リトルケンのチャレンジ

狩猟で獲物に出会う事は獲物の方がハンターに出会う事を避けている為に中々難しい事なのです。これはガイドを使えば問題は無くなりますが、出会ってからの動作は本人が行わなければなりません。そしてこれが上手く行くか行かないかで勝敗の分かれ目となります。

　　1.何処からどう言う撃ち方をするかを決めます。
　　2.車を降り(降りない場合もありますが)射撃場所まで移動します。
　　3.銃のカバーを外します。　　　　 4．弾を入れる又は充填済のマガジンを装着します。
　　5．薬室に装填します。
　　6．安全装置を外します。　　　　 　7．鹿に向けて銃を肩に付けます。
　　8．スコープを覗き照準します。　　9．照準確認して引き金を引きます。

全部で9項目ありますので各々3秒を掛けたとすれば27秒となりますが、実際の鹿は5秒程度で長くても10秒程度しか時間をくれませんからほぼ絶対的に間に合いません。
鹿に待ってくれと言っても待ってくれませんから本人が努力してこの時間内に全てが済む様にしなくてはなりません。

更に全ての鹿がそうではありませんが多くは逃げる途中で1~2度、必ず立ち止まって振り返ります。1回目は3~5秒、2度目は1~3秒程度です。1回目の立ち止まりは上手くやれば可能性があります。これをどうした間に合わせる事が出来るかのお話をします。

話を分かり易くする為に後半のみに焦点を合わせて、銃はすでに5段階の装填まで済んでいる物としましょう。鹿が立ち止まってから6~9項を行おうとすると各々3秒では12秒を要し、目標の4秒にはかなり大幅に至りません。
一般的には銃を概ね目標に向く方向でまず肩付けをし、それを顔がスコープを探し、その後スコープで鹿を探し、それから照準動作に入ります。これでは各々3秒と申し上げた12秒すら至らないかも知れません。

まずは考え方を直列式から並列式に改めます。
発砲直前の姿勢から銃をそっと外しますとその姿勢が体全体で照準する形になります。
これに銃を入れ直すと言う動作にすれば一瞬にして6~8の3項目が練習次第でたった1秒以下で完成し、9倍の合理化が成功します。
この時の銃は左腕を伸ばして銃口で目標を指差す様にしてまっすぐ肩に引き寄せます。

残すは引き金で照準微調整はとりあえず1～2秒を加えれて合計で3秒以下、鹿が止まってからでも限界で間に合いますが、更に読みを入れて鹿が立ち止まる場所には一定のルールがありますのでこれを理解すれば止まる直前にスタート出来る様になり完璧になります。
なお更に訓練が進みますと50m射撃であるならばこの照準微調整時間すらゼロになります。
これらに上乗せしてムービングスタート射撃やランニング射撃が加われば最強です。

この様にそうなる事を予測する事と洗練された動作を合わせれば運動神経など全く無関係に桁外れに速くなります。行動は同時に並行し、全てが合わせて1瞬で出来る様に練習を積み重ねればいわゆるスナップショットで発砲しても楽勝で当たる様になります。

前半の1~5の項目も同時平行的に行える様に練習すれば時間は激減します。
1は目で見て頭で考えますから両手両足はフルに使えます。
2は主に足ですから両手はフルに使えます。
3はカバーがすぐに外れる様にカバー自体に工夫を加えます。
4は各銃によって違いますから一概に言えませんが、銃を何処に置きどちら側の手が銃の何処を持つか等々、5の装填を含めて両手の作業配分を上手く考えて直列行動にならない様に工夫します。

この様に工夫を凝らしますと前半の動作もほんの数秒で済ませられ、後半と合わせても5秒以内に間に合わせる10倍近い合理化が可能になります。
この過程がスムーズに行かないと焦りが生じて心がマイナス状態になります。マイナス状態の心で撃った弾は残念ですが余り良い当たりになる事はありません。

なお撃つ事ばかりを書きましたが、1番大切なのは安全です。手は銃の発砲準備をする傍ら目は弾の飛ぶ方向の安全確認をしなければなりません。
つまり目は鹿及び更にその先の安全を見張るのが当たり前、銃の発砲準備は手元を見なくても出来る様にするのが当たり前、照準は体全体で行い最初からスコープに急所が入っていて当たり前にしなければなりません。

この基本訓練は毎日行えば約3ケ月でかなり出来る様になります。