2022年01月20日
銃業界の新星。
1.ロシア極東の猟師が使う「フロロフカ」
ロシア極東のシベリアは広大な狩猟地であり、膨大な数の銃を必要としており、一方ロシア軍には予備役の旧式銃がたくさん眠っています。しかし高性能な軍用ライフルがそのまま大量に民衆の手に渡れば、時の政権の軍隊に取っては大きな脅威となってしまいます。そこでロシアはベルダン1870を散弾銃に改造払下げし、シベリア住民に新しい銃を売り付ける事にしました。
ベルダン1870(生産数300万丁)は、32番(13.3㎜)28番(14.0㎜)24番(14.7㎜)の散弾銃に改造後民間に払下げられ、また16番や20番は1930年頃まで新造され続けました。
日本も同じ頃、13年式村田軍用銃(1880)11㎜ライフル銃を30番村田猟銃に改造払下げをしました。


上写真:ベルダン1870 下写真:モシンナガン1891/30
「フロロフカ」とはモシンナガン1891/30(生産数1200万丁)の7.6㎜ライフル銃身を削り広げた、28番(14.0㎜)又は32番(13.3㎜)に散弾銃型猟銃を指します。モシンナガン改は前作ベルダン改に比べて 1200万丁と桁違いの数でした。後刻ベルダン1870改も「フロロフカ」と呼ばれる様になりました。
更に「フロロフカ」はモシンナガン改に留まらず、ドイツのモーゼル98初期型7.9㎜からも大量に改造され、加えてモシンナガンも新造銃身で16番(16.8㎜)までの各種口径に多数が改造され、シベリアの全ての男には「フロロフカ」が行き渡りました。
こうして「フロロフカ」のボルト式改造散弾猟銃は今も使われ続け、今も410番弾は生産され続け、その弾は日本にも輸入されています。(下右写真)、左モーゼル改、右モシンナガン改の「フロロフカ」を担ぐシベリアのハンター。(下右写真)


以前テレビ番組で見たシベリアのムースハンターはオープンサイトのままのSKSカービン銃を使い、弾はAk47の7.62x39のFMJでした。
ムースと言ってもアラスカムースの様に、巨大にヘラ角にはなりませんが、それでもエゾ鹿より遥かに巨大な鹿に7.62x39のFMJで勝負していたのです。
日本のマタギが30番丸弾の村田猟銃で、ヒグマに戦いを挑んだのと似ています。
2.最新型の「366 TKM弾」
ロシアでは、ライフル銃を購入する資格が得られるまで、5年間散弾銃を所有する必要があり、この不便に対処する為に、2020年、AK47弾(左)として お馴染みの7.62×39の薬莢を366口径(9.3㎜)にネックアップした366TKM弾がデビューしました。口径9.3㎜、230grの弾頭を2034fpsで発射し、活力は 2167ft-lbf、150m以上の射程能力があり、エゾ鹿猟に使えます。
308ウイインチェスター 7.6x51 1952 150gr 2820fps 2668ft-lbf NATO弾
7.62x39 30-39 7.6x39 1943 122gr 2396fps 1555ft-lbf ワルシャワ弾
366 TKM 9.3x39 2020 231 1969 2127 ロシアでは散弾銃
366TKMでリチャンバーされた銃は、スムースボアですが、銃口の先に約5インチ6条のライフリングチョークを後付けされ、スムースボアの散弾銃として認定されました。AK系ライフルメーカーにとって、7.62×39の銃を366TKMでリチャンバーされた銃を作る事は、バレルを再加工するだけで済む、非常に簡単な作業でした。



AK366TKM, SKS366TKM, ドラグノフ9.6ランカスター
本銃の存在は狩猟目的と言うより、写真の様にミリタリーお宅モデルです。5インチのライフルチョークは、ロシア語でよく分らないのですが、どうも左写真のサイレンサーの様な物がそれになる様です。
外付けであるならば、外付けチョーク取り付けの為のネジ加工を後刻に行えば、スムースボア単弾銃として日本にも輸入出来そうな気がしますが、日本での運用はベースが軍用銃では難しそうです。



左:オリジナル7.62x39弾と366TKM弾、
右:オリジナル7.62x54R弾と9.6x53Rランカスター弾。
3.更なる新型「9.6x53Rランカスター弾」
366TKMの成功後、今度は9.6x53Rランカスター弾がデビューしました。
このカートリッジはロシア製式7.62x54R(写真左)のボアアップ版で弾頭径は9.6㎜です。新しいカートリッジは308よりやや強力、H&Kの多角形型のポリゴナルライフルではなく、楕円が捻ってあるライフリングと言うか、銃身が歪んでいるだけ、これでロシアでは散弾銃と認定されている様です。

TK598ライフル、口径は366TKM 又は 9.6x53Rランカスター
9.6x53Rも366TKM同様、ミリタリーお宅感が強いのですが、こちらには上写真のハンティングモデルもあります。こちらの銃では366TKMも含め、本銃身には従来で言うライフリングはありませんが、日本の当局がこの楕円捻り銃身を ライフル銃身と見るか見ないかは分かりません。
スムースボアの散弾銃認定となれば、エゾ鹿猟用にサボットスラグより大幅に実用射程が上廻る、新銃種の誕生となります。
1時期流行した410番ハーフライフルはこれと同等の200m射程でした。
308ウイインチェスター 7.6x51 1952 150gr 2820fps 2668ft-lbf NATO弾
7.6x54R ロシア 7.6x54R 1891 150 2840 2677
9.6x53Rランカスター ゙ 9.6x53R 2020 278 2233 2803
444マーリン 11.5x57 1964 240 2350 2942
日本ではかつて410番と称した444マーリン弾を撃つハーフライフル銃がエゾ鹿ハンターに当局の無知から多数販売されました。当時はまだサボットスラグ銃が普及しておらず、その高精度や射的 距離から大人気となりました。
しかし日本の法律でライフル弾を発射出来る銃はライフル銃であり、判明後はノーライフルに再改造する様に指導が行われました。許可を受けた人がそのまま運用すればハーフライフルは有効ですが、譲渡する時はノーライフルに加工するのが本来ですが、末端の担当官にはそれを判断する権限が無く、ハーフライフルのままで名変成功例を多数聞きました。
ロシア極東のシベリアは広大な狩猟地であり、膨大な数の銃を必要としており、一方ロシア軍には予備役の旧式銃がたくさん眠っています。しかし高性能な軍用ライフルがそのまま大量に民衆の手に渡れば、時の政権の軍隊に取っては大きな脅威となってしまいます。そこでロシアはベルダン1870を散弾銃に改造払下げし、シベリア住民に新しい銃を売り付ける事にしました。
ベルダン1870(生産数300万丁)は、32番(13.3㎜)28番(14.0㎜)24番(14.7㎜)の散弾銃に改造後民間に払下げられ、また16番や20番は1930年頃まで新造され続けました。
日本も同じ頃、13年式村田軍用銃(1880)11㎜ライフル銃を30番村田猟銃に改造払下げをしました。


上写真:ベルダン1870 下写真:モシンナガン1891/30
「フロロフカ」とはモシンナガン1891/30(生産数1200万丁)の7.6㎜ライフル銃身を削り広げた、28番(14.0㎜)又は32番(13.3㎜)に散弾銃型猟銃を指します。モシンナガン改は前作ベルダン改に比べて 1200万丁と桁違いの数でした。後刻ベルダン1870改も「フロロフカ」と呼ばれる様になりました。
更に「フロロフカ」はモシンナガン改に留まらず、ドイツのモーゼル98初期型7.9㎜からも大量に改造され、加えてモシンナガンも新造銃身で16番(16.8㎜)までの各種口径に多数が改造され、シベリアの全ての男には「フロロフカ」が行き渡りました。
こうして「フロロフカ」のボルト式改造散弾猟銃は今も使われ続け、今も410番弾は生産され続け、その弾は日本にも輸入されています。(下右写真)、左モーゼル改、右モシンナガン改の「フロロフカ」を担ぐシベリアのハンター。(下右写真)


以前テレビ番組で見たシベリアのムースハンターはオープンサイトのままのSKSカービン銃を使い、弾はAk47の7.62x39のFMJでした。
ムースと言ってもアラスカムースの様に、巨大にヘラ角にはなりませんが、それでもエゾ鹿より遥かに巨大な鹿に7.62x39のFMJで勝負していたのです。
日本のマタギが30番丸弾の村田猟銃で、ヒグマに戦いを挑んだのと似ています。
2.最新型の「366 TKM弾」
ロシアでは、ライフル銃を購入する資格が得られるまで、5年間散弾銃を所有する必要があり、この不便に対処する為に、2020年、AK47弾(左)として お馴染みの7.62×39の薬莢を366口径(9.3㎜)にネックアップした366TKM弾がデビューしました。口径9.3㎜、230grの弾頭を2034fpsで発射し、活力は 2167ft-lbf、150m以上の射程能力があり、エゾ鹿猟に使えます。
308ウイインチェスター 7.6x51 1952 150gr 2820fps 2668ft-lbf NATO弾
7.62x39 30-39 7.6x39 1943 122gr 2396fps 1555ft-lbf ワルシャワ弾
366 TKM 9.3x39 2020 231 1969 2127 ロシアでは散弾銃
366TKMでリチャンバーされた銃は、スムースボアですが、銃口の先に約5インチ6条のライフリングチョークを後付けされ、スムースボアの散弾銃として認定されました。AK系ライフルメーカーにとって、7.62×39の銃を366TKMでリチャンバーされた銃を作る事は、バレルを再加工するだけで済む、非常に簡単な作業でした。



AK366TKM, SKS366TKM, ドラグノフ9.6ランカスター
本銃の存在は狩猟目的と言うより、写真の様にミリタリーお宅モデルです。5インチのライフルチョークは、ロシア語でよく分らないのですが、どうも左写真のサイレンサーの様な物がそれになる様です。
外付けであるならば、外付けチョーク取り付けの為のネジ加工を後刻に行えば、スムースボア単弾銃として日本にも輸入出来そうな気がしますが、日本での運用はベースが軍用銃では難しそうです。



左:オリジナル7.62x39弾と366TKM弾、
右:オリジナル7.62x54R弾と9.6x53Rランカスター弾。
3.更なる新型「9.6x53Rランカスター弾」
366TKMの成功後、今度は9.6x53Rランカスター弾がデビューしました。
このカートリッジはロシア製式7.62x54R(写真左)のボアアップ版で弾頭径は9.6㎜です。新しいカートリッジは308よりやや強力、H&Kの多角形型のポリゴナルライフルではなく、楕円が捻ってあるライフリングと言うか、銃身が歪んでいるだけ、これでロシアでは散弾銃と認定されている様です。

TK598ライフル、口径は366TKM 又は 9.6x53Rランカスター
9.6x53Rも366TKM同様、ミリタリーお宅感が強いのですが、こちらには上写真のハンティングモデルもあります。こちらの銃では366TKMも含め、本銃身には従来で言うライフリングはありませんが、日本の当局がこの楕円捻り銃身を ライフル銃身と見るか見ないかは分かりません。
スムースボアの散弾銃認定となれば、エゾ鹿猟用にサボットスラグより大幅に実用射程が上廻る、新銃種の誕生となります。
1時期流行した410番ハーフライフルはこれと同等の200m射程でした。
308ウイインチェスター 7.6x51 1952 150gr 2820fps 2668ft-lbf NATO弾
7.6x54R ロシア 7.6x54R 1891 150 2840 2677
9.6x53Rランカスター ゙ 9.6x53R 2020 278 2233 2803
444マーリン 11.5x57 1964 240 2350 2942
日本ではかつて410番と称した444マーリン弾を撃つハーフライフル銃がエゾ鹿ハンターに当局の無知から多数販売されました。当時はまだサボットスラグ銃が普及しておらず、その高精度や射的 距離から大人気となりました。
しかし日本の法律でライフル弾を発射出来る銃はライフル銃であり、判明後はノーライフルに再改造する様に指導が行われました。許可を受けた人がそのまま運用すればハーフライフルは有効ですが、譲渡する時はノーライフルに加工するのが本来ですが、末端の担当官にはそれを判断する権限が無く、ハーフライフルのままで名変成功例を多数聞きました。
Posted by little-ken
at 10:28
│銃と弾