2023年03月10日

ドッグレス猟と狩猟技術。

狩猟と猟犬の関係は切っても切れません。1部に猟犬を使用しないキジバト猟やカモ猟等々がありますが、多くの狩猟は猟犬があっての前提であり、猟犬が無ければ猟その物が成立しません。

ケンさんの若い頃の猟友会メンバーは大多数が猟犬を持ち、猟犬を持っていないハンターは猟犬持ちハンターと組まなければ出猟出来ず、猟友会の集まりでも自分の猟犬の自慢話で花が咲き、議事が中々進行しない状態でした。そんな状況下ケンさんにも先輩達から猟犬の押し売りが随分ありました。

1970年、20歳を待ってケンさんの狩猟が始まりました。勿論猟犬は持っていません。
取り敢えず猟犬の不要なキジバト猟から始める事にしました。始めたのは良いのですが、何度出掛けてもキジバトにバカにされ、射程内まで近寄れず、撃ってもダメ元射撃、捕獲ゼロが続きました。終猟直前の最後の出猟でやっと1羽のキジバトにヒット、初年度捕獲はこのキジバト1羽に留まりました。

2猟期目はカモ猟に行き海ガモ1羽捕獲、その後も時々海ガモが捕獲出来ました。そんな頃、近くの床屋がキジ猟に誘ってくれ、出掛けました。この猟犬は良く働き、キジ3回とコジュケイ1回を出しました。ケンさんはこの中からキジ2羽とコジュケイ2羽を撃墜出来ましたが、この時に誘ってくれた先輩の射撃技術に驚きました。ケンさんより圧倒的に遅いのです。コジュケイの素速い飛翔に経験豊富な筈の先輩は対応出来ずでしたが、まだ2年目になったばかりの未熟なケンさんですが、ダブル撃墜でした。

また別の猟友会の先輩がキジ猟に誘ってくれましたが、こちらの猟犬はまるでダメ犬でした。先輩は猟犬に恥をかかされ、ダメ犬を叱咤激励しますが、結局獲物を1度も出せずでした。多分獲物のいない所で捜索を命じたと思います。自らの未熟を棚に上げ、猟犬を叱咤激励する姿は、余り良い物とは 言えません。またベテランキジ猟師の射撃技術が2年目のケンさんより大幅に劣っていた事もガッカリでした。この2件を見てケンさんは猟犬を使った猟に限界を感じました。

  ドッグレス猟に決めました。
4シーズン目を迎えたケンさんは猟犬を使わないカモ猟をメインにする事に決めました。
解禁猟は河口付近のため池にハシビロガモが多数付いており、これを狙う事にしました。
定刻の30分前に現場に到着、静かに配置に付いて日の出を待ちました。そして時間到来、周りで一斉に銃声が起こりました。知らない内に驚く程のハンターが池の外周を取り囲んでいました。

外周組の殆どは撃墜出来ずでした。ケンさんは上下2連銃でしたが、幸い2羽を撃墜出来、カモを回収し、新しいカモは来そうもないし、帰ろうとした時、新たなカモ撃ちハンターが2名やって来ました。聞けば本番はこれからとの事、弾もまだ20数発あり、ケンさんもこのカモ猟に参加する事にしました。

30分もすると確かにカモが来ました。新たなハンターは2人共5連銃、群れが来る度にガンガン撃ち捲くり、連射毎に多数を撃墜、ケンさんは昼までに20数発を撃ちましたが、2羽撃墜に留まりました。

彼らの自動銃を見て心から欲しくなり、早速銃砲店で当時新銃が19万円だったSKB1900中古銃を10万円で購入しました。これが愛銃SKBとの以後45年間の付き合いの始まりでした。SKBの寿命は約3万発、ケンさんは同じモデルを5丁使い、薬15万発を撃ちカモ類とハト類を各々推定で5千羽ずつ以上を捕獲しました。両種とも駆除の捕獲が多数含まれます。

狩猟を始めたのが1970年、13年目から本州鹿の巻狩りに参加しました。ドッグレス猟をメインと決めたのですが、当時は鹿の単独猟は誰もおらず、取り敢えず鹿猟の勉強をしようと、猟犬を使う本州鹿の 巻狩りグループに入れて頂きました。野性鳥獣の五感は人間とは3桁違いで比較にならず、ケンさんもそれは知っているつもりでしたが、実際には想像以上の差でした。実戦でこれに本当に気が付くまで、鹿を射程内まで引き寄せる事が出来ず連戦連敗、最初の捕獲までに9年間70余日を要しました。

  禅の心作戦。
本州鹿の巻狩りでは引き寄せて撃ち取る射撃勝負ではなく、お互いの気配をどちらが先に取るかの気配先取り勝負だったのです。これに気が付いて、「禅の心作戦」を考案しました。気配先取り勝負に勝てば、射撃勝負はスナップショットで簡単に捕獲出来ました。

射手の気配を1桁以上少なくする為に、物陰に隠れ見張る事を辞めました。鹿が来そうな時間帯になったら、最大30分間は全く微動もせず、仏像の様に動かないで、目を閉じ「禅の心の瞑想状態」で鹿を待ちます。

すると鹿は射手の気配が低下してするので、気配が取れずに獣道を進んで来ます。
一方射手は目を瞑っていても、今まで自らの気配の陰で気が付かなかった鹿の接近に気が付きます。やがて所定の位置まで鹿を引き付けたら、目を開けます。鹿は目前におり、スナップショットで行動を一気に起こすと、鹿は「ギョッ」として立ち止まり、イージーショットで鹿が捕獲出来ます。

ベテラン鹿はすでに多少異変を感じており、行動開始と共に全力トン走を図りますが、これもスナップスイングショットの敵ではありません。4号バック27粒弾のインプシリンダーからの連射で仕留める事は極めて容易です。最初の10年間の捕獲は9年目に1頭だけでしたが、「禅の心作戦」では3週連続で捕獲出来、ケンさんはこの「禅作戦」で勝負する様になって4年間で20頭を個人撃墜しました。

結果的に立ち止まってくれる30%は小物ばかりでしたが、スナップショットでイージー捕獲、他は3段角になったばかりの若い鹿が多く、全速トンズラを連射で仕留めました。本州鹿と20戦し、失中&半矢はゼロで済みました。しかし本州鹿の巻狩りの限界だと感じ、エゾ鹿猟に転向しました。

キジ猟でも本州鹿猟でも、獲物の捜索は猟犬が頼りの綱となります。
人間が足跡を追い掛ける追跡猟もありますが、積雪の無い地方では猟犬にとても敵いません。
しかし猟犬頼みの猟をしますと、自らが努力をしないハンターになってしまいます。
床屋のベテラン先輩ハンターは優れたキジ猟師でしたが、射撃技術は驚くほど遅い射撃でした。

  ポイント猟と新しい射法。
猟犬ハンターに限界を感じたケンさんはカモ猟を専攻し、そして結論から言えば気象等の自然現象やカモの習性から、何時何処に行けば出会いが得られるのか、分かるポイント猟が開拓出来ました。

獲物捜索の必要は全く無くなり、後述の様な回収法も開拓、回収用の猟犬も不要でした。新たな射撃方法も咄嗟の出会い頭に素速く銃口で指向する「スナップショット」を開拓し、適正リードが自動的に得られる「スイング射法」を開拓、遠射では弾幕に鳥を飛び込ませる「高速3連射」を開拓出来ました。

通常ショットガン射撃は、99%がフリンチングによる引き止まり射撃、引き止まり分のリード追加が必要になり、毎回大幅に違うリード合わせは著しく困難、必然的に「近距離&低速」に限定されてしまいます。

そして低命中率を改善しようと「散弾散布の広いチョークを使う」事により、散弾銃で最も頼りになる筈の「ショットガン効果が弾幕密度不足で使えなくなり」、それ故に結果的に被弾粒数不足から著しく低撃墜率となり、それを少しでも改善しようと、「大粒の散弾を使う」ので更に低撃墜率に陥ります。

散弾銃射撃もフリンチングの無い「スイングショット」にしますと、「遠距離+高速までが対応が可能」となり、スイング射撃は「リード合わせが自動」で、「散弾散布の最も狭いフルチョーク」と「小粒散弾」と 組合せますと、3粒被弾だけで撃墜出来る、「ショットガン効果」が使える様になります。

それでもリード合わせ難度が高くなる高速遠射時は、散弾群に鳥を飛び込ませる「高速3連射」が必要になりますが、通常の引き止まり射法のショットガンに比べ、「1~2桁の撃墜率が向上」となります。

ポイント猟で何時何処に行けばカモがいるか分かっており、毎朝の出勤前30~60分の出猟で新射法を駆使し、定数を捕獲後に出社、当時は合法でカモが売却出来、本業以上の収入となりました。カモの回収はどうしていたのか? それは水と空気の流れを読み、「すぐに流れ着く猟場のみ」で狩猟を行いました。その位の猟場数が開発してあり、また更には「カモを希望の方向に飛ばせ」、「希望の場所に墜とす射撃」を開拓しており、カモ猟ですが長靴すら不要な程でした。
ドッグレス猟と狩猟技術。
また害鳥ドバト駆除は10数人で行いますが、当時は特別許可を取り、300発持ち込み、ケンさん1人の捕獲量がしばしば全体の過半となり、これがドッグレスを新射撃技術で補った、成果だと言えました。写真は600羽駆除の時の物ですが、最高は全体で800羽駆除と言う時もありました。

エゾ鹿猟では獲物を探すのはどうしていたのか? これもポイント猟の開拓で、ちょっと考えれば今日の今なら、何時に何処に行けば鹿に出会えるのかが、分かっていたので探す事自体が不要でした。このエゾ鹿のポイント猟の、出会いは16年間の平均実績で5回/日を超えていました。

射撃面はライフルの場合でも、必要に応じて各距離用が新開発され、咄嗟の出会い頭にも素速く銃口で指向する「スナップショット」を考案、「中距離用のアバウト照準早撃ち」、「遠距離用の全依託射撃」、を開拓出来、下記の新射法を含め、射撃技術に於ける距離と時間の不足は殆ど無くなりました。

銃を向けた途端に動く場合の「ムービングスタート射撃」、更に「200mまで可能なランニングショット」、更に間もなく止まる位置を予測した「待ってたホイ射撃」、更には即倒率100%の「ナミビアポイント射撃」の開発等々、どの射撃も急所直撃で「即倒率が高い」ので「追跡する必要」は概ね不要となりました。

これらの射撃技術はフリンチングさえ完全に抜ければ、それ程の難度ではなく、距離は0~300m強 まで、静止した鹿であっても走っている鹿であっても対応はイージーでした。また射撃距離増大によって難度が増える傾向も僅かであり、複数捕獲も5発5中が成立する程ですから、その難度も高くはありませんでした。

これら全ての技術も、猟犬に頼らないドッグレスハンターだったからこそ、作り上げる事が出来ました。野性鳥獣の野性の五感の高さや、それに準ずる能力を持つ、猟犬の価値を認めない訳ではなく、猟犬の能力を上手く組合せれば、更に高度な素晴らしい狩猟が可能であったかも知れませんが、数々の大記録を作る事が出来たケンさんは、その必要性を感じずでした。

猟犬の特殊能力に頼った猟を前提とすれば、不可能に挑戦する様なケンさんの手法や射撃方法は、全く常識外とも言え、敢えてドッグレスに挑戦しようとしない限り、ポイント猟に依る出会い方法や新射撃方法の開拓は無かったと思われます。

結果的にその不可能に挑戦は、立派に花を咲かせる事が出来、大きな実績を残す事が出来ました。猟犬の能力は確かに非常に素晴らしいのですが、人間の思考力は更にその上が可能であり、ドッグ猟とは比較にならない、大きな成果を出す事が出来ました。

纏めますと、従来は猟犬持ちこそが1人前のハンターの証でした。欠点は猟犬選びには熱くなりますが、狩猟全体や射撃技術追求には熱くならず、どうしても猟犬任せの狩猟となってしまう事でした。

よって不可能に挑戦するドッグレスハンターの方が、桁違いの好成績を出す事が可能で、従って結論としては、ドッグレスハンターこそが本物のハンターだったと言えました。

  エゾ鹿猟の猟犬運用法。
北海道のエゾ鹿猟でも、僅かなハンターは猟犬を使っています。その使い方は半矢鹿の追跡用途で、それなりの成果はある様です。獲れるハンターは半矢鹿の追跡をしぶとく行いません。その心は半矢を追跡するよりも、次の鹿を探した方が手っ取り早いからです。エゾ鹿猟の初期にはケンさんもたくさんの半矢を出しました。それは射撃が未熟だからであり、照準時間が長過ぎるからでした。そして追跡しましたが、回収率は低迷しました。

基本的には「中距離のアバウト早撃ち」が出来れば、そして即倒率が圧倒的に高い、「ショルダーの急所」であるナミビアポイントを速やかに撃てば、「半矢が出る可能性は概ね無くなり」ます。反対目線で言えば、出会いが得られないので、半矢追跡を大切にしなければならなくなり、その為に猟犬が必要となり、そしてそれに頼っているから、出会いを得る事や、射撃が上達しなかったと言えます。

北海道にはかつてケンさんのライバルハンターがいました。ライバル友人さんは半矢追跡をしぶとく行いましたが、ケンさんは半矢追跡をすぐに諦めました。追跡も大変ですが、回収がもっと大変になるからです。やがてケンさんの猟は何処に何時行けば鹿に出会えるポイント猟に発展し、狩猟方法は 横着猟となりました。おうちゃく猟ではなく、「よこつけ猟」と読みます。鹿はハンターに出会わない場所を選び、数日しても追われなければ、そこはサンクチュアリかと、勘違いする様になります。

実はそうなる様に鹿の付き場には、わざと1週間に1度位しか見に行かない様にしています。
そして車を乗り付ける時も、鹿は通過交通には無関心ですから、なるべく直前まで通過交通を装い、そして突然ハンターに豹変します。すると鹿はあっけに取られ、数秒間ですが空白時間が生まれ、その数秒で発砲準備と照準を行います。走り出す直前の発砲になりますが、走り出してもムービングスタート射撃で簡単に撃ち獲れるので焦る必要はありません。

或いは車を止める場所も、林の陰等の通常のハンターが絶対に止めない様な場所を選ぶ事もあります。弾は幅5㎝と高さ10㎝の僅かな空間があれば、通す事が出来、鹿は森の中からの射弾で即倒させられます。他の横着猟共々殆どが即倒ですから、回収距離は概ね射撃距離となります。

ケンさんの出会い術と射撃技術はその後もドンドン向上しました。
ライバル友人はやがて追跡用の猟犬を使う様になり、ここに至り彼は完全にライバルでなくなりました。彼は愛犬ロリコンに陥り、狩猟技術と射撃技術向上の追求を、完全に放棄してしまいました。

ヒグマ猟も圧倒的多数は猟犬を使いませんが、エゾ鹿猟よりは猟犬を使う人の割合が多くなります。運用法はヒグマの追跡です。ヒグマが近くなれば、猟犬がヒグマの気配も感じて近くなって事を教えてくれます。しかし一方で猟犬の気配をヒグマに先取りされ、早目に逃走される確率は避けられません。1長1短ですが、結果的に猟犬を使わない人の方が多い所を見ると、短所の方が大の様です。





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Posted by little-ken  at 10:37 │ハンティング