楽しみながら強くなれる!田村装備開発(株)の『ガチタマTV』!
2021年08月08日
ランクルのお話。
1.ランクル3本柱の1つプラド。
1時期のパジェロの独走に待ったを掛けるべく、ランクル70ベースで急造されたプラドですが、何時しかパジェロとは比較にならない世界に通用する立派な4WD車に育ちました。

初代パジェロ1982~
パジェロ作戦は1982年、その頃パッとしなかった三菱の起死回生作戦でした。しかし過剰に成功し、これに三菱は社風と言える即座に慢心して本来の努力をしなくなり、やがて2019年にはパジェロが製造中止、三菱自動車自体が崩壊の危機に陥りました。
WW2の日本軍もパールハーバーの予想外の大戦果やゼロ戦(三菱製)の大活躍で連戦連勝しました。
日本軍は何時しかこれに慢心し、敵を侮る様になり、その結果ミッドウェーの大敗となり、以後は負け戦の連続、当時ゼロ戦と言う従来にない画期的な戦闘機を作りながら、次期モデルや改良が遅れ、苦戦に陥って行く様は今の三菱と重なる部分があります。

2代目95型プラド 2代目パジェロ
デビュー時のパジェロは確かに画期的な車であり、パリダカ優勝も見事でした。
そしてクロカンブームを起こし、パジェロは売れに売れ、三菱はパジェロ専門工場を新設しました。しかし世界の自動車メーカーが何時までも只々それを眺めていた訳ではありません。
間もなく市販車パジェロベースではパリダカに勝てる見込みが立たなくなり、プロトタイプ出場で優勝をキープしました。しかしこれにもパジェロと名を付けた所に嘘がありました。
ユーザーを騙す作戦もその後数年は有効で、パリダカ効果のパジェロは好調に売れ続け、パジェロは小さい方からパジェロミニ、パジェロジュニア、パジェロイオ、そして本物パジェロ、更には類似メカを1ボックスに搭載したデリカスターワゴン、デリカスペースギアとシリーズ化し、売りまくりました。
これに対し当初は高い完成度ではありませんが、トヨタはランクル70にハイラックスのエンジンや駆動系部品と組み合わせた急改造版プラドでパジェロに挑みました。
しかしトヨタのプラドは徐々に改良され続けた結果、実力を増し、性能は多くの項目で逆転するまでになりました。しかしその頃、パジェロユーザーはまだ騙された事には気が付きませんでした。
しかし遂にプラドの新「1KZエンジン」3000㏄により大きな性能差を見せ付けられ、三菱ユーザーはやっと騙されていた事に気が付き始めました。
プラドの1KZエンジンの130hpに対し、パジェロ4M40エンジンは125hp,カタログ上は微差ですが、プラドの130hpの出来映えは素晴らしく、パジェロは125hpエンジンを2基積まないと勝てないとまで言われる程お粗末なエンジンでした。
パジェロユーザーはパリダカのスーパーマシンの延長のスーパーパジェロを購入したつもりですから、凡作のプラドに負ける筈が無いと思っていたのに、完全に裏切られた事に気が付きました。この頃には性能差はエンジンパワーだけではなく、走破性や強度面等の全てに大きな差が出ていました。
その1例ですが、根室エゾ鹿同好会も当初はパジェロが主流、ケンさんも予算の関係から当時はパジェロでした。しかしケンさんのパジェロは交通事故で失われ、賠償金+αで以前から欲しかったプラド78型(出来の良い1KZエンジン付)に変更しました。
予想通りプラド78型は高走破性を発揮、パジェロ組の多くはケンさんの78型プラドにレスキューされ、プラドとの走破性や耐久性の差を強く感じ、10年後には殆どがランクル76になっていました。
その頃にはパジェロの販売台数は激減、3代目、4代目とモデルチェンジをしても、買うのは三菱関係者と盲目的パリダカ信者のみとなり、情けない位しか売れず、パジェロは2019年には製造中止となり、三菱自動車自体が崩壊の危機に陥りました。
一方格下ハイラックスの部品を流用したラプドは、ランクル70より強度を低下させた設計ですが、それでもパジェロより遥かに強度はあり、普通の林道クラスまでの悪路に留めれば、十分な強度の評判の車となり、トヨタ車全般に言える高品質が加わり、やがてランクル3本柱の1本に育ちました。
こうして急造作りだったランクルプラドは世界のランクルの一角を確立しました。
この物語も長くなりますので、また別の機会にしたいと思います。
3-1.ハンティングカーランクル78プラド。
全く同じボデーを使ったランクル2台をハンティングカーとして使った結果を申し上げますと、ボデーは全く同一ですから、居住性も全く同一でしたが、全く別の性格の車でした。
78型のサスペンションは コイルスプリングで、普通路面の乗り心地は悪くありませんが、ボトムラバーがリーフ時のままでしたので大きなギャップでは突然激しい突き上げがあり、更に収まるまでに更に中ジャンプと小ジャンプが ありました。
ケンさんはこの対策として硬目の長いコイルスプリングと減衰力の強いショックアブソーバを組合せて運用しました。また重積載時にケツダレが大きく使い難い物でしたが、これに対しコイルスプリングの中に風船状のエアースプリングを補助に入れると言う手法を取りました。
またデフに対して反トルク方向を支える力が不足し、重負荷運転をするとジャダー(激しい振動)を起し、駆動力の低下と共に駆動系に大きなダメージが起こり易い構造にありましたが、これは対策出来ずにいました。
この様にオリジナルの急造版にはまだ未完成の部分がありましたが、ケツダレやジャダー問題もモデルチェンジした次期モデルでは対策され、プラドは見事な程までに良い車に育って行きました。


ランクルプラド78型 ランクル76型
3-2.ハンティングカーランクル76。
76のサスはボトムラバースプリングが補助スプリングを兼ねる様な新アイデアが採用されました。フロントがコイル、リヤはリーフスプリングと言う仕様、永年の改良の成果が十分感じられる良い仕上がりで概ね完成版と言え、走破性や乗り心地には問題はなく初めてノーマルサスペンションのままで運用しました。
リヤキャリアにエゾ鹿2頭を積んでも不安はなく、FR共デフロックを使えばスタック知らず、過酷な条件下で運用するハンティングカーには絶対にランクル76が最高だと思います。
しかしエンジンはHZ型ノンターボ、78プラドと同じ130hpですが、少々パンチに欠け、そこで燃料の噴射量の調整とギヤ比を5%落とす改造を加えて所、生まれ変わった程のパワフルになりました。
燃費も78型プラドに比べてやや良くなり、7~8㎞/㍑になりました。
運転席のシートも腰の負担が少なくなる様に少し取り付け位置と座面の角度を変更し、これで高速 郊外ドライブ以外は文句なしの最高と言える車になりました。
2.本来の車はこうあるべきを追及したランクル100型。
詳しく語るとこれも長くなりますので今回は軽くに留めます。ステーションワゴン型は40型の1部シリーズから発展しましたが、最初からステーションワゴンとして設計された50型、60型、80型、100型、200型,300型と発展したツーリング型ランクルシリ-ズの話です。
ランクルも60型までは旧型の延長上のジープシャーシに新しいボデーを載せただけの物でしたが、車はどんな気象条件下にも、どんな路面状況下にあっても、より快適に、より楽しく走れる物でありたい、これが目標でした。
そんな夢が実現し始めた車が、1989年にデビューしたランクル80型でした。
コイルスプリングと新しいアイデアのサブスプリングを取り入れたバンプストッパーは素晴らしい乗り心地を生み出し、従来型のリーフスプリング車の60型に比べると2倍走っても疲労は同等に収まりました。これぞ技術革新の見本と思わせました。
しかし技術革新と言うのはまだまだ奥がありまして、1998年にデビューのランクル100型は更に独立 懸架のフロントサスの採用と全てのショックアブソーバの減衰力をコンピューター制御とした事で、何と60型の3倍を走っても疲労は同程度以下で収まると言う、夢の様な車になりました。乗り心地は高級セダンにも負けない物となったのです。


ランクル80型 ランクル100型
ケンさん自身の運用経験から、過酷な道を走破するハンティングカーとしてはランクル76型の前後デフロック付の電動ウインチ装着車は最高の車でした。
しかし高速道路等を多用したツーリングには最高の車ではありません。
ケンさんの狩猟も2012年頃からは過酷な道を走破する狩猟をしなくなり、一方で当初は5日猟が多かったスクールも、時代の変化で今や全員が3日猟となり、空港送迎比率が高くなりました。
ツーリングで疲れない車として、2015年にハンティングカーをランクル100型に換えました。
完成度は非常に高く、初めてドノーマルのまま運用出来る車となり、空港送迎業務の負担も半減以下になりました。車は何時でも何処でも快適に楽しく走れる、そんな本来の車のあるべきスタイルを追求した車、ランクル100型では技術はこの様に使うのだと言う事を魅せてくれました。
更に200型は電子装置の充実が図られ、例えばTRC(トラクションコントロール)は最早相当のベテランでも勝てない程の出来栄えとなりました。
しかし200型は国内ではディーゼルモデルが無かった為、ケンさんは100型を22年間愛用しました。
ランクル100型の唯一の欠点は天井が低く、車中泊に向かない事でした。
驚いたのはその耐久性です。22年間を無故障ノントラブルでとは行きませんでしたが、車検整備と言う物を一切受けないで、時期が来たら何もしないままでユーザー車検を繰り返し22年間の運用を続けました。修理はフロントサスのボールジョイント交換、燃料ポンプの交換だけで、ホースやベルトの消耗品すら新車時のままと言う成績でした。これには流石のケンさんも驚きました。
車は20年以上安心して使える、車検整備と言うのは全く不要だった事を証明出来ました。
トヨタ車の本当の凄さと言うのはこの様に10~20年過ぎると発揮出来るのです。
平均的日本のユーザーはそれを10年で放棄しているのですから勿体無いと思います。
皆さんも20年以上の運用とユーザー車検を実施して車関係の維持費を半分にして、その分を狩猟に廻して下さい。
3.セルシオ(レクサスLS)とランクルの比較。
セルシオはトヨタの最高級乗用車でレクサスの最高級車LSでもあります。ケンさんは1970年代のセドリックディーゼル以来、セダンには興味も運用経験も無く、これは友人の話です。
友人は永らく主力用のクラウンスパーデラックスと狩猟専用のランクルを併用していました。
ランクルは40型であり、その後は新モデルの60型に換えました。
1989年セルシオがデビュー、そしてあの圧倒的な乗り心地となったランクル80も同じ89年にデビューしました。友人はクラウンを新型のセルシオに換え、ランクル60を新型の80に換えました。
そしてこの時から主役は入れ替わり、ランクル80が主役、セルシオが補助役となりました。
ランクルの乗り心地が圧倒的に進化したからです。
1998年、更に圧倒的乗り心地になったランクル100型がデビュー、ランクル80は新しい100に更新 されました。しかしセルシオは更新されず運用が終わり売却、ランクル100型のみの運用となりました。もう普段使いにもランクル100の方が完全に良くなり、ランクルが目指していた究極の時代が始まったのです。同時にクロカン車のシンボルであったバックタイヤも人気が無くなりました。
そもそも良い乗り心地の為には下記の条件をクリアしなければなりません。
タイヤ径は大きい程乗り心地は良くなります。ランクルの方がデカいタイヤです。
車重は重い方が乗り心地は良くなります。ランクルの方が重いです。
サスペンションストロークは長い方が乗り心地は良くなります。ランクルの方が圧倒的に長いです。
エンジンはパワフルな方が乗り心地は良くなります。ランクルディーゼルの方が実用トルクは遥かにデカい時代になりました。
もうディーゼルエンジンが劣っていると言う項目はアイドリング時の振動と音だけとなりました。
セルシオはランクルの乗り心地を超えられない要因は元々原理的に十分あるのです。
その後友人のランクル100はランクル200に更新されましたが、セルシオはレクサスLSと名を変え、更にリッチな車の代名詞となりましたが、それでも更新は無く、復活はありませんでした。
4.ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの性能差:ランクル200型の輸出向け同士の比較です。
ガソリン「G」:3UR型5.6リットル、386hp/5600rpm、55.5kg・m/3600rpm。
ディーゼル「D」:1VZ型4.5リットル、265hp/3400rpm、65.8kg・m/1600~2800rpm。
馬力では1.5倍程「G」の方が大ですが、問題はその最高出力が5600rpmと常用外の回転域である事です。普段使いは1000~2500rpm、ブン廻しても4000rpm程度です。
更に車を走らせる力は馬力ではなく回転力の「トルク」であり、最大トルクは「D」の方が20%程大ですが、更に「D」の方は実用回転域内、「G」は実用回転域外ですからその差はもっと大きくなります。恐らく実用トルクの比率は1.4倍程の差になると思われます。
MT5段変速の場合ですと1.4倍と言うのは1段シフトダウンをした程度と同じになります。
つまり登坂車線のある道路で、「D」はシフトダウンをしなくても十分な加速を得られますが、「G」はシフトダウンしなければ十分な加速が得られないと言う事になります。
どちらが快適で速いのかと言うと、勿論「D」の方が速くて快適と言うのが答えです。
燃費はカタログ上では「D」の方が数割良いの程度ですが、実用するとその比率は2倍程度の差となります。しかも燃料代は15%程安いと言う事になり、コスト比は更に大きく開きます。「D」は常用的には速く、使い易く、静か、安いと言う事になり、「ディーゼルエンジンの圧勝」と言う事になります。
静粛性に付きましても実用回転数が低い「D」の方が騒音計レベルではかなり静かと言う評価になりますが、音質的に「D」の方が不慣れが故に、やや煩いと言う評価に落ち着きますが、大きな差はありません。Dに乗っていてGに乗り換えるとGは煩い車であると実感します。
5.ランクル300型。
近年のプリウスシステムに付きましては見事と言えるほどガソリン燃費が向上しましたが、ヘビー級用のハイブリッドや電気車が普及するまでの、当面の間はディーゼルエンジン大幅有利の図式は変わりません。ケンさんは2030~2040年に「D」の新車販売が終れば、中古車のランドクルーザー300「D」には大きなプレミアムが付くだろうと思っています。

ランクル300 GRランクル300
エンジンはカタログ数値ではランクル300が3.3㍑の309馬力、トルクは71.4㎏m、ディフェンダーが3.0㍑の300馬力、トルクは66.3㎏m、ベンツGモデルのディ₋ゼルが3.0㍑の286馬力、トルクは61.2㎏m、ですから多少勝っています。ランクルの燃費はWLTCモードで97㎞/㍑です。
コンピューター制御ですスビライザーやショックアブソーバをコントロールし、走行姿勢をコントロールするらしいです。トラクションコントロールはダート、サンド、マッド、深雪、ロックの5種があり、更にGRモデルは前後デフロック付、ケンさんはこのモデルを注文しました。
ランクル100に比べてパワーもトルクも約1.6倍、ランクル100や200より進化した乗り心地、納車は 半年後前後の来年2月頃になるかと思いますが、楽しみです。
また納車されたら、レポート送ります。
1時期のパジェロの独走に待ったを掛けるべく、ランクル70ベースで急造されたプラドですが、何時しかパジェロとは比較にならない世界に通用する立派な4WD車に育ちました。

初代パジェロ1982~
パジェロ作戦は1982年、その頃パッとしなかった三菱の起死回生作戦でした。しかし過剰に成功し、これに三菱は社風と言える即座に慢心して本来の努力をしなくなり、やがて2019年にはパジェロが製造中止、三菱自動車自体が崩壊の危機に陥りました。
WW2の日本軍もパールハーバーの予想外の大戦果やゼロ戦(三菱製)の大活躍で連戦連勝しました。
日本軍は何時しかこれに慢心し、敵を侮る様になり、その結果ミッドウェーの大敗となり、以後は負け戦の連続、当時ゼロ戦と言う従来にない画期的な戦闘機を作りながら、次期モデルや改良が遅れ、苦戦に陥って行く様は今の三菱と重なる部分があります。


2代目95型プラド 2代目パジェロ
デビュー時のパジェロは確かに画期的な車であり、パリダカ優勝も見事でした。
そしてクロカンブームを起こし、パジェロは売れに売れ、三菱はパジェロ専門工場を新設しました。しかし世界の自動車メーカーが何時までも只々それを眺めていた訳ではありません。
間もなく市販車パジェロベースではパリダカに勝てる見込みが立たなくなり、プロトタイプ出場で優勝をキープしました。しかしこれにもパジェロと名を付けた所に嘘がありました。
ユーザーを騙す作戦もその後数年は有効で、パリダカ効果のパジェロは好調に売れ続け、パジェロは小さい方からパジェロミニ、パジェロジュニア、パジェロイオ、そして本物パジェロ、更には類似メカを1ボックスに搭載したデリカスターワゴン、デリカスペースギアとシリーズ化し、売りまくりました。
これに対し当初は高い完成度ではありませんが、トヨタはランクル70にハイラックスのエンジンや駆動系部品と組み合わせた急改造版プラドでパジェロに挑みました。
しかしトヨタのプラドは徐々に改良され続けた結果、実力を増し、性能は多くの項目で逆転するまでになりました。しかしその頃、パジェロユーザーはまだ騙された事には気が付きませんでした。
しかし遂にプラドの新「1KZエンジン」3000㏄により大きな性能差を見せ付けられ、三菱ユーザーはやっと騙されていた事に気が付き始めました。
プラドの1KZエンジンの130hpに対し、パジェロ4M40エンジンは125hp,カタログ上は微差ですが、プラドの130hpの出来映えは素晴らしく、パジェロは125hpエンジンを2基積まないと勝てないとまで言われる程お粗末なエンジンでした。
パジェロユーザーはパリダカのスーパーマシンの延長のスーパーパジェロを購入したつもりですから、凡作のプラドに負ける筈が無いと思っていたのに、完全に裏切られた事に気が付きました。この頃には性能差はエンジンパワーだけではなく、走破性や強度面等の全てに大きな差が出ていました。
その1例ですが、根室エゾ鹿同好会も当初はパジェロが主流、ケンさんも予算の関係から当時はパジェロでした。しかしケンさんのパジェロは交通事故で失われ、賠償金+αで以前から欲しかったプラド78型(出来の良い1KZエンジン付)に変更しました。
予想通りプラド78型は高走破性を発揮、パジェロ組の多くはケンさんの78型プラドにレスキューされ、プラドとの走破性や耐久性の差を強く感じ、10年後には殆どがランクル76になっていました。
その頃にはパジェロの販売台数は激減、3代目、4代目とモデルチェンジをしても、買うのは三菱関係者と盲目的パリダカ信者のみとなり、情けない位しか売れず、パジェロは2019年には製造中止となり、三菱自動車自体が崩壊の危機に陥りました。
一方格下ハイラックスの部品を流用したラプドは、ランクル70より強度を低下させた設計ですが、それでもパジェロより遥かに強度はあり、普通の林道クラスまでの悪路に留めれば、十分な強度の評判の車となり、トヨタ車全般に言える高品質が加わり、やがてランクル3本柱の1本に育ちました。
こうして急造作りだったランクルプラドは世界のランクルの一角を確立しました。
この物語も長くなりますので、また別の機会にしたいと思います。
3-1.ハンティングカーランクル78プラド。
全く同じボデーを使ったランクル2台をハンティングカーとして使った結果を申し上げますと、ボデーは全く同一ですから、居住性も全く同一でしたが、全く別の性格の車でした。
78型のサスペンションは コイルスプリングで、普通路面の乗り心地は悪くありませんが、ボトムラバーがリーフ時のままでしたので大きなギャップでは突然激しい突き上げがあり、更に収まるまでに更に中ジャンプと小ジャンプが ありました。
ケンさんはこの対策として硬目の長いコイルスプリングと減衰力の強いショックアブソーバを組合せて運用しました。また重積載時にケツダレが大きく使い難い物でしたが、これに対しコイルスプリングの中に風船状のエアースプリングを補助に入れると言う手法を取りました。
またデフに対して反トルク方向を支える力が不足し、重負荷運転をするとジャダー(激しい振動)を起し、駆動力の低下と共に駆動系に大きなダメージが起こり易い構造にありましたが、これは対策出来ずにいました。
この様にオリジナルの急造版にはまだ未完成の部分がありましたが、ケツダレやジャダー問題もモデルチェンジした次期モデルでは対策され、プラドは見事な程までに良い車に育って行きました。

ランクルプラド78型 ランクル76型
3-2.ハンティングカーランクル76。
76のサスはボトムラバースプリングが補助スプリングを兼ねる様な新アイデアが採用されました。フロントがコイル、リヤはリーフスプリングと言う仕様、永年の改良の成果が十分感じられる良い仕上がりで概ね完成版と言え、走破性や乗り心地には問題はなく初めてノーマルサスペンションのままで運用しました。
リヤキャリアにエゾ鹿2頭を積んでも不安はなく、FR共デフロックを使えばスタック知らず、過酷な条件下で運用するハンティングカーには絶対にランクル76が最高だと思います。
しかしエンジンはHZ型ノンターボ、78プラドと同じ130hpですが、少々パンチに欠け、そこで燃料の噴射量の調整とギヤ比を5%落とす改造を加えて所、生まれ変わった程のパワフルになりました。
燃費も78型プラドに比べてやや良くなり、7~8㎞/㍑になりました。
運転席のシートも腰の負担が少なくなる様に少し取り付け位置と座面の角度を変更し、これで高速 郊外ドライブ以外は文句なしの最高と言える車になりました。
2.本来の車はこうあるべきを追及したランクル100型。
詳しく語るとこれも長くなりますので今回は軽くに留めます。ステーションワゴン型は40型の1部シリーズから発展しましたが、最初からステーションワゴンとして設計された50型、60型、80型、100型、200型,300型と発展したツーリング型ランクルシリ-ズの話です。
ランクルも60型までは旧型の延長上のジープシャーシに新しいボデーを載せただけの物でしたが、車はどんな気象条件下にも、どんな路面状況下にあっても、より快適に、より楽しく走れる物でありたい、これが目標でした。
そんな夢が実現し始めた車が、1989年にデビューしたランクル80型でした。
コイルスプリングと新しいアイデアのサブスプリングを取り入れたバンプストッパーは素晴らしい乗り心地を生み出し、従来型のリーフスプリング車の60型に比べると2倍走っても疲労は同等に収まりました。これぞ技術革新の見本と思わせました。
しかし技術革新と言うのはまだまだ奥がありまして、1998年にデビューのランクル100型は更に独立 懸架のフロントサスの採用と全てのショックアブソーバの減衰力をコンピューター制御とした事で、何と60型の3倍を走っても疲労は同程度以下で収まると言う、夢の様な車になりました。乗り心地は高級セダンにも負けない物となったのです。


ランクル80型 ランクル100型
ケンさん自身の運用経験から、過酷な道を走破するハンティングカーとしてはランクル76型の前後デフロック付の電動ウインチ装着車は最高の車でした。
しかし高速道路等を多用したツーリングには最高の車ではありません。
ケンさんの狩猟も2012年頃からは過酷な道を走破する狩猟をしなくなり、一方で当初は5日猟が多かったスクールも、時代の変化で今や全員が3日猟となり、空港送迎比率が高くなりました。
ツーリングで疲れない車として、2015年にハンティングカーをランクル100型に換えました。
完成度は非常に高く、初めてドノーマルのまま運用出来る車となり、空港送迎業務の負担も半減以下になりました。車は何時でも何処でも快適に楽しく走れる、そんな本来の車のあるべきスタイルを追求した車、ランクル100型では技術はこの様に使うのだと言う事を魅せてくれました。
更に200型は電子装置の充実が図られ、例えばTRC(トラクションコントロール)は最早相当のベテランでも勝てない程の出来栄えとなりました。
しかし200型は国内ではディーゼルモデルが無かった為、ケンさんは100型を22年間愛用しました。
ランクル100型の唯一の欠点は天井が低く、車中泊に向かない事でした。
驚いたのはその耐久性です。22年間を無故障ノントラブルでとは行きませんでしたが、車検整備と言う物を一切受けないで、時期が来たら何もしないままでユーザー車検を繰り返し22年間の運用を続けました。修理はフロントサスのボールジョイント交換、燃料ポンプの交換だけで、ホースやベルトの消耗品すら新車時のままと言う成績でした。これには流石のケンさんも驚きました。
車は20年以上安心して使える、車検整備と言うのは全く不要だった事を証明出来ました。
トヨタ車の本当の凄さと言うのはこの様に10~20年過ぎると発揮出来るのです。
平均的日本のユーザーはそれを10年で放棄しているのですから勿体無いと思います。
皆さんも20年以上の運用とユーザー車検を実施して車関係の維持費を半分にして、その分を狩猟に廻して下さい。
3.セルシオ(レクサスLS)とランクルの比較。
セルシオはトヨタの最高級乗用車でレクサスの最高級車LSでもあります。ケンさんは1970年代のセドリックディーゼル以来、セダンには興味も運用経験も無く、これは友人の話です。
友人は永らく主力用のクラウンスパーデラックスと狩猟専用のランクルを併用していました。
ランクルは40型であり、その後は新モデルの60型に換えました。
1989年セルシオがデビュー、そしてあの圧倒的な乗り心地となったランクル80も同じ89年にデビューしました。友人はクラウンを新型のセルシオに換え、ランクル60を新型の80に換えました。
そしてこの時から主役は入れ替わり、ランクル80が主役、セルシオが補助役となりました。
ランクルの乗り心地が圧倒的に進化したからです。
1998年、更に圧倒的乗り心地になったランクル100型がデビュー、ランクル80は新しい100に更新 されました。しかしセルシオは更新されず運用が終わり売却、ランクル100型のみの運用となりました。もう普段使いにもランクル100の方が完全に良くなり、ランクルが目指していた究極の時代が始まったのです。同時にクロカン車のシンボルであったバックタイヤも人気が無くなりました。
そもそも良い乗り心地の為には下記の条件をクリアしなければなりません。
タイヤ径は大きい程乗り心地は良くなります。ランクルの方がデカいタイヤです。
車重は重い方が乗り心地は良くなります。ランクルの方が重いです。
サスペンションストロークは長い方が乗り心地は良くなります。ランクルの方が圧倒的に長いです。
エンジンはパワフルな方が乗り心地は良くなります。ランクルディーゼルの方が実用トルクは遥かにデカい時代になりました。
もうディーゼルエンジンが劣っていると言う項目はアイドリング時の振動と音だけとなりました。
セルシオはランクルの乗り心地を超えられない要因は元々原理的に十分あるのです。
その後友人のランクル100はランクル200に更新されましたが、セルシオはレクサスLSと名を変え、更にリッチな車の代名詞となりましたが、それでも更新は無く、復活はありませんでした。
4.ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの性能差:ランクル200型の輸出向け同士の比較です。
ガソリン「G」:3UR型5.6リットル、386hp/5600rpm、55.5kg・m/3600rpm。
ディーゼル「D」:1VZ型4.5リットル、265hp/3400rpm、65.8kg・m/1600~2800rpm。
馬力では1.5倍程「G」の方が大ですが、問題はその最高出力が5600rpmと常用外の回転域である事です。普段使いは1000~2500rpm、ブン廻しても4000rpm程度です。
更に車を走らせる力は馬力ではなく回転力の「トルク」であり、最大トルクは「D」の方が20%程大ですが、更に「D」の方は実用回転域内、「G」は実用回転域外ですからその差はもっと大きくなります。恐らく実用トルクの比率は1.4倍程の差になると思われます。
MT5段変速の場合ですと1.4倍と言うのは1段シフトダウンをした程度と同じになります。
つまり登坂車線のある道路で、「D」はシフトダウンをしなくても十分な加速を得られますが、「G」はシフトダウンしなければ十分な加速が得られないと言う事になります。
どちらが快適で速いのかと言うと、勿論「D」の方が速くて快適と言うのが答えです。
燃費はカタログ上では「D」の方が数割良いの程度ですが、実用するとその比率は2倍程度の差となります。しかも燃料代は15%程安いと言う事になり、コスト比は更に大きく開きます。「D」は常用的には速く、使い易く、静か、安いと言う事になり、「ディーゼルエンジンの圧勝」と言う事になります。
静粛性に付きましても実用回転数が低い「D」の方が騒音計レベルではかなり静かと言う評価になりますが、音質的に「D」の方が不慣れが故に、やや煩いと言う評価に落ち着きますが、大きな差はありません。Dに乗っていてGに乗り換えるとGは煩い車であると実感します。
5.ランクル300型。
近年のプリウスシステムに付きましては見事と言えるほどガソリン燃費が向上しましたが、ヘビー級用のハイブリッドや電気車が普及するまでの、当面の間はディーゼルエンジン大幅有利の図式は変わりません。ケンさんは2030~2040年に「D」の新車販売が終れば、中古車のランドクルーザー300「D」には大きなプレミアムが付くだろうと思っています。


ランクル300 GRランクル300
エンジンはカタログ数値ではランクル300が3.3㍑の309馬力、トルクは71.4㎏m、ディフェンダーが3.0㍑の300馬力、トルクは66.3㎏m、ベンツGモデルのディ₋ゼルが3.0㍑の286馬力、トルクは61.2㎏m、ですから多少勝っています。ランクルの燃費はWLTCモードで97㎞/㍑です。
コンピューター制御ですスビライザーやショックアブソーバをコントロールし、走行姿勢をコントロールするらしいです。トラクションコントロールはダート、サンド、マッド、深雪、ロックの5種があり、更にGRモデルは前後デフロック付、ケンさんはこのモデルを注文しました。
ランクル100に比べてパワーもトルクも約1.6倍、ランクル100や200より進化した乗り心地、納車は 半年後前後の来年2月頃になるかと思いますが、楽しみです。
また納車されたら、レポート送ります。
スズキ ジムニーと世界に誇れる工業製品。その6:トヨタプリウス&ディーゼルの発展
スズキ ジムニーと世界に誇れる工業製品。その5:ジムニー最新型
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スズキ ジムニーと世界に誇れる工業製品。その4:ジムニーライバル登場そして自滅。
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スズキ ジムニーと世界に誇れる工業製品。
嘘もイイ加減にしなさい。その12:ランクルの強度と耐久性。
Posted by little-ken
at 16:45
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