2021年06月09日

魅惑のアフリカ猟。(何時かはクドゥ猟)

1960年代後半だったと思いますが、日本は空前の狩猟ブームとなり、アフリカ猟等の海外の大物猟を紹介するテレビ番組もあり、テレビ各社や出版各社は競ってプロハンターを雇ってアフリカ猟を紹介しました。それを見てケンさんの頭には何時の日にかアフリカア猟が刻み込まれました。
魅惑のアフリカ猟。(何時かはクドゥ猟)
庶民向けには国産の水平2連銃がバカ売れし、ハンター数は10年間に3倍の50万人に膨れ上がりました。

その頃の銃砲年鑑にはケンさんには全くの無縁のヨーロッパでも貴族か皇族しか使わない超高級銃散弾銃のジェームズパーディーや超高級ライフル銃のホーランド&ホーランド等も掲載されておりました。

アフリカ猟に行くと言えば、国内制限を超えた口径のライフル銃も許可になりました。600ニトロエクスプレスと言う様なアフリカの象撃ちにしか使わない弾薬も市販弾薬リストに掲載されていた程、ジャパニーズ成金はお金を持っていました

海外猟手配会社も複数社があり、クレー射撃場には美人秘書付の高級外車で乗り付ける成金も多くいまして、腕よりも高級銃や高級外車や海外猟の自慢話ばかりをしていました。

海外猟は本格的なアフリカ猟より、最も近い外国である済州島の高麗雉バカ獲れの話、カムチャッカ猟でも本命のヒグマより、鮭や鱒の入れ喰いの話の方が多かった様です。どうも行っただけで済州島のキジ撃ち以外は真面に狩猟とは対峙しなかった様でした.

  ケンさんの拘り、その1
人生が豊かになり、趣を味わい、道を楽しむのは良い事だと思いますが、一方でそれが度を越して家計の破綻を来たした例を世間では「道楽」と呼びますが、ケンさんはこれにはなりたくないと思いました。

ケンさんはピーク時にはシーズンの60日もエゾ鹿猟の遠征していました。それでも道楽とは言わせない様に努力して来ました。

仕事は成果が上がれば良く、その手法には戦術と戦略があります。
戦術は多くの場合、能率向上や時間延長を強制します。この違法っぽいイカサマ手法からはベラボーな効果は得られません。

そもそも努力(強制されて行う行為の事)と言う言葉がケンさんは大嫌いでした。

一方戦略はその文字の如く、戦いを無くしてしまう事で、ケンさんが好んで用いた手法です。
それは設計レベルに遡る手法です。設計者も管理者も製造のプロではありませんから、そこには実にたくさんの無駄がありました。無駄の塊と言った方が適切だったのかも知れません。

商品はその機能やデザインを売っているのですから、それらが同等以上であれば、と言う観点で設計を見直しますと、特定の仕事を無くす、或いはそれを前後の工程側に付属させても、それが前後の工程側にも負担増にはならず、皆が楽になる様な項目が必ずありました。

これは間違って入部してしまった、名門バレー部を辞める為の通りの良い理由を探すよりも遥かに簡単でした。

設計者は製造面ではシロートですから、設計まで遡って平凡な新アイデアを多少組合せますと、該当工程の人も前後の工程の人達も楽をしながら、大幅に成果を上げる事が出来る様になります。これが戦略的な合理化です。

何時しかケンさんは趣味の時間も費用も大幅増となりましたが、道楽と言わせない為に、この戦略的な合理化が得意項目となりました。該当工程とその前後だけの範囲で言えば軽く10倍の合理化が出来ました。

趣味の為に仕事をして来たと言っても良いかと思います。サラリーマン時代にもこの手法でシーズンに30日程度のエゾ鹿猟の遠征を行っていました。またこの手法で狩猟の効率も10倍に上げて来ました。

  ケンさんの拘り、その2
成金達の銃や海外猟の話には興味があり、やや離れた位置から聞いていました。
しかしそれらを自慢する彼らの射撃技術や銃の知識はがっかりする様なレベルでした。ケンさんはそうなりたくないと思いました。

時間は掛かるかも知れないが、銃は普及品、弾は安売り品を使い、射撃技術と捕獲技術の総合実戦技術を自慢出来る、つまり実際に命中させられる、獲れるハンターになりたいと思いました。

しかし一方でこんな事がありました。アウトドア用品店に高級な迷彩とオレンジの両面仕様のダウンジャケットがありました。欲しいと思いましたが、45000円もしました。当時は月給が5万円でしたから見送りました。

翌年、23000円になっていました。買おうかどうか、かなり迷いましたが結局はまた見送りました。
更に翌年16000円になっていました。そこで店長を呼び、これ1万円なら買うと申し入れました。
店長は迷っている様子でしたが売ると言い、1万円で憧れの明細ジャケットが買えました。

驚いたのはその性能の高さでした。それまで何をどれだけ厚着しても極寒期の待ち場は耐え難い寒さでしたが、それを完全に忘れさせてくれ、流石に高いだけの事はあるなと思いました。

もう一つ耐え難い項目がありました。それは極寒期の待ち場の足の冷たさでした。ダウンジャケットの成功から思い切って高額商品を購入しました。当時デビューして間もない2.5万円のゴアテックスのハンティングブーツでした。

やはり高いだけの事はあって足の冷たさを完全に忘れさせてくれました。
この2件から安物買いの銭失いには注意しようと思いました。

  合理化10倍がケンさんの特技
そして自前会社になってからは、その合理化から自前会社の利益が多少出る様に工夫しながら、最大60日の狩猟遠征をしていました。通常レベルから考えれば、これは完全に道楽領域と言えますが、ケンさんが改善を行えば、仕事でも狩猟でも能率は成果が3倍以下と言う事は無く、しばしば10倍以上になりました。

こうして誰からも狩猟の趣味が道楽だとは言わせない様に手を打ち続けました。
またケンさんの趣味に使わせてもらうのは、上げた利益の10%までと決めました。

そしてこの10倍以上に合理化されたカモ猟で毎朝出猟し、カモ猟の3ケ月間は本業以上の収入を得る事が出来ました。スナップショット+小粒弾+スイング射撃+高速連射の合計で3発/羽となりました。

獲物に出会うには何時に何処に行けば良いか分かるポイント猟を開発、これに開発したアプローチ技術と後述の回収方法を組合せますと、毎朝当時の定数である10羽を戴く事は朝飯前でした。

更に回収が簡単に行なえる様な狩猟方法を考案、1チャンスから瞬時に多数を捕獲し、それを速やかに回収し、次の猟場に移動を繰り返しました。

良い猟場を開拓し、出会いスケジュール表が作られ、アプローチが簡単に行える様に事前工事を施し、高度な射撃術を開拓しておきますと、捕獲も回収も非常に上手く行きました。
しかしカモ猟で上げた利益は自分財布には余り残らず、我が家の家計に入れられてしまいました。

ライフル銃で本気で捕獲した事は余りありませんが、5日間で朝夕5頭ずつ計50頭を捕獲した時は本気でした。この時に5発5中が3度記録されました。

こちらもなるべく回収が楽になる様に心掛けますが、100~150㎏/頭のエゾ鹿を射程距離の150m以上回収しければならず、朝飯前に毎日10頭と言う訳には行きません。

銃は普及品、弾は安売り品でしたが、特別装備のランクルには拘りの各種チューニングを施しました。そのお陰で誰も踏み込めないエリアまで行け、多数が獲れた部分も多いのですが、その為の車両代等の費用も馬鹿にならず、売り上げの過半はこれに消え、儲かるとは言えない状態でした。

それでも銃は市販の普及品、弾は安売り品ながら、下記の様な誇るべき記録を作る事が出来ました。最高精度:150mテーブル撃ちの5発が12mm。  最長射程:半委託380mのクドウ、全依託540mのエゾ鹿。

最短射程:15mのヒグマ280kg、50mのエルク320kg。  最大の獲物:エランド940kg、ヒグマ450kg。  最大角長:138cmトロフィー級クドウ、108cmエルク、99cmトロフィー級エランド。

エゾ鹿のポイント猟:何時何処に行けば鹿に会えるのかを解析、平均で5回/日を達成。
驚異の出会い内容:出会いの70%が3段角、30%が大物、5%が超大物。
スナップショット:肩に着く前に撃てる技術。  150m早撃ち:150mを近射の早撃ち側にする技術。
総捕獲数:エゾ鹿1051、ヒグマ6、本州鹿26、海外大物64、内外小物81、36年間で合計1228頭。

  エゾ鹿猟と海外猟
実は北海道のエゾ鹿猟は世界中のハンターが羨む状況です。北海道では3か月間、毎日撃ち放題獲り放題であり、ケンさんはシーズンに150頭前後を捕獲、内トロフィー級だけでも20~30頭を捕獲していました。

海外猟ではエゾ鹿以上のデカいエルクやムースが捕獲出来る点を除けば、メリットはゼロなのですが、それでも 海外のビッグゲームには何故か心が躍ります。

エゾ鹿クラスとしてはミュール鹿やホワイトテール鹿やカリブーがいますが、狩猟シーズンは僅か1ヶ月、捕獲はシーズンに1頭だけに制限され、過半は獲れないままで終わってしまいます。

天然物のトロフィー級の捕獲は一生に1回あればラッキーと言う状況です。故にアメリカで人気の高いエルクは養殖が盛んで、角サイズにより5000~15000㌦のゲーム代を支払い、更にガイドと宿と食事で5000㌦が必要です。

実猟5日間でチャンスはたった1回だけ、スモールノーサンキューは可能ですが、余り言っていると期間内に撃つチャンスが無くなります。

発砲権利は1回のみ、撃てば権利は消滅し、未回収時の再チャレンジは多くの場合かなり高額と言う、厳しい狩猟です。飛行機代を払ってもニュージーランド猟の方が物価が安く、養殖のエルクや赤鹿や鹿ディア(エゾ鹿近縁種)と勝負するツアーに人気があります。

これに比べますとアフリカ猟の方が安く、4種のアンテロープと勝負出来るツアーは2020年価格で8000㌦前後からあります。もちろんアフリカ猟もプレミアムコースの高額の動物は5000㌦以上となり、象や犀はプライスレスです。
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この様に海外猟にはお金が多少必要で、後述のアンテロープ猟でも一生に1回しか行けません。国内エゾ鹿猟3日コース(全日程5日)1式が2020年価格で20万円前後ですから、こちらなら毎年行く事が可能になります。

  海外猟の難しさ
しかし海外猟は少年の頃からの憧れであり、一生に1度は行きたいモノです。
サラリーマンでも今から紹介する普及版アンテロープ猟8日コースであれば、一生に1度位なら行ける金額です。

行くなら一生に1度だけの我儘を聞いて頂き、全12日間の日程を強行しないと、気が付けばお金と暇と健康の内の1項目以上が不可能に陥るか、手の届かない価格になるか、夢は未達成のままで人生が終ってしまいます。

手が届きそうなのはアンテロープ類、イラストにはありませんが、体重が1㌧に近い超大物のエランドは2000㌦(2016価格)、ゼブラ1350㌦、続いてイラスト左側からグルグルと角が伸びた超人気のクドウは1750㌦。

角が真っすぐ1mになるオリックスは750㌦、エゾ鹿クラスのインパラ650㌦、本州鹿クラスのスプリングボック500㌦、馬に角を付けた様なレッドハートビースト750㌦、中型の牛の様なヌー1350㌦等々が主なターゲットとなります。

勿論これは2016年度の動物代の価格であり、現在はかなり高額になっていると思います。
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  左からクドウ、オリックス、インパラ、スプリングボック、 レッドハートビースト、ヌーです。

アフリカまでの航空券は往復25万円、狩猟は4種の動物の3350㌦分の動物代を含めた8日間のセットパックが6353㌦(2016価格)全日程は12日間となります。動物の入れ換えは差額を払えば可能です。

最大4種の動物と勝負出来ますので、前頁3種にインパラ650㌦を加えた動物代合計が5150㌦となり、1800㌦の追加となります。価格には殆んどの物が含まれ、良質なロッジと食事、飲み物もワインとビールが含まれています。
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含まれない物にチップ(10%目安)、後述のペナルティー、剥製を作ればその費用や税金や輸送費、ショルダー マウントで1頭が10万円前後になると思います。今なら費用的には全部で200万円あれば大丈夫と言えます。

愛銃も面倒な手続きですが持ち込めます。弾は追加費用で持ち込めますが、余った弾は持ち帰れません。弾は銅弾の現地購入がベストです。 


ではアフリカの狩猟に付いてのお話をしましょう。http://trophytracking.com/pricing/2015-01-28-12-09-49
 5-1.射程距離と精度:国内でも海外でもStdサイズの獲物は100m前後で射撃しますが、普通のハンターが後述のペナルティーの為に撃たなくなるので、その辺の距離からいるのです。大物は実戦慣れしている場合が多く、射程距離がライフルの極限に近くなる事もあり、出来れば300mの遠射が出来れば心強いです。

エゾ鹿大物やアフリカ猟でもいるのは100m前後ですから、その距離で50㎜を当てられる射撃技術は最低限 マスターしたい処です。大物は後述の経緯でどんどん射撃距離が長くなります。

 5-2.ペナルティープレッシャー:エゾ鹿猟では基本的に狩猟税を支払い保険に加入すれば、発砲は自己判断、そして撃ち放題&失中放題であり、失中しても未回収になっても特別な料金は発生せず、単に残念だったと言うだけですが、海外猟では狩猟制度その物が全て違います。

動物1頭を政府から買い取る形であり、発砲は公認ガイドの指示が必要で、発砲すればその権利は消滅します。射程距離は100m前後からですが、大物は後述の経緯でかなりの遠射となります。

ナミビア猟の先のエリアでは失中は無料、未回収再チャレンジでも動物代金をもう1度支払えば可能ですが、普及獲物で料金は1000㌦~  2000㌦です。人間の心は下記の様に、対戦する前から相手がデカいと負けてしまう、情けないモノなのです。

 5-3.迫力負け問題:通常の本州鹿や日本猪は射手の人間と同サイズ前後ですから、対戦前から迫力負けする事はありません。しかし目指すべくアフリカの大物は少なくも人間より数倍の体重があります。

エゾ鹿の場合ですと初期には体重100kg程度の中型未満の3段角で、殆どの生徒が迫力負けを起こしました。これを自然に乗り越えるのに5~10チャンス強を要し、これをマスターしても、20%更に大きくなると再発します。目指すアフリカの大型アンテロープは300㎏以上、迫力負け対策は非常に重要です。

エゾ鹿超大物猟も同様と言えますが、本州猟では獲れないのはグループや猟犬の至らなさもありますが、エゾ鹿猟で獲れないのは100%本人が至らないからと言えます。

この「迫力負け」や、猛獣対戦時の「恐怖負け」も、難度の高い射撃をペナルティー覚悟で撃つ海外猟は人間の心を大きく育ててくれます。

これをマスターしなければアフリカ猟への道は無いのか?  
ご安心下さい。もう少し難度の低いアフリカ猟もあり、後述で紹介します。

ヒグマ対戦に関してケンさんは幸い6戦6勝を体験しましたが、内4頭は立ち止まっておらず、普通射撃では対応出来ません。スナップショットやスナップスイング射撃の技術が必要です。

アフリカの猛獣猟では安全確保の支援係が付き、普通射撃でも大丈夫と言えますが、ケンさんは無支援で15m出会い頭のヒグマ280kgや100m先を走る450㎏のヒグマと勝負して勝ちました。

 5-4.必要な射撃精度:本州猟では20m射撃で胴体に被弾されば、合格射撃と言えるのですが、本格的な猟の入門であるエゾ鹿猟では100~150mで直径15㎝の急所にヒットさせなければ意味はありません。

50mで14㎝の的を撃つ旧技能講習ではこの差がはっきり表れ、本州では70%以上が不合格でしたが、北海道では90%以上が合格でした。射程距離が1桁長くなる上に、更に高精度な急所のヒットさせる射撃精度が必要になる、これが本当の大物猟に必要な射撃精度になります。

従ってエゾ鹿の超大物クラスを複数捕獲したハンターなら、その経験でアフリカ猟にも充分に対応出来ますが、本州猟経験だけのハンターの場合、それまでの経験は全く役に立ちませんので、そのままではエゾ鹿猟にもアフリカ猟にも対応出来ません。まずはエゾ鹿猟で実戦射撃の技量を付けなければなりません。

使用銃に付きましては市販ボルトアクション銃のハンターモデルには300mの実用精度があり、スナップショットやスナップスイング射撃もスコープ専用銃であれば対応可能です。

口径は308のStdで十分、弾頭はアフリカでも銅弾頭を使います。銅弾頭は骨をも砕きますから前足軸線上の背骨との交点が狙い目です。ここをヒットすればパワー不足は起こらず、必ずその場に即倒します

 5-5.アフリカのクドウ猟のドギュメント:クドゥは最もアフリカらしい人気NO.1のアンテロープです。
最大の特徴はやはりスパイラル状になった巨大な角と、ボデーに7本前後入っている美しい立ての細白線です。銃はエゾ鹿用の308で大丈夫です。

射撃距離が長くなりますので使い慣れた愛銃が良いと思います。
愛銃の持ち込みには日本政府の1時輸出の許可が必要になり、中継空港でも審査があります。

狩猟は超人気のクドウの話を中心に進めます。クドウ1頭を1750㌦で政府から買い取る感じになります。発砲には有資格のガイドの許可が必要です。クドウのデビューは5才から、その頃の角長は1m強です。

それまではガイドが撃たせません。射撃距離は運が良ければ100m、多くが150~200m、2脚の立ち撃ちです。極めて舐めて掛かれない射撃です。予め150m射場で類似の練習をしておく事をお奨めします。

このエリアでの失中は無料、再チヤレンジ出来ますが、未回収はクドウ代金1750㌦が再度必要になります。しかし肺に被弾させれば2日間掛けて、かなりの確率で追跡し回収してくれます。

クドウの肉代はガイドの副収入ですから当日回収出来ないとその分のペナルティーが発生する事もあります。

これで生き延びたクドウはもう200m以内にはいなくなり、以降は300mクラスに生息する様になります。当面は失中リスクを恐れて誰も撃ちませんから、角は月に約1㎝成長し、数年すればビッグトロフィーの300m射撃にチャレンジするハンターも現れます。ケンさんの初回対戦のクドウがこの300mでした。

これで生き延びると以降は400m以遠に生息する様になり、通常のハンティングライフルでは無理となります。それでトロフィーは更に大きく成長しますが、野性のフィールドでは8歳を超えると成長は鈍化し、10数才で寿命を迎えます。

ケンさんが2016年に勝負を挑んだのはこの最難関のクラスでした。

クドウのトロフィー級の大物勝負はこの様に半端でない1750㌦が掛かったガチの勝負となります。
クドウは400m前後の距離でも照準をさせない様に、ブッシュからブッシュに小走りで駆け抜け、通常の射撃技術で言う照準時間は全く与えてもらえません。

エゾ鹿猟の150m級で使っているアバウト早撃ち用の照準時間すら不足する程です。エゾ鹿猟用で使える技術があるとすれば、鹿が丘のトップ等で止まって振り向く場所を正確に予測する「待ってたホイ射撃」位ですが、あれは主に200m級のテクニックです。

事前調査でいる事が分かっているボスブルですが、2日間捜索しても出会えません。
それが本日PMは出撃後僅か30分もしない内に出会えました。雌を5頭連れています。

アプローチを開始しました。クドウは200m先を例によってブッシュからブッシュへと全速で走り続け、射撃チャンスは全くありません。

4回目のアプローチは250mで、クドゥの頭だけが概ねブッシュから丸見えになっており、トロフィーに傷が付くといけないのでネック狙いで撃ちました。

しかし弾はブッシュに喰われたのか、或いは「そっと撃つ」と言うおまじないを忘れて失中したのか不明ですがミスショット、幸いクドゥの逃げる真剣度は低い様です。

念の為に少し追跡しますがやはり被弾の兆候は皆無です。クドゥは5km先の山に向かって逃げましたので山裾を横切ると予測し、車で先回りし山の中腹から見下ろすと言う作戦をガイドは取りました。 

ガイドはもっと先に進んでいるかも知れないともっぱら先方向を見ていましたが、ここはケンさんの感が冴え、概ね真横300m付近でメスクドゥ1匹を発見しました。今までの行動からエゾ鹿との共通点も多かったからです。

更によく見ますとブッシュの陰には、先ほど射撃ミスしたボスブルも隠れています。照準を試みますが、発見された事が解かったボスブルは300m強でブッシュからブッシュへと速足で駆け抜け、全く立ち止まらないので照準不可能です。

しかし少し先にやや開けた場所があり、クドウはここで立ち止まって振り返るだろうと思いました。
エゾ鹿なら必ずそうするからです。
魅惑のアフリカ猟。(何時かはクドゥ猟)
ケンさんは初の試みですが、車の側面に依り掛かった半委託射撃で、そこに予め照準を合わせた「待ってたホイ」で遠射をやろうと決めました。果たして、クドウは予想通りの場所に立ち止まって振り返えろうとしています。

射撃距離は350m強、照準は前足軸線上の背中の線、これで心臓高さに着弾すると読み、照準微調整の後、直ちに発射しました。もちろん今度は「そっと撃つ」と言うおまじないを忘れずに撃てました。

引き金は非常に良い感触で落ち、絶対に当たると確信しました。
しかし予定よりも遥かに長い時間が過ぎても弾着音が返って来ません。やがて大幅に遅れましたが、大きな弾着音が返りました。

クドゥは激しい被弾ショックを示し、非常に走り辛そうに逃げて行きました。ガイドのダニーはこの時点でもう絶対に逃げられないと判断したらしく、 「グッドショット、コングラチュレーション」と握手を求めて来ました。

結果はやはりと言うべきか、被弾現場から20mの所にうずくまっていました。
そっと横に回って100mからネックに止め矢を撃ってゲームセットとなった次第です。
被弾場所はボデー下端で両前足被弾骨折、心臓高さ付近と思っておりましたのでちょっとガッカリでした。

つまり射撃距離を350m強と読んだのですが、実際は350mよりかなり遠かった様で、その結果として着弾落差も予想外に大きくなり、また弾着音も予想外に遅かったのだと分かりました。

後刻落差から逆算した処、射撃距離は380mと判明、年齢は8~9歳、角長138㎝、体重450kgでした。追跡中からガイドのダニーがビッグブルと興奮していましたが、ダニーによれば彼のエリアでも歴代NO.1の事です。
魅惑のアフリカ猟。(何時かはクドゥ猟)
ナミビア歴代25位のゴールドメダル級のトロフィーでした。この様に超人気のクドウのビッグトロフィー級は、現在のハンティングライフルの性能からすれば限界をやや超えた程度と言えます。

後刻剥製屋で多数のクドウを見ても、巻数の多い年齢的に立派な物はあっても、長さ的には同等以下、太さ的にはケンさんのクドゥが大幅に勝りました。

 5-6.ファームの狩猟とランチの狩猟:ケンさんが狩猟を行ったのはファーム(牛の牧場)の天然物です。メスや小物は撃たれないのですが、群れの中に対象年齢のオスが居れば撃たれますので、天然物は多少の狩猟圧をすでに受けており、北海道のエゾ鹿よりかなり難度が上がります。

クドウは5歳でデビューした初年度中に、殆どがトロフィーになってしまうそうです。
このファームの天然物の猟とは違う、別の場所で養殖された動物を撃つランチ猟と言うのがあります。

これはファームよりも1桁大規模にハンターを集めており、現在のアフリカ猟は90%がこのランチ猟となります。養殖専門のファームから動物を購入し、これを私有地に放牧し、これと勝負させます。

極僅かですが生き残りの大物もいます。放牧されたクドウは撃たれた経験がありませんから、100m前後からたっぷり照準時間を掛けた射撃が可能です。但し5歳のデビューボーイばかりでビッグトロフィーはこの中に居ません。

お金次第で狩猟経験のないビッグトロフィー級の養殖クドウとも勝負出来ますが、実戦味が劣ると言えば劣ります。

 5-7.他の猟法と他の狩猟動物:普通は狙う動物を絞ってその動物に会いに行くのですが、水飲み場の近くに設けたブラインドで静かに待ち、来た動物を撃つと言う狩猟方法もあります。

インパラやオリックス等多数が生息する場合は、この方法でビッグトロフィーは狙えませんが50~100mで射撃 出来ますし、歩かなくても済みます。

他の狩猟動物の場合はクドウほど人気が無い為、射撃難度はかなり下がり、距離も100~200mになり、エゾ鹿猟の難度に近付いて来ますが、狩猟環境は後述の様に激変していますから、今後は分かりません。

尚アフリカやナミビア猟の人気は超ウナギ上り、2008年頃の資料によれば象も犀も5000㌦程度でしたが、2016年度の価格ではこれらは最早プライスレスとなりました。

ハンター数は動物の価格上昇以上に増え、1部の動物 価格は10倍以上となり、多数生息する普及動物の価格も2倍の価格となり、その方向は今後も変わらなさそうと 言うより、今後はもっと価格上昇が大幅に加速する事でしょう。

アフリカ猟には3度行きました。1回目2009年は同じ飛行機に銃を持った他のハンターは我々だけでしたが、2回目2013年は他に3組、3回目2016年は何と他に12組も乗っておりました。

更にナミビア便自体が他に2便/日も増便され、他の2便にも同様のハンターがいたとすれば、1日に来るハンターが40組に増え、とんでもない数になりました。更に銃を持ち込まない中国系成金ハンターもこれらとは別におり、最近はこちらの方が多いとも聞きます。

本格的な狩猟経験のない、中国人達に簡単に獲れるほどアフリカ猟は甘くなく、支援射撃付はまだしも、代理 射撃も多いらしく、憧れの狩猟がそれだったのかと思うと、悲しく思います。

かつての日本人もそうでしたが、2000年頃、東京の歯科医グループの根室猟をガイドしました。銃は300mで3発ワンホールのキングクラフト製でしたが、腕は50mが怪しげ、この腕でアフリカ猟5種を成功させたそうですから、似た様な物と言えました。

こんな人達がかつて射撃場で自慢話を披露していたのです。
ナミビアに来るハンターがどうしてこんなに急増したのか?  
それは南アフリカの動物が尽きたからです。

数十倍のハンターが来れば動物が大幅に不足し、南アフリカの動物は10年で概ね尽きました。ハンターはその頃より遥かに絶対数が増えており、ナミビアの動物が尽きるのも時間の問題であり、ケンさんは10年持たないだろうと見ています。勿論その前に庶民には手が届かない高価格になるだろうと思います。

世界的に見ればポーラーベア猟は絶望的となり、ムース猟もそれに近付きつつあり、エルクは養殖物が多くなりました。アフリカ猟やエゾ鹿猟だけが狩猟の全てではありませんが、ケンさん達の年代ではアフリカ猟は少年の頃からの憧れでした。

何時かはアフリカのクドウと勝負したい、それが夢でした。
コロナ明けの数年が庶民に取って手が届く、最後のチャンスと思われます。ぜひクドウの夢を実現させて下さい。

15年前までは象も犀も撃てた、それも信じられない程安く撃てた、そう思うと残念です。ただその頃は航空券が高かったり、便が無かったりで行く事自体が大変でした。結論としてビッグ5は逃しましたが、概ね希望が叶えられたのですから、良い時期に生まれて来たと感謝しなければならないと言えます。

また幸い趣味のレベルを守りながら、健康と暇とお金の3つを達成出来た事をケンさんは非常に嬉しく思います。

夢は叶う様な方向をキープしたまま待機していれば、何時かタナボタ的に叶えるチャンスが廻って来るモノです。しかし準備をしていなければ、そのタナボタは他の人の所に行ってしまいます。

日頃から準備を怠らなければ、タナボタは必ずキャッチ出来ますので、何時かはクドゥの夢を手が届く価格の内に叶えて下さい。

仕事を完全卒業してからと思っていてはなりません。手が届かない高価格問題以外にも、その頃にはお金と暇は何とかなっても、過半の場合、肝心の健康が揃わなくなってしまいます。そう言う友人達を多数見て来ました。




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Posted by little-ken  at 18:39 │ハンティング海外狩猟