2024年05月10日

50年間で分かった事、その6:実射練習からは100mが限界。

  17実射練習からフリンチング対策は進まず、射撃が上達する事は無かった。
  18フリンチング対策をしなければ射程20m、射撃場通いは100m弱が限界だった。
  19失中の原因「迫力負け」等の心側の不安にあった。

射撃上達を阻害する原因は銃の反動にあり、反動を上手く受け様とする発射直前の体にチカラが入る生体反応に原因がありました。

これにより主に移動標的の散弾銃射撃では追尾していたスイングが止まってしまう「引止まり射撃」に陥り、銃のスイングが止まっている間のリードを追加する必要があり、リードは約3倍の高難度な射撃となり、通常ショットガン射撃は「近距離&低速限定となりました。」

また静止精密射撃のライフル銃射撃では照準がズレてしまい、「100m未満の射撃に陥り」ました。フリンチング対策の練習を全くしなければ急所を狙える射程は20m、壁は50mと100mにあり、「射撃場通いでは100mを超える事は不可能」と言えました。

2012~2015に設定された旧技能講習では受検した70%以上が50m先の15㎝の的に命中させられず不合格、高難度故に受験しないハンターも多く、全体の本州ライフルハンターの90%以上が所持許可を更新出来ずに終りました。

同じ試験を北海道ハンターは90%以上が合格した事から、射撃場通いすれば概ね全員が超えられる試験内容でしたが、射撃場通いをしない本州ライフルマンには絶望的高難度でした。

スラグ弾射撃の初期頃、ケンさんも50mで15㎝の的紙から時にはみ出し、50mで10㎝には概ね5年を要しました。

一方北海道では当時50~100mにいたエゾ鹿を捕獲する為のライフル銃でしたから、概ね全員が合格しました。

この事は射撃場通いをすれば概ね全員がこの程度にはなれますが、その後もエゾ鹿は100~150mにいた事を考えますと、100mを超えるエゾ鹿に射撃する人はおらず、150m射撃の能力を持った人は例外的な存在と言えました。

結論として「射撃場通いで50m能力は得られましたが、100m能力を持つ事は難しかった」事を意味しました。

またエゾ鹿猟では本州鹿にない新たなテーマもありました。本州鹿はハンターと同格で「迫力負け」は起こりませんが、エゾ鹿成獣オスは130㎏前後、日本人ハンターの2倍近い巨体でした。

巨大なエゾ鹿との対戦は対面した時、その大きさから来る「迫力に負け」で足が地に着かない射撃に なってしまいました。

身震いする様な大物エゾ鹿との勝負が最大の魅力なのですが、「迫力負け」が大きなテーマとなりました。「100mで5㎝の射撃精度が育ち、迫力負けに陥らなかった時、大物エゾ鹿の捕獲成功」に至りました。

  20休猟区明け解禁開けフィーバーは僅か10分間だった。
  21エゾ鹿はフィーバー日(概ね6日サイクルの悪天候明け)に一斉に行動する。
  22フィーバー日以外は鹿に出会えない3流ガイド。
  23繁殖期のエゾ鹿は広い場所で順番に自己の存在をアピールする。
  24紋別のエゾ鹿のベストシーズンは10月下旬からの4週間だった。
  25根室のエゾ鹿のベストシーズンは12月中旬からの4週間だった 。

エゾ鹿猟に限らず、狩猟で最も難しいのは獲物と射程距離内で出会う事です。1995年まで休猟区と言う制度があり、全体の10%で3年間狩猟を休ませるエリアがありました。

古くは1971年、ケンさんの家の近くが休猟区明けとなり、小雨の降る日にキジ猟に出撃しました。結果から申しますと、キジはウジャウジャいまして、25回のオスキジ射撃チャンスがあり、超未熟ながら2羽の捕獲となりました。

1992年まで白糠も休猟区でした。当時は駆除も無く、メス鹿も禁猟、道端には撃たれないメス鹿がウジャウジャ、そのメスとの出会いを狙った若いオス鹿もチラホラいて、これが狩猟のメインターゲットでした。

当初はガイド料不要の巻狩りを始めました。本州鹿巻狩りを極めていた事、巻狩りの方が鹿との出会いが多いと思っていた事等々がありましたが、これは大きな間違いでした。

白糠巻狩りは3シーズンで正味21日間行いましたが、本命の巻狩りではゼロ頭でした。
しかし猟場への往復の過程で数頭を捕獲しました。

それで4年目からは単独流し猟を行う様になり、概ね1日1頭の捕獲がありました。
ならば流し猟なら誰でも獲れるのか? 決してそうではなく、同宿の6組はどの組も捕獲はゼロ、ケンさん地元から出撃した流し猟数組も全滅、「狩猟界の記事はイカサマ」でした。

 メス捕獲は更に高難度だった。:そのメス鹿が1994年1月15日から2週間特別解禁されました。あの頃のオスは撃たれるので中々姿を出しませんでしたが、メス鹿は撃たれないので本当に道端に幾らでも居ました。朝7時頃林道を走りますとカーブを10~20回程曲がるとメス鹿の群がいました。

その群の中には稀にピン角オスも稀に混じっており、群れを見掛けるとオスがいないかチェックです。オスがいなければ次の群れを探しに続行です。

またカーブを10~20回ほど曲がりますと次の群れがいます。こんな光景が毎日約1時間続きます。 夕方でもその半分位を見る事が出来ました。当時メス鹿ならばこれ程いたのでした。

メスも撃てるとあれば幾らでも獲れそうに思うのは全員だったと思います。
メス実験的解禁の年に元GUN誌編集長はかなり無理して15日間も休みを取って来ました。

メス鹿を毎日1頭獲れる予定でシカ肉注文もたくさん受けて張り切って北海道に遠征しましたが、実際の発砲は後述の様に初日に失中した50mの1回だけ、捕獲はゼロ頭でした。

メス解禁以前も猟期は12月1日から1月31日までの2ケ月ですが、捕獲の75%は何時も前半でした。今考えるとやはり繁殖期の雄が雌を追掛ける時期との関係が大きかったと思います。

又その時捕獲出来たのは3段角になったばかりの中小型鹿(オスとしての順位で№.3~4)が多かった事からも、やはり繁殖期が大いに関係していたと思います。

初のメス解禁の日には記録破りの驚く程の人出となりました。
実際に林道のメインストリ-トは100mに1台の車がウジャウジャおりました。

どの車にも2~3人が乗っております。あれ程たくさん居た鹿はすでに1頭も見えません。余りの車の量に鹿の動きが全く止まってしまった様でした。
これでは鹿に出会う事が難しいと思い、ケンさんはマイナー林道に入りました。

やがて解禁の時間になりますと、約10秒間銃声が鳴り続けました。
その音からも如何にたくさんのハンターがいるかを推定出来ました。

間もなくメス2頭群に出会い、足が地に着いていない編集長は失中、ケンさんはダブル捕獲、取り敢えずメデタシメデタシとなりました。

その後もう1頭を追加、解禁から10分は散発的な銃声が聞こえましたが、午前中の以後の出会いはなく、それで終わりました。

その日の夕方は1頭も見ず、2日目の朝も夕方も、更にその翌日もあれ程居たメス鹿は1頭も見る事がなくなりました。

4日目の朝少し遅めに1度だけ鹿が急に少し動き出しまして、1頭追加出来ましたが、夕方の出会いはゼロでした。

ケンさんはその翌日に帰りましたが、編集長はその後更に1週間の猟をしましたが、あれ程道端にたくさん居たメス鹿を、遂にその後1頭も見る事が出来なかったそうです。

毎日1頭を捕獲するつもりで肉の注文を確保してきた編集長はがっかりでした。
メインの林道の道端にはシカ捕獲の痕跡が約1㎞毎にありましたが、あの膨大な車の量からすれば獲れた組は僅か10%程度で、大多数は獲れなかったガッカリ組ではなかったかと思われます。

 本州鹿メス全面解禁:2005年11月15日には我が愛知県もメス鹿が全面解禁になり、ケンさんが以前所属していた巻狩りグループもメス解禁に向け張り切っておりました。

メスなら幾らでも獲れる筈、誰もがそう思っていました。ケンさんは北海道白糠の経験があるので「最初の1~2頭は獲れると思うが、悪く見ればメス群れはオス以上に敏感、結局メスは殆ど獲れず、雄雌合計でもメス解禁以前と殆んど変わらないだろうと思いました。

結果はケンさんの予想よりも遥かに酷い物になりました。 

メスは最初の数頭だけ獲れました。メスは撃たれないから以前は姿を見せたのですが、1度撃たれれば命が掛かっており、そう簡単には姿を出さなくなりました。

その後のオス捕獲は従前比で半減以下に大幅ダウン、雄雌合計しても数値は余り変わらず、鹿猟は従前より遥かに高難度となりました。
これがメス解禁の事実でした。

オスも猟期前半は繁殖期故にメスに惹かれて動きますので従来は多少姿を見る事が出来たのですが、メスが動かなくなったので、オスも動かなくなりオスの出会いも激減したのでした。
結局メス解禁で総捕獲数は2倍になる所か、雄雌合わせて半分となりました。

北海道のメス鹿の全面解禁時は行かなかったので知りませんが、スクール開講は2002からですが、その頃の定数はオス1とメス2でした。メス解禁で出会いは高難度となった様でした。

しかし北海道ではその時期に山から降りたオス鹿の繁殖期の縄張り争いからチャンスが多数生まれ、ケンさんスクールでは1日5回の出会いがあり、出会いの70%がオスの3段角成獣、20%が角長70㎝を超える大物を誇りますが、実を言うと用心深いメスには殆ど出会えなかったのです。

2003年頃からこの傾向が強くなり、2004年以降解禁の1ヶ月の出会い数はオスが90%、群れの№.2クラス(70㎝級)との出会いが全体の20%もあり、全体の70%が3段角のオスでした。
メスが姿を出し撃てる様になるのは雪が降ってからとなります。

結局、簡単に鹿が捕獲出来る方法は、休猟区開けの解禁直後の10分間を除けば無いのです。
1990年頃、雑誌「狩猟界」に成功レポートがたくさん掲載されていましたが、あれは休猟区明けの解禁後の10分間の物語だけでした。

そしてその頃はメスが撃たれなかったので、それに連られてウロ付くオスが獲れたのですが、そう言う時代も過ぎました。近年は鹿の被害が増え、その増殖に結付く休猟区設定も無くなり鹿の駆除も1段と増え、雄雌含めエゾ鹿に出会う事自体が高難度となりました。

 エゾ鹿フィーバー:普段は出会う事自体が非常に高難度なエゾ鹿ですが、概ね6日サイクルの 悪天候明けの日には一斉に行動を起こします。

その日は大物ズラズラ、しかも何時もよりかなり距離も近く、鹿は周りのライバルオスに目を奪われ、照準時間も長らく貰えます。

超大物捕獲のチャンスはこの日を除けば非常に少なくなります。
地元3流ガイドでもこの日だけは鹿に出会える事でしょう。
その確率は1/6ですから17%、3流ガイドでは残る83%は出会いが得られません。

悪天候明けの鹿が一斉に動く日を「フィーバー日」と呼んでいます。
大物が多く、比較的距離も近く、照準時間も長目に貰え、ハンターに取っては1番良い日となります。毎シーズン1回、ビッグフィーバーになります。

超大物がズラズラです。ハンターであれば誰もがそんな日に出撃したいのですが、何時それが起こるのかは、その時にならないと分かりません。

 エゾ鹿猟ベストシーズンとその場所:エゾ鹿は季節的な移動をします。狩猟解禁は10月1日ですがその頃は余り向いておりません。

鹿が行動を起こすのは10月下旬の高い山に冠雪があった時からとなります。
群は5~10頭の同族メスが中心となり、それを取巻くオス達から成り立ちます。

その時から約1か月間に悪天候明け毎に山から降りて来ます。
この時がエゾ鹿の繁殖期と重なり、ケンさんの紋別スクールでは山から直接降りて来る鹿を山に接する農地で狙います。

群れの近くにはボスがそれ程離れない位置に隠れています。
メス群とボスが引上げると群の№.2が その近くで「我ここにあり」と数分間アピールし引き揚げます。すると№.3がまたその近くで同様にアピール、次が№.4になります。

ボスは時間外の可能性が高いのですが、NO.2は境目付近、NO.3は合法時間である率が高くなります。夕方にはその近くで15時前後からその逆の順序でアピールが行われ、翌日以降は何となく一定ルールの基に下流に移動をして行きます。

山から降りるポイントは幾つかあるので、これらを追い掛けている内に、また次の悪天候明けとなり、新しい群れが降りて来ます。
概ね6日サイクルです。従って7日猟をすればフィーバーに会えます。

 ケンさんのもう1つの猟場である根室の場合:鹿が山から降り始めるのは概ね同じ頃なのですが、山は阿寒摩周方面であり、山から降りたその1部が根室半島に向かいます。

根室の猟場は根室半島中場の別当賀周辺です。
鹿がそこに到着するのは12月中旬からの1か月間となります。

年末年始もその期間に含まれますが、ハンターが多くなり過ぎ、良い狩猟が出来ません。
良い猟場とは鹿が多い事と、ハンターが少ない事、どちらかと言えば後者の方が重要です。

根室半島は地図では小さな狭い半島ですが、全体が台地状になっており、モンゴルの大草原を思わせる地形です。

大型の鹿が多いのですが、射程距離が長いのと、照準時間をあまり長く貰えない事です。
すでにここに来るまでにあちこちですでに撃たれており、走っている鹿が多いのが特徴でした。







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Posted by little-ken  at 11:57 │ハンティング銃と弾