2019年11月02日

連射と自動銃。

  ショットガンに連射は非常に有効ですが ・・・。
但し単弾専用銃はライフルと同様で話が別です。
ケンさんは最初の鹿撃ち用の銃として、将来ライフルで走る鹿をバッタバッタが夢でしたから、オートライフルのレミントン742と類似のレミントン1100ディアーガン20番を選びました。すでにカモ撃ちのプロが、走る鹿向けのトレーニングをバッチリ繰返し、必中の信念で初戦に臨みましたが、しかし初戦のスナップスイングショットはバッタバッタ処か、カスリもしない見事な全弾失中に終わり、この世界が甘くない事を知りました。
連射と自動銃。連射と自動銃。
失中の原因はその時は不明でしたが、後刻照準器の欠陥が原因である事が分かりました。オープンサイトは古くから使われている照準器ですが、照門と照星と獲物の3つを同時に見通さなければなりません。

指向性を追求したリブ銃身に比べ、指向性がゼロ、照門を通して照星を見損なうと、どちらにどれだけズレているのか、全く分からなくなってしまう欠陥があり、結論として全く使えない照準器ですが、この指向性を対策したのが右写真のバチューサイト、ヨーロッパではよく普及しています。オープンサイトの742の次にケンさんが運用したのがルガー77はボルトスコープ専用銃、これは走る鹿に簡単に命中しました。

連射と自動銃。
散弾用のショットガンになりますと類似銃ですが、話が全く別、連射が非常に効果的であり且つ得意です。散弾には3粒以上命中すると効果が激増するショットガン効果があり、想像以上に小粒弾が非常に有効です。

銃の跳上りを左手で押さえながら、体全体で反動を柔らかく受流す様に後退させる高速3連射をマスターすれば特に命中度は大幅向上します。遠射のリード合わせは単発時のショットパターンに比べ3倍以上横に長くなっており、その幅に比例し命中度が増し、ケンさんの場合は3倍強になりました。また射撃パターンを個別連射に切り変えれば、遠くなる前に連射が可能となり、複数捕獲が非常に容易になりました。

スラグ弾であっても30m以内ならリブ銃身で撃った方が速く当てられますが、チョークをバックショットの方が更に有利です。スナップスイング射撃の速射術があれば、鹿や猪や熊の複数捕獲も非常に有効です。

  オートライフル
オートによる連射で鹿の群れの中から3段角大物をバッタバッタと倒す、或いは逃げるビッグトロフィー大物を連射でカバーする、これはハンターたる者の永遠の夢であります。勿論ケンさんも同じ夢でした。

しかし単弾の連射で急所を撃ち抜くとなりますと、当時は絶望的な高嶺に咲く花の様に見えました。
連射を得意とする最新型オートによって何時の日にか、5発5中は達成されると思われていましたが、そこまで辿り着きたいと心から思いました。

命中率が劣らないのであれば、銃はオートが絶対に有利、頑なにそう思っていましたが、この考えは次項のサコー75ボルト銃によって、遠射も連射も速射も全くそうではなかった事が完璧に証明されてしまいました。

すでにルガー77の経験から、オープンサイトのライフル銃は使い物にならないのですが、スコープ専用化すれば話が別になり、静的にも動的にも使える事が分かりました。ボルト銃以上の精度を謳うH&Kオートなら、遠射とランニング射撃の両方に使えるだろうと、挑戦する事にしました。1998年に購入、実射をしますと謳い文句に偽りはなく、数年後には150m5発のテーブル撃ちが12㎜に纏まりました。
連射と自動銃。
しかしH&Kは5発のグルーピングはよく纏まるのですが、その繰り返しは今一つ不安定でした。
不安定と言っても最大で±5cm程度、300m遠射でもボデーには十分にヒット出来る筈でした。
しかし射撃時の心の不安が反映され、300m遠射は只の1度もボデーにヒットした事がありませんでした。

そう言う欠点はありましたが、3年間に90日の出撃から3000発を走る鹿に向けて撃ち、ランニング射撃のスイング射撃を完成させる事が出来ました。それは最大射程距離は100m弱、平均5発強で1頭捕獲と言う程度、それでも本銃では約350頭を捕獲、内150頭以上が走る鹿でした。

ランニング射撃は完成したかに見えましたが、実はまだまだ未完成だったのです。それは連射が最も不得意に見えた次項の旧型ボルトアクション銃の再肩付け射撃によっていとも簡単に凌駕されてしまいました。

   サコー75改ボルトアクション銃
連射と自動銃。
まだ未達成の300mの遠射を成功させるにはやはりボルト銃しかないのかと思い、サコー75バーミンターを 2006年に購入しました。その結果は苦も無く初回から連続で300m遠射に成功、また全依託射撃では540mでも2連続即死、以後300mは外し様の無いイージー射撃と思える様になりました。

一方でボルトにすればH&Kオートに比べ、ランニング射撃性能は半減以下になる事を覚悟しましたが、いざ撃ってみますと驚いた事に、初端からH&Kオートよりも遥かに良く命中しました。

H&Kの射程が100m以下であったのに対して、150mでも200mでもが楽勝、射程距離が驚きの2倍に伸びました。距離が2倍になったにも拘らず、命中率は2.7発/頭とこれも約2倍になりましたから本当に驚きました。その後も進化したランニング射撃は同じ狩猟年度の2007年1月、朝夕各々5頭ずつを5日連続で捕獲、計50頭の大記録となり、その間に5発5中を3度記録しました。

銃を交換直後に早々と300m遠射とランニング射撃総合効率4倍の大記録を立てたのですから、サコーボルト選択は大正解でした。

更に驚きはこれに留まらず、連射速度に於いてもH&Kオートよりも少し速い連射速度である事を発見、ケンさんの射撃方法は発射後に肩から銃を降ろし、再装填しながらのスナップスイング射撃です。
オートは発射すると反動でスコープから目標が消えてしまいます。

肩付連射は反動で消えた鹿の再捜索後に追尾を再開、その後にスイングを加速して射撃、ここに再捜索の焦りと追尾時間ロスを生じますが、再肩付け射撃は射手の体は銃を降ろしている間も継続追尾、スナップスイング射撃で直接再開出来るので連射速度も速く、且つ見失っていない事で命中率も高かったのです。

最も貢献したのは1990年頃からのスコープ専用銃のアイデアであり、専用銃が故に可能になったスナップスイング射撃だったのです。同時に分かった事として、期待の星だったオートライフルはスコープ専用化しても画期的に役に立たず、オープンサイトのオートライフルはその存在意味さえが全くないと言う事でした。
   
ケンさんはボルトに変更した2006年度中にライフルハンターの憧れる項目の概ねを達成出来ました。内容は半委託150m5発が19㎜のワンホール、肩に銃が着く前に撃てるスナップショット、鹿が逃げる前に撃てる150mアバウト早撃ち、直撃300m遠射法の発見、5発5中のランニングショット、5日間でエゾ鹿50頭の捕獲、超大物エゾ鹿の迫力負けの克服、猛獣ヒグマに対する恐怖負けを克服、ド至近距離の出会い頭等にも怯む事無く対処出来ました。スコープの倍率は結局6倍に落ち着きました。射撃は銃や弾の精度 よりも、射手の心が1番影響し、心の不安が最大の失中要因である事が改めてよく分りました。

おかげ様で2016年には庶民の手の届く大物猟の全てを達成、2018年にはライフル銃を無事に卒業出来ました。昔から世界中のハンターが憧れた連射が、狩猟大全集で今や手が届く位置になりました。ランニング射撃の理論は難解ですが、やるべき事は非常に簡単、スイングで追い越す時に見直す事&スイングを止める事もなく、引金を引くだけなのです。イメージトレーニング1万回で必ず誰でも命中します。まずは出来る様になられては如何でしょう。手法はスコープ専用化したボルト銃の再肩付けスナップスイング射撃です。

   本州鹿猟対策
連射と自動銃。
しかし30m以内ならバックショットのショットガンのリブ付銃身での高速3連射に敵う銃は絶対にありません。条件によって使い分けが必要ですが、銃はこの散弾専用50m未満のショットガンと50m以遠の単弾専用のスコープ専用銃の2丁で、それ以上多種の使い分けは全て帯タスキ、全体効率の低下を招きます。

ケンさんは本州鹿用対策として、上記レミントン12番21インチのリブ銃付短銃身のバックショット専用銃で 対処、フルチョークなら40m以内なら無敵のベスト銃でした。本州鹿20回対戦から20頭を捕獲、これなら10~20mツキノワグマやヒグマにも概ね全弾を命中させられる自信があります。

スナップスイング射撃と高速3連射が出来ない人が、至近距離の10m前後からツキノワグマに3連射して 捕獲した事例を2件聞いています。1人はピープサイトのガーランド、もう1人はスコープ専用銃BARでした。共に3連射の結果はマグレヒットの1発だけ、他は掠りもしなかった非常にヤバイ状況だったそうです。

スナップショットもスイングショットも高速3連射も共に緊急的早撃ちですが、技術の裏打ち付で狙って撃っていますから必ず命中するとまでは言えませんが、かなりの高確率で命中します。40m前後までのツキノワグマやヒグマ勝負の全戦全勝も大粒バックショットで決して夢ではないのです。
ケンさんのヒグマライフル対戦は6戦6勝、2発撃った時は2発とも急所付近に命中、全9弾全て命中でした。

   成功する為の心構え
これらの技術のマスターで全く新しい世界が広がる事は間違いなく、ぜひご自分の技術として欲しい物です。スクールに来ればこれらの華麗な射撃が見学出来るのか?  ハイ、出来ます。
しかし今はもうスクールは終了し、ケンさんもライフル銃を卒業しましたから、お見せする事は出来ませんが、過去には可能でした。

特に初心者の初参加の人にはもし獲れないと(結果的に言えば全員獲れましたが)手ぶら帰還になってしまう為に、生徒が初弾失中後にケンさんが支援射撃して捕獲していましたから、スクール前半では全ての生徒が見た事がある筈です。また希望者には別途に見せた事もあります。

しかし、全員が獲物の方を見ているだけで、肝心のケンさんの射撃を見ていた生徒はゼロでした。
折角ケンさんの秘技を見られる又とない機会だったのですが、誰も射撃の方を見ていないのです。
スロー解析の出来るケンさんでも、この華麗な連射を解析しようとする場合は、どの様の撃つのかを見ていなければ解析は不可能です。

車の運転でも前を見る事は重要で、これを抜きには語れませんが、運転の上手い人は前を20%しか見ていません。狩猟でも他の仕事の進め方も同様です。本当の見るべき処と言うのは多くの人が見ていない処にあるのです。それに目を向けられる人のみが狩猟でも仕事でも上位に行けると思って戴いて構いません。これに目を向けられない人には残念ながら、まだ上位に行ける心構えが至らないのです。

ある生徒にスロー解析の話をしましたら、永年生きているがその様にスローに見えた事は只の1度も経験が無いと言いました。スローは茫然唖然と見ているだけで見える様になる事は絶対にありません。如何にしたらを考え尽くしますと、その過程が1本の仮説ストーリーになりますが、そのストーリーが概ね完成したある日に見えるのがスロー再生なのです。つまり、心の準備がそのレベルに達したので見えたのです。

まだ未完成が仮説の場合、そのストーリーが合っている内はスローですが、違っているとそこから急に早送りになる事もあります。
つまりスロー再生は仮説ストーリーが正しかった事を確認出来るだけの機能しかないのです。従いまして仮説ストーリーが正しかった事がスロー再生で確認出来れば、それを自らの行動に組込むだけの作業ですから完成までは時間の問題となります。

諦めたら以後の進化はゼロですから、憧れ続ける事は成功への可能性の出発点です。
そこにもう一つ、仮説を作りまくる事が入れれば完璧です。やがてかなりの時間(たぶん数年)を要しますが、何時の日にか仮説が完成し、難題だったテーマは完成します。これは一般の人が出来ない特殊能力になります。面白い事に1つ出来ますと、2つ目は半分以下で出来る様になり、以下その複利で回数を重ねる毎に出来る様になるまでの時間が短縮される様になり、やがてそのレベルの改善は日常茶飯事で出来る様に なり、特殊能力による全く新しい人生が展開される事になります。

仕事は出会いが少ない狩猟より遥かに簡単ですから、やがて高収入や社会的な地位が追掛けて来ます。そうなりますと一段と自分の得意分野の仕事を自分の裁量で進められる様になり、周りにも圧勝出来る様になり、そうなれば狩猟にもたくさん行ける様になります。運命とはそうして自分で開くモノなのです。

ケンさんは現役仕事人時代にはボロですが自前ハンティングカーを北海道の空港に置き、飛行機で3回 通う、年間合計で30日のエゾ鹿遠征猟をしていました。そして早期仕事卒業後はエゾ鹿猟が60日まで 増加、海外大物猟8回、海外秘境旅行10万㎞、戦闘機のアクロ飛行等々にチャンレンジが出来ました。






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Posted by little-ken  at 15:49 │ハンティング銃と弾