2020年09月04日

何故銃は当たらないのか?

   ショットガンの場合
 1-1.引き止まり射撃:散弾銃は散弾をバラ撒きますから、後述の間違った引き止まり射法でも慣れれば 低命中率ながらある程度の成果が出せます。実は95%のハンターがこのタイプですが、イージチャンスならそこそこ獲れるので、それに甘えて本格的なトレーニングをしないのが現状です。

散弾銃で撃つ標的は殆んどの場合が動的です。目に入ってくる映像はリアルタイムですが、脳が判断する にはそれなりの時間を要します。従って目に入る映像は古い虚像であり、実体の無い虚像を撃っても当たる筈がありません。実体は肉眼では見えませんが、すでにもっと進んだ位置にいます。
詳しくは2-3項を参照して下さい。これはライフル銃で動的を狙う場合も全く同じです。

但しリード射法では正しく銃を構えて正しく追尾を続けていれば、銃の向いている方向と、実体の相対位置関係は保たれており、これに下記のリードを加えれば命中します。弾の飛行時間分(0.1~0.2秒程度)に目標が移動する1~2mがリードとなります。脳が撃つ指令を出しても、体がそれに反応するにはそれなりの時間が掛かります。従って引き金を引く決断をしても、実際に弾が出るまでには更にそれなりの時間が必要です。

基本的には見えているので当て易い射法ですが、完全に銃口から弾が出終わるまで、スイングを止めずに銃の向いている方向と実体の相対位置関係を保たなければ、命中条件を満たしません。
ところが引き金を引く決意と共に、体が反動を受け様と勝手に力が入り、銃のスイングが止まってしまいます。その結果、相対位置関係が著しく崩れて失中となります。これを引き止まり射法と言い、間違った射法です。

そしてその失中の対策としてリードを少しずつ追加して行きますと、予定よりかなり大幅なリードになりますが、やがて命中します。そして以後もその学習結果をベースに動的射撃(狩猟)が行われますが、残念ながら95%以上この引き止まり射法の範疇に入ります。引き止まり射法では低命中率に留まるのが普通です。ライフル銃の場合はマグレも期待出来ない程のダメ元射撃になります。

 1-2.照準:散弾銃には照準器が無く、銃身の上にあるリブが照準器の役目をします。
従いまして目はこのリブの延長線上に正しく配置しなければならず、その為には銃床の形状合わせが必要になります。人間の体格はマチマチであり、散弾銃は本来オーダーメイドである必要があります。
最近の銃ではクレー射撃用で部分的或いは全項目をアジャスト出来る様になっている銃もあります。


ストックの調整を自分の体格に合わせ、素速く構えてリブが正しく目の前に来る様にするのは大前提ですが、それを利用する早撃ちがスナップショットになります。
初期の頃はケンさんは間違って、正しく銃を肩に着けてから、素速く狙うと考えていましたが、正しくは次の様になります。

左腕を伸ばし、銃口を正しく指で指向する様に目標に指向しながら、体全体を最終発砲状態に移行し、銃はホッペをかすめて真っ直ぐに肩に引き寄せます。
こうしますと銃が肩に着く前にリブを通して目標が見え、その時点でもう命中要件を満たしており、撃つ事が出来ます。この肩に付く前に照準が完了する、これがスナップショットであり、実戦で最も役に立つ技術です。

しかし通常のハンターはこのスナップショットや後述のスナップスイングショットを理解しておらず、その技術を持っていません。その射撃法の違いによる成果の例として、我が地区の駆除チームは参加10名余でしたが、ケンさんの単独撃墜数はしばしば全体の過半を超えていました。駆除チームはケンさん引退後、飛鳥に対応出来るメンバーが皆無となり、成果を全く上げられないと言う情けない状態になりました。

銃が他の武器に比べて圧倒的に優れているのは、この調整されたストックのお陰で、西部劇の早撃ち並みのスナップショットで命中させられる点です。しかし95%のハンターがこのスナップショットの恩恵を受けておらず、また日本の火縄銃もこの優れた特性のストックを使わなかったのですから非常に勿体ない話です。

 1-3.引き止まり防止とスナップスイング射撃:目標が動いている時はスナップスイング射撃になりますが、 銃身で指向する時からすでに全身で追尾は始まっており、最終フォームに移行する体も勿論その範疇です。その状態のまま、銃を肩に引き寄せながらスイングを加速し、目標を追い越したタイミングで引き金を引く、これがスナップスイングショットです。
この様に肩に着く前に撃てばスイングが止まる事は絶対にありません。

それとは別の練習ですが、仮想飛行ラインに向けてスナップスイングしながら、3回引き金を出来るだけ速く引く素振りをします。行動が板に付くまでしっかりやりますと、引き止まり射撃から必ず脱却出来、同時に高速3連射もマスター出来ます。

スナップスイング+高速3連射、これが散弾銃の最大のメリットとなり、これで捕獲量は必ず10倍になります。体全体と銃で目標を指向&追尾、そしてそのまま肩に引き寄せながら、スイングを加速し、追い越した時点で引き金を引く、このスナップスイング射撃が正しいショットガン射撃の手法です。

反動を受け流す方法は体全体の力を抜き、しなやかな上半身を主体に反動を逃がします。
初弾発射直前には前足80%重心ですが、3弾発射後は後ろ足80%重心になっています。銃が跳ね上がらない様にするのは左手の役目で、下から引っ張ります。

反動を予測して受け様とするのがショットガン射撃ですが、ライフル射撃ではそれを全く行なわず、余計な力を全て排除し、銃だけに撃たせる様にします。

   ライフル銃の場合
 2-1.静的の場合:市販銃には150mでワンホール崩れ程度の能力があります。
このワンホールを出す為の射撃技術と言うのは実はなく、銃だけに撃たせれば自動的に出るモノなのです。しいて言えばブレる照準の中でどのタイミングで引き金を落とすかと言う「引き金術」が多少ある程度です。

ライフル銃不要の距離なのが特徴で、その為に真面目にライフル銃を撃つ練習をしていない人が殆どです。銃だけに撃たせればワンホールなのですが、未熟な場合は大きな的紙に当たらない事も珍しくはありません。

その原因は発砲の決意と共に銃の反動の受ける為に体に勝手に力が入り、その為に銃の照準がずれ、その頃に弾が出るからです。従ってライフル銃はなるべく人の手に関わらずに撃たせなくては当たりません。

半依託テーブル撃ちの場合、正しい撃ち方は次の様になります。
先台担当の左手は発砲時に銃を落とさない程度に手を添えるだけとします。
これが「持たず」になります。

グリップを握る右手は引き金を引く時に銃がブレる事を防ぐ為、薬指と小指だけでグリップを軽く握ります。中指は人差し指に連動しているのが原因で、中指には休んで戴く、これが「握らず」になります。

引き金は最低限の力とストロークで「そっと」ですが、「一気にガク引き」します。これが「引かず」になります。

ストックは肩に当てず僅かに浮かす又は極軽く当てる程度にします。これが「当てず」になります。

「持たず」「握らず」「引かず」「当てず」 これが銃だけに撃たせるコツと言えます。
これで相当な成果が出せると思います。

 2-2.全依託射撃:300m遠射にも使える銃に撃たせるテクニックで、ワンホールと300m遠射の達成の最短距離となります。銃の先台はサンドバッグやリュックの上に置き、空いた左手はバッドエンドを持ち、肩には全く当てずに数cm浮かして照準微調整を担当します。銃のグリップも条件が許せば握る必要はありません。引き金はトリガーガードとトリガーの間を撮む様に引く事もいけなくはありません。

これらは射撃場の実射からは絶対に達成出来ない技術であり、練習は反動の発生しないドライファイアーが有効です。体を車体側面で固定するボンネット射撃や、伏せ撃ちの地面等で体側と銃側の両方を上手く固定 出来ますと照準ブレは殆ど無くなり、300m遠射は命中して当然と思える様になります。

 2-3.ウォーキングショット:ゆっくり歩いている鹿に向けて撃つ事を想定しますと、鹿の移動速度を3.6km/hとすれば秒速では1mです。
それに対し弾の飛行時間は0.1秒程度、その間の鹿の移動距離は僅か10㎝程度、ならば急所の隣付近に着弾する筈で、その場には倒れませんが約30秒で死に至ります。
所が実際は大違いの結果であり、例外なくケツの僅か後方に着弾、極稀にケツをかすめる程度です。 

なぜこの様な事になるのか? それは映像を認識する時間、脳が撃てと指令を出すまでの時間、指令から弾が出るまでの時間、弾の飛行時間、これらの合計が「約1秒を要する」と言うのが、結果からの逆算です。

従って1m前を撃てば命中する事になり、少し前方に固定照準して待ち、間もなく入るタイミングで引き金を引けばこれも命中しますが、入った事を確認して撃ちますとケツの僅か後方の着弾となります。

と言う事は見えている事象は、動的ハンターに取って全て1秒前の虚像であると言う事です。ヨチヨチ歩きの子供にボールを投げますと明らかにボールが通り過ぎてから捉まえ様としますが、あれが本来の姿なのです。

年齢を重ねて行く内に自然に先を読める様になってボールはキャッチ出来る様になりますが、銃も弾着時の先を読める様にしなければ命中させられません。ケンさんはエゾ鹿に2000発を発射し、これが分かりました。

 2-4.スナップショットとスナップスイングショット:ライフルの精密照準は相当長目の時間が必要だと思われており、近距離の素速い照準はスコープの視野の狭さから不可能と思われていました。
しかし多少練習すれば、スコープ専用銃の近距離スナップショットはすぐに得意項目側に変わります。

西部劇並の早撃ちで命中させる事が可能となり、他の射法に於いてもスコープに目標を捉えるまでの時間は従来射撃法の1/10以下に短縮され、照準時間全体を著しく短縮する事が可能です。
ライフル銃のスナップショットもスナップスイングショットもショットガンの場合と全く同じ射法です。

但しライフルはパターンでカバー出来ませんからラフな照準では意味がなく、ショットガンの時よりももう少し精度を上げた指向が必要になりますが、考え方は全く同じです。
静止の近距離であれば銃身で指向し、引き寄せながらスコープから映像が得られた時点で撃てば命中し、移動的の場合は追尾後にスイングを加速し、追い越す時に引き金を引けば命中します。

弾の飛行時間を0.1秒とすれば、その間の鹿の移動距離は1m程度ですから、1m前を狙った継続スイングのままで撃てば鹿に命中しますが、銃を止めて通常照準で狙えば10m以上も前を走っている事になります。肝心な事はその時の鹿は絶対に肉眼では見えない事です。

移動標的を撃つ場合の見えているのは虚像ですから、虚像を狙って撃っても実体はそこに無いのですから絶対に命中する筈がありません。
走る鹿を撃つには「肉眼で照準して撃つ」と言う考えを捨てなければなりません。

 2-5.危険なライフル銃のリード射撃:リード射撃は相対位置関係を保ったままでスイングを続けますので、動的に対して肉眼でリードを確認しながら撃つ事が可能です。それは大きなメリットと言えますが、しかしその時の状況は、強度の視野狭窄症に陥った状態で鹿を追尾しており、銃の方向が危険領域まで及んでも本人には全く分かりません。

つまり流れ弾事故や誤射事故は単に確率だけの問題となります。
ライフルやバックショットの流れ弾は大被害です。
大物猟でのリード射撃は絶対に使わない様にお願い致します。

その点で似た様な事をしているケンさんのスナップスイング射撃ですが、発砲を決意してから一瞬で撃ちますので直前まで安全確認が出来、危険領域に銃口を向ける事はあり得ません。
昔の地元害鳥駆除時の話です。ケンさんは必要であれば電線の間からスナップスイングで墜とす事が出来ましたので、被害を受けている人からの依頼があれば、電線や民家の近くでも撃っていました。スナップスイング射撃ですから事故は起こさなかった事は言うまでもありません。

それを通常のスイング引き止まり射撃の他の駆除要員が真似をするので、相当数の電線切断事故や流れ弾事故が起こりました。当初は駆除中と言う事で送検は見送られており、反省や再発防止が図られなかった為、ケンさんを除く、概ね全員が事故を起こしました。

結果としてスイング中に危険領域が判断出来る人は皆無、やがて余りの数の多さに行政も堪忍袋の緒が切れ、事故を起こせば送検、銃を強制卒業された駆除員も多数出ました。この事実を見ますと駆除要員はスナップスイング射撃を特別に教育する必要性を強く感じました。

 2-6.銃はなぜ危ないのか?:一般のハンターは銃の装填にはそれなりの時間が必要であり、安全装置の解除にもそれなりの時間が必要であると思われており、実弾装填済且つ安全装置解済の状態で実際の渉猟が行われます。従って一触即発で暴発事故が起こると言うより、暴発は起こらない筈が無いと言えます。

そして全員が俺は暴発事故など起こす筈が無いと思い込んでおり、車に戻っても脱砲確認を行わないのが普通で、車内での暴発事故も数年毎に10名余のメンバーの誰かが暴発事故を起こしていました。初期のスクールでも概ね同率でした。

銃には何時も安全装置を掛け、装填と安全解除は発砲の直前に行い、発砲の可能性が無くなったら直ちに脱砲をする、これが原則なのですが、全く守られていない、これが現状です。

銃を構える時に安全装置を解除する事は可能か? 
答えは楽勝可能であり、その為の時間は不要です。

銃を構える時に装填は可能か? 
これも楽勝可能であり、その為の必要時間は甚だ僅かです。
これらの装填&安全解除は僅か数カ月の練習で身に付けられますから、絶対に行うべきと言えます。

原則通りの扱いをしたら捕獲量が激減するのか? 
その様な事は無く、中期以後のスクールでは原則通りの銃の取り扱いを義務付けました所、暴発事故は皆無となり、驚いた事に捕獲率は2倍に向上しました。

こんな事例もありました。装填済&安全解除済の通常ハンターと、未装填で安全装置の掛けたケンさんと早撃ち比べをしますと、ケンさんの方が圧倒的に速く、且つ圧倒的高命中率と言う結果が得られました。練習次第で楽勝大幅逆転が可能だったのですから、事故を減少させるのは指導と練習次第と言えました。

大日本帝国時代からの銃の取り扱い思想も間違っていました。38式歩兵銃はボルトのリヤエンドを手の掌で強く押しながら、90度廻さないと安全装置の解除が出来ません。これでは咄嗟の場合にすぐに外せないので事前解除が当たり前になりました。
現在の猟銃は全て欧米式で、咄嗟の場合に安全解除しながら銃を構えられる様になっております。



しかし日本で教わる内容は安全装置を過信してはいけないとだけであり、なるべく常時安全装置を掛けなさいとは一言も教育されていません。狩猟事故の分析では事前装填&事前安全解除を辞め、スナップショットを マスターすれば事故の90%以上を減少させられます。安全装置だけでも掛けておけば暴発事故を99%防止出来ます。この点では日本の銃行政を非常に残念に思います。

 2-7.上達には正しい指導と少々時間が必要です:バレーボールの話で恐縮ですが、上半身発達障害且つ スポーツ音痴且つ規格外反射神経0.7秒の鈍さと不利の塊だったケンさんは、運動会は何時もダントツのビリ、腕立ても懸垂も腹筋もゼロ回、スポーツは全て大嫌いでした。

名前だけ所属のつもりで当時は筆頭マイナーのバレーボール部に入部、知らなかったのですが、そこは名門クラブでした。一刻も早く辞めたかったのですが、通りの良い理由が中々見付けられず、結局は10倍の難関を乗り越えて卒業を迎える事になってしまいました。

上級バレーボールの末端のインターハイ等に参加出来ましたが、その特別な技術や体力は思ったよりも早く、不利の塊りからでも僅か1.5年間(累計543日、3800時間)で身に付きました。
ケンさんはこの名門バレー部からスーパー体力と諦めない根性を得まして、更にどうしたら一流になれるかと言う事をから学びました。

従って通常の同好会的バレーボール部とは基礎訓練の量が1桁違いますから、市民大会如きで負ける筈がありません。仕事や狩猟もそう言う考えで構成されていますから、一般人はライバルではありません。

ケンさんは中学生までは、我儘で体力不足で屁理屈の塊の、地元でも有名なダメ息子でしたが、名門クラブのお陰で、狩猟だけではなく仕事でも大きな成果を上げる事が出来、自慢の息子と言われる様になれました。

これには正しい指導を受けなければ育たず、又それなりの期間を要します。
「不可能への挑戦」と「石の上にも3年」がケンさんの座右の銘ですが、仕事も狩猟もどんな不可能項目も3年間頑張るつもりでいれば、経験的に1~2年で不可能が必ず可能側に変わります。

おかげ様でスポーツ人生の底辺から上級までを体験したケンさんは、そんな指導者としては最適任だと自負しております。

ケンさんは考えながら試行錯誤した為にかなりの時間を要しましたが、その結果は「狩猟大全集」に纏められており、とにかくそれに従ってやって見て3年続けさえすれば、必ず大きな効果が得られます。

上手くなって周囲の猟仲間や仕事仲間の鼻を明かしてやろうではありませんか。


  


Posted by little-ken  at 16:35射撃

2020年02月11日

正しいスナップショット。

銃は向けるだけではなく、狙わなければ命中させられません。
つまり照準を要する事になり、それにはそれなりの時間が必要と思われています。

これを少しでも短縮しようとするのがスナップショットであり、構えるや否や撃つと言う射撃技術です。
スナップショットの重要性に関しましては今までも事ある毎に書いて来ましたが、その手法を我がスクールの生徒や後輩達の動作で見ますと90%以上が間違っておりました。
構えるや否やと言う言葉が適切でなく、正しくは肩に銃が着く前に撃つ射撃術だったのです。

ケンさんも昔は肩に付けてからと思っていたのですから余り偉そうな事は言えませんが、間違った手法はまず銃を精密に肩に付け(これが間違いの1番目)、それから頭が前進して(これが間違いの2番目)ショットガンならリブ線、ライフルならスコープのクロスを通して照準を始めると言った手法でした。
肩付けを最重要視しており、それには慣れが必要、従って相当量の訓練が必要としています。

  1.正しいスナップショットの手法。
発砲の決断と共に全身は最終射撃フォームに1行程で移ります。
勿論頭はショットガンならリブ線、ライフルならスコープクロスを通して目標を照準出来る位置に、頭が銃より先に移動し、そこで待機しているのです。これが1番重要なポイントです。

そしてライフルでもショットガンでも全く共通ですが、腕を伸ばして銃身で正しく目標を指向します。
これが2番目の重要ポイントです。そして銃はホッペをかすめる様にして真っ直ぐ肩に引き寄せます。
すると頭はすでに先にその位置にありますから、チークピースが正しく調整されていれば、銃が肩に着く前から照準が開始でき、銃の方向が合っていれば肩に着く前に撃っても十分命中します。
この時に最も重要な事は肩付けの精度ではなくチークピースの調整です。

銃に対する慣れや練習量の問題ではなく、チークピースが正しく調整されていれば、銃の指向の練習は多少必要ですが、肩付けの練習は不要とすら言えます。チークピースの必要精度はmm単位です。チークピースさえ完璧であれば銃を目標に指向する事は自然であり、ホッペをかすめて銃を肩に引き寄せる事を含めて極めて自然に行われ、特別な訓練と言う程の物は何もありません。
これで引き止まり対策さえ完璧であれば、射撃技術としては完璧と言えます。

この様に全ての銃に対し、最も重要なのはチークピースの調整です。
高級散弾銃の世界では重要視されていましたが、特にライフル銃では全く軽視されていました。
スコープ専用銃にStdサイズのスコープを取付ければ、概ねチークピースの調整は済んでいます。

銃の実用化が始まって以来500年以上が過ぎ、各種発火方式、元込め式、金属薬莢式、連発式、無煙火薬、等々の数々の画期的な発明により、1900年代の前半には現在使われている全ての銃が完成しました。
1990年前後から始まったスコープ専用ライフル銃と言う考え方は、銃の歴史の中でも最大の発明だとケンさんは思っています。

  2.オープンサイト付のライフル銃。

こちらは1998~2006年まで愛用したライフル銃のH&Kオートの308です。
ヨーロッパではスコープ専用銃と言う考えは普及しておらず、銃のスコープマウントは純正の着脱式ですが、ストックのセッティングはオープンサイト用のまま、これではスコープに正しく目の位置を合わせられません。
そこで取り付けたのがストックの上の黒い自作部品、これが新設されたチークピースです。
このお陰で肩に銃が着く前に撃つ完全なスナップショットとスナップスイングショットが可能となりました。

  3.スコープ専用ライフル銃。

こちらの写真は2006~2018年まで愛用したサコー75バーミンター改の308の手動5連発です。
チークピースは無調整ですが、スコープ専用の本銃はチークピースの位置が完全にスコープに合わせ済みでした。本銃はH&Kで可能となったランニング射撃の初期が更に大幅に磨かれ、総合4倍の大幅パフォーマンスアップを、しかもオートより速い連射を達成すると言った快挙となりました。
また150m先を走る鹿の5発5中を3度記録出来ました。

  4.ショットガン。

こちらの写真は2017年のNZのパラダイスダックで使った現地レンタル銃です。
レミントン11-87の28インチ銃身のStd銃ですが、ストックにガムテープ重ね張りし約2mmでホッペの当たりを調整しています。その結果、2日目は85発から47羽、1.8発で1羽と言う我ながら信じ難い超高撃墜率が出せました。因みにケンさんのカモ撃ちプロ時代でも1羽捕獲には3~5発を要し、巷では25発撃って1羽捕獲なら上出来と言われておりました。チークピースの効果はこれ程までに凄いのです。

またケンさんは1993年からスコープ専用ライフル銃ルガー77のボルトの308を運用開始しました。
元々ショットガンのスナップショットをすでにマスター、スコープ付ライフル銃でもすぐにスナップショットは使える様になり、最初の捕獲は森の中の50m先を走るエゾ鹿の中型オスに対するスナップスイングでした。

  5.スナップショットは安全。
ある時スナップショットを実戦で披露した所、リーダーの目には安全確認無視の危険な乱射に見えたらしく、ちゃんと当たったから良かった物の、その様な危険な撃ち方は2度とするなと酷く叱られました。ケンさんは反論せずに黙って聞き流しましたが、勿論方向や矢先等々の安全が十分に確保され、決意実行したスナップショットである事は言うまでもありません。
そしてヒットも決してマグレではなく、ちゃんと狙ったのですから当然の結果として命中したのです。

その後、速射5連射から2頭捕獲を複数回成功させるとやっとリーダーから認められましたが、自称走る鹿の連射名人であったリーダーには自分より速い速射や連射で走る鹿にも命中させられる射手がいる事が信じられなかった様です。そのリーダーのランニング射撃は何と肩付けのままボルト操作、最大射程100mの固定待ち射法でした。それでも撃てば殆どがヒット、しかし回収率はケンさんのスイングショットに比べて大きく劣る30~40%程度でした。リーダーはその後まもなく営林署の仕事で倒木に挟まれ事故死しました。

スナップショットは銃を構える直前に方向が安全である事だけを確認しますが、実は常時から今ならここまでは発砲可能、ここからは撃たないを確認して決めておき、いざ発砲の時はその安全範囲にある事と、直接の獲物の奥だけを再確認し発砲します。従ってスナップショットの方が安全度は1桁以上安全度が高くなります。通常射撃では速めに構えて照準しますので視野狭窄症に陥り、特に鹿が移動していると照準追尾している内に危険範囲に入った事に気が付かず、獲物を目にすれば発砲したくなり危険発砲をしてしまいます。


  


Posted by little-ken  at 16:38射撃ランニング射撃銃と弾

2019年08月31日

ショットガンの撃ち方

皆さんのショットガンは当たっていますか?  実は特別の訓練をしない限り、95%は銃の反動に身構えて体が勝手に反応して固くなり、その結果として銃のスイングが止まってしまう引き止まり射撃に陥ります。

これも慣れればソコソコ当たりますが、引き止まり条件が僅かでも違ってくると途端に命中しなくなり、何処を撃っているのか分からなくなってしまう欠点を持っています。
正しい射撃をすれば必然的に2/3前後は命中し、調子の悪い日もそれなりに善戦出来、また更なる上級テクニックも求められます。ここでは正しいショットガンの射撃方法を説明したいと思います。

さて銃は2種類があり、主に50m以内の近距離の動的を撃つショットガンと、主に100m以遠の遠距離の 静的を撃つライフル銃があります。サボットスラグ銃は運用方法からここではライフル銃側に分類されます。

散弾を撃つショットガンは獲物によってその散弾粒の大きさを変えれば、小鳥からヒグマまで国内の全ての獲物と勝負出来ますが、最大射程は50m以内(実質20~30m)に限定されます。ブレネッキ弾等の改良された1粒弾を撃てば80m程度まで、またサボットスラグ銃では120mまでの実用射撃が出来ます。

   ショットガンの最大のメリット
ショットガンのメリットは散弾をバラ撒く事でショットガン効果(複数被弾複次効果)を期待出来る事です。それは3粒以上が命中すると急所でなくてもショック死を起こす事であり、その1粒の必要エネルギーは大丈夫かと思う程小さくても有効弾となる事です。その考え方を利用すればとにかく粒数の多い弾の方が効果大となります。と言って小鳥用の超小粒弾で鹿を撃っても鹿皮を貫通出来ませんから無効弾となり、少なくとも皮下の神経組織まで十分に達するパワーは不可欠です。

我が国の狩猟鳥の最大はカルガモクラスでありますが、狩猟読本による奨励弾は3~4号となっておりますが、ケンさんのカモ類5000羽以上のプロの実績から言いますと直径2.4mm粒が約400個の7.5号弾から最高撃墜率が得られました。また小型鳥のヒヨドリやタシギクラスならば2.0mm粒が約650個の9号装弾、各々32gのStd装弾がベストです。フルチョークと組合せますと50m程度まで有効となります。

ただ小粒弾は弾速の途中低下が著しく、距離の増加に従って比例的にではなく2乗的にリードを大きくして行かないと、パターンが後落してしまいます。正しくパターンを掛けられれば、撃墜率は大幅に向上するのですが、大粒弾を撃っているのと同じ感覚で撃ちますとパターンの端しか掛からず、だから小粒は非力で ダメなんだと言う間違った結論になってしまいます。その結果として装弾の選択は大粒側に移行します。

大粒側に移行するとリードは少なくても命中しますから一見すると当て易くなった感じがしますが、弾粒が少な過ぎてショットガン効果が起こりませんから、良い所に命中した時以外は半矢で飛び去られてしまい ます。そしてこれを見てこれもパワー不足だと言う事で、更なる大粒弾側に移行してしまいます。これが普通のパターンで、ケンさんも初期にはこのパターンに陥りました。

7.5号弾より大粒弾となりますと、6号装弾は2.8㎜が250粒、4号装弾は3.3㎜が150粒、BB装弾は4.6㎜が 僅か55粒、4号バックショットは6.1㎜が27粒となっており、50m射撃ではどの弾をどんなチョークと組合せてもショットガン効果が期待出来る3粒以上の被弾は期待出来ず、著しい総合効率の低下を招きます。
ショットガン効果が期待出来なければ殆ど意味がありませんから、そのクラスの装弾は不要だと言えます。

   ショットガンの欠点
ショットガンはフルチョーク時30mで直径1m弱に広がり、その中央2/3が有効となり、多少狙いがラフでも命中し、また移動的ではそのリード設定が多少ラフでも命中するメリットはありますが、散弾は弾速が遅い ので相当大きなリードを取らないと命中しません。更にベスト効率の小粒弾は空気抵抗による途中弾速低下が著しく、更なるリードの追加を要し、最早ベラボーと言える程の大きなリードで撃つ必要があります。

射程を30m、平均弾速を200m/s、カモ速度は50km/hとすれば、概略計算で2.1m前と言う事になります。抜群に弾が撃てるカモ猟場に3名の新人を案内した事がありますが、1羽を撃墜するのに使った弾は平均で約300発でした。数m前を撃たなければ命中しない事が分かっていても、直径60cmの網を飛ぶ鳥に被せる事はこんなにも難しいのです。それ程までにリードを合わせる事が難しいのがカモの遠射です。
そしてこの難点をカバーする為に、ケンさんは考案しましたのが、後述説明の高速3連射でした。

   鹿用の散弾
散弾装弾の表には10~1号の鳥撃ち装弾、その上がB-BB-BBB、更にその上にA-AA-AAAが一応 あります。更なるその上が獣用のO-OO-OOOとなります。
ゼロではなくオーと読み、OOはダブルオーバックと言います。バックとは鹿の事です。

大粒散弾はAAAでは5.8㎜、OOで8.4㎜粒が9粒、OOOでは9.1㎜粒が6粒、4号バックショットは6.1㎜が 27粒となっており、ショットガン効果を大粒弾側は全く期待出来ませんが、この4号バックだけは期待出来ます。近年はAAAと4号バックの中間に6㎜弱の5号バックとも言われる装弾が追加設定され市販されています。本州鹿の射程距離は20m前後ですから、4~5号バックにチョークはインプシリンダーがベストです。

   散弾銃動的射撃の敵
動的のショットガンと静的のライフル銃の2つは全く性格が違い撃ち方も違う様に思えましたが、やがて動的をライフル銃で狙う様になりますとその撃ち方は共通である事が分かりました。
共通点はフリンチングが共通の敵と言う事でした。ショットガンの移動射撃では大切なスイングが止まって しまいリードが合わなくなってしまい、静的のライフルではそれが照準をずらして発射となってしまい、時には50mで50㎝の的紙に命中しないハンターも珍しくありません。

先の説明時と同条件で飛ぶ鳥に命中させる事を考えてみましょう。射程を30m、平均弾速を200m/s、カモの飛ぶ速度は50km/hとすれば、概略計算で2.1m前と言う事になります。
これに命中させるのは2つの方法があります。1つは2.1m前を狙ったままのスイングを乱す事無くキープしたままで引き金を引くリード射撃と言う方法があります。

2つ目は目標をスイングで追い掛け、追い越した時に引き金を引くスイング射撃です。
追越した時に引き金を引いても、弾が出るまでにはそれなりの反応時間が掛かり、そのオーバースイング量がリードになるのです。結果的にはこの延長でライフル銃のランニング射撃も可能となりました。ライフルによるランニング射撃は150m先を走る鹿に対し、何度も5発5中が出せた程の命中率でした。実際は特別な訓練をしなければ反動に体が勝手に構えてしまい、散弾銃のスイングが止まってしまいます。

スイングが止まってしまえば命中率は激減してしまいます。
これを引止まり射撃と言いますが、散弾銃時は巷の95%以上がフリンチング未対策ですから、間違いなく引止まり射撃になります。ライフル銃でもフリンチングの害は非常に大きく、巷のハンターの95%以上がこれにより勝手に照準がずれた発砲となり、本来のライフル銃の本来の性能は300mの実用性がありますが、これと比較すれば恐ろしく不出来となり、場合によっては50mの実用性すら危うくなります。
旧技能講習で本州ライフル所持者の70%以上が不合格だった原因もここにありました。

勿論先のリード射撃に於いても本来のリードは2.1mですが、引止まり射撃で同じリードでは絶対に命中しません。引止まり射撃で命中させられる場合は引止まり分だけのリードを更に増さなければ命中しません。銃のスイングが止まった僅かな時間と言うのは不明ですが、獲物は14m/sで移動しますから、その追加リードも結構大きな量になります。慣れれば引止まり射撃でも、調子が良ければかなり命中させられますが、好不調の波が大きい、これが巷の一般のハンターの特徴です。

   5継続スイングの練習
引止まりは反動によって起りますから反動のある実射練習を控えます。素振りとイメージトレーニングを組合せて体に射撃とは反動を伴わないと言う事を実射の千~万倍の回数で体に教え込んでやります。次いでに6項のリード不足対策の高速3連射の練習を1部兼ねますが、敷居の線とか天井の線に沿って、スナップスイングをしながらスイングを止める事無く、引き金を出来るだけ速く3回引きます。
色々な方向から遠ざかる場合は近寄ってくる場合や、横切れの場合等々を想定し素振りを繰り返します。

これが板に着くまで実射はしません。そんなに実射をしなくても大丈夫なのか? 
ハイ、絶対に大丈夫です。ケンさんはその当時まだ貧乏で射撃場に行くお金がありませんでした。それでひたすら素振りとイメージトレーニングを9か月間繰り返し、来るべき11/15の解禁日に備えました。射撃場は1度も行かず、この繰返しだけで数年後には近隣の誰にも負けないプロのカモ猟ハンターになれました。実射する時はイメージトレーニングを思い出しながら、実射を行なわないと反動によるフリンチングがすぐにブリ返します。

   リード不足対策の決め手は高速3連射
前にも書きましたが、射程を30m、平均弾速を200m/s、鴨の速度は50km/hの相対角度90度の横切れとすれば、リード量は概略計算で2.1m前と言う事になります。
スイングを止めずに2.1m前を撃てば命中します。

ところが実戦では相手までの距離や目標の速度も全て目測ですから軽く見て20%以上多めに見て±2倍前後の誤差が含まれ、更に相対角度の問題があり、弾速も距離に対して2乗的に遅くなり、特に距離が遠くなりますとリードの設定は直径60cmのネットを1発で掛ける事は絶望的に難しくなります。しかしそれでもパターンをまともに掛ける事が出来れば十分に撃墜可能です。

ショットガンは3連発が可能ですが、普通の連射ではその間に飛行データが変わってしまい、その都度リードを考え直さなければなりません。結果として普通の3連発ではとてもカバー出来ず、俗に言われているのは1箱25発を撃って1羽撃墜 出来れば、悪くないと言われております。
初期にはケンさんもそんな程度でしたが、これを大幅に高める方法はないのか?  
ケンさんは考えました。そして考えたのが次に説明する高速3連射です。

カモの飛行線上に連続して3つのショットコロンを置き、そこにカモを飛び込ませ様と言う作戦です。
通常はパターンだけを言いますが、着弾の結果がパターンであり、実際の散弾群は直径1m強、長さ2~3mとなって飛行しているのであり、その集団をショットコロンと言います。

平面的なパターンだけで言えば直径1mの内の中央の60cmが有効ですが、3発を少しずつダブらせて、80cm間隔で撃ちますと、通常はパターンが薄くなって有効でない部分も2発合わせれば有効側となり、長さが220cmにも及ぶ幅広の有効パターン群が得られます。
通常は直径60cmの網をカモに被せ様としておりますが、これが220cmの細長い網になったのですから、有効度は丸々3.7倍になった計算になります。

この高速3連射をマスターしてから、ケンさんの撃墜率は約3倍に向上しました。
更にこの3連射を群に対して掛け方を工夫しますと1回の3連射から3羽前後が撃墜出来る様になりました。
命中率が3倍になり、更に3倍の撃墜数が可能になった訳ですから、総合的には9倍の効率がアップした事になります。高速3連射の技は更に留まる事を知らず、最終的には近距離の一斉飛び立ちの中から、希望する良い獲物だけ3羽を選んで撃墜出来る様にもなりました。

   高速3連射の反動対策
銃身は上部にあり、反動を受ける部分は10cm程下方ですから、撃てば反動で銃身が跳ね上がって当然です。反動その物は無くなりませんから、これの受け方と言うか受け流し方を工夫しなければなりません。秘訣は跳ね上がりを防止する部分と受け流し方の部分に分かれますが、跳ね上がり防止法は非常に簡単です。跳ね上がるタイミングに合わせて先台を持つ手を下側に引っ張って跳ね上がりを相殺させます。
スムーズなスイングをキープしながら、そうなる様にイメージトレーニングを繰り返します。

次に反動の受け流し方ですが、基本的には膝を少し曲げた姿勢で肩幅より多少広い前後のスタンスで、発射直前には体重の80~90%は前足に掛けた状態からスタートし、3発目射撃終了後にはその殆どが後足に移っています。1歩前に踏み出しながらスナップスイングショットで1発目を撃ち、体の前進パワーはここで止まります。以後はスイングの軸線をキープしたまま、スイングを継続しながら、撃つ都度に自然に上半身全体が自然に後退し、体の重心が後ろ足側に移って行くイメージトレーニングを繰り返します。

イメージが完成すれば、任意の軸線に沿った高速3連射が完全に出来る様になります。
これで命中率は3倍に向上し、更に色々を工夫すると更に3倍を撃墜出来る様になります。
ケンさんはそれが出来る様になったおかげで、カモ撃ちのプロになる事が出来ました。

   決め手のベースは「スナップショット」
順番が少しずれましたが、基本中の基本はスナップショットです。これが出来なければ全てが始まりません。スナップショットは肩に銃を付けてから速やかに撃つテクニックと初期には考えていましたが、それは間違いでした。またスキート射撃の様に最終フォームの肩に銃を滑り込ませるのでもありません。スキート射撃は実戦向きな感じを受けますが、スキート競技は実戦には全く役に立ちません。

正しいスナップショットは次の通りです。
発砲を決意したら体全体が一瞬で最終フォームに移行します。銃は銃身で指差す様に指向し、安全装置を外しながらホッペをかすめる様に肩に真っすぐ引き寄せます。眼は既に先に最終位置に来ておりますから、銃が肩に着く前からリブを通して目標が確認出来ます。

つまり肩に銃が着く前から基本照準がすでに完成しており、肩付け前に撃っても命中します。
標的が動いていれば、体が先に追尾を開始しており、そこに銃が入りますので、いきなりスイング射撃が可能となります。これが正しいスナップショットであり、スナップスイングであります。
前提条件は正しく調整されたストックと、十分な回数のトレーニングです。

スナップショットのトレーニングはひたすら素振りです。まずは最終フォームを体に覚え込ませます。
そこから銃を外し、再度銃身による指向から、肩に向けてまっすぐに銃を引き寄せ、再度フォームを完成させます。これをヒマさえあれば練習し、3000回程やりますと多少サマになって来ます。
3万回程行いますと概ね完成ですが、100回/日で300日、約1年で完成します。
色々な方向にも対応出来る様にし、次いで動的にも対応出来る様にします。約3年で全てが完成します。

尚、正しいスナップショットは西部劇の早撃ち並で撃っても、チャンと矢先の安全確認をし、目標に正しく銃を向けて照準をしておりますから 失中する事も事故る事もありません。
これが出来る事は一生の財産となりますから、手抜きする事無くトレーニングに励んで下さい。
そしてこれが全ての実戦射撃の基本となります。スナップショットを手抜きすれば、その後の上級練習も真の上達は出来ません。それ程までに重要な技術であり、ライフル射撃でもその重要度は変わりません。

鳥撃ちとエゾ鹿撃ちはどちらが難しいか?  圧倒的に難度が高いのは鳥撃ちでした。
スクールに於きましても積雪初期頃にはエゾ雷鳥やマガモの渡りに会う事がよくあります。これを撃ち獲ろうと多くの生徒(エゾ鹿累計20頭前後)が散弾銃を持ち込み挑戦しましたが、唯の1人も成功しておりません。

エゾ雷鳥猟やマガモ猟に成功したのは基礎の出来ているケンさんだけだったのです。
ケンさんの知る限り、本物の名人はライフルもショットガンも両法が上手いハンターでした。
また小物猟との楽しさの比較に付きましても、甲乙は付け難いと思います。ケンさんも鳥撃ちは大好きです。

   正しいストックの調整
ストックには長さを始めとする色々な調整項目がありますが、最も重要なのはホッペの当たり具合です。言葉を変えればリブの延長線上に正しく目が来る様にすれば良いのです。

写真はNZのカナダガン猟です。9発から7羽の捕獲と驚異的撃墜率を出す事が出来ましたが、秘密はストックに張ったガムテープにあります。

写真のNZダック猟時も黒いテープで同様に調整しています。左右的にも上下的にも僅か2mm程度の物ですが、これで正しく目がリブの延長線上に来る様になり、1日を通して1.8発/羽と言う高命中率を出す事が出来ました。レミントンは大柄なアメリカ人用にストックが設定されているので日本人には再調整が必要なのです。

よく調整されたレミントン11-87はきっと良い結果をもたらしてくれる事でしょう。
引き止まり射撃で大粒弾を適当に前を撃っても多少なら墜ちますが、より楽しみたいなら上級射撃に移行出来る様に正しいショットガン射撃をマスターし直されたら如何でしょう。

1970年当時はケンさんの月給が3万円時にカモは1000円弱/羽で売れました。
キジやマガモのオスは3000円/羽で売れました。
毎朝定数8羽で5000~10000円になり、これで随分旅行に行けました。
なお聞いた話ですが本州鹿は3~5万円/頭、猪は5~10万円/頭と聞きました。
その昔はもっと高かったと言います。


  


Posted by little-ken  at 15:55射撃ハンティング

2019年07月16日

悟りの心作戦

人生にはやりたい事、成功させたい事は世の中にたくさんありますが、現実には捕獲したいと思うから捕獲出来ない、当てたいと思うから当たらない、儲けたいと思うから儲からない、そうなって欲しいがそうなってくれない、世の中の常は何時もこんな風に最初から相場が決まっています。

銃は元々当たる様に出来ており、素直に撃てば命中します。ところが素直に行かない理由はたくさんあります。本数鹿の巻狩りの逃避コースで待ち受けても、射手が来たらブッ殺してくれましょうと「殺気」をバラ撒くので鹿に先に感付かれて視程外で逃げられます。エゾ鹿猟に於いては獲物にも逃げる権利がありますから、早く撃たなければ逃げられます。だからと言って焦って早撃ちすれば命中しません。またエゾ鹿は100~150mに生息し、それを遠いと思えばそれだけで命中しなくなります。

ケンさんも本州鹿巻狩りでは9年目の出撃累計70余日まで連続敗戦が続きました。その捕獲成功の当日まで 何もしなかった訳ではなく、考えられる事を全て試しましたが、何一つ効果は得られませんでした。

捕獲成功の当日はもう思い当たる改善項目が無くなり、「どうせ今日も獲れっこない」とフテ寝をしておりました。その結果、「殺気」のバラ撒きはなくなり、鹿は近くまで来て下さり、自らの「気配」が低下していた為に鹿接近の「気配」には気が付き、スナップショットのイージーショットで射獲成功となりました。

  「禅の心作戦
この結果から勝利の方程式を作りました。つまり鹿を捕獲する為に狩猟に来ているのですが、その心を表には出さず(殺気を発しない)、物陰から伺わずに丸見えの位置で仏像の様に微動もしない(気配を低下させる)、そしてキョロキョロ見張らずに瞑想する(心を平静にする)、こうすれば鹿が来れば気配で自然に分かり、射撃自体はスナップ射撃が出来れば極めてイージー射撃となります。これを「禅の心作戦」と名を付けました。

「禅の心作戦」はどこまで有効かを試しました処、2mと5mまで鹿を寄せられましたから、この作戦は完璧でした。鹿の眼は左右に付いており、視力は良いのですが欠陥があり平面的に見え、丸見えの位置でも大木等を背に微動もしなければ、発見される事は無いのです。あれ程獲れなかった本州鹿ですが、「禅の心作戦」に徹したところ3週連続で捕獲成功、巻狩りグループ内最低のゼロだったケンさんの捕獲率は翌年から平均値の5倍のダントツのエースとなりました。捕獲し様としない「禅の心作戦」が捕獲には最も効果的だったのです。

  「悟りの心作戦
仕事もサラリーマンを辞めて自前ビジネスに切り替えましたが、それも儲けたかったからではありません。自ら考えた手法の方が優れている事を証明したかっただけなのです。その結果、浮いた時間で狩猟をたくさんしたいと考えました。

そして自らのアイデアで能率は予定通り10倍前後となり、最盛期は年間に60日の狩猟をする事が出来ました。そして結果的には収入が追い掛けて来まして、10年少々を働いただけですが、約100倍の収入となり、サラリーマンの一生の10倍程を儲ける事が出来まして、以後は仕事卒業を10年早めて青春時代にやり残したテーマを潰して来ました。これは「禅の心作戦」と同様、開き直りの「悟りの心作戦」でした。

走る鹿に対し命中させる事は夢でした。走るエゾ鹿に対し1シーズンに45日間出撃し、約1000発を鹿に向けて撃ちましたが、命中したのはマグレ藪頭のみでした。
カモ撃ちのバイト射撃では多数の実戦から自然に飛鳥射撃の技術を身に付ける事が出来ましたが、走るエゾ鹿に対しては慣れとか技量不足とかそう言う問題ではなく、射撃理論が間違っていると感じました。

  「見ないで撃つランニング射撃
弾は200mまで落差無視の高精度直撃飛行するのですから、鹿の正しい未来位置にどうやって照準を合わせるかが問題です。考えた結果、肉眼で見えている映像は古い虚像ではないかと思う様になりました。

つまりそれで言えば走っている真の映像は見えないと言う仮定になります。
もしそうであれば虚像を目視照準しても実態はそこにはないのですから、絶対に命中する筈がありません。この考えで真の実像は何処にあるのか、それをどうやって照準するかを考えました。

肉眼には見えない目標ですが、1秒以内のほんの僅か前にはそこを通過した事実は完璧です。スイングで追い越した適当な時点が、見えないその未来位置に銃口方向が達する可能性が十分にあります。それは見えない目標ですから見て撃たない事に改めました。ここでクレー射撃のスイング射撃に当て嵌めて考えてみました。ショットガンでも目標を追い越してからは目標を見ないで撃っています。
この延長で精度を向上させれば弾速が3倍ですから、100m強位までなら命中しそうな気がして来ました。

試行錯誤の結果、目標を1度追尾し、安定した所でスイングを加速、クレー射撃と同様に追い越した所で引き金を引きました。倒れませんでしたが、胴体に命中しました。銃は連射性の良いH&Kオートでした。
そのまま同様の連射を続けますと3発目被弾と同時にひっくり返りました。ショットガン効果で3粒以上命中の条件が整ったからでした。リード不足でしたからスイングの加速をもう少し強める事にしました。

結果的には限界距離は100m程度、50m前後を走るエゾ鹿に対し、5発強で1頭の捕獲が可能になりました。
こうして3シーズンの約90日間に約3000発をエゾ鹿に向けて撃ち、ランニング射撃が完成したかに見えました。しかし実はまだまだ未完成だった事が後刻に分かりました。

それはH&Kオートでは300m遠射が未達成で、次なるテーマは300mの遠射とし、その為に銃を高精度のボルトアクション銃に換えました。その為にはランニング射撃の連射性能は諦めるつもりでした。

300m遠射は全依託射撃をマスターする事により、簡単に達成する事が出来ました。
そして諦めていたランニング射撃ですが、撃ってみるとH&Kオート時代より良く当たりました。しかも初弾だけではなく連射ですらオート時より良く当たり、且つオート時よりも速く撃てる事に気が付きました。そこでデータを取りますと200mでも命中率の低下は余り無く、2.7発で1頭を捕獲している事が分かりました。その翌年には更に命中率が大幅向上し、念願の5発5中を3度記録する事が出来ました。

つまり、ランニングの連射に最も向いているのはオートだと思ったのですがそれは間違いでした。考えればオートは撃つと反動で目標を見失い、再度これをスコープに捉え直してからスイング加速に移る射撃をしていました。
それに対し、ボルトでは撃つと銃を肩から降ろして再装填しながら再肩付けをしますが、体自体が追尾を続けておりスナップスイングで肩に銃が入るや否やでスイング加速が始まるのでオートよりも早く撃てたのでした。
そして目標を見失う事がありませんから、精神的な不安が無くなり、命中率が向上したと思われます。

こうして見えない虚像相手ですから目視照準する事を諦め、見ないで撃つ様に考え方を改めました処、新しいランニング射撃理論が完成しました。このランニング射撃では見ないままで思い切り良く引金を引けば、胴体位なら距離に関係なく必ず簡単に命中します。そうでなければ5発5中が何度も達成される筈がありません。

この新理論によるランニング射撃も、当て様としない「悟りの心作戦」と言えばそうなります。人間の能力は猟犬頼みの一般のハンターに比べ、心の持ち方次第で無限の可能性がある事が分かりました。
  


Posted by little-ken  at 09:49射撃ハンティング

2019年01月20日

マグナム銃 & カスタム銃 不要論。

筆者のブログ等で現在はカスタム銃を不要と論じていますが、実は未熟時代の筆者はそれを購入したいと思っていました。しかしそれが高額故に取敢えず先送りしている内に市販銃の 精度が高くなり、且つ色々な事が解かる様になってそれらの複合から不要論に至りました。
マグナムに付きましては後述で説明しておりますが、これも不要論です。

  1.スラグ銃は当たらない。
ライフル銃は命中率が命、遠距離に於いても急所に命中させなければ意味がありませんから命中精度は絶対に高い方が良く、カスタム銃は命中精度の向上に主眼が置かれていました。
ライフルの狩猟を始める前、筆者も将来は高精度のカスタム銃を購入するつもりでした。
そして同様に猛獣ヒグマ猟にはかなり強力なマグナムは必要と考えていました。

そんな夢を抱いて本州鹿巻狩り用に最初に購入したのは資格問題からノーライフルの20番のレミントン1100、俗にライフルサイトと言うオープンサイト付のスラグ専用銃でした。
撃ってびっくり、スラグ弾が命中しないのです。50mで50cm角の的紙に向けてテーブル撃ちをして的紙に目一杯広がってしまい、一口に言えば50mの実用性は全くありません。
未熟ながらあれこれ試行錯誤の末、数年後には50mで10cm位なら当てられる様になりました。


   レミントン1100スラグガン20番、         レミントン742ライフル銃30-06

その頃、安い中古ライフル銃が出ましたのでその資格を取得し、これを試す事にしました。
レミントン1100のそっくりさんの742(現在の7500系列)と言うモデルで30-06でした。
当時は現在からすれば信じ難いのですが、スコープ銃は遠射には有利ながらも、視野が狭く総合的には使い難く、オープンサイトの方がまだ有利と思われていたのです。

  2.ライフルも当たらないのにびっくり、しかし当たる銃もありました。
ライフル銃なら圧倒的な高精度と思っていましたが、初射撃とは言えノーライフルのスラグ弾にも負けてしまう程度の精度しか出せませんでした。これには驚きました。
勿論数年後にはスラグ時代の半分程度まで精度は向上しましたが、それでもまだ50mで5cm程度、何とか100mの実戦能力がある程度でした。
この一連の経験でライフル射撃には技術が絶対に不可欠と言う事がよく解かり、高精度の銃だけでは何の意味もない事もよく分かり、まずは射撃技術を向上させようと強く思いました。

そして数年後、ハワイで実弾射撃する機会がありました。
ここでは色々な銃を撃つ事が出来、未熟な腕ながら、銃にはよく当たる銃とそうでない銃がある事が解かりました。アメリカ製のM1カービン、M1ガーランド、M14、M16、そしてロシア製AK-47は当たらない側の銃でした。 当たる側の銃は中国製のSKSカービンでした。その差は非常に大きく、ならばカスタムライフルはやはり非常に有効と思いました。


    中国製SKSカービン            ルガー77 308

1990年頃から銃の世界の流れが変わり始めました。1つ目はスコープ専用銃がデビューした事、2つ目はステンレス、3つ目はこの頃から命中精度が格段に良くなった事でした。
カスタムライフルに対する憧れはまだ強く持っておりましたが、高額故に取合えず見送り、 安価な18万円のルガー77スコープ専用銃ステンレスを購入しました。運用後すぐに分かった事はスコープ専用銃がオープンサイトより遥かにスナップショットやスイングショットに使える事でした。またスクープは安物でも十分に機能する事でした。

銃の仕様を決定するに当たって、本州鹿巻狩りでは9年間も重いレミントン1100オートを只々担ぎ続けました。それで銃と言う物は撃つモノでもあるけれど担ぐモノであると言う 認識が強く、ルガー77は軽量モデルを選択してしまい、重い軍用銃のSKS程の命中精度を出せませんでした。もしこの時バーミンターのヘビーバレルモデルを選択していれば、すでにこの時に究極のライフルに手が届いたのかも知れません。

  3.口径の迷い。
アメリカで最も多く使用されているのは30-06、しかし新銃で最も売れているのは308です。前者は1906年に制定、後者はその約50年後に制定された軍用弾で、2つの寸法はかなり違いますがパワーは5%違いの同目的類似弾です。筆者は無条件で新しい308を選びました。
308は12mmの生鉄板を撃ち抜き、生身に対して1m近くまで侵入します。
エゾ鹿級なら楽勝の余裕で急所に到達します。そう思っておりましたのでエゾ鹿にマグナムを使う事は当初から考えませんでしたが、ヒグマ猟にはマグナムが必要かと考えていました。

しかし後年に色々を勉強する事により308でヒグマでも大丈夫かと思う様になり、更に数年後には実際に450kgのヒグマと対戦して1発で決まり、更には後年アフリカ猟に於きまして体重500kg以上でも楽勝有効だった事を確認しました。
308は予想以上にパワフル、マグナム不要論に至りました。

  4.走る鹿にはオートが有効と思いましたが、それは間違いでした。
エゾ鹿はこの頃50~100mにおり結構獲れましたが、数年後には走る鹿が多くなり、これを捕獲しようとH&KのSL7と言うセミオート銃を購入しました。
ボルトライフル並によく当たると言う謳い文句でしたが、珍しく本当に高精度でした。
数年後150mの5発テーブル撃ちが12mmにまとまりました。
また90日の実戦と3000発の弾薬消費から走る鹿向けのスイング射撃が確立出来ました。

ならばこれが究極の銃かと思われましたが、安全装置は左手側にあり、車両内は無装填で待機しなければならないエゾ鹿猟では使い難く、且つ危ない銃でした。
また本銃のグルーピングは良いのですが、毎回数cm着弾がずれる特性を持っていました。
実際はその程度の誤差であれば300m遠射は成功する筈ですが、心にそう言う定まらないと言う不安があった事から300mは唯の1度も成功しませんでした。

ライフルマンが究めたいのは150mのワンホール、ランニングショット、スナップショット、150mアバウト早撃ち、300m遠射、迫力負け、恐怖負け、ペナルティー恐怖負け、の8項目ですが、H&Kオートでは前期の様に150m射撃のワンホール、やや不完全ながらスナップショットとランニングショットの3項目が達成出来ました。
逆に言えばまだ射撃技術2項目と心側の対応技術3項目の計5項目もが未達成でした。


    H&K SL7オート308                サコー75バーミンター改308

  5.新世代ボルトアクション銃で憧れの全項目を達成。
H&Kオートを10年程運用している内に新世代高精度の銃が概ね出揃いました。
それで筆者は残る5項目を究めたいとボルト銃を再検討しました。
それでレミントン700を只で譲り受け、1年間試験運用しました。結果は安全性と射撃の安定性に優れ300m遠射も複数回達成、ボルトアクション銃を再度購入する事にしましたが、対象は装填不良の多いレミントン700以外としました。新世代市販銃では市販弾薬でも150mのワンホール直前の精度があり、憧れだった高精度カスタム銃は最早不要に思え、購入は中止しました。

選んだのは安全装置の操作性とボルトのミドルポジション保持が良好なサコー75バーミンター、これを独自に短縮軽量化し「改」としました。
その成果は目覚ましく、銃をサコーに換えた初年度の内に遠射はもちろんですが、迫力負けを克服し超大物エゾ鹿もバッタバッタと倒せる様になり、恐怖負けも克服し待望のヒグマ勝負にも勝てる様になりました。スナップショットやランニングショットでは5発5中を始めとし、従来より更に大幅に完成度を高める事が出来ました。
高精度カスタム銃はこの時点で完全に不要と断言出来る様になりました。

僅か1年でこれ程までの成果が上げられたと言う事は、やはり市販銃にも使い易い良く当たる銃とそうでない銃がある事が改めて分かった次第です。
尚、ランニング射撃もボルトの方が結果的に圧倒的に高性能であった事は本当に意外でした。
そしてH&Kオートは究極の銃はではない処か、最も役に立たない銃であると言う事も副次的に分かりました。当初の予想とはまるで大違いでしたが、使いこなすまで分かりませんでした。

究極の銃はボルトアクションのヘビーショートバレルの銃に安価な6倍スコープを付けた銃で、簡単に且つ普及価格で入手出来るのは良い事なのですが、運用技術がなければ全く役に立たないのは言うまでもありません。
そしてこの運用技術は一朝一夕には築き上げられません。
究極の銃以外を使えば更に遠廻りをする事になります。
筆者も随分遠回りでしたが、おかげ様でこの究極の技術習得が銃の卒業に間に合いました。
  


Posted by little-ken  at 09:35射撃銃と弾

2019年01月03日

究極の射撃技術&狩猟技術。

先回のレポートで究極の銃には辿り着く事が出来ました。
筆者は命中率さえ優れていれば、永らく究極の銃はオートではないかと考えておりましたが、それは間違いでした。

そして狩猟形態が変われば、その究極とする所は少し変わるかも知れない、筆者も当初はその究極の銃はそれぞれの用途毎にあると思っておりました。
少なくともヒグマ用には専用マグナム銃が必要と考えておりました。

しかしそれは間違っており、308は先回レポートのサコー75改の達成レポートの様に、予想以上に万能で高性能であり、且つボルトアクション銃は予想以上の万能銃でした。
ならば1つの銃を全ての用途に使いこなした方が遥かに高効率が出せる事が分かりました。

ではその銃さえあれば、誰でも高パフォーマンスを発揮出来るのかと言えば、残念ながらそうではありません。これから紹介する射撃技術と狩猟技術がなければ、銃は只の飾りにしか過ぎません。
その射撃と狩猟の技術は容易に得られない物もありますが、地道に積み上げていけば、必ず到達する物と筆者は信じております。

究極の銃は308のボルトアクションのスコープ専用銃だと申し上げましたが、本州巻狩りの様に射程距離を50m未満に限定すれば、リブ銃身のフルチョークのセミオート散弾銃から発射する小粒バックショットに全く敵いません。また射撃距離を更に短縮限定すれば、ベストチョークも変わって来ます。
ここでは50mを超える射撃が多いと言う前提でお話を続けます。

究極の射撃法 : その1 : ランニング射撃
連射ロマンとは言葉を変えますとランニング射撃技術の事を指します。
ライフル弾は速いので、リード射撃なら一口に言って100mに対して1m前を狙い続けて撃てば、胴体位なら簡単に命中させられます。それはショットガンと同じ撃ち方に近いと言えますが、10%以下しか出来ないと言われる正しいショットガン射撃が不可欠となります。

ライフル弾は急所に命中させなければ意味がありませんが、それには正しいリードが必要となり、それには距離と獲物の速度と相対角度のデータが必要となりますが、それらを瞬時に正しく計測する事は不可能です。正しいリードで撃たなければ急所に命中しない、これがリード射撃の欠点ですが、そこで筆者が考えたのがスイング射撃です。


獲物を追尾し、その後スイングを加速し、追い越した所で撃つと言う単純で簡単な一律的射撃方法です。詳しい説明は省きますが、距離や速度に概ね無関係に予想外に上手く行く射撃です。
唯この射法は肉眼で見えている映像が古い虚像である事を理解する頭の切り替えが必要で、最後の引き金を引く時に見ないままで撃つ事が絶対前提条件となります。数ある射撃にはそれぞれの究極がありますが、筆者が得る事が出来た「スイング射撃」もこの究極射撃術の1つだと思います。

究極の射撃法 : その 2 : 遠射
「遠射」とは遠くの目標に命中させる技術です。ライフル銃その物は308の150grの弾頭の場合は、300m先になりますと空気の抵抗で弾速は65%程度まで減速し、銃口延長線からは約90cmの落下をします。
しかし実際は弾を少し上向きに弾を発射する為に300m先では35cm程の落下に留まります。急所の大きさは直径15cmですから、150mで7.5cmなら当たる事になり、それを超える精度を出せる腕があれば、そして落差を合わせれば300mの遠射は難しくない事になります。

銃自体は150mで2.5cm程度に命中する能力を持っており、ならば余裕率3倍で楽勝300mは当てられる事になりますが、実際は遥かに至難の技となります。精度が出せない最大の原因はフリンチングと言いますが、人間の体が反動を嫌い無意識に発射直前に強張り、その為に照準がずれてしまう事にあります。
反動は原理的に無くなりませんから、銃口から弾が出るまでの僅かな時間に、銃が微動もしない様な訓練を繰り返す事が必要になりますが、これは殆んどが家で行うトレーニングですから誰でも出来る様になります。


筆者の場合、反動を克服するのに12年程掛かり、やっと150mでワンホールと言える12mmが出せました。ならばもうそれ以後の300mの15cmは6倍の余裕率で楽勝の筈ですが、その頃はまだマグレ以外に300mを命中させる事は出来ませんでした。
その原因は心に距離に対する不安や落差補正に対する不安があったからでした。この不安を払拭するには更に4年程掛かりました。これは実戦のみしか磨けない技術です。

単位を年で表しましたが、筆者はこの頃には年間30日前後の出猟でした。通常の本州からのハンターですとシーズンに3日程度しか実戦経験を積めませんから、達成は特別な練習方法を開発しない限り、絶望的な 難度となります。
出来る様になってから申せば、銃は人間がなるべく関与しない様に銃だけに撃たせる様にし、雑念なしに射撃する様にすれば当たります。言葉を換えれば命中して当然と言う射撃をすれば当たります。これが究極の射撃術の1つである「遠射」と言う技術です。

究極の射撃法 : その3 : 早撃ち50mのスナップショット
ライフル銃の精度は良いのですが、精密な照準を要し、通常的な 手法で行きますと多少慣れた人でも発射まで10秒以上を要します。保護区の野性動物でも50mで10秒以上の時間がもらえる確率はゼロに近いと思われます。

これを西部劇の早撃ちの様に構えるや否やで撃つ技術をスナップショットと言います。左写真がその始めと終りの写真2枚を重ねた物ですが、ボルトオープンでセーフティーONの銃を、ボルトを装填しながら指で試行する様に銃身を目標に向けて突き出し、この時の精度が概ね照準精度になり、距離が非常に近ければそのまま撃っても命中します。


そしてセーフティーを解除しながら肩にまっすぐ引き寄せて撃つ技術ですが、2枚の写真を重ねますと頭や体の位置が殆んど変わっておりません。つまり発砲を決意した瞬間に体は最終形状に移行し、そこに銃が嵌まり込む様な形になります。更に言えば心にそのつもりがあれば、肩に銃が着く前にもうスコープを通して不完全ながら急所付近の映像が飛び込んで来ますので、肩に着く前から撃っても必ず命中します。
これが究極の射撃術の1つである「スナップショット」です。

この技術は単に早撃ちの為だけの技術ではなく、銃は早く構えられるに越した事はありませんから、全ての射撃の基本技術となります。そして他の技術と違って家で特訓すれば数カ月で必ずモノに出来る技術です。
装填しながら安全装置を解除しながら行っても総時間は変わらず、安全度は100%増しながら、通常の照準時間の1/10以下で収まるスーパー射撃術です。ぜひ自分のモノにして下さい。

究極の射撃法 : その4 : 150mアバウト照準早撃ち
昨今のエゾ鹿は1年中駆除の圧力を受けており、150m前後に多くおりますが、銃を向けると数秒で動く鹿が多くなりました。撃たれる事が分かっているのに、なぜライフル銃の射程距離内の150mに居るのか?
それは150m射撃が通常の射撃技術ではかなり難しい側に入り、そこにいるだけでもそれ程は当たらないのですが、更に銃を向けられたら数秒で動けば照準が定まらず撃たれない、或いは撃たれても絶対に当たらない事を学習した為です。つまり通常射撃術ではこれを撃ち獲る事は困難な時代になったと言えます。

しかしこれを撃ち獲る射撃術はあるのです。それにはその2で紹介したワンホールの技術と、その3で紹介したスナップショットの技術が必要です。150mでワンホールを出す為には銃だけに撃たせる技術が必要であり、精密照準も必要で時間もそれなりに必要です。しかし150mで20mm程度の射撃術があれば急所は150mmと桁違いに大きく、アバウト照準で早撃ちしても十分に命中させられます。

つまりスナップショットで瞬時に銃を構え、アバウト照準で早撃ちすれば銃を向けてから数秒で撃て、鹿が動き出す前に撃ち獲る事が可能になります。通常は難しいと言われる領域の150m射撃も、スナップアバウト照準をすれば150m射撃は近射のイージーショット側に分類変更出来る様になるのです。これが究極射撃術の1つ「150mアバウト照準早撃ち」です。

究極の狩猟 : 「迫力負け」と「恐怖負け」そして「出会い術
近射50m前後なら「スナップショット」、中距離150m前後なら「アバウト照準早撃ち」、そして走っていれば「ランニング射撃」、遠ければ「遠射」、この4種の究極の射撃術を持ち、究極の静バランスと動バランスの両方を満足するボルトアクション銃を持てば、無敵の狩猟が出来る様に思えますが、まだそれだけでは無敵の狩猟は出来ません。

それは本州では起り難いのですが、エゾ鹿猟では獲物が大物となりますと、射手より大きい事から対戦する前にその大きさに「迫力負け」してしまい、足が地に着かない射撃になってしまいます。
迫力負けは初期には3段角であるだけで起こりますが、数が多い中型までは実戦で回数をこなせば自動的に乗り越えられますが、稀にしか会えない超大物クラスには特殊なイメージトレーニングが必要になります。
これを乗り越えない限り、ハンターの悲願であるエゾ鹿の大物は永久に捕獲出来ないのです。

同様に相手がヒグマの様な猛獣となりますと対戦する前から「恐怖負け」てしまい」、体が動かなくなったり、或いは足が地に着かないを遙かに超えた気狂いに刃物的なハチャメチャ射撃となってしまいます。これも出会い数が少な過ぎて実戦で腕を磨く事は出来ませんから、特殊なイメージトレーニングが必要になります。筆者はおかげ様で450kgのヒグマを始めとし、6戦6勝を記録させてもらえました。

この様にエゾ鹿大物には「迫力負け」の克服が必要であり、ヒグマには「迫力負け」と「恐怖負け」の克服が 必要ですが、それ以外にも、鹿の様に立ち止まりませんから、「スナップショット」と「ランニングショット」の技術が不可欠になります。また国内の狩猟制度にはありませんが、狩猟制度が全く違う海外の大物猟を行う場合には、失中や未回収には別途高額料金が必要で、射撃には「ペナルティー恐怖」対策が必要になります。
その1例として下記のクドウの場合の1発には約2000㌦が伸し掛かって来ますから大変です。

筆者が実際に行なったナミビアの人気NO.1のクドウ猟の場合のお話をします。
エゾ鹿猟より遥かに難度が高いだけではなく、ミスショットが2000㌦になると言う厳しい猟になります。クドウのデビューは5歳、それまではガイドが撃たせませんが、そうは言っても群に適齢なクドウがいれば撃たれる為、デビューはいきなり200mクラスの甘くない勝負になります。
殆んどはこの時に捕獲されてしまいますが、生き残ったクドウは300m以遠に生息する様になり、以後は容易に撃たせてもらえなくなります。

300mは難度が高い為、撃つハンターは少なく、その間にクドウは成長し大物になります。
ミス射撃は獲物に傷が付かなかった完全失中時は無料ですが、少しでも傷が付けば生存率が低くなりますので、クドウ動物代の2000㌦が未回収料金として請求されます。大物になりますと2000㌦のペナルティー覚悟の300m射撃にチャレンジするハンターもおり、ここでも半数以上が捕獲されてしまいます。

これにも運良く生き残る個体は非常に少なくなりますが、次は400mクラスに生息する様になります。
400mとなりますと最早ライフル銃の限界をやや超えており、挑戦する人は益々稀になり、クドウはその間にも更に成長し、やがてはレコードクラスになります。
筆者はこのレコードクラスに挑戦、2000㌦の圧力下で380mを遠射、この捕獲に成功しました。

さて何だかんだと銃の構造や射撃技術、そして心の問題を論じて来ましたが、それら以前に重要な事は 如何にして獲物と出会うかです。獲物に出会えなければ全てが始まりません。
エゾ鹿は基本的に1年中の駆除圧から、ハンターに出会わない様な行動を取り、そんな状況下でエゾ鹿に出会うにはエゾ鹿の本来の習性にプラス、エゾ鹿がハンターを避ける方法にも精通しなければなりません。

それには過去の膨大な出会いのデータを分析し、そしてこの1週間程の天候の推移から、筆者は本日なら何処に何時に行けば鹿に出会えるのか分かる様になりましたが、これに「ポイント猟」と名を付けました。
10月25日から11月20日までの1カ月弱、高い山が冠雪し鹿が降雪の都度に山から降りて来るのですが、その時期が繁殖期と重なりエゾ鹿は特異な行動をします。

筆者はそれを分析し1日平均出会い数が5回/日、出会い内容は成獣オス率が70%と、奇跡の出会い数や出会い内容が可能になりました。この 「ポイント猟」 こそが、最も究極の狩猟技術となります。

      超大物の捕獲はハンターの悲願です。
      2009年の1月には概ね毎日1頭の超大物が捕獲出来ました。


  


Posted by little-ken  at 09:03射撃ハンティングランニング射撃銃と弾

2018年07月11日

連射ロマン(ライフルは単発がベスト)

  1.マスケット銃 時代は単弾と散弾は同じ銃から発射。
1700年代の後半までの銃はノーライフルで、マスケット銃と呼ばれていました。
銃は先込めの火縄点火式から始まり、やがて燧石式となり、これは非常に長い間使われました。
主力の口径は18~15mm、つまり散弾の口径で言えば12番~20番でした。
単弾は丸弾の1粒、ほぼ同重量の小粒散弾を運用する時もありましたが、銃は同じ物が使われました。
マスケット銃の時代から銃を2本並べる連発のアイデアはありましたが、重過ぎてダメでした。

  2.ライフル銃 と散弾銃が分かれました。
やがて1800年代の中場になりますとライフリングが普及し、単弾はドングリ型で口径が12mm程度となり、散弾との共用が出来なくなり、専用の散弾銃が出現しました。
散弾専用であれば銃身をかなり薄く作れ、水平2連銃にも出来ましたが、弾は先込め式のままでした。
銃は発火方式が燧石式の長い時代を経由してパーカッション式となり、ほぼ全天候式となりましたが、連発は  まだもう少し先の事になりました。

  3.ウィンチェスター 1873.
ハンターの憧れは確実な発火と全天候性と連発でした。
1864年、金属薬莢式が発明され、最初のヒット作品はウインチェスター1873とコルト1873でした。
前者は44口径、後者は45口径でしたが、コルトがウインチェスターレバーアクションと同じ弾薬を使う44口径  モデルを出し、これがピースメーカーとなり、このペアが西部を征服した銃と言われる様になりましたが、この黒色火薬の金属薬莢式は僅か20数年後無煙火薬の時代となり、甚だ短命でした。
黒色火薬のピストル弾を使うウインチェスター73の威力は現在の308の30%弱でした。

  4.ロングリコイル式。
1906年、レミントンがモデル8をデビューさせました。それはロングリコイル式のセミオートライフルでした。
このモデルは308の70%程度のパワーがある無煙火薬弾であり、何とか使える銃でしたが、まだ機械の精度が悪く100mが遠射の時代でした。時々起こる回転不良も悩みの種でした。
同じ特許の散弾銃版はレミントン製よりもブローニング製が世界中にヒットし、ベストセラーとなり我が国でも自動銃の事を「ブロ」と呼ぶ程に知れ渡り、よく普及しました。

長い間の憧れであった自動装填式は、散弾銃では非常に大きな効果を発揮しました。
散弾銃の連射は精度の甘さをパターンでカバー出来、連射の意味は大いにあり、捕獲率捕獲数の向上となりました。
しかし、ライフル銃の場合は急所に命中させなくてはならず、指向性の無いオープンサイトで精密照準のやり直しは100m先を走って逃げる獲物に対して難し過ぎ、実用性の薄い物である事が分かりました。
それでも連射に対する憧れは無くならず、スライドアクションやレバーアクションの手動式連発銃多数がデビューしました。

  5.レバーアクション銃。

1900年前後に無煙火薬化され従来のパワーが2倍以上の現在とあまり変わらない時代が始まり、間もなく自動銃も多種がデビューしましたが、満足の行く自動銃は少なく、1970年頃までは初弾命中精度の比較的高い写真のウインチェスターM88やサベージ1899レバーアクションのハンティングライフルモデル多種が使われました。
目的は自動銃と同様の肩に付けたままの連射にありました。

これで憧れのハイパワー銃に待望の連射機能が付いた訳で、ハンターは400年来の夢が叶った筈ですが、待望の新式連発銃も思った程の働きはしてもらえませんでした。
オープンサイトの時代には100mを超えると落差補正が必要であり、銃身精度上からも実用距離は100m前後でした。照準器側から見ても指向性の無いオープンサイトは、使いこなしても50mの走る鹿が限界でした。

50m先を逃げる鹿の胴体に命中させる程度であれば、ベテランであればある程度期待出来ますが、連発容量の5発ではショットガン効果が期待出来る3発の命中には届かず、倒し切れない状況でした。
スコープも後付けではチークピースの高さが合わず、走る鹿の連射には非常に合わせ辛い物だったのです。50mの走る鹿でしたらフルチョークのショットガンでバックショットを撃つ方が遥かに高確率です。

  6.スコープ専用銃 のデビュー。
そんな時代に終止符を打つ決定版と言えるボルトアクションのスコープ専用銃がデビューしました。
それが1936年のウインチェスター70でした。どの銃より高い命中率と高い回転率を誇り、ハンティングライフルの決定打と言える物で、ベトナム戦争で狙撃銃として大活躍しました。

スコープと銃身の取付高さの違いから、照準線を下向きに設定出来、狩猟用途でしたら150mゼロに設定すれば、200mまで落差補正せずに直撃で急所を狙えると言う素晴らしい物でした。
150mゼロの場合、40mで交差し、その後は3cm程上を飛行し、150mでゼロ、200mで5cm落ちました。

その後ウインチェスター70はマイナーチェンジ失敗でソッポを向かれ、レミントン700の時代となりました。
レミントン700のバーミンターは100mのワンホールが可能な銃であり、その後世界中の狙撃部隊にも採用されました。日本自衛隊も警察も同モデルを少数装備しています。

  7.スコープ専用銃 のその後。
スコープ専用銃のストックはスコープに合わせてありますから、これでスナップショットも可能になり、ランニングショットも落差無視の直撃距離の200mは難しくない物となり、急所狙いのランニングショットが可能になりました。

自動銃の最も得意とする連射でさえも、ボルト銃はスナップスイング射撃で撃てばそれより速い連射が可能となり、5発5中もそれ程の難易度ではないと言える様にもなりました。もちろん300mの遠射も楽勝でした。

これこそが究極のライフル銃であったのですが、当時はまだ誰もそこまで分かっていませんでした。

筆者が2006年にこれを発見したのが世界で1番早かったと思います。
その少し前から銃器業界のライターとなったのですが、どのレポーターも連射の操作性に付いてはレポートして おりましたが、ボルトの方が連射が速くて良く当たると言う話は何処からも出ませんでした。

銃は1990年頃、新しい合金鋼を使い、新しいNC加工をすると言う前提で再設計され、高精度となり再デビューし、2000年頃までの出揃いました。現在読者が使っている銃は殆んどがこれになると思います。

100mでワンホールが可能となり、同時に高精度化した市販弾を使って300mの遠射も可能となり、200mのランニング射撃も可能とするスコープ専用銃です。
しかしスナップショットもランニングのスイングショットも多くの生徒等に教えましたが、誰1人出来ませんでした。

  8.ライフル銃 は単発で構わない。
誰もスナップショットやスイングショットが出来ない事から、1発で倒し切れなかった場合、走る鹿や一瞬だけ振り返る鹿に命中弾を与える事は最早絶望的になります。

また単発運用のスクールが何処よりも高捕獲率をキープしている事、EHG5205では1日に5回の出会いがあり、2頭の捕獲があり、その中に0.5頭の大物が含まれる、それが平均値です。

スクールでは鹿を見付けてから1発を装填するのですが、直前まで装填せず、発砲直前に装填&セーフティー解除をしてスナップショットモドキで撃ちます。狙うはショルダーのナミビアポイント、ここは1発でその場にひっくり返る可能性が最も高い急所です。撃ったらすぐにエジェクトしますが装填はせず、マガジンに1発入れるのみ。
撃つ時の装填は肩付け工程で行うのです。そして必要であれば止矢を撃ちます。

撃たなかった時は肩から降ろす時にボルトのハーフコック、次いで安全装置を掛けます。
そして脱砲は安全装置を掛けたままボルトオプナーを操作して脱砲を行います。
これが最も安全な銃の操作方法であり、且つ最もよく獲れる射撃方法でもあります。

つまり、銃が誕生してから500年来の長い間の憧れであった連射ロマンですが、ショットガンには抜群の効果を発揮した連射も、ライフル銃の場合はボルト銃に勝てず無用の長物だったのです。

またエゾ鹿猟を通して考えますと、連発機能その物も誰も使えずに危ないだけであるなら、不要だと思います。
これは法律で禁止しても良いと思います。

そして300m遠射能力があるライフル銃ですが、これも殆んどのハンターに取って憧れ状態のままとなっております。
こうして見ますと300mの遠射も200mのランニングショットも、銃にはその性能があるのですが、その技量を持っているハンターは驚くほど少ない事が分かります。それが出来るのは伝説級の名人だけなのです。
連射ロマンも遠射ロマンもそう言う物であり、巷のハンター諸氏には無縁の物だったのです。

筆者は15年間に500日近い出猟を得て、これらを独学で会得しましたが、これは年間30日以上で巷のハンターの10倍ペースです。筆者に言わせればスナップショットは単に素振りのトレーニングの回数だけの問題であり、これが出来る様になれば全ての射撃の照準時間が半分以下になりますから、自分の物にして絶対に損はありません。

検証はイメージが上手く行けば特に不要で、やがて実戦の全ての場面で証明出来ます。こちらは見て撃つのですが、見直しはありません。

これが出来る様になりますと、同時にアバウト狙いの早撃ちも出来る事になり、今まで遠射と思っていた150m 射撃が近射側に分類される様になり、それが出来る用になりますと、更なるテーマにチャレンジが可能となって来ます。300m遠射もこちら側の射撃技術となりますが、これらが出来れば名人級と言われます。

  9.見ないで撃つ スイング射法。
スイングショットにしましても同様です。こちらの場合は射撃場で検証する事は出来ませんから、実戦で検証するしか方法がありません。その為には速やかに車外に出る方法を含めてのイメージトレーニングとなります。

ランニングショットを頭で理解するには、見えている映像が古い虚像である事を理解しなければなりません。
従って目視照準では絶対に当てられないと言う事です。今現在の映像も見る事は出来ませんが、着弾時の未来位置の見えない映像位置を心の中で推定して、見ないままでスイングを止めずに、引き金を引きます。

見ないまま撃つのですからスコープは照準器ではなく照準補助具になります。
走っている鹿を見付けたら試行錯誤で積極的にチャレンジしてみる事です。

筆者の場合は理論も何もない状態でしたから90日3000発を要しましたが、理論はすでに出来ており、試行錯誤が残されているだけですから、2流の頭をお持ちであれば、30%の期間で会得出来ると思います。

上記実戦日数は1日5回の出会い数が基準ですから、腕の良いガイド猟が基準になります。
結局の処、実現させるには情熱であり、諦めなければ何時か達成させられます。従って成功率は100%です。




  


Posted by little-ken  at 16:43射撃ランニング射撃銃と弾

2017年06月05日

散弾銃を命中させる効率。

  散弾銃を使い高確率で墜とすには3粒以上の被弾が必要
そもそも散弾銃はバラ弾をバラ撒き、複数粒が命中する事によるショック死で撃墜します。
被弾は上半身であれば何処でも構いません。空気銃では上半身の中央を撃つ破壊死です。
散弾粒でも当たり場所が良ければ空気銃弾の様に1粒でも墜ちますが、確実に墜とすには
経験上3粒以上のヒットが必要です。

散弾全体としましては1500 ft-lbs程度でかなり強力と言えますが、数百粒の1粒としては非常に
情けないパワーになります。5.5mm空気銃弾は25ft-lbs程度のエネルギーを持っていますが、
散弾の1粒は射撃用の7.5号ですと3.9 ft-lbs、キジ撃ち等の6号では5.8 ft-lbs、カモ撃ち4号
とて9.6 ft-lbs程度です。
狩猟用のライフルになりますと308で2700 ft-lbsと桁外れのパワーとなります。

散弾粒の1粒は非常に非力ですが、その非力さを補うのが複数被弾効果です。
何故か1粒のパワーには余り関係なく3粒被弾で即死します。
桁外れに強力な308のライフル弾でも急所を外れれば2~3発を要しますが、1粒のエネルギー
が308の僅か4%未満の27粒弾が上半身に3粒命中するだけで鹿は即死します。
散弾銃はこの複数被弾効果が期待出来るので素晴らしい狩猟道具なのです。

  散弾銃猟は効率狙いです
散弾を広がっているスキートチョークで広範囲にバラ撒けば鳥にヒットする率は上がりますが、
複数被弾の確率は低下する所か、場合によっては散弾群を無傷ですり抜けてしまう可能性すら
あります。

反対に散弾群を余り広げないフルチョークで撃ち出せば、パターンが全く掛からない失中と
言う確率が増えてしまいますが、パターンが十分掛かれば散弾密度は高いので複数被弾の
確率はかなり向上します。

散弾粒数にしても装弾1発には標準で32gが入っています。
余りに大粒であれば1粒のエネルギーは大きくても無傷すり抜けてしまう1粒もヒットしない確率
が上がってしまいます。4号で160粒6号で260粒7.5号で400粒程が入っています。
と言って余りに小粒も度を過ぎますと9号では700粒ほど入っていますが、1粒のエネルギーが
少な過ぎて30mを超えると皮膚を突き破る事が出来ず
に無効となってしまいます。

散弾密度は一般的に中央が高く、端に行くほど低くなりますが、かなり不均一です。
数百万円の高級銃であっても7.5号の32g装弾(約400粒入)で標準規定距離である36mテスト
パタ―ンを見ると、中央付近でもクレーの皿がすり抜ける所はかなりありました。
不均一度が比較的良好な中央付近であってもパターン密度は0.5~2倍とかなり広く、
従いまして予想外に好成績を出す事もあれば、情けない結果になる事もありますが、
あくまで確率論の狩猟ですから、時に上手く行ったマグレを追求しても意味がありません。

  未熟時代には
撃っても撃ってもとにかく墜ちませんでした。その主原因はリードが合わなかった為です。
稀にヒットしても羽を僅かに散らす程度で飛び去られてしまいます。これも本当はリード不足が
最大原因ですが、この現象を捉えて多くのハンターは自分の腕を棚に上げて散弾のパワー
不足を疑います。そしてより大粒の散弾を使ってみます。
すると稀にマグレ当りで墜ち、これが正解側だと信じてしまいます。

実は筆者も同じ様に大粒側の行動を取りました。そして鳥用で1番大粒のBBと言う装弾に行き
着きます。45m先でカモにヒットする粒数は0.5粒ですから撃墜は至難の業ですが、1粒が
空気銃並みのパワーですから稀にマグレで墜ちる事もあります。
そしてある時、柔らかい水田等でそのパターンを見て驚きます。
僅か60粒しか入っていないので明らかにパターン密度が低過ぎる事に気が付きます。
それでまた狩猟読本の推奨装弾付近かそれよりやや大粒に辿り着きます。

  実際の猟銃では
通常の散弾銃は殆どが射程20~30mに主目的としたインプシリンダーと言って僅かしか絞って
いない銃身が付いています。30先で約1mに広がり、その内の中央側の2/3が有効です。
通常はこれにキジ用で6号装弾との組合せですが、3粒を満たす距離は21.4m以下になります。
この距離で大粒散弾は肉も内臓も貫きますから早期の処理が必要ですし、全体的な損傷も
大きくなります。

これと対極的なのが40~50mを主体としたフルチョークです。45m先で約1mに開き、同様の
中央の2/3が有効です。カモには通常4号より大粒を使いますが、4号装弾とフルチョーク銃身で
3粒を満たすのは25.8m以下でなければなりません。
3号で3粒が得られるのは僅か16.1m以下になります。最大射程の45mでは3号装弾で僅か
1.1粒、4号でも1.3粒
しか当たりませんから、当たり場所がかなり良くなければ墜ちませんし、
この程度ですと散弾密度にも幅があり無傷ですり抜けてしまう確率もかなりあります。

  小粒装弾の試験運用
狩猟用装弾は120円/発、これに対して射撃用装弾は50円/発と半額以下です。昔はハンター
も多かったので価格差は1.5倍程度でしたが、今はハンターが減少し消費規模が2桁以上違う
為に価格は2.5倍になりました。
当初は近距離なら射撃用装弾でも墜とせるだろうと考え運用を開始しました。
所が意外と遠距離でもよく墜ちる事が分かりましてその検証をしてみました。

射撃用の7.5号弾でフルチョークなら3粒を満たすのは48.8mまで大丈夫です。
それで墜ちるのか? ハイ、リードさえ合わせ直せばと言う条件で抜群に良く墜ちます。
弾は皮下で止まっているので非常に綺麗な肉になり、内臓は無傷と非常に好ましい結果になり、
内臓摘出が不要になります。
これは数千羽を撃墜したプロハンター(筆者)が言うのですから間違いありません。
筆者は数万発を使い、カモを推定5000羽以上を墜としましたが、7.5号以外の装弾で墜とした
カモは非常に僅かで恐らく100羽以下です。

但し小粒散弾は途中の弾速低下がかなり大きく、リードを50cm以上多く取らなくてはなりません。
普通のリードで撃つとリード量が不足してパターンの端しか掛からず、ヒットしても飛び去られて
しまい、だから7.5号弾は非力でダメなんだと言う間違った結論に辿り着いてしまいます。

リードさえ合えば、粒数増にほぼ比例した2.5倍(4号:7.5号)の撃墜結果が得られます。
筆者はカモ撃ちに7.5号弾を運用する様になって3倍近くの撃墜率向上となりましたが、
これも概ね計算値と合っています。

  スチール装弾
カモ撃ち猟場は鉛弾禁止地区も多く、スチール装弾の話も避けて通れません。
スチール装弾でも小粒装弾時と同様の事が言えます。スチールは弾の重さが鉛の0.7倍程
ですから空気抵抗による途中弾速低下が大きくなり、リードの追加補正が不可欠となります。
普通のリードで撃つとパターンの端しか掛からず小粒時と同様に、だからスチールは非力で
ダメなんだと言う間違った結論に辿り着いてしまいます。

しかしリードが合えば弾粒数は1.43倍ありますからその分に比例して有効度が高くなります。
更に言えば、スチール装弾のパターンは鉛の時よりも中心付近に濃いエリアが出来易いので
そこを上手くカモに撃ち掛けますと2倍位の効率になります。
また一段とリード合わせは難しくなりますが、濃い部分を使えば一段と遠射が可能になります。

狩猟読本によれば鉛時よりも2クラス大粒を使えばそれほど非力でなく概ね対等と書かれて
いますが、それは大粒なら弾速低下が少ないので鉛時と同じリード感覚で撃っても当たり、
2号大粒で0.65倍の粒数減となりますが、一方スチール弾で1.43倍増と打ち消される方向と
なり総合的に93%の粒数となって著しい粒数不足にならない為、粒数減相当の成果が期待
出来ると言う事になります。

これは筆者が1000発の無償譲渡を受け、モニターテストをしましたので、そう言う事が言える
のですが、筆者の正しい内容のレポートは無視されました。
殆どのレポートはリードの補正に付いて触れておらず、スチールは非力で劣ると言う結論
ですが、数割のハンターが2号大粒寄りで撃てばそれ程は劣らないと言うレポートを提出、
これが採用されてしまったのです。

  遠射のリードの合わせ方
移動目標を撃つには弾の飛行時間に鳥が移動する距離分だけ前を撃たなくてはなりません。
弾速300m/sで30m先をカモが飛行する時間は弾着まで約0.1秒、鳥の速度を36km/hとすると
その簡に鳥は1.0m進みますから、1m前を撃てば当たる事になります。
しかしカモが追い風に乗った遠射では100km/hで50mとなりますから、速度で3倍の距離で2倍
と5mも前を撃たなくてはならない事になります。

空中に於ける距離や速度の目測はしばしば2倍を超える程の相当大きな誤差を含みます。
つまりリードの合う確率が情けない程までに低い事を物語っています。

引き止まりの無いスイングが継続した時のリードが先の計算では1~5mですが、巷の90%が
引き止まり射撃をしている現状と合わせて考えますとリードは更にMax.2倍が必要な事になり、
失中の原因はリード不足が超圧倒的に大きな比率を占めます。

筆者はこの対策を秒速3発以上の高速3連射で飛行線上にパターンが少しずつ重なる様な弾幕
をバラ撒く弾幕射撃をして、そこにカモを飛び込ませる射撃法を考案しました。
3バースト射撃と名を付けましたが、この射撃方法を採用する様になってから撃墜率は3倍ほど
向上しました。

リードの追加補正には通常でも連射は非常に有効な手法ですが、速い連射にしないとカモは
飛行条件を変えてしまうのでリードの単純追加では対応し切れなくなってしまいます。
カモが飛行条件を変えるより前に3発を送り込みますと効果は一段と高い物になるのです。

但し速い連射も乱射では意味がありません。
それにはスイングを止めない事と銃身が跳ね上がらない様にしなければなりません。
これは上体を柔らかくしておき、反動は上半身全体を後退させる事によってなるべく吸収する様に
します。すると銃の跳ね上がりもかなり少なくなりますが、その分は左手で銃を下に引き寄せます。

  スイングでカモを追い越した直後に出来るだけ早く引き金を3度引きます。反動を上半身
  全体が後退する事で受ける様にすると跳ね上りは少なくなり、その分は銃を下に引き付け
  ますと綺麗な弾幕射撃が可能になります。


  更に進化する高速連射
高速連射は更に進化し、秒速3連射でも群の中から希望の獲物を選んで撃てる様になりました。
マガモ等では体格的に大きく且つ美しいオスだけを選んで墜とします。
餌場の波打ち際等ではカモが遠くならない内に墜とせば即死率も高くなりますし、回収も容易
になります。

また更には地形や水流や風を読んで、希望の場所に墜とせるタイミングに、群の濃い所に
3バースト射撃を送り込み、回収容易な場所にまとめて墜とせば回収はもっと楽になります。
カモは飛ぶ直前にキョロキョロとし、頭の向いた方向に飛びますから、希望の方向に飛ばす事は
それほど難しくありません。希望の方向に飛ばして希望の場所の墜ちる様に群れの濃い所に
高速連射を送り3羽以上をまとめて撃墜
、これが筆者の最終的なカモ撃ちスタイルとなりました。

  フルチョークで近距離射撃の撃ち方
20mでフルチョークがまともに当たるとボロ雑巾、10m以下で撃つとヒットした部分が消失して
しまいます。これはフルチョークの欠点と言えますが、元々その距離で撃てばどのチョークで
撃っても相当な破損は免れません。

こんな時はリードを更に30cmほど前に送り込んで撃ちますと20mなら頭付近に散弾群が集中
して体は無傷に近くなります。
10m以下で同様に撃ちますと頭の部分だけが消失した状態で墜ちて来ます。

フルチョークはパターン境界がはっきりしているのでこの狙い方は遠射に比べればかなり
イージーです。ぜひお試し下さい。


  左写真はそれほど大きな群れではありませんが、冷静に見れば複数を撃墜できる
  ポイントが幾つかあります。一方右写真は同程度の群れですが中央を撃てばカスリも
  しないポイントもたくさんあります。
  しかしよく見るとその周りには幾つも複数撃墜ポイントもたくさん点在します。



  


Posted by little-ken  at 14:06射撃銃と弾

2016年09月01日

リローダーの愚かさ。

ライフル銃の用途は我が国では狩猟に限られています。
エゾ鹿用の銅弾は完成弾ですと600~700円/発と非常に高額です。
弾を安くするには薬莢再使用のリロードと言う手法があり、弾のコストは半額以下となり弾代を大幅に節約出来ますが、後述の様に重大な落とし穴があります。

リロードにはもう一つ射撃精度の追求と言う目的がありです。
ライフル銃身は発射の衝撃でかなり大きく振動し、振動の上下の安定期に弾頭が銃身から出る様にすれば射撃精度が大幅に上がる事になります。
その為に火薬の種類や量を超精密に調整すると言うのが精密射撃用リロードの考え方です。

その理論に間違いはなく、100mでmm単位以下の精度を追求するのであれば今でも非常に有効な手法ですが、後述の様に狩猟には超高精度は不要であり、一方で昨今は市販銃も市販装弾も画期的に精度が良くなり、今や市販弾の精度に通常のリロード法では太刀打ち出来なくなりました。

元々狩猟の実戦では150m程度の射程距離で直径15cmの急所に当てる精度があれば十分で、5cm以下の精度は全く不要です。
必要なのは早く撃つ事であり、更に言えば良い出会いを得るテクニックが最も重要です。

命中させられる能力の無い者の言い訳ではない事を証明する為に、拙者も射撃精度はそれなりに追求し、市販狩猟銃、市販安売弾、スコープ狩猟用4倍、射撃方法テーブル撃ち、それで150mから5発を撃ちベストは12mm、通常のリローダーの遥か上の性能を出せる事を証明出来ました。

そして一方、元プロの実験課員の筆者でもハンドロードではどうしても安売り工場弾の精度に至れませんでした。
通常のリローダーに拙者を大幅に上まわる実験結果が出せるとは到底思えません。

そう言う事実から、今や殆どのリローダーは自称本格派のカッコを付ける為だけにリロードを行っていると言っても過言ではありません。

そして一方で筆者自身ハンティングガイドをしている関係上、リロード弾のお粗末さを下記の様にたくさん見て来ました。ハンドロード弾には工場製弾に比べてポカミスが2桁以上高く、5シーズンに7名の生徒が下記の様に猟の全部または1部を無駄にしました。

  1.脱砲したら弾頭だけが銃身内に残ってしまい、半日を無駄にした。
  2.マガジンに入らない弾で1発も使えず、遠征猟その物が無効になった。
  3.薬室に入らない弾で1発も使えず、遠征猟その物が無効になった。
  4.1発目からオーバーロードで銃が壊れ、遠征猟その物が無効になった。  
  5.火薬のない弾が混入し弾頭が銃身半ばで停弾し、残り約半分の猟を無駄にした。
  6.肝心の時に製造ミスの不均一弾で稀に見る大物を失中し、悔やみ切れません。
  7.何時ものクセで薬莢を回収し、その間に大物チャンスを逸して悔やんでいます。

ライフル銃の所持目的はデカイ鹿を捕獲する事です。
実戦派の筆者は大物に出会う事を1番に考え、角長80cmを超える超大物チャンス40~50回から30頭の捕獲に成功し、総捕獲数は1200頭余に及びます。

そんな筆者が使う弾はその方面からすれば超粗悪品と言える弾です。
ベースは安いだけが取り柄の当たらない事で有名なロシア製工場弾、80円/発です。
そのままでは北海道で使えない鉛弾頭ですからバーンズの銅弾頭に挿げ替えています。

銅弾頭も良い物は200円/個、並でも100円/個ですが、筆者の使用弾頭はこれまた当たらない事で有名な初期型バーンズの銅弾頭、誰も買わない売れ残りを20円/個で購入しました。
この当たらない同士の組み合わせでは150mで5cm以下の精度にはなりませんが、これでも何ら不自由なく、1200頭の約50%をこれで捕獲しております。

それ以前の150mで12mmの安売り弾と超粗悪品と言われる弾で捕獲率に差は出ませんでしたから、実戦精度に50mm以下は不要と言い切れます。
実戦で最も重要な事は如何にして目標とする大物鹿に出会えるチャンスを作るかに掛かっており、出会いが無ければ射撃技術を発揮する事も出来ません。

そして次に必要なのは早く且つ冷静に撃つ事です。動かれたら普通のライフルマンではもう対処不可能、早く撃たなければ射撃チャンスその物を失ってしまい、稀なチャンスを生かせない様では大物捕獲成功は何時になるか分かりません。

銃がより当たる事は決して悪い事ではありませんが、物事には寄与率と言う物があり、その重要部分が全く分かっていない、これがリローダーの愚かさです。


  左は安売り市販弾150m 5発テーブル撃ち12mm、リロード弾以上の精度です。
  右は当たらない同士の組み合わせで5発が80mm、両者に捕獲率の差はありません。



   超粗悪品と言われる筆者の使用弾。中はバーンズ初期型銅弾頭20円/個、右は
   ロシア製の鉄薬莢のベース弾80円/発、左はヒグマから回収した20円の銅弾頭です。

  


Posted by little-ken  at 16:19射撃銃と弾

2016年08月15日

クレー射撃。

地元猟友会の親善クレー射撃大会に行って来ました。

俺はサボットスラグの大物狙いだから、クレー射撃や鳥猟は関係ないと言う人もおられる事でしょう。
筆者も動的ショットガン射撃と静的精密射撃は別物と考えていましたが、永らくやっていますと
二つが近寄ってくる事に気が付きました。

それはスナップショットであり、ランニングショットの場合です。
俺はスナイパーだから関係ない?  実はそれが大いに関係あるのです。
超精密射撃に於いても構えが速くセットアップする事は非常に好ましい事なのです。

スナップショットとは一般的に言えば肩に銃が着くや否やの撃ち方です。
実はそれは間違いであって、肩に銃が着く以前に照準が完了しているのがスナップショット、
つまり、西部劇的な早撃ちで撃っても当てる事が出来るのがスナップショットなのです。
かと言って腰ダメ撃ちではありません。ちゃんと照準して撃つので当たるのです。

そう言う事から スナップショットこそ、全ての銃を取り扱う基本的な撃ち方 と今は解釈しております。


クレー射撃に話を戻します。
ローカルルールの15枚撃ちのフィールドトラップ射撃で、本来は25枚撃ちです。
結果は余り調子が良くなく、12 & 14 & 11枚、命中率は82.2%でした。
数年前、連続54枚の命中を記録した事があります。

飛んでいるクレーの大きさは直径11cmです。弾は2.4mmの粒が250個ほど入っています。
クレーは左右及び上方の30度以内の任意方向に飛び出し、速度は60~80km/h程度です。

  撃った直後の写真でクレーと銃の中間付近には飛行中の散弾群が写っています。
  クレーは20m/s前後の速度で飛行し散弾群は400m/sで飛行しますからそれなりに
  前を撃たないと命中しません。


クレー1枚が40~50円程度、弾もほぼ同額です。新銃で30~100万円位、筆者の愛銃は
中古で10万円でした。タダ同然の銃で高級銃自慢の成金射手をやっつけるのが趣味です。

1度に放出されるクレーは1枚、弾は2発までOKです。
1発目で命中させても2発目であっても得点に変わりはありません。

クレーにヒットしコースが変わっても粉を吹いても命中ではなく、クレーの破片が認められて
初めて命中とされます。

  左上に割れた直後のクレーが、その手前でクレーに向かって飛んでいるのは散弾を
  包んでいたワッズです。銃の右側に飛んでいるのは空薬莢です。


オリンピックや世界選手権の場合はもう少し速いクレーで飛行範囲も広くなります。
昔は600個のクレーを6日間で撃って595~598位で優勝でしたが、今は100個撃って最高
得点者だけが決勝戦に移ります。

その時点で最高得点者が一人だけなら決勝戦はなくなります。決勝は2発目射撃が無くなり、
失中した瞬間に脱落する生き残り戦で、最後まで残った射手が優勝となります。

他にもスキート射撃やアメリカントラップやダブルトラップやトリプルトラップ、ラビットクレー
射撃があります。

写真はこの大会の物ではありませんが、射手は筆者、銃は現在の愛銃です。


冒頭の延長ですが、当初は移動標的を撃つクレー射撃と実戦の鳥猟は別物でした。
1時期の我カモ撃ちグループの実戦成績はクレー射撃の下手な順でしたが、
やがてはクレー射撃の成績順になり、射撃術の重要性を認識する様になりました。
但し上級クレー射撃選手がそのままで狩猟が上手い訳ではありません。

更に言いますと移動標的であるクレー射撃の撃ち方と静止標的の撃ち方であるライフル
射撃も当初は別物でしたが、やがてライフルでも走る鹿を撃つ様になりますと、両者の射撃
も共通点が随分多くなりました。クレー射撃を舐めてはなりません。
ただスイングの乱れない正しいクレー射撃と言う意味に於いてのみの話です。


更にもっと大切な事は出会いを得る事です。
洗練された射撃秘術も獲物に対面出来なければ、何の役にも立ちません。
出会いが得られない事から狩猟を始めても3年以内に80%が1度も勝利を味合う事なく
銃を辞めてしまいます。

そう言う事から鹿との出会いをお手伝いする事で、狩猟者を増やす事に続ながると信じて
います。事実スクールでは初年度初日から多数の鹿に出会え、初年度中に捕獲に成功し、
結果的に80%以上が生き残ってライフル銃を目指しています。

最近は筆者の技量も一段と上がり、お陰様で鹿の行動が多少分かる様になり、1度出会った
鹿は70%程が数日以内に再び会える技術が付きましたので次の生徒用に取っておけます。

但し、取っておいても意味が薄い場合は筆者が捕獲する事もあります。
筆者が撃つ鹿は次の生徒では迫力負けで撃てっこない大物鹿と走って逃げる当たりっこない
鹿だけにしております。
80cm級超大物は生徒用に全て取っておいても良いのですが、自然界に於いてはすでに
成長限界、生徒の腕が上がる数年以前までに寿命(10年弱)で死んでしまうのです。

そう言う事ですから次の生徒がそれに対戦出来そうな技量に近くなっている場合は生徒用
に保存していますが、そうでない時はもったいないので筆者が撃っていると言う訳です。
そんなことを繰り返している内に筆者の超大物捕獲成功は30頭以上になってしまいました。

今の所では走って逃げる鹿は全ての生徒の手には負えません。
そう言う背景から筆者は昨シーズンに僅か4日で81cmを筆頭に大物鹿8頭を捕獲しました。
その8頭は全て150~200m先を走って逃げる鹿でした。

筆者が捕獲する事は不本意ですが、スナップショットやランニングショットをマスターすれば、
今でも簡単に超大物も捕獲出来る見本と解釈して下さい。
皆さんの技量向上を待っています。







  


Posted by little-ken  at 14:29射撃

2016年07月27日

1.5mm差で大きな成果。

散弾銃には照準器がなく、銃身の上に付いたリブを通して目標を見る事が照準となり、その為
にはリブの真後ろ線上に目が行く様にしなければならず、その精度は±1mm以下を要する。
これは前にもお話ししました。

  1.ストックのセッティング効果
ストック合わせが重要と言う1例ですが、2014年のNZのカナダガン猟ではレンタルのレミントン
11-87のチーク部の厚さが不足し、急遽ボール紙とガムテープで1.5mmほど厚さを増しました。
その結果、2連射9発射撃し8羽撃墜の7羽回収と言う快挙となりました。

カナダガンは強敵です。目も良く頭も良く容易に射程内まで来てくれません。
そして巨大が故の錯覚で、見た目よりも遥かに遠くを高速で飛んでおり、リードを合わせるの
が非常に難しく、筆者も初回は3度射撃にも拘らず捕獲ゼロの惨敗でした。
一方では編隊で飛ぶカナダガンはこれまた巨大が故に急速に方向を変える事は不得意で、
引き寄せに成功しリードさえ合えばダブルやトリプル撃ちは比較的容易です。

  2.使用銃
この時の使用銃は筆者も1時期使っていた頑丈さが取り柄のレミントン11-87を選びました。
レミントンはそれなりにたくさん売れている銃ですがの何処が良くないのかと言えば、
下記の4点です。1時期とは言えよくこれでベストセラーになったと思います。

機関部の重量が重過ぎ、その割に先が軽過ぎて動的バランスが良くありません。
右手グリップが細過ぎです。ストックのチーク部が薄く頬付けが決まり難いです。
パットエンドの角度が立ち過ぎていて連射時の肩への納まりが良くありません。

選択したのはインナーチョークの3/4絞りの28インチのバレルです。インナーチョークの方が
銃身先端部が厚く、適度に先重で動バランスは良好です。
グリップの細さは厚手の皮手袋でカバーし、パッドエンドの角度はどうしようもありませんから
諦め、チーク部の厚さ不足は冒頭の様に紙をガムテープで張り付け厚くしました。後は体に
馴染ませるのみ、数百回の裾銃練習をし実戦に備えます。

  3.実戦
猟場は1辺が500m位ある刈取り後の大きなトーモロコシ畑、その中央付近に10羽ほどの
カナダガンの群れが4ついます。
風下から接近、発見されない様に物陰に隠れ待機、もう一人が反対側に回り追い出す作戦です。

現地ガイドはここが良いと指差しますが筆者はそうは思わなくそこには現地ガイドが入りました。
筆者は更に50mほど離れた丘の上が良いと判断しました。
経験上カモ類は丘のすぐ左右を通り、今回は地形からやや左を通る方に掛けます。

やがて打ち合わせの時間となり、サブガイドはバギーでカナダガンの群れに突入します。
カナダガンは賑やかに鳴きながら高度を取りやがて追い風に乗って離脱します。

最初の群れと2番目の群れは高高度でパス、後続のやや低高度の群れを狙います。
コースはほぼ正面で読み通りです。最初のチャンスはほぼ正面から高度50m、速度は追い風
に乗って80~90km/hとかなりの高速です。

射撃角度70度から3号55gの3インチマグナム装弾の0.4秒毎の高速5連射の迎え撃ち、
初弾はリード不足で失中、2発目もまだややリード不足、被弾不十分ながら急速に高度を
下げつつあります。以後はリードも合い順調に命中、合計4羽が墜ち大成功です。

パッドエンドの角度不良も厚手のラバーパッドのおかげか予想外によくフィットし気分を
良くしました。ふと見ると次の群れが接近中です。
4つ目の群れはすでに散ってしまったと思っていましたが、遅れて飛び立った様です。
急いで弾込めしますが時間不足で4発しか込めない内に来てしまいました。

当初正面コースでしたが、先程と違い筆者をすでに認識しており右に切れつつありますが、
高度は先ほどより更に低く30m以下、高度を取るよりも離脱を優先した模様です。

距離も40mに詰まり射撃開始、射撃角度は丁度撃ち頃の40度です。進路は更にやや右寄り
になりましたが、先程と同じ感覚で初弾発射、1番近いのに命中、それでも離脱を急ぐ群は
編隊を崩さずに飛行を続けます。この辺は蜘蛛の子を散らす様なカモとは大違いです。

先回と同仕様の0.4秒毎の高速連射、連射の都度手前のガンに命中、次々と1直線に10m弱
の間隔で墜ちて行きます。絵に書いた様な4羽連続撃墜となりました。

僅かストックのmm単位の違いですが、大きな効果が2つあります。
1つは照準性の向上であり、頬に当たる様に構えれば自然にベスト照準ポジションが得られ
ます。もう一つは連射時の安定性の向上で、頬と肩によって上手く保持された銃は連射時
にも抜群に安定し、その為に成果も大きく変わって来ます。

初めての銃で試射無しのぶっつけ本番にも拘らず、驚異の命中率は応急製チークピースの
おかげ、1.5mmが勝負の大きな分かれ目となりました。
なお現地ガイドの方はコースが合わず射撃不能、彼の奨めに従っていたら今回も捕獲ゼロ
の惨敗に終わる所でした。カナダガン猟も筆者がガイドした方が良さそうです。

      2連射9発射撃から8羽撃墜の7羽回収の快挙でした。
      チーク部分の仕様は約1.5mm厚くなり、約1mm高くなりました。

  


Posted by little-ken  at 15:47射撃ハンティング

2016年07月25日

銃床のセッティングと動的射撃。

1.散弾銃の照準器はストック
散弾銃には照準器がなく、銃身の上に付いたリブを通して目標を見る事が照準になります。
その為にはリブの真後ろの線上に目が行く様に銃を構えなければなりません。
その精度は±1mm以下を要します。

ところが人間の顔はそれぞれ違い、従いまして銃床の形状はオーダーメイドがベストであり、
高級銃は全て特注です。旧日本軍の様に体を銃に合わせろと言うのはやや無理があり、
市販銃でも近年はアジャストが可能な物が増えつつありますが、それも当然の成り行きです。
散弾銃はスナップショットで銃を向けるだけで狙わなくても当たるのがメリットですが、良くセッティングされたストックが前提必須条件になります。

2.ライフル銃もスナップショットやスイング射撃は得意項目
実はこれライフル銃でも全く同じ事が言え、スコープ銃がスナップショットや動的に向かないと
言うのはストックのセッティングが合っていないからだったのです。
最新狙撃銃ではストックがアジャスト出来る様になっている物が増えて来ました。
ストックを正しく体格に合わせ、且つ裾銃練習をしっかり積めばスナップショットもランニング
射撃も必ず当たる様になり、それらは筆者の様に得意項目に変わる事でしょう。

    筆者が依然使っていたH&Kオート、自作の黒いチークピースがポイントです。
    オープンサイトの銃にスコープを後付けしただけではあまり成果を上げられません。

3.動的の撃ち方
今更と言う感じがしますが、飛行している鳥に対しどの様に当てるのかを考えてみます。
目に見える映像はリアルタイムの様な気がしますが、実は予想外に古い虚像です。
ではどの程度古いのかと申しますと弾の飛行時間の0.1秒も含めて経験上で約1秒です。
如何ほど古いかは別にして動的射撃はこの考え方を抜きには成立しません。

飛行速度を36km/hと仮定しますと10m/sになり、距離に関係なく見えている虚像の10m以上
前に銃を向けて撃たないと当たらない事になります。
実際はそんなに前ではなくリードは数mで撃つ人が多いと思いますが、それは銃が目標を追尾しているからです。

追尾が完璧で相対位置が変わらなければ1秒古い虚像と実像の位置関係は変わりません。
従いましてこの状態であれば弾の純飛行時間分、距離30mを300m/sで飛行すれば0.1秒
と言う事になり1m前を撃てば当たる事になり、これがリード射法の考え方です。

先ほどの一般的経験量のリードは数m、何故違うかと申せば、それは引き金を引く時に
銃が止まっている引き止まり射法をしている人が殆どである事からそうなります。
なぜスイングが止まるのかは銃の反動を体が受け止める為に力が入るからです。

4.動的射撃は散弾銃もライフル銃もスイング射撃
狩猟の実戦は距離も速度も飛行方向も定かではありません。その都度リードが変わり
ますが、これを後述のスイング射法で撃ちますと余りリードを考えずに撃っても当たります。
やり方は標的を追い越した時点で引き金を引くだけになります。実際は少し遅れて弾が
出ますが、その間も銃は目標を追い越し続け、それがリードになります。

速い目標には速いスイングで追い掛けますからリードも自動的に多くなります。
遠い目標には同じリード角度でも先が開いて距離に比例したリード量がこれも自動的に
得られると言う、恐ろしくアバウトですがかなり上手く行く射撃方法です。
実際は小粒弾で射撃距離が長くなると弾速の途中低下が大きくなり、その分のリードを
少し追加してやる必要がありますが、中距離までは非常に上手く行く射法です。

筆者はスイング射撃と秒速3発を実用化してから捕獲率はぐんと上がり、若い頃は愛銃
SKB1900でアルバイト、毎朝カモの定数5羽を捕獲してから出勤しておりました。
捕獲したカモは当時月給が5万円の時代に平均800円/羽で売れ、そのおかげで日本中の旅行に行けました。

    現在の筆者の愛銃:セミオートのSKB1900改12番フルチョーク、ベスト仕様は
    24インチリブ銃身 先台の前はバランス用の錘。ストックもパッドエンドの角度を
    多少変えていますが、それ位に銃床のチューニングは重要アイテムなのです。
    カモ撃ちバイトの頃は30インチフルチョークを使っていました。


スイング射撃で重要な事は安定した銃のスイングが不可欠と言う事になり、発射の瞬間に
サイトを見直す或いはリードの再確認を取ろうとするとスイングが乱れ、見ないで撃つと
言うのが正解になります。実はこのスイング射撃方法はライフル銃でも全く同様です。

ただ近距離パターン射撃の散弾銃はかなりラフ精度でも命中させられますが、しかし
遠距離で単弾を急所に当てるライフル銃の射撃精度は散弾時の10倍の精度を必要とし、
その為により完璧なスイングの保持が必要になります。

5.ライフルのスイング射撃の成功は散弾射撃がベース
射撃の極意のヒントになれば幸いですが、90%の普通のハンターは散弾銃で引き止まり
イカサマスイング射撃をしていますが、少し経験的補正を加えると何とか通用する程度になります。
これをヨシとすればそれ以上の上達はなく、浮き沈みの多い成果となりますが、それは
基本が間違っている点に原因があります。

しかしライフル銃の動的射撃にはそのイカサマスイングは通用しなく、それ故にチャレンジ
する気が起こらない程に当たらない、それが普通ハンターのライフル動的射撃です。
つまり、散弾銃もライフル銃も同じ撃ち方ですから、散弾銃が正しく撃てなければ
ライフル銃の動的射撃はやるだけ無駄と言う事になります。

   サコー75バーミンター改 ボルトアクション銃 口径308マガジン5発。
   本銃はStdから色々変更されていますが、これがベスト仕様だと思っています。
   変更箇所はストック後端カット2cm、軽量化、グリップの形状変更、銃身カット5cm。


本銃サコー75改ではピーク時にはほぼ連日5頭のAve.4.7頭/日を記録し、19日間に90頭
を捕獲、長期で見ても10シーズンに約750頭を捕獲、その内の350頭以上が走る鹿でした。
最大遠射は500mで2頭連続命中、300m遠射の3連続成功や、5発5中も2度達成しまして、
以後は回収が大変で遠射は撃たなくなり、複数捕獲も2頭に留める様になりました。

更にヒグマ6頭を捕獲、4頭がウォーキング又はランニング射撃、2頭は至近距離のスナップ
ショットでした。猛獣にも臆する事無く対処出来た事に満足しています。
海外猟7回では国内を遥かに超える海外の大物19頭を捕獲。
こうした多大な成果が上げられたのも、道具の選択が良かった事と、射撃の基本が間違っていなかったお陰です。

筆者の合計捕獲数は 1222頭、 29%をH&Kオート、61%をサコーボルトで仕留めた事に
なります。また散弾銃側ではアルバイトのカモ撃ちとボランティアの害鳥駆除で40年間に
軽く9000羽以上を捕獲、この95%以上を6本のSKB1900で捕獲しました。
筆者の狩猟人生の殆どはショットガンのSKB1900オートとライフル銃のサコー75改と共に過ごして来たと言えます。





  


Posted by little-ken  at 16:33射撃ハンティングランニング射撃

2016年05月03日

アフリカ猟に備えて

射撃練習に行ってきました。余り射撃は上手い方ではありませんが、本日は銃の機嫌が良かった様です。150mテーブル撃ちです。

1マスは0.5インチ(12.7mm)、4発目までは40mmに収まっていたのですが、5発目は完全なミスショット、これで90mmになってしまいました。

オレンジ部分の直径は153mm、急所の150mmと同じですから、ミスショットでもこれを外さない様にするなら回収率はほぼ100%です。
もちろん後述のお呪いを忘れるとこれ程は纏まりません。 毎シーズン猟期が過ぎてからの初射撃はあまり当たらないのですが、珍しく良く纏まっています。

銃は何時ものサコー75バーミンター改、弾は80円/発の当たらない事で超有名なロシア308弾、その中でも更に当たらない方の緑のパーカライジングに140grのソフトポイント弾の方です。 弾頭を上級精度を持つバーンズに替えればこれ位は当たるのですが、当たらない弾頭のままでこれだけ良く纏まったのは初めてです。


  並みの精度の弾(ウインFMJ工場弾120円/発)で撃てば愛銃は150m 5発が19mmです。



銃は当たるに越した事はありませんが、エゾ鹿猟も含めて実戦ではこれ位に当たれば十分ですから、拙者はこの安売り弾で弾頭を銅に挿げ替え100円/発で勝負しています。実戦に於ける必要精度は50mで50mm以下、150mで150mm以下を出せれば特に問題はありません。

失中は精度不足が原因になる事は無く、何か重大なミスを犯したした結果が失中を招きます。 従いまして、精度追及は決していけなくはありませんが、それよりもココ1番に重大なミスを犯さない射撃が出来る様にイメージトレーニングをする、これが実戦で成功する秘訣です。
肝心要の時に150m 150mmが出せなければならないのですから、ベスト記録よりも最悪時にもこれを大きく超えないミスをしない腕前の方が重要です。

当日射撃場はガラ空きで静岡県からブローニングAボルトの青年が一人だけ、彼は150mにチャレンジしましたが、150m用の60cm角の的紙には10発撃っても1発しか当たりませんでした。
いくら失中に精度は関係ないとは言う物のそれは程度問題、これでは50mでも実戦能力も殆ど無い事になります。




射撃の極意は 「持たず」 「握らず」 「当てず」 「引かず」 そして 「そっと撃つ」 の5つです

実戦では「そっと撃つ」のお呪いを、獲物を前にした時に心の中で3回呟きます。手前事ですが、これを忘れなかった時は筆者の回収率は100%ですが、お呪いを忘れると60~70%程度に落ちてしまいます。


実戦では更に必要な事があります。
本州猟では殆どあり得ませんが、北海道では射手の体格より獲物(100~150㎏)の方が遥かにデカく、「迫力負け」を起こしてしまいます。
これに陥りますと例外なく本州猟の大ベテランであっても大物を前にすると足が地に着かない射撃になってしまいます。

北海道に遠征するのに地元猟でよく練習してからと言うハンターがいますが、この迫力負けは北海道に行かなければ体験出来ないのですから、正解は「まずは北海道に行く」になります。

また海外猟では撃ち放題失中放題の国内猟とは制度が全く違います。
最も違うのは失中や未回収でも数千ドルの高額料金が発生しますから、その射撃の1発には旅費やガイド代まで入れると更にその数倍が掛かる事になります。
しかしビビって撃った射撃は当たりません

因みに射程距離は150m前後、2脚を使用した立撃ちは半端な難易度ではありませんが、そんな中で「迫力負け」に加えてこの「高額プレッシャー」も乗り越えなくては成功はあり得ません。

男のロマンは「遠くて高い所」にあるのです。
高くて遠いから「ロマン」なのかも知れません。
高くては技術的や心身的に高いの意味ですが、金額で行きますと手配料まで入れるとノーミスでも160万円、200万円位の用意が必要で、こちらも高いです。
遠くてには極めるには遠い道程の意味ですが、今回のは往復2日ずつに現地で8日間の猟、合計して日程は12日間、こちらも遠いですね。


  


Posted by little-ken  at 15:32射撃

2016年04月13日

ライフル銃のベスト照準器:スコープサイト。

5~10mの空中の空缶撃ち(国内で行うと違法です)の様な至近スナップ射撃に於いてもライフル銃はスコープ付の方が遥かに撃ち易いです。この結果からもスコープ付ライフル銃は近距離のスナップショットに向いていないと言うのは完全に間違いです。

拙者の経験からスコープ付銃はド至近距離から遠射まで全ての距離で絶対に1番優れていると思います。もしこれと違う結論或いは考え方をお持ちだとすれば、拙者に比べてかなり低い経験と且つ偏った考えしかお持ちでない事になります。

ライフル銃の最も優れた照準器はもちろんスコープであり、それを生かす最大のポイントはチークピースの調整です。そして最も命中精度の高い銃は構造的にボルトアクション銃であり、最も連射速度の速いのも拙者の経験から言えばボルトアクション銃であり、セミオート銃は不要と言う結論になりました。

ただ50m以内の複数標的を瞬時に当てると言う事になりますと、話は大幅に変わりセミオートの散弾銃には敵いません。向けるだけで狙わずに撃てると言うその速度は秒速3発程度で別個の目標複数をヒットさせる事が可能ですからとんでもない速さが可能なのです。

スコープと似たサイトにドットサイトがありますが、スコープの方が映像も明るく、薄暗い所から明るい所までと全ての距離に於いて見易さはスコープ側の圧勝です。またドットサイトに似た物にホローサイトがありますが、メーカー側の最大の謳いメリットは共に斜めから見ても照準出来る事にあります。

しかしそもそも銃をまともに構えられない様ではすかさず当てられる筈もなく、今も昔も未熟さをカバーする魔法の照準器は世界中の何処にもございません。

オープンサイトは視野が広いメリットはありますが、焦点距離のそれぞれ違う照門と照星と目標の3つを同時に合わせる事は非常に難易度の高い仕事です。拙者はこれを苦労して2年ほど掛けてマスターしましたが、スコープサイトは僅か3か月でマスター出来ました。

オープンサイトの1種で照門が小穴になったピープサイト言うのもありますが、精度はStdのオープンサイトよりも良いのですが、目の位置を小穴に合わせるのは思ったよりも遥かに難しく、スコープの方が容易です。またピープサイトにするとオープンサイトのメリットであった視界の広さはかなり失われてしまいます。

射撃距離が50m以内であるならば単弾でも散弾銃の素早い指向性のあるリブサイトに大きなメリットがあります。それでヨーロッパでは近年バチューサイトと言う照門にリブの働きをする形状を追加した物が流行しています。しかし銃の本場であるヨーロッパでは未だスコープ専用銃の文化が根付いていなく、これは傑作とすら言えます。

なおスコープサイトのもう一つの大きなメリットは落差無修正で撃てる距離が0~200mと非常に幅があり、殆どの実用距離全てを落差無修正の直撃で撃てると言う非常に大きなメリットがあります。

これに対してオープンサイトでは100m以遠の射撃では照準精度に問題があり、更に100mを超えると落差補正が必要になって来ますから実質実用精度は100mまで、これではせっかくのライフル銃のメリットの半分以下しか出せていません。

こうして見ますと正しくチークピースを調整した上で、正しいスナップショットをマスターした、ゼロ~200mまで直撃出来るスコープサイトが超ダントツである事が分かります。

なおチークピースの重要性が分からず、正しいスナップショットが出来ないと言う前提で行けば、ライフル銃は従従来からの世間で言われる通りの欠点を持つ事になります。

    オープンサイトの銃にそのままスコープではそのメリットを引き出せません。

    似た様な銃ですが、こちらはオープンサイトのないスコープ専用モデルです。




  


Posted by little-ken  at 16:14射撃ハンティングライフル所持

2016年04月13日

ライフル銃の欠点-3:動的射撃。

従来の考え方ではライフル銃の照準には相当な精密さが必要であり、それには相当に時間を要し、目標が完全に止まっていてもそれなりの難易度ですから、移動していたら不可能であると考えられていました。

拙者も当初は走っている場合は難しいと思い、まずは100m以下の歩いている鹿を従来法で撃ってみました。弾着までに鹿が多少は移動する事は分かっていますが、距離が100mなら弾の飛行時間は0.1秒程度、その間に鹿が歩く距離は10~20cm程度ですからどんなに悪くてもケツより前に当たる筈です。

ところが撃ってビックリ、着弾は鹿のケツの少し後方であり、誰が何度やっても同じ結果でした。心臓狙ってケツの後方と言う事は鹿の移動速度から逆算すると1秒強と言う事になります。

これはどう考えても信じ難いのですが、誰が何度撃っても同じでしたからこれは避けがたい事実、これに対処しなければ解決は出来ません。つまり肉眼で見ているのは虚像であり、見えていない真の像とは約1秒ずれている事で考えを発展させなければならないのです。

そしてこれは見えない目標を撃つのですから従来の視力に頼った照準を辞めなければならない事を意味し、真の位置は心の中で推測する以外に方法はないと言う結論になります。ライフルスコープは見て撃たないのですからもはや単なる照準補助具と言う事になります。

拙者、その考えで弾薬約2000発と3年間で約100日の実戦でランニングショットの色々を試しました。その結果として得られた極意は獲物を1度追尾し、安定追尾後はそのままスイングを加速し、以後は見ないままで追い越した頃合いで撃つと言う、手法になりました。

銃はH&Kのオートで実戦100日から300頭程を捕獲し、約100頭が走っている鹿ですが、この時の射撃距離は100m程度、1頭を捕獲するのに末期でも5発強を必要としました。

その後に銃をボルトアクションのサコー75バーミンターに替えましたが、僅か1年で予想外の事が幾つも起こりました。まずランニング射撃の射程距離が200mまで延長され、それでいながら1頭捕獲に必要な弾数が約半分の2.7発になりました。

距離が2倍で命中率が2倍と言う事は4倍の向上率になりますからこれは驚きです。更に驚きはそれに留まらず、連射速度が自動銃の時よりも多少速かったのですから、もうセミオート銃の存在意味すらが無くなります。

    80cm級の超大物の群れ、中央が1番デカく、次は最後尾、最後に先頭を撃ちます。

その後の約10年間実戦300日でサコー75は約800頭を捕獲、300頭以上が走る鹿です。長い間の憧れであった5連射5頭捕獲も2度達成し、これで移動目標射撃は達成したと判断し、以後は回収が大変ですから1度に捕獲するのは2頭以下に留めました。

遠射最高記録は600mの2頭連続、300mでは5度連続で成功、これで遠射も目標達成と判断し、以後はこれも回収が大変ですから遠射はしなくなりました。1度出会った鹿はかなりの率で数日以内に再び出会える事が分かった為もあります。

ランニング射撃の秘訣は見ている映像が虚像であり1秒古い事を理解し、従来の肉眼照準の考え方を捨て、スイングを絶対に止めずに目標を追い越す頃合いを見ないで撃つ事です。
遠射の秘訣は銃を持たずに全依託射撃とし、銃だけに撃たせる様にすれば必ず命中します。

海外で試しましたが、この移動射撃法は飛んでいる鳥や飛び立ちの鳥に対しても有効でした。これが一般のハンターに出来なかった原因は肉眼に頼る従来の射撃方法や見える映像がリアルタイムの実像ではないと言う従来の考え方を捨て切れなかった事が原因です。

次いでですから空中の空き缶撃ちも解説しましょう。
ピストルの場合はホルスターに入れている状態からの抜き撃ちになります。
空き缶が投げられてから銃を抜き、セーフティーを外しながら照準して発射します。

拙者はこれを玩具のエアガンで練習し、当たる様になってからは海外の実銃でも試しました。ショットガンもライフル銃でも同様に海外で試しましたが、どの銃でもよく当たりました。先に抜いて或いは肩付けしたりして、準備していると当たりません。

実はこれにも秘訣がありまして、この撃ち方は移動標的撃ちではなく、単に止まっている空中標的として撃つのです。つまり投げた空き缶の空中弾道コースを読み、その上死点ポイントに向かってそのタイミング良くスナップショットをするだけなのです。
  


Posted by little-ken  at 15:06射撃ハンティングランニング射撃

2016年04月13日

ライフル銃の欠点、その2:至近距離射撃。

ライフル銃は300mまでの実用射程がある半面、近距離射撃が不得意とされています。
それは照準器にスコープサイトを使う為に視野が非常に狭く、至近距離に於いては目標を捉え難い為であり、それはどうしようもない欠点とされて来ました。

欠点のその3として、止まっている目標に対しては300mの実用精度を持つのですが、その為には時間を掛けた精密照準が必要とされ、距離の如何を問わず走る目標も捉える事も同様の理由で非常に難しく、これも同様にどうしようもない欠点とされて来ました。

欠点その1の近距離問題は銅弾頭にすれは完全に克服出来ますが、ややですが倒れ難い事が欠点側に上げられます。

しかしこれは逆転の発想で鉛弾では骨に命中すると鉛の全量飛散問題がありましたが、銅弾頭なら骨の急所を安心して狙え、返ってその場に倒れる確率はかなり大幅に上がりました。

欠点のその2の近距離問題から対策方法を紹介致しましょう。
まずは実績の紹介ですが、信じられない事の連続だと思いますが、これらは全て事実です。

1番近くは巻狩りの待ち場で獲物をどこまで引寄せられるかを試した時に本州鹿小物を5mまで引き寄せライフル銃のスナップショットで撃ち獲りました。
ショットガンならば最短距離は拙者の頭上を飛び越える1mの鹿を撃墜した事もあります。

次が280㎏のヒグマの出合い頭で10m強、50m前後になりますと実績はベラボーな数となりますが、思い出深いのはNZに於いて出会い頭の50mで320㎏のエルクを倒した時です。

近距離射撃克服の重要なポイントは二つあります。この射撃方法はスナップショットと言いますが、銃身で獲物を指差す様な照準方法に改める事です。ド至近距離であればこの銃身で指差した状態で撃っても十分命中します。

次に重要なのはチークピースの調整です。体は射撃を決断し銃身を指向した瞬間までに、発射直前の形を発射方向に向けて精密に且つ瞬時に再現出来る様に事前に訓練を重ねます。

そうしますと銃身で指向した銃床を精密に肩に付ける必要はなく、ホッペを掠めてまっすぐ引き寄せれば良いだけになります。


目はこの時には銃が肩に着く前に正しい位置に来ていますから、その時点からスコープを通してやや不完全ですが照準点が目に入って来ます。写真はスナップショットの構え始めと発射直前の2枚を重ねた物です。


この間に銃身で目標を指差す工程が入りますが、前後の映像がほぼバッチリ重っている事に注目して下さい。つまり発砲を決意した瞬間から照準は始まっており、その時の体を向ける精度が照準精度に直結すると言う事です。

つまり発砲を決意した瞬間からかなりの精度で体がすでに獲物に正しく向けられ、銃は目標を指向し、ホッペを掠めて引寄せられ、後追いでそこに当然の様に収まる、これがスナップショットの極意になります。右写真はその過程で見えて来るスコープ映像のイメージです。

50m以遠の射撃では照準微調整が欠かせませんが、この微調整開始時期も銃が肩に着く以前から始まります。これも照準に関する考え方の違いです。

一般的な照準方法は肩に銃を付けて、目がスコープを探しに行き、それによっては肩付け再調整、それから獲物の捜索に入りますから、視野が極端に狭いスコープで近距離を素早く捉える事は困難になります。

その後に獲物をスコープに捉え、それから足元等を再微調整の後、本格的な照準に入りますから、これらの最初からの全てを10秒以下で行う事は超絶望的です。

しかしスナップショットは照準の考え方が根本的に違い、これらの全てを1~3秒で完了出来ます。

重要ポイントは銃身で目標を指差す事、チークピースを調整しホッペを掠めて銃を肩にまっすぐに引き寄せる事、照準は体全体で行う物であるの3つです。

一般のハンターにこれが出来なかった原因は事象を正しく分析し、探求する心が無かった事が原因だと思います。

なお、スナップショットは1万回の素振りでマスター出来ますから、100回/日で行けば3か月程度になります。騙されたと思って3か月ひたすら練習してみて下さい。

  


Posted by little-ken  at 11:55射撃ハンティング

2016年04月10日

ライフル銃の欠点、その1.

散弾銃の射程距離が弾種を問わず50mが限界である事を考えますと、ライフル銃は300m前後までを狙撃出来ると言う素晴らしい利点(スコープを運用すると言う前提でそれなりの射撃術があった場合)があります。

しかし一方で大きな欠点もあり、50m以内の射撃が多い本州猟には不向き不要であるばかりか、ライフル銃の欠陥が大きく出て来ます。

その欠陥は銃自体にあるのではなく鉛弾側にあり、近射時により多く現れます。
つまり近距離ライフル射撃はそれなりの対策をしない限り全く不向きなのです。

ライフル弾は非力と言われる308でも弾頭の種類を問わず12mmの生鉄板や大物エゾ鹿の胴体を貫通可能な程の素晴らしい威力です。

しかし1㎜の鉄板を数cm毎に置きますと、1枚目は貫通、2枚目も大きく変形し何とか貫通しますが、3枚目はほぼ無傷です。

また実戦面では木の葉1枚を満足に貫通する事が出来ません。マグナムですと15mmの鉄板を貫通しますが、やはり木の葉1枚に手古摺ります。

中距離射撃以遠では後述の様に命中時に弾頭が大きく変形し、且つ適度に鉛が飛散する特性は威力増の点から非常に好ましいのですが、近距離ではこれが過剰に働いてしまうのです。

どう言う事かと申しますと、弾頭は命中した瞬間に運動エネルギーが熱エネルギーに代わります。

弾芯の鉛は発射時にはかなり高温ですが、それ故に近距離命中時にはそれが木の葉1枚であっても爆発的に飛散してしまい、以後は弾頭の意味をなさなくなってしまうからです。

高初速弾と近距離射撃の組み合わせ時にその欠陥は著しく現れ、例え正しく急所に命中しても内部の心臓等まで届かず、本州鹿等を50m程度で撃って半矢になるパターンが典型的なこれになります。

そんな弾頭ですから骨に当れば結果はもっと悲惨であり、鉛部分は全て飛散し弾頭の威力はそこで完全に失われてしまいます。

ところが200m以遠になりますと話は大きく変わり、そう言う弊害は骨に当たらない限り無くなり、命中時には適度な鉛飛散と大きく変形しダメージを大きくするライフル弾マッシュルーム効果を遺憾なく発揮します。

結論的に申しますと、鉛ライフル弾にはこうした重大な欠陥があり、後述の対策をしない限り近距離猟には全く使えないと言う事です。

近距離射撃が主体の本州猟全般にはメリットよりもデメリットの方が大きく、更にブッシュが多い所を逃げる猪猟には百害あって一利無しなのです。

なお鉛弾頭であっても重量低速弾やラウンドノーズ型の重量弾を使えばこの欠点は軽減されますが、遠射性能が多少落ちます。

最も良い方法はA型フレーム構造の上下2つの部屋に分かれている物を使えば表面爆発時や骨に当っても鉛飛散は上半分に留まり、下半分はその後も弾頭の能力を持って深部に到達します。

また純銅製の弾頭は表面爆発による飛散を根本的に防止する目的で開発された弾頭であり、エゾ鹿やそれを超える巨大獲物に対しても遠射性能を殆ど落とさず、鉛弾では絶対に出来ない肩甲骨&背骨を撃ち抜く回収率の高い射撃法や近距離射撃にも適しています。

アフリカ猟では未回収時に数千ドルの高額ペナルティーが発生しますが、拙者が鉛弾規制のないアフリカに於いても銅弾を使用する理由もまさにここにあります。


  写真左はライフル近距離射撃の典型的な欠陥の鉛が全量飛散後の銅ジャケット。
  写真右はアフリカで940㎏のエランドのショルダーを撃ち抜いたA型フレーム弾。


  写真3の左は走る400㎏のヒグマの大腿骨と骨盤を100mから砕いたもの、
  右は10mの至近距離から280㎏のヒグマの心臓を撃ち抜いたバーンズ銅弾です。  


Posted by little-ken  at 14:45射撃ハンティング銃と弾

2015年10月19日

スラグ射撃の極意。

近年のサボットスラグ銃と弾にはかなりの精度があり50mなら全弾数cmです。
しかし生身の体は銃の反動を本能的に嫌い、発射直前に体が勝手に硬直し、照準がずれてドカンとなります。この現象をフリンチングと言います。

エゾ鹿猟を目指す若い初心者が筆者のスクールに入門しました。熊本のH生徒と言います。
銃は2年目、狩猟経験は無く、もちろんスラグ射撃の経験もありません。
下写真左はその彼が初めて撃ったスラグ射撃10発の結果です。もちろん中心狙いです。
7発は紙に散らばり、3発は紙の外となりました。

誰が撃ってもほぼ類似の結果になり、筆者も例外に洩れず最初は似た様な物でした。
主原因はフリンチング、これでは50mの実戦能力がない事を意味します。
この克服には試行錯誤の末に10年近く掛かり、その経緯からある 「極意」 を掴む事が出来ました。

     左:新人生徒の初射撃50m10発の結果。 中:ある10年選手の50m30発の結果。  
     右:1カ月後の新人生徒50m10発の結果。


上写真中央はある10年以上の本州エゾ鹿ハンターの射撃結果です。「極意」を掴んでいなければ殆ど進化出来ない事が分かります。
反動を嫌うのは生体反応ですから克服するには強い精神力が必要で、経験や時が解決する物ではありません。なお付け加えるならばこのハンター殿が特別にヘタクソと言う事は無く、これが中の下の普通ハンターの実力です。
この腕前で偉そうに射撃やエゾ鹿猟のウンチクを述べているのですから笑ってしまいます。

上写真右は「極意」伝達後にイメージトレーニングを1か月間に行った後の初射撃です。
下写真左はその拡大です。ビフォーアフターは劇的に改善され、上手くやればたった1ヶ月でもかなりの効果を出せる事が分かります。
これなら50mの実戦能力は文句無しにあり、100mの実戦能力をすでに覗かせています。
なお3枚の写真は的紙の規格が違う為、同縮尺に調整してあります。

    50m10発の部分拡大の写真。   別生徒の2倍の距離である100m 10発。

実は7年程前に似た様な状況のもう一人の新人、沖縄のR生徒の場合にも「極意」を伝えた1か月後には劇的な効果を出す事に成功しました。上写真右はR生徒の3年後の100mの射撃結果です。2枚は同縮尺に調整してあります。

「極意」を理解すれば僅か1カ月後の初射撃でも、筆者の5年後の成果以上の劇的な効果を生み、3年後には筆者が10年掛かってやっと手に入れた100m射撃をもう可能としています。実際R生徒は4年目には120m、5年目には150mの実戦で急所に命中させています。

2名に伝達し、2名共が僅か1か月後に、素晴らしい結果を出す事が出来たのですから、この「極意」は本物と言えます。

その極意は 「持たず」 「握らず」 「当てず」 「引かず」 「ドライファイア」 の5つです。
従来から前4つは説明しておりましたが、5つ目を組み合わせるともっと良い結果が早期に生まれます。

「持たず」は左手です、銃を発射の衝撃で落とさない程度に握ります。

「握らず」は右手でグリップを握る時に中指抜きで軽く握ります。
中指は人差し指と連動しているので引き金を引いた時のブレを減少出来ます。

「当てず」は肩にしっかり当てずに指1本程度浮かします。これで反動を怖がる為に体が硬直する事による銃のブレを減少出来ます。

「引かず」は必要最小限の力とストロークで引き金をそっと且つ一気に引きます。

「ドライファイア」は弾を入れなければフリンチングは起こりませんから射撃練習の99%をこの「ドライ」に切り替えます。引き金が落ちる±0.1秒間だけ銃がブレない練習を毎日行います。射撃場の実射は月に1度10発位を成果確認に留めます。

これで極めて短期に必ず当たる射撃が出来上がりますが、まだスタートラインに並ぶ事が出来ただけです。実戦で最も重要な事は射撃準備動作です。
これには照準動作ももちろん含まれますが、車を降りる事に始まり、銃のカバー外し、前方の安全確認、弾入れ、装填、安全解除、照準等々の全ての行為が含まれます。

これがスムーズにいかないと焦りが生じ心が「マイナス」状態、この射撃は経験上非常に命中し難いのです。まとめますと命中の為の必要条件は下記の様になります。
    1.発砲準備動作をしっかり練習して体が自動的に速やかに行ってくれるまで練習する。
    2.実戦に際しては「持たず」「握らず」「当てず」「引かず」の4項、
     そして「ドライファイア」に変わって「そっと」撃つ事を忘れない。





  


Posted by little-ken  at 16:37射撃EHG5205近況

2015年01月08日

近距離から遠距離までの全てに通用する射撃方法はありません。

近い鹿も遠い鹿も全てを獲りたい気持ちはよく分かりますが、一般的には近も遠も共にかなり難易度が高く、当面は最も良く出会う中距離以下を外さない様に徹する事が無難な方法です。
如何なる距離でも銃は狙って撃つ事に変わりはありませんが、運用方法は射撃距離によって大きく異なります。

銃は肉眼で照準器を通して狙うのではなく、体全体で銃を獲物に向け、心の目で狙います。
照準は確認して撃ちたい所ではありますが、中距離までの要求精度はそれほど高くありませんから最終確認はせずに撃ちます。つまり見ないで撃つ事になり、この思い込みの変更が成功へのカギになります。

100m以内の近距離ではどうしても早目に逃げられる傾向にありますから、とにかく必要なのは早撃ちになります。精度的には直径15cmの急所に当てれば良いのですから早撃ちでも充分当てられます。この射撃も一般的な射法では発砲前にかなり逃げられたり、焦って撃ってかなり外したりですから、全部当てようとしてする思いを変え、半分当たればヨシとすれば心がグンと楽になります。

200m級になりますときっちり狙わないと当たりません。今度は依託度の高い半依託射撃をしないと当たりませんから、近距離射撃とは全く違う撃ち方になります。
300mになりますと精度的に全依託射撃が必要になって中距離射撃とは全く違う射撃になります。そしてこれは後述の説明にもあります様に難しい落差補正が絡み、当てられませんから当面は除外する方が得策です。


  正しい近距離実戦射撃=スナップショット
本来近距離射撃は非常にイージー射撃になる筈ですが、モタ付けばすぐに射撃チャンスを逸しますから実際は射手が焦ってしまい、非常に命中率の悪い射撃になります
そうなる理由は照準が遅いからであり、その原因は正しい照準動作をしないからです。

照準と言う動作だけに付きましても、一般的に「肩に銃を付けて」「頭がスコープを探し」「その結果として肩を付け直し」「それから照準が始まり」「確認して撃つ」この5行程があるのが普通ですが、それは正しい照準方法ではなく直列思考のダメな照準方法です。

正しい照準方法を説明します。
ある目標に向かって最終的な発砲直前状態の形を体に覚え込ませます。
そしてその形の復元を直列では無く並列並行的にさせる、これが正しい照準方法です。

つまり体は目標に対して特定の位置関係と銃の反動に備えたあのスタイルに向かい、同時に頭は頬がチークピースに当り目がスコープの正面に来るその位置に向かい、そして銃もこれらと並行的動作で、装填と安全装置の解除をしながら、銃身で目標の急所を指差す様に向けて、まっすぐ肩に引き寄せます。

こうすると全ての動作が一瞬の1行程で完了しますから一般的な5行程照準に比べて著しく時間短縮が可能になります。更に、正しい照準方法は銃が肩に付く以前から照準がすでに始まっているのが特徴ですから、実際にはもっと大きな時間の短縮が起こります。

目はすでにスコープに正対する位置を完了しており獲物の急所を見ております。
銃身も指向させた時点ですでに目標の急所に正対していますから、肩にストックが付く少し前にはスコープを通して急所付近が目に入り始めます。

その結果として軸線がずれていれば、肩に銃が付くまでに照準補正を始める事が出来、その正しい軸線を横切るのを見越して引き金を引きますが、それは肩に銃が付く付かないを問いません。ずれが微少以内であれば、肩にストックが付くかなり前にそのまま発砲しても弾は急所付近に当ります。

銃が肩に付くまでの1工程はどちらの照準もほぼ同じ時間になります。
しかし一般的な手法では全5行程であり、更に4工程も必要になりますが、正しい照準方法では1行程目の半ば過ぎの時点(つまり0.5行程)でもう全てが完了しますから、5行程対0.5工程つまり1/10が達成された事になります。
そしてその射撃はちゃんと当たる射撃になっており、圧倒的短時間ですから獲物に逃げられる可能性は甚だ僅かになります。

  ストックが肩に付く前のスコープの黒丸の中にこんな感じの急所付近が拡大された映像
  が目に入って来ます。この時点で微修正なり発砲を決断するのがスナップショットなのです。
  スコープの中の黒丸はなるべく中心に見える様な位置に目を持って行くのが正論ですが、
  少し位ずれていても気にする必要はありません。


これが正しい近距離照準の手法です。スナップショットと呼ばれる撃ち方ですが、これは特別な撃ち方ではなく、これが近距離射撃の標準的な手法になり、実戦射撃全ての基本になります。通常の皆さんはこの正しい射撃をしませんから、その結果として「確実に戴けるチャンス」もを撃てずに或いは焦り射撃で逃がしてしまうのです。

筆者のヒグマ5頭も全てこのスナップショット、またNZで大物エルクを捕獲したのもこの射法です。
筆者はこの正しい射法をマスターしていましたからこれらの捕獲に成功しましたが、この射法抜きであれば結果は一般の皆さんと同じ事になったと思います。

スナップショットをマスターすると言う言葉は銃を扱えると言う言葉と同意語なのです。
このスナップショットをマスターする事と、見ている映像が古い虚像である事を理解すれば、全ての場面の獲物に対処出来る様になるのは時間の問題です。

初期には多くの人が50mでも的紙から外れてしまう射撃を経験された事と思います。あれは主原因がフリンチングです。スナップショットでは高精度を出す事は不可能ですが、肩に銃が付く前に撃ちますから、フリンチングは起こり難い構造にあり、瞬時に撃っても実用レベルに耐えられる精度が出せるのです。

従いまして、100m未満なら気合を入れて銃を安定させ、照準を確認しなくても十分に実用的な精度は出せるのです。この狙い込まなければ当てられないと言う射手側の従来の思い込みを変えなくてはなりません。
精度が原因である失中は一切なく、失中は何か1桁以上大きなミスが原因で起こります。


  正しい中距離射撃=半依託射撃
次に正しい中距離実戦射撃のお話をします。これにはまず銃の安定保持が不可欠です。
その結果、何か固定物に寄り掛かる、ここまでは容易に想像が付きますが、実は射手の体側も何かに寄り掛かって安定化を図ると射撃精度は著しく向上します。

銃と体の安定化を優先した結果、毎回著しく変形した本来の正しいとされる射撃フォームからは程遠い形になりますが、これが実戦用の正しい半託射撃の考え方になります。

どんなスタイルになるかは各々の場面によって色々あり過ぎて代表的な例を示せない程になり、中距離射撃は言葉を変えれば射撃場で撃つあの標準的なスタイルとは全く違うと言う事になります。これも従来の思い込みを変えなくてはなりません。
また委託を優先しますとスコープの映像も黒い部分が出て来ますが、ある程度の中心寄りに目標の急所を捉えられるのであれば、全く問題はありません。


  遠射は当面考えない
300m級になりますと一段と要求精密度が増し150mで5cm程度以下を要求されます。
これには銃を完全に委託しないと命中しませんから、また今までとは違う撃ち方になり、
これを満たす射撃方法はボンネット射撃とプローン(伏せ撃ち)だけとなります。

更に250m以遠は落差補正が不可欠となり、それには正確な射撃距離データが必要です。しかし距離の実測をする時間はありませんから目視測定になりますが、目測であると2倍以上のかなり大きな誤差が出る事も何ら珍しくありません。

大幅に間違った補正であればしない方が当然ですが良く当ります。従いまして当面は近距離&中距離に焦点を置き、遠射は取りあえず対象外とした方が得策です。
遠射はその猟場の地形に精通し、あそこまでは何mを全て覚えてからチャレンジすれば、自然に当る様になります。そしてそう言う日はそれ程遠い事ではありません。

なお、この落差補正量は300mや400mの遠距離ゼロインにしておき、中近距離でマイナス補正すればその補正量は半減すると言うマジックが起こります。

この落差補正をすると言う考え方その物は間違ってはいませんが、実際には正確な距離データの入手が非常に難しい物になります。
通常は目視によってかなり大きく間違った距離をベースに補正が行われますから、すでにお話した間違い補正が行われる可能性の方が高く、結果的に自信を持てない射撃になってしまいます。

射撃と言うのは本当に不思議な物で心に不安要素が少しでもあると命中しません。
自信を持って撃った射撃だけが命中するのです。
そう言う事ですから当面の間は落差補正の射撃はしないと言う考えがベストで、具体的には150mゼロインにしておき200m強までを直撃する事だけを考えて練習を積み重ねます。



まずは最も確実に戴ける近距離射撃から自分のモノにしなければなりません。
スナップショットは全ての実戦の基本、そして従来からの古い思い込みの幾つかを排除する、これが上達へのステップになります。


  


Posted by little-ken  at 10:32Comments(1)射撃ハンティング

2014年12月30日

飛び道具研究家が見た「NHKドラマ 3人のパイロット」

紫電改がヘルキャットやコルセアと戦うシーンが中々に良く出来ていました。
飛び道具研究家を自称する拙者から見ると、どうしてもストーリーよりも飛行シーンに目が行ってしまいますが、紫電改の飛行シーンは良く再現されていました。

1番感心したのは離陸時にプロペラ渦巻き後流の為に機種を5~10度振って斜めに離陸するシーンです。プロペラ単発の飛行機と言うのは構造上プロペラ反力とそのプロペラ渦巻き後流の為に絶対に真っすぐ飛べない飛行機なのです。
飛び道具研究家を自称する拙者も戦闘機型の練習機で飛行訓練を受けましたのでこの感覚は良く分かります。

また上げ舵を取ると飛行機は姿としてはすぐに上を向きますが、実際はかなりオーバーシュートし、上がり始めるまでにはかなり時間が掛かりますが、そう言う上昇シーンもあって涙ものでした。

急旋回時に空戦フラップと言い自動的に開くフラップを出していたのも良く再現されています。
CG制作者はこの辺の飛行特性に付いては理解していた様です。しかしそうなると余計に残念なのが射撃シーンです。

栄光弾が多数飛び交い、薬莢がバラバラで出るシーンは一見すると良く再現されているみたいに見えますが、実際は全くダメ。
何がダメなのか、それはまず発射煙がありません。実際の射撃で1番良く見えるのはこの発射煙です。実射の写真が全てを物語っており、弾道は少なくとも昼間は見えないのです。

機関銃の曳光弾は通常5~6発に1発ですが、光るのは弾の後方だけですから見えるのは射手だけ、昼間は横方向からは全く見えません。
更に言えばWW2の4年目のアメリカ軍は防弾や火災に対する装備が貧弱な日本機の撃墜効率を高めるのに全弾を普通弾に切り替えていますから弾道はますます見えません。
うす暗くなって来ると栄光弾は番組の様に横からでも良く見える様になります。

彼我の銃は下記の様に著しく違うのですが、番組では両者の曳光弾の数も薬莢の数も同じ感触でした。これも非常に残念な項目です。

日本軍の紫電改は発射速度の遅い20mm機銃4丁で合計発射速度は500発/分が4丁で2000発/分です。
アメリカ軍側は速い発射速度の12.7mm期銃が6丁、ヘルキャットやコルセアは800発/分が6丁ですから合計4800発/分、2.5倍近い発射数の違いがありますから一目で違いが分かる筈です。
仮に見えたとして栄光弾の数的には次の様になります。

栄光弾は1km先まで光るとして合計回転速度は4800発/分、計算すると空中に存在するアメリカ機の曳光弾は18発程度で、数的には番組の様な感じになると思います。
それに対して日本機は2000発/分ですから仮に見えたとしたら曳航弾は7発程度、日本機の曳光弾の数は明らかに多過ぎます。

  F4Uコルセアの20mm銃4丁の射撃、発射煙は非常に良く見えますが弾道は見えません。
  紫電改の射撃は発射速度が更に1.4倍遅いので発射煙の間隔も同様に伸びます。



  F6Fヘルキャットの12.7mm銃6丁の射撃、発射速度が速いので発射煙の間隔が狭く、
  他は同様です。


被弾シーンも良く出来ていたと思いますが、今度はあれ、20mmを4丁時の命中した感触です。
20mmは発射速度も銃の数も少なく、命中するのはほんの数発、但し炸裂弾も半分ほど入っているので当れば爆発し、あんな感じとなり、良く出来ていると思います。

しかし12.7mm 6丁のアメリカ軍機に撃たれますと時間当たりの弾数が2.5倍程ありますので一瞬の比弾でもすぐに10発位が命中します。命中時の音はバケツをまとめてひっくり返した様な感じと言われています。

筆者がもしWW2の戦闘機パイロットだったらですが、筆者は上達が遅くドジですから最初の1年間は相手側のカモになる以外の働きは出来ないと思います。しかしそれを運良く生き残ればきっと3年目には本当に敵を墜とせる数少ない名人級パイロットになれるだろうと思います。

個人的にはマスタングの試作機に20mm4丁を搭載した型がありますが、あのXP51Bにマルコムフードを付けてを愛機にしたいと思っています。





  


Posted by little-ken  at 16:27射撃飛行機&滑空機