字が並び、反動よるフリンチング対策が如何に難しい事である事と、ランニング射撃では従来の目で見て照準すると言う考えを捨てる必要があり、この見ないままで撃つと言う事が予想外に難しかった様でした。

  10ライフル銃の精度:無煙火薬は1984年に発明され、主成分はニトロセルロースです。
1898年にモーゼルは現在の主流となるボルトアクション銃と、その新弾薬を作り上げました。

現在のボルトアクション銃は全てこのモーゼル1898の亜流にあり、同時制定された弾薬は先丸重量弾頭でしたが、1900年前後に現在の先尖型軽量弾頭に置き換わりました。
お馴染みの30‐06はこの波の末期の1906年に誕生しました。
この時代にニトロエクスプレスと言う弾がありましたが、無煙火薬の高速弾と言う意味です。
バックショット専用銃。
銃の構造と弾薬は1900年から特に進化していないと言えばそうなりますが、WW1時代には狙撃と言う考えが定着し、狙撃銃は通常銃の中から出来の良い物が選ばれ運用されました。この出来の良い銃は狩猟用精度の急所狙いで200mを可能とし、軍用としては300m以遠も可能としました。

1955年に西側では各国でバラバラだった弾薬を共通化した308が制定され現在に至り、西側狩猟の主流弾は308となりました。WW2後には銃の素材が合金鋼になり強度が向上、弾薬が共通化され、従来銃も新弾薬が使える様に改造され、精度も良くなりましたが、照準器はオープンサイトであり、狩猟で急所を狙えるのはまだ100m程度でした。

1960年頃になりますと現在のNC加工が可能となり、新合金とNC加工を前提として銃が再設計されました。その為、銃は精度が更に向上し、この頃からスコープ照準が主流となり、200mの急所射撃が可能となり、良い物は300m急所狙いが可能となりました。

スコープは専用銃とする事で、無限の 可能性が生まれ、スナップショットやランニングショットが可能となり、更にスコープは上向発射のお陰で、オープンサイトに比べ、射程が2倍に延長されると言う、大きな効果を生み出しました。

1980年頃、多くの従来銃にもスコープを後付けしましたが、全面的にスコープに頼れず、オープンサイトを残し、その頃にはスコープマウント下からオープンサイトを覗くシースルー型、可倒式スコープ、スコープ着脱式が使われました。その為、本当のスコープの良さを生かす事が出来ずにいました。

オープンサイトを残す考え方は未だヨーロッパでは残っており、1900年前後に指向性を多少改善されたバチューサイトと、着脱スコープを装備する形で新型自動ライフル銃に全て一新され、同時に余り意味の無いストレートボルトアクション銃が登場しました。H&Kオートはこの時代の銃で、スコープ専用銃ではなかったのですが、チークピースを自作後付けし、スコープ専用銃化しました。

軍用狙撃銃の世界では1964年にウインチェスター70がマイナーチェンジ失敗で失脚、レミントン700バーミンターが米軍のスコープ専用狙撃銃に採用され、100mで1ホール射撃が可能でした。

1980年頃になりますと狩猟用もオープンサイト略のスコープ専用銃が主流となり、ケンさんも1993年からルガー77スコープ専用銃を使い始めました。スコープ専用銃は従来不可能と言われた、スナップショットやランニングショットが可能になると言うより、得意と言える様になりました。

2000年頃になりますと、更に精度が向上し、STDグレードの市販銃がバーミンターなら市販弾薬でも150mのワンホール射撃が可能となりました。ケンさんのサコー75もこの時代の銃となります。

勿論300m遠射も朝メシ前ですが、これを出せる射手は100人に1人以下でした。
銃と弾は1ホール射撃が可能なのですが、それを出せる射手は例外級の特別な人だけとなりました。

銃には反動があり、それを上手く受け様と発射直前に射手の体が硬くなり、その結果散弾銃では引き止まり射撃となり、リード合わせを困難とし、シットガンは近距離低速に限定される事になりました。

ライフル銃では照準がズレてドカンの当たらないフリンチング射撃となり、本州では驚く事に50mの射撃能力すらない状態でした。北海道のエゾ鹿猟ではハンターは辛うじて100mの能力がありますが、150mは撃つ人はかなり少なく、鹿はここなら余り撃たれないと言う150mにいます。

現在の銃と弾には十分な精度があり、フリンチングさえ抜ければ本来は誰が撃っても300m遠射は当たる筈ですが、現実にはフリンチングが抜けず、普通の射撃練習では100mの能力に留まります。

勿論ケンさんも永らく、この100mの壁に悩まされましたが、結論的に言えば、銃と弾は当たる様に出来ており、銃だけに撃たせ、人がなるべく関与しない様に撃てば良い射撃結果になりました。

銃だけに撃たせれば良いのですから「持たず」「握らず」「当てず」「引かず」そして「そっと撃つ」、これが結論となりました。ベンチレスト射撃では主に器具の力を借りて達成しておりますが、出来れば器具の力を借りないで達成したい物です。

ケンさんのワンホール射撃はテーブルを使った半委託射撃であり、実戦にもそのままの精度を持ち込む事が出来ます。

更に射撃には反動を伴わないと体を騙す事に対しましては、実射を断ち、ドライファイアをしぶとく続け、実射の際も1発撃つ前に10~20回のドライファイアを行い、体のフリンチング反応が切れている事を確認してから実射をします。ケンさんの場合はワンホール射撃達成後、少し遅れて300m遠射や150mアバウト早撃ちが可能になって来ました。

まずはワンホール射撃達成の為、体を騙すドライファイアを繰り返す事ですが、3年のつもりで相当しぶとく続けますと、ある日達成出来ます。多分2年以下です。

その日が来れば自動的に出る物なのです。ケンさんの場合は2年間実射レス後、20発の射撃から5発ワンホールが2回出ましたが、当初2発目以降は弾着不明と思っていましたが、よく見直すと1ホール射撃が達成されていました。






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Posted by little-ken  at 11:57 │ハンティング銃と弾