2020年07月27日

実猟用の最強装弾。

実猟用の最強装弾。
1965年頃の日光社の散弾表によればキジバト(山鳩)クラスには4~6号、カモ猟には3~B号とあります。また表には多種が記載されていますが、市販されていたのは鳥猟用の10~1号とBB(2B)、獣猟用に9粒弾と6粒弾だけでした。当初のカモ撃ちを始めた直後はケンさんも、適合表通りの3号を求めたのですが、4号の紙薬莢弾が抜群に安かったので、それで勝負をしていました。

しかし撃っても撃っても墜ちません。本当はリードが合っていなかった事が命中しなかった原因なのですが、自分の腕を棚に上げて弾粒のパワー不足と判断し、粒径を順次大きくして行き、これ以上の大粒弾は無いと言うBB号に至りました。これは多くのハンターが類似の経験をしていると思います。

稀にカモにヒットしても半矢で遥か遠くに墜ち未回収となりました。
ある時、比較的近くと言っても通常のカモ撃ちの距離ですが、水面に墜ちた半矢ガモにBBを撃って愕然数える程しか弾着が無く、これでは何発撃ってもカモの胴体に1粒も命中しない確率の方が高いと思い ました。BB装弾には59粒ほどしか入っていないので当然の結果でした。

そこで改めて小粒側の装弾をテストしてみようと思い立ちました。この頃のケンさんの仕事は生産性を 向上させるのが業務でしたが、前職は産業車両の実験が業務、つまりケンさんはプロの実験家だったのです。7.5号弾で普通に撃つとヒットするも、全く撃墜出来ず、平然と飛び去られてしまいます。
そこだけ見れば7.5号は非力でダメな装弾と言う判断となりますが、そこで終わらないのがケンさんでした。

同じ距離で大粒弾と7.5号弾を撃ち込みますと着弾まで7.5号弾の方が時間を多く要する事を感じました。つまり7.5号弾の方が弾速が遅いと言う事が分かったのです。そこでリードを正しく補正すると撃墜率は 著しく向上して行きました。当初は7.5号弾でも近距離なら墜とせるだろう位にしか思っていなかったのですが、リードを補正した後の実戦の7.5号はカモの遠射でも予想外の善戦をしました。7.5号弾が非力に見えたのは、小粒が故に途中弾速低下が大きく、その為にリード不足に陥っていたからであり、リードさえ合わせれば実際は最強の装弾だったのです。

最終的には従来の大粒狩猟装弾に負けない処か、7.5号弾の撃墜率は従来の2倍以上まで向上しました。実際のケンさんですが、1975年前後の数年間は海辺の工場勤務となり、毎朝出勤前にカモ猟に出撃、通常より2桁多い実戦を経験して来ました。そこで7.5号による大量捕獲したカモを売却するアルバイトをしていました。本業は日割りにしますと2500円弱でしたが、カモ猟バイトは毎日2万円以上になりました。しかし高収入に喜んでしまうケンさんではありませんでした。

ケンさんの狩猟が高収入を得る為の物ではなかったからです。ケンさんは如何にしてカモを捕獲するのか、不可能への挑戦をしていたのです。高収入は結果的にカモが欲しい炉端店が多数いましたのでそうなっただけでした。
当時の鳥類は食肉法の規制対象外でした。

7.5号弾は何故高確率で撃墜出来るのか、エンジニアとして検証したくなりました。
海外の文献でも確実な撃墜には3粒以上の被弾が必要とあり、これをショットガン効果とし、何か大きな 特別な力が作用し、信じられない効果を発生するとありました。
そこでまずはカルガモ胴体を10cm直系の円と仮定し、各号数の散弾が距離毎に何粒ヒットするのかを計算してみました。それが下表になります。

各号数の散弾が直径10㎝に何粒当たるかの一覧表 (1ヤードは約0.9mです。)
   散弾号数 直径 何発/32g 40ヤードフル  40ヤードインプ 50ヤードインプ 50ヤードフル  備考
    BB    4.5    59     0.71     0.51      0.34     0.50
     1    4.0    85     1.02     0.73      0.48     0.71
     3    3.5   126     1.52     1.08      0.71     1.07
     5    3.0   200     2.41     1.72      1.14     1.68
     6    2.7   259     3.12     2.23      1.47     2.19
     7    2.5   344     4.14     2.97      1.96     2.90
    7.5    2.4   386     4.65     3.32      2.20     3.25 
     8    2.2   547     5.66     4.05      2.67     3.97
     9    2.0   672     8.09     5.78      3.82     5.67

表からも 50ヤード(約45m)で3粒のヒットが期待出来る散弾は7.5号しかない事が分かりました。BB弾の50ヤードではリードが完璧であっても僅か0.5粒しかヒットしませんから、半数は被弾せず、ヒットしても1粒ですから急所にヒットしなければ撃墜が出来ない事が分かります。
カモ猟ン最適クラスの言われる4号弾でも1.5粒以下の被弾ですから運が良くなければ撃墜出来ません。

確実な撃墜に至れる3粒以上の被弾を得る為には、かなり非力な7.5号弾より小粒である必要があります。一方で7.5号の遠射で撃墜(即死)したカモを解体しますと、弾は皮下のかなり浅い所で停弾していました。これらの事実からショットガン効果(ケンさんは複数被弾副次効果と名付けました)には、3粒以上の命中が必要条件であるが、1粒の残存エネルギーや弾速には概ね無関係であると言う推定結論になりました。その後に撃墜した数千羽をそう言う目で見ますと、これらの考え方は納得の行く事ばかりでした。

ケンさんの圧倒的な撃墜率を目にした猟友も次第に7.5号の感化されて行きました。
我が安城市でもカルガモの駆除がありますが、もはや誰も7.5号弾以外を使おうとする人はいなくなり、これにより流れ弾の苦情件数も激減しました。

1975年頃からクレー射撃装弾が変わり始め、32gから短期28gを経由して24gに落ち着きました。
この変更に伴いクレー射撃装弾は価格が据え置かれましたが、狩猟装弾の価格が大幅に上がり始め、32gの7.5号弾に比べ、2倍以上の価格となりました。
7.5号弾は従来の大粒狩猟装弾に比べて半額以下でありながら、2倍以上の撃墜率が期待出来ると言う事が実証出来ました。

ショットガン効果に1粒のエネルギーは概ね無関係ですから、装弾は小粒寄りが圧倒的に有利ですが、但し9号装弾の様に小粒過ぎて皮下の一定深度まで達しない弾粒は無効弾になります。
表から見ますと6号弾それ以上の大粒弾を撃っても全く意味が無い事が分かりますが、2粒未満の被弾でも急所にヒットすれば低率ですが撃墜出来る可能性はあります。

Std弾は32gですが、マグナム弾はMax.54gまであり、飛行散弾量が増加し散弾密度的にはMax.1.5倍となり一応有効側ですが、経験的に言えばStd弾の連射の方が圧倒的に高効率でした。
従いまして連射に有利なのは3連発の自動銃、次いで2発に限られますが、上下2連銃です。
2発追加給弾し追加射撃が最速なのは全く知られていませんが、レミントンです。
自動銃自体も他の銃種に比べれば短時間で射撃可能になりますが、レミントンほど速くはありません。

レミントンはボルトオープンの解除ボタンが機関部下側のリフター元部にあります。
最終弾発射でボルトがホールドオープンで止まります。左手は射撃位置のまま、決して銃を裏返しにしてはなりません。追加装弾2発を右手に持ち、1発はエジェクションポートに放込み、もう1発の弾でホールドオープン解除ボタンを押しながらリフターを押し上げ給弾します。
こうする事により他の銃に比べ最速給弾が可能になるのです。

日本にはカルガモやマガモを超えるサイズの狩猟鳥は居ませんから、7.5号装弾は全ての狩猟鳥に最大効率を発揮しますが、小型のタシギクラスには9号であり、スズメクラスには10号が最適です。
なお野ウサギ猟でも7.5号弾は最強でした。
しかし海外ではターキーやカナダガン等の遥かに大型鳥類もおり、これに7.5号が最強だとは思えません。恐らく7.5号弾は小粒過ぎて無効弾となり、6号クラスが最強かと思います。
実猟用の最強装弾。
            この大量のカルガモは全て7.5号弾で捕獲しました。





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Posted by little-ken  at 18:04 │ハンティング銃と弾