2013年06月06日

0~300mの落差補正無しの直撃射撃&教習射撃の疑問。

0~300mの落差補正無しの直撃射撃。
また今回はもう一つテストをしてみました。
日頃筆者は300mの遠射をする時にハードスポンジの上に銃を置いて撃っています。
手で持っている時に比べて300mの割にドロップ量が少なく感じており、若干は銃が上に跳ね上がる感じは持っていましたが、今回これがどの位であるかをテストしてみる事にしました。

0~300mの落差補正無しの直撃射撃&教習射撃の疑問。
結果は写真の様に150mで90mmほど上に着弾しました。
250m以遠しか銃を置いて撃ちませんので結果オーライ的に落差を補正される側にあって、過去の数々の疑問が解決しました。

筆者の場合は200mまで手に持った半依託射撃で落差補正無しの直撃狙い、250~300mは置き台による直撃狙いで済ませられる事がこれで証明されました。

銃の跳ね上がり量は各銃や弾によって違い、且つ置く台の硬さや反発具合いによって大きく変わりますから全てがこの様に結果オーライにはならないと思いますが、試す価値はありそうです。


やはり実戦射撃はその出会いの距離からも150~200mのゼロインが良いと思います。
300mゼロインにすると多用する100m前後の射撃距離に於いて10cm以上の上を飛行する為にマイナス補正をする必要が生じます。

過去何名かのマグナム銃使用生徒がこの300mセッティングでスクールに参加しましたが、結果は補正が上手く行かずに最も捕獲しやすい100m前後に於いて失中や未回収の連続となりました。

立場上、今まで多くの人の失中した射撃を見て来ましたが、落差補正と言う物は正側であってもマイナス側であっても上手く行かない物です。
射撃距離その物の読みが周辺の開け方の違いや明るさの違いにより2倍以上の誤差を含むのが最大の原因です。これが2倍の誤差を含みますとそれにより落差補正を行う事は直撃法に比べて失中の可能性がかなり増えると言う事になります。

更に撃つ時に落差補正はこれで良かったのかと言う心の不安要因を残す事になります。
射撃時に迷いが少しでもあれば当る射撃も当らなくなります。
撃つ前に距離を測定できれば問題も多少は減少しますが、余程のデメキンでない限り、距離の測定で時間を消費する事はかなりもったいない事となり、本来時間的にゆとり射撃であった物が時間不足の焦り射撃に陥るかも知れません。

結論として何時も落差補正をしない直撃が1番です。と言う事は150mまたは200mのゼロインが良いと言う事になります。


教習射撃の疑問。
当日他に3名の高齢ライフルマンが来ておられました。
22.5cm角の教習用専用的を50mからシッティングで撃っていました。
一人はブローニングオート、もう一人はサコー75ハンター、最後の一人は数百万円はすると思われるBSAスーパーカスタム銃。

ブローニングオートの人は何割かの弾着不明があって合否スレスレ、練習すれば多分合格できると思います。
サコー75の人は80~90%が的紙に当らず、今の状態では合格は絶望的。
BSAカスタムの人も最初は類似でしたが、かなりねばって半分位がやっと的紙に命中、今はまだ合格レベルでは無いものの今後の練習の成果次第となりました。

なおゴミ箱にはこの3名の物や以前のシューターの物と思われる殆ど着弾の無い的紙が多数見受けられました。下記の的紙もその内の1枚です。
0~300mの落差補正無しの直撃射撃&教習射撃の疑問。
            左半分が50m教習用の専用標的。右がSB用の公式標的。


この実技試験に筆者は次の様に思いました。
まず第1は50m用にはSB用の標的があるにも拘らず、これを使用せず僅かサイズが7~8%大きい専用標的を設定した愚かさ。
第2は専用を作るとしたらA4サイズの横が211mmであるが、これに合わせずこれより7%強大きい専用サイズにした愚かさ。
第3はあまりにも差がある散弾銃側との合格に必要技量の差に対する疑問。

散弾銃はイージークレーを5mトラップで25発中2枚以上の命中で合格、銃を持った事の無い初心者時にはこの程度で妥当と思われますが、実猟でソコソコ当る人が数回練習射撃に通えば半分程度当る事は何ら難しくはありません。

1例として我が地元猟友会の75歳の高齢会員は合否スレスレの腕前でしたが、4回射撃場に通った結果、60~70%が当る様になりました。
それだけではなく猟友会親善射撃大会は15個撃ちを採用しておりますがラッキーさが手伝ったとは言え15枚満射を出して周囲の人を驚かせました。

筆者はクレー射撃の経験者合格は10枚以上、これが実戦である程度使える3割ヒットの目安として妥当ではないかと考えます。又それ位でなければ本人も楽しくないし、実戦で危ないだけと思います。

散弾銃の合格線がそれであれば、ライフル50mシッティングで平均合格の2点圏は直径150mmですから3割ヒットの実戦倍数3(全数ヒット実戦倍数は約10)として50mの鹿等の胴体から外れないレベルになりほぼ妥当な線となり、両社はほぼ同等な合格ラインになるかと思います。

しかし本来はこのレベルの要求であればライフル銃は不要のスラグ銃の世界ですから、やはりライフル銃は10発で40点(4点圏の直径115mm)が妥当な気がします。それで無ければ100mの鹿を3割ヒットで倒せません。


至らない成績の人が・・・
ライフルが当てられない人の場合、やはり主原因はフリンチングと思います。
クレー射撃の方は標的がイージークレーですから、合格要求レベルが低い事もあり、練習に通えば必ず合格レベルに至れますが、ライフルの方は付焼刃的な練習では合格できません。

筆者が20数年前ライフル初心者講習を受けた時は同時に5人いました。(使用弾は243ウイン)
2人(私もここ)は素直に合格、一人は粘って合格(ここまでは公開)、しかし残る二人は距離50m(正規)で100m用の45cm格(当時はこれが正規)の的紙に殆ど当りませんでした。

結果的にはどうも射撃距離を当るまで短くしてナイショで合格?(非公開だった)させたみたいでしたが、彼らがそのまま本格的な努力をしなければその後ずっと当る筈の無いライフル銃を使っていた事になります。

そしてそのクラスの方々も今年初めて技能講習を受ける事になりました。ずっと努力しないで永年やっていた人が少しの練習で急に開眼する筈もありません。
そのクラスの腕前の方が少しでも可能性を増そうとスコープを新たに取り付けてチャレンジしているのも見掛けますが、儲かるのは銃砲店だけ、スコープも合わせられない人に合格の可能性はありません。

お気の毒ですが、当たる可能性の無い銃は危ないだけですから無理して使用実績を作りに出猟するのも危ないだけです。ハンターの減少が叫ばれていますが、元々そのクラスの腕前の人がライフル銃の性能を生かした捕獲が出来る筈もございません。運用を中止する事が賢明かと思います。


銃を辞め易い環境を作る。
そして最後に不合格となった人達に愛銃を返納するのではなく、装飾用の廃銃に国内で加工出来るコースを用意するべきではないかと思います。(現在でも海外で加工した実物廃銃の輸入は認められており、その専門販売業者もいます。)

彼らがずっと当らない銃を所持続けて来た理由は銃の対する「ロマン」からだと思います。
従ってこの「ロマン」を消さない = 愛銃を装飾用廃銃に加工し、所持を続ける事で満足されると思います。




同じカテゴリー(射撃)の記事画像
50年間で分かった事、その1。
何故銃は当たらないのか?
正しいスナップショット。
ショットガンの撃ち方
マグナム銃 & カスタム銃 不要論。
究極の射撃技術&狩猟技術。
同じカテゴリー(射撃)の記事
 50年間で分かった事、その1。 (2024-04-22 17:19)
 何故銃は当たらないのか? (2020-09-04 16:35)
 正しいスナップショット。 (2020-02-11 16:38)
 ショットガンの撃ち方 (2019-08-31 15:55)
 悟りの心作戦 (2019-07-16 09:49)
 マグナム銃 & カスタム銃 不要論。 (2019-01-20 09:35)

Posted by little-ken  at 16:50 │射撃