2021年09月03日

ワィルドキャット(カスタムカートリッジ)

ワイルドキャット-カートリッジとはより高性能を求めて市販弾を改造する事です。その目的は、より高い速度、大きなエネルギー、より良い効率、より良い精度を得る事であり、そこから高性能な物は市販 カートリッジとなります。精密弾の6㎜PPCもかつてはワイルドキャットだったのです。

1970年代には実戦の遠射をイメージした300mで猪56㎝、500mで羊81㎝の概ね実物の50%サイズの鉄板製の動物型ターゲットを撃つ、メタリックシルエット競技と言うのが流行り、その後は純粋に銃の精度のみを競うベンチレスト競技が流行りました。

これらの競技から得られたノウハウは銃の精度も向上させ、弾薬もワイルドキャットがたくさん産まれ、良い物は市販弾薬となりました。

ワイルドキャットを作る事や、高精度弾を作る目的のハンドロードが全て無意味だったとは申しませんが、狩猟目的であればと言う限定で、何時しか概ね完成の領域に近付いた様です。

  使える1960年製激安弾
ケンさんの愛銃は何度も紹介しましたが、市販普及版のサコー75バーミンター改、愛用弾は激安酷評版、それで数々の大記録を作らさせて戴きました。

その酷評弾のルーツは2000年頃に倒産した甲府のトム銃砲店が1980年頃に大量輸入した物であり、更に遡れば1960年頃に軍用で製造され、その余剰在庫弾の払下げ原価は驚きの1000発/㌦程度でした。

多くの練習用の安売り弾はその手の払い下げ弾を新しい箱に詰め替えただけの物であり、2004年頃でも業界用の価格は1000発単位では10発/㌦でした。(左下広告参照)写真は2004年版のアメリカの業界用カタログ、ケンさんも初期の頃にはこれを120円/発で使いました。
ワィルドキャット(カスタムカートリッジ)ワィルドキャット(カスタムカートリッジ)
ケンさんもサコー75の前半時代は右写真左側の白地に赤のウインチェスター弾を1㌦/発で購入していました。10セントで仕入れて10倍の1ドル(100~120円)で売るのですからボロイ儲けと言えました。末期のトム銃砲で新銃を買うと1000発が無料で付いて来ました。

それはさて置き、1960年頃の東側工場製弾で十分な成果が出せる事をケンさんが証明しましたから、もうその年代の弾は使える品質だった事を意味します。

つまり少なくとも狩猟用に限れば、普通のハンドロードでは激安弾い精度もコストも勝てず、高精度銃も高精度を目指したハンドロードも、ハイパワーを目指したハンドロードも、それら努力の全てが不要だったのですから、1960年に遡って無意味であった事になります。

但し市販弾は20年前の払い下げ弾がメインとなっていますから、1960年代には1940年代の低精度の弾薬しか入手出来ず、1960年製造の弾は1980年以降にならないと市中から入手出来なかった事になります。

余談が長くなってしまいました。改めてケンさんの装備を紹介します。
ケンさんのポリシーは実技付の飛び道具研究家であり、普及装備で高級装備の輩を凌ぐ事、つまり技術の方が重要である事を証明したいのが目的です。

愛銃サコー75バーミンター改のメカはノーマル仕様のまま、銃身とストックを切断し軽量化した物です。愛用弾は超酷評ロシア製308の80円/発、弾頭は命中しない&倒れない事で酷評のバーンズ初期型弾銅弾頭140grの20円/発に挿げ替え、更に銃はクリーニングレス、悪条件の塊と言えました。

しかしそれでも数々の大記録を作る事が出来たのです。
実戦には普及品の精度で十分であると言う事が解かりました。
ワィルドキャット(カスタムカートリッジ)ワィルドキャット(カスタムカートリッジ)ワィルドキャット(カスタムカートリッジ)
尚ロシア製激安弾は2種類ありまして、緑っぽいのはパーカーライジングの薬莢にソフトポイント弾頭が付き、銀色の方は亜鉛メッキの薬莢にFMJ弾頭が付きます。

両方とも薬莢は鉄製で、紙の箱に交互に並んで入っています。2つは概ね同性能ですが、Znメッキの方がやや精度に優れます。
元々取り扱っているのは限られた銃砲店だけでしたが、共に今や在庫切れになりつつある様です。

  無意味だった高威力弾と高精度弾
大記録をやり遂げて解かった事は、実戦射撃には射撃技術と心が伴わなければ、全く無意味である事でした。

今や市販銃や市販弾には夢を達成する能力が十分にあり、多くのハンターに不足しているのは射撃技術と心だけとなりました。

高精度リロード弾も無意味、マグナムハイパワー弾も即倒率は変わらず、マグナム高速弾も遠射の効果はゼロでした。

またエゾ鹿用のマグナムもアフリカ用のホットパワーライフルも全てが業界の陰謀でした。Std308弾は北海道でもナミビアでも十分な効果を発揮してくれました。
また狩猟には高精度が必要であると言う事も業界の陰謀でした。

市販弾はよく研究された弾薬であり、1960年の量産設備の精度はハンドロードの遥か上を行くモノであり、ハンドロードは余程気合を入れてやらないと市販弾の精度には及びません。ベスト組合せを求める実験も、ワンホール技術を持たない場合、実験その物が誤差の塊となり、無意味となります。

  実戦射撃練習方法
先人方々の努力の積み重ねのお陰で夢だった150mワンホール射撃や300mの遠射が市販銃と市販安売り弾で可能となりました。しかし95%以上のシューターはこの性能を出す事が出来ないままでいます。

その至らない射撃技術の対策方法もすでに確立されているのですが、多くのシューターが努力して いるのは相変わらず、的外れの機材側の精度向上の為だけ、そちら側はすでに十分な精度を有し、足りないのは自前技術と心だけと言う事がすでに判明しているのです。

全ての悪はフリンチングであり、実射練習から得られる物は非常に少なく、それを乗り超えるには実射には反動を伴なわないと、体を騙す事が1番良好で、有効な練習方法はドライファイアでした。
ケンさんは怪我の為に2年間実射が出来ず、実射再開の初日に1ホールが達成されました。

ドライファイアの練習は立ち撃ちと半依託射撃の両法を行います。90%はカラ引金で練習し、それが安定したら、コッキングして引き金を落とす練習に切り替えます。発砲決断から引金が落ちるまでの僅かな時間に銃のブレが無ければ成功です。これが3度連続して成功するまでしぶとく行います。

実戦射撃は必中の自信がある場合だけ命中し、不思議な事に僅かでも雑念があると、途端に命中率の低下ではなく、カスリもしない失中に陥ります。
実戦成功の秘訣は銃だけに撃たせる射撃技術と、雑念の無い心で射撃に臨む事でした。

  自前ワイルドキャットを作った友人
2005年頃にハンティング用とハンティングライフル競技会用に自前ワイルドキャットを作った同年の友人がいました。何が最も重要かを分かっていない典型的なパターンと言えます。
2005年と言うのはケンさんがライフル射撃の悟りに至る直前でした。

その中場で自前ワイルドキャットの成果を見せて頂きましたが、ケンさん愛用の巷で言う酷評弾より 多少優れる程度でした。つまりそこまで気合を入れてもハンドロードは1960年のロシア製の量産弾に圧勝出来なかったのです。これはかなりプライドが傷付いた様でした。

自作カスタム友人からケンさんにエゾ鹿猟ガイドの依頼がありました。自前カスタムの性能をケンさんに見せびらかす為にと言った方が良さそうですが、そして当日、向山の中腹にオス鹿の群れ6頭を発見、この11月上旬のオス群れはかなり珍しいと思いますが、中央のはまずまずの大物でした。

自作友人は元陸上自衛隊の空挺部隊でした。空挺部隊は超エリートの集まりを自負し、中でもトップクラスの成績だった自作友人は誰にも負けない事が、彼の自慢でした。そんな経緯からのガイド依頼だったと思います。

自作友人は自前ワイルドキャットカスタムを400m強で発砲、見事その場に倒れましたから、落差補正は概ね正確でしたが、倒れたのは約2m離れた右隣の中型の鹿でした。

撃たれた経験のある大物は逃げましたが群れは過半はまだ残っており、その中の1頭を狙い2発目を撃ちました。今度は隣の鹿は不在、当然ですが失中に終わりました。

ナミビアで380mを決めた新しい市販銅弾ならケンさんにもそれほど難しくなかったと思いますが、愛用の酷評弾には流石に400m以遠で即倒させる程の精度はありませんが、それでも狙った個体 から失中はしないと思います。

一応お見事と言う事にしましたから、後刻の射撃場座談会では射撃距離は450m又は500mとなり、それを自前カスタム弾だからこそ、成功出来たとホラ吹いている事と思いますが、市販の安売り308弾でも命中させられる条件と言えます。

激安酷評弾は150mデ5㎝程度ですが、安売り弾なら2㎝程度が出せました。
良く出来たハンドロード弾なら1㎝と言った所です。

実戦射撃は本当に不思議な物で射撃に際し、僅かでも雑念や不安があると途端にカスリもしない失中に陥ります。古くは今では近いと言える150m射撃が遠くに思え、当たるだろうかと言う不安からケンさんの150m射撃は安売り弾でもカスリもしませんでした。

やがて徐々に技術と心が育ち、必中距離も伸び、300mも即倒はしないかも知れませんが、激安酷評弾でも外れる筈がないと思える様になりました。

ケンさんのワンホール射撃はレストを使わない普通のテーブル撃ちですから、実戦の半委託射撃と概ね同じ条件になります。また上下に幅広い前足軸線射撃の直照準射撃は、300mの落差が如何程かは知りませんが、外れる気はしません。だから当然の様に命中し、過半が即倒しました。

それに対し自前カスタム友人の射撃は前後共レストで固定された射撃ばかりですから、実戦用の半委託射撃では雑念の無い射撃処か不安の塊の射撃となり、カスリもしないのが当たり前となります。また遠射用弾も400m射撃の経験は皆無ですから、この面だけからも不安がない筈がありません。

また300m以遠の遠射仕様の弾と、200m以内の近射用の弾の、2種を用意しているのも照準補正の不安を増長させます。これのメリットは何もなく、愚かな考え方と言えます。

1つだけの不安で十分カスリもしないのですから、大きな不安要素が3つもあればマグレも起こらない射撃条件となり、結果、着弾は2m右にズレました。

  ハンター失格と言われた伝説のハンター
運動の全く出来なかった運動音痴で発達障害の運動神経が超鈍かった少年が、運命の悪戯から間違ってスポーツの名門クラブに入部してしまい、何故か地獄の特訓を生き残り、スーパーマンとなりインターハイまで行く事になってしまいました。

やれば出来る、出来なかったのは、やらなかっただけと言う事を学びました。

9年間1頭も獲れなかった方向音痴の飛び道具好きの青年は、多くの先輩から「ハンターの資格が無い」と言われましたが、やがて日本一のプロハンティングガイドとなりました。

たった1枚のA4レポート作成に3ヶ月を要した、工業高校卒の漢字が書けなかった無学な青年が、やがてプロライターとなりました。

スポーツ音痴も含めて、初期能力は絶望的であっても、希望は達成されると言う事を学びました。

2002年、これも運命の悪戯か交通事故に巻き込まれ死に損ないました。
それで2年近く実射が出来ずにいまして、実射再開初日に憧れだった1ホール射撃が達成されました。つまり偶然でしたが、撃たない練習の方に効果がある事が解かりました。

その後まもなく、雲の上の憧だった項目にも順次手が届き、憧れだった項目の全てを2006年に達成、2012年にピークを迎え、そして2018年に「不可能に挑戦」する狩猟を卒業しました。

世界の猛獣との単独猟が夢でした。費用の問題からアフリカの猛獣との勝負は出来ずに終わりました。やや負け惜しみの感がありますが、まあ聞いて下さい。
猛獣勝負は本来1発勝負であり、迫力や恐怖に負けない強靭な心が必要になります。

しかし商業的なアフリカの猛獣勝負は安全を確保する為にランニング射撃能力を持つガイド2名が非常時に備えて待機しており、そう言う強靭な心が無くても、お金さえ出せば安全に勝負出来る様になっています。しかしヒグマ猟にはそう言う安全システムはありません。

ヒグマは16年間に20回の出会いがあり、6回は勝負に持ち込め、6頭の捕獲に成功しましたが、出会いは突然であり、恐怖等を感じる暇もなく、夢中で装填し安全装置を解除しながらの全てを含めて一瞬で行うスナップショットで発砲、その結果即倒したのは1頭だけ、残りの5頭は全て逃げました。

ヒグマは即倒し難く、その捜索時には何時も、ひょっとしたら今日が最後の日になるのかも知れない、それもまた運命と覚悟をしました。幸い4頭は5m以内、2頭は50m前後で死んでいました。

夢の中で出て来た数十回のヒグマ勝負では1度も成功した試しは無く、何時も何も出来なくて終わってしまいますが、実戦は6戦6勝、臆せずに勝負出来た事を非常に嬉しく、且つ誇らしく思います。




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Posted by little-ken  at 16:31 │ハンティング銃と弾