2019年01月28日

1頭捕獲が悲願の エゾ鹿超大物。

日本鹿は全国に亜種が生息しますが、概ね南に行くに従って小さく、最小の亜種は慶良間鹿や屋久鹿で30kg前後、エゾ鹿はその最大の亜種で体重は130kg前後、最大角長は90cm前後です。
エゾ鹿猟の世界では角長70cmを超える個体を大物、80cmを超える個体を超大物、90cmを超える個体を怪物と呼んでいます。

ハンターならばより大物を捕獲したい、せめて1度は超大物と勝負したい、これが多くのハンターの悲願です。筆者も同じ悲願でしたが、何時の間にかエゾ鹿1051頭を捕獲し、超大物は33頭、最大は88cmでした。

  大物や超大物の出会い率
野性のオス鹿の寿命は最高10年ですが、多くは8年前後の角長80cm前後で終わります。
従いまして70cmクラスは6~7歳ですから多数が生息しています。

7歳を超えると減少方向となり寿命境界は79~81cmにあり、82cmを超える個体は激減します。
それを超える85cmクラスの捕獲は元々大きな体格の個体が、類稀に10年間生き抜き、多くは自然死を迎えますが、捕獲は運良くその8~10年目に極偶然に出会えた場合に限られ、筆者の85cm以上は8頭に留まります。
怪物級は元々大きな個体が例外的な程の類い稀な10年を超えた長寿命の個体だけを迎えますが、筆者は怪物級を1頭も捕獲出来ませんでした。

筆者は大物や超大物との出会い率向上に永年掛けて取り組んだ結果、平均出会い数は5回/日、3段角率は70%、角長70cmを超える大物出会い率30%、角長80cmを超える超大物出会い率5%まで向上出来ました。
しかしこれは誰にでも出来る事ではなく、他に出来る人は1人しか知りません。
氏は95cmを筆頭にそれに続く怪物級数頭を捕獲した鶴居村の超凄腕プロガイドの小山氏です。

昨今のエゾ鹿は増え過ぎて、地元のエゾ鹿生息数調整集団に所属しているハンターは、1年中狩猟が出来る様になり、その手当てを稼ぐプロハンターとなりました。その結果、獲れるハンターは自前捕獲した方が高収入になるのですからガイドは行いません。

そしてエゾ鹿は1年中狩猟圧を受ける為、ハンターを一段と避ける様に学習し、出会うには特別の能力を必要とする様になりました。
かくして巷のエゾ鹿ガイドは後述のフィーバー時以外は獲れない3流ガイドばかりとなりました。
そう言う事から大物率は問題外、獲れる獲れないが最重要課題となるのが巷ガイドの現状です。

   フィーバーとは
フィーバーと言うのを説明しましょう。
鹿は何時何処に行っても均等に出会えるのではなく、特定の場所に特定の条件の時にまとまって出現します。その特定場所は山に直結する牧草地で、特定条件には天候サイクルが大きく絡んでいます。

冠雪すれば草や笹が食べられなくなる可能性がありますから鹿は雪に対して非常に敏感です。次に月齢が影響します。鹿は半夜行性ですが、闇夜は不得意であるからです。

普段の鹿は余り動かず、雪が降った悪天候明けに大々的に動きますが、これがフィーバーです。フィーバー数回の内の1回はビッグフィーバーとなり、この日なら何処に行っても鹿がウロウロしています。フィーバーになりますと出会い数が多くなり、大物率は高まり、射程距離は近くなり、照準時間は長目にもらえると言った、ハンターにとっては良い事ずくめとなります。

近年はフィーバー時と非フィーバー時の差が非常に大きくなっているのが特徴です。フィーバー時に限り3流ガイドでも獲れますが、フィーバーは5~6日に1回しかなく、通常は0.5~1.5日で終わってしまい、3流ガイドでは非フィーバーの間は獲れない日々が続く事になります。

  昨今のエゾ鹿の状態
スクールを始めたばかりの2002年にはエゾ鹿は50m前後に居ましたが、昨今のエゾ鹿は100~200mと距離が遠くなり、しかも照準時間も長目にもらえ難いと言った悪条件下の射撃となります。
それは150m以遠の射撃が巷のハンターに取ってかなり難しいモノであり、加えて銃を向けられてから数秒後に動けば撃たれない、或いは撃たれても絶対に当たらない事をエゾ鹿が学習してしまったのです。

ガイドとしては撃てる状態のなるべく近くまで連れて行かなければ意味がなく、と言って鹿に逃げられては元も子もありません。ガイドは鹿の表情が読めなければならなくなりました。

  狩猟の限界
エゾ鹿生息数はかつてなかった程の多数が生息しているのは事実ですが、エゾ鹿側にも逃げる権利がございます。それで射撃が難しくなる150mに生息し、且つ銃を向けると数秒で動くため狙いが付けられなくなるのが現状です。そう言う背景からガイドを付けてもロクな出会いがなかった、捕獲ゼロだったと言う事が避けられなくなりました。
つまり1年中行われる駆除の為にエゾ鹿猟自体が、かつてない程の難度となってしまったのです。

今までの説明だけでもエゾ鹿猟が初心者には絶望的に見える程の困難さである事がお分かりだと思います。
1.まず未熟なハンターが自前猟をしても大物以前の出会いその物が絶望的です。
2.並のガイドでは付けても多少の向上のみ、捕獲ゼロの可能性はかなり高いままです。
3.かなり遠い150mで直径15cmの確実に急所を撃ち抜く高度な射撃術が必要です。
4.しかもそれは最大限に急いでも間に合わない可能性が高いのです。

つまり、自前猟では可能性ゼロ、並のガイドを付けても画期的に好転せず、本格的な150m射撃を要し、しかも早撃ちで対処しなければならないと言った、困難の4乗がエゾ鹿猟入門のハードルです。

次項の超大物捕獲に比べれば遥かに簡単とは言え、エゾ鹿猟の入門も決して甘いモノではありませんが、後述の筆者のスクールで事前教育を受けた上で実戦に参加すれば捕獲はイージー、捕獲ゼロは過去にありません。

  超大物エゾ鹿の難度
エゾ鹿猟も相手が超大物と言う事になりますと更に次の高難度の項目が加わります。
1.普通の鹿は殆んどが超大物になる前に寿命を迎え、超大物鹿は元々数が非常に少ない。
2.超大物鹿は稀に見るほど被弾強く、
  より正確に急所を撃ち抜かない限り、ヒットしても逃げられてしまいます。
3.大物であればある程、ダメ元射撃で撃たれた経験を多く積んでいますから、出没距離は
  更に遠く200m以遠となり、一般の鹿より更に更に本格的な精密射撃術を必要です。
4.その距離でも銃を向ければ数秒で動きますから、早撃ちが要求されます。
5.超大物の体重は150kg程あり、角の大きさも含めてその大きさが射手の体格を圧倒的
  に上回っており、戦う前からその迫力に負けてしまい、5回戦までは足が地に着かない
  射撃となります。

つまり生息数的に出会い自体が絶望的に難しく、出会えても距離が一段と遠く、それでいて早撃ちを要求され、それでいながら完璧な射撃を求められる、そして未知の得体の知れない「迫力負け」に勝たない限り、足が地に着かない射撃に終わってしまうのが普通です。
絶望の5乗、これがエゾ鹿の超大物猟 なのです。

元々ハンティングは不可能への挑戦と思っていた筆者ですが、前半は名ガイドのお蔭でクリア出来ましたが、 ここではつまずき掛けました。
絶望の5乗ですが、しかし難度が高ければ高い程、1段と憧れも強くなるモノなのです。

それで良い対策方法はあったのか? ハイ、やはりありました。
ありましたのでエゾ鹿1000頭が達成され、超大物33頭捕獲が達成されました。
通って下さればお教えします。

  6.狩猟人生の最終テーマ
1頭捕獲が悲願の エゾ鹿超大物。
  アメリカのワイオミング州ジャクソンホールの公園に行った時です。  
  巨大なエルクの落ち角で出来たゲートがありました。これには大きな衝撃を受けました。

1頭捕獲が悲願の エゾ鹿超大物。
  隣のアフトン市のメインストリートには片側3車線の道を跨ぐエルクのゲートがありました。
  これも感動モノでした。


1頭捕獲が悲願の エゾ鹿超大物。1頭捕獲が悲願の エゾ鹿超大物。
  町の剥製屋にも小さなゲートが作ってありました。
  もう少し小さなゲートならエゾ鹿で製作可能と思いました。
  これを狩猟人生の最後のテーマとしました。2010年の事です。
  
  そして2019年、リトルケン資料館の入口にエゾ鹿超大物33頭の約半分とその他の鹿で
  50頭を使ったゲートが出来上りました。これが筆者の狩猟人生でした。


   男のロマンとは?
通常では角長80cmを超える超大物1頭を捕獲するのは絶望的不可能ですが、スクールは約150万円で超大物と出会う為のお手伝いが可能です。恐らくこれがエゾ鹿超大物捕獲への最短距離です。
150万円でこれを捕獲するのも男のロマンです。
獲れない超大物を追い続けるのもロマンですが、獲れないから諦めてしまうのは男らしさに欠けます。
難しそうだからと言って腰を上げないのは情けない様に思います。

150万円の費用を掛けますと他のロマンも可能性が出て来ます。
NZであれば最高峰の鹿であるエルクとの勝負が可能、赤鹿なら100万円程度で可能と思われ、ナミビアならクドウとオリックスその他小物2種が200万円程で可能となります。

海外猟では捕獲は腕と運次第、捕獲成功には迫力負けに打ち勝ち、ミスショット数千㌦の圧力下、200~300mの2脚立撃ちを成功させなければならず、これまた難度も絶望的に高いのです。これも簡単過ぎたら全然面白くありません。
費用&日程の捻出も含め「不可能に挑戦」、これが男のロマン、筆者はそう思って何時も挑戦を続けて来ました。諦めなければ何時か必ず成功します
情熱が全てを解決してくれ、暇も収入も必ず何とか出来る方法が見付かります。









同じカテゴリー(ハンティング)の記事画像
50年間で分かった事、その5:スコープ専用銃のスナップショットは画期的だった。
50年間で分かった事、その4:ショットガン効果。
50年間で分かった事、その3、マグナム効果は皆無だった。
50年間で分かった事、その1。
白糠のメス特別解禁。1994年。
新射撃法のメリット。
同じカテゴリー(ハンティング)の記事
 50年間で分かった事、その6:実射練習からは100mが限界。 (2024-05-10 11:57)
 50年間で分かった事、その5:スコープ専用銃のスナップショットは画期的だった。 (2024-05-07 17:30)
 50年間で分かった事、その4:ショットガン効果。 (2024-05-05 09:36)
 50年間で分かった事、その3、マグナム効果は皆無だった。 (2024-05-02 09:58)
 50年間で分かった事、その1。 (2024-04-22 17:19)
 50年間で分かった事。 (2024-04-20 17:31)

Posted by little-ken  at 17:19 │ハンティング