2020年08月21日

無意味だったライフルのオート

   ライフル銃 の場合
オート派だったケンさんの本当は、5発5中や300m遠射や猛獣ヒグマ捕獲をオートで達成したかったのですが、至りませんでした。せめて300m遠射だけでも夢に近付こうと、ボルトアクションのサコー75改を作りました。

サコーの予想外の好成績にはケンさんも驚きましたが、結果として夢だった項目の全てを初年度中に達成 出来ました。最良とは程遠い組合せのライフル銃はボルトアクション普及クラス、スコープは市販の安物、弾は市販の激安弾改、これで最高のパフォーマンスを上げる事が出来ました事は、誠に誠に痛快でした。

ケンさんは圧倒的な成果をボルトアクションで自らが出してしまった為、自動銃崇拝を辞めました。
オート派だったケンさんが出した結論ですから、特に大きな意味があります。

ライフル銃に於ける最も期待外れの銃は自動銃であり、最も使えない照準器はオープンサイトでした。そして最も使える銃はボルトアクションスコープ専用銃であり、最も役に立つ射法はスナップショット、その範囲は近~遠までの全てのあらゆる場面、つまり万能銃と言えました。

スコープは視野が狭いと言う欠点がありますが、銃身で指差す様に指向し、肩に真っ直ぐ引き寄せるスナップショットではその影響は全くありません。ではボルトのスコープ専用銃は無敵かと言えばそうではありません。
次項のリブ銃身のショットガンのオートに依るスナップショット+高速3連射には絶対に敵いません。

   ショットガン50m以内 の場合
ライフル銃(サボットスラグ銃を含む)では最強であったスコープ専用銃のスナップショットですが、50m以内のリブ銃身の散弾には敵いません。

それはライフル銃では肩に銃が付く少し前までスコープの映像が目に届きませんが、ショットガンではそれを待つ必要が全くないからです。ライフルに比べてかなりアバウトな状態で 撃っても、散弾パターンがカバーしてくれる為、銃身で指向した段階で照準は事実上終わっているのです。

ライフル銃も狙わずに向けて撃つを指導していますが、スコープに於ける照準を抜きにする事は出来ません。スナップの指向精度を上げ、心にそのつもりがあればストックが肩に着く少し前から目標の映像は不完全ながらスコープを通して目に入って来ます。

銃が肩に着く前に照準完了、相当速いと言えますが、ショットガンではストックが肩に着く遥か前から、リブを通して目標映像が入って来るので、更にその分だけ速いのです。ショットガンでは本当に向けて撃つ射法が可能になり、且つ高速3連射も強い味方になり、無敵と言えます。

ライフルの連射時はスコープから目標が消えてしまいますが、ショットガンでは目標が消える事はありません。照準もアバウトで良い為、銃の反動は体全体で逃がし、銃口の跳ね上がりだけを左手で押さえ込みますと、秒速3発の連射が可能になります。従いましてケンさんがヒグマの半矢を捜索に行く場合、銃2丁の携帯が許されるのであれば、ライフルをランドセルの様に背負い、自衛用にはショットガンのオートを手に持ってヒグマの半矢捜索に行きたいと思っています。

    無意味な銃や装備 の代表例
  1.スライドアクション銃。
動的に命中させるには安定したスイングが条件になりますが、スライド操作はこのスイングを大きく乱しますので連射には著しく不利となり、散弾銃の最大メリットの高速3連射は絶望的困難となります。

と言う事で散弾銃の本当のメリットを出せるのはオートのみ、と言う事になります。
ライフル型の場合そもそもランニング射撃をマスターしない限り、ライフルに連発仕様は不要です。スライドの命中精度ではボルトに大きく劣り、連射性能はボルトの再肩付けスナップスイングには絶対に勝てません。

  2.ベネリM3のスライド機能付オート。
オートを運用すれば稀にジャムが避けられません。こんな時に簡単な操作でジャム弾を排除出来れば便利です。そんな便利な機能が付いている様に思える「ベネリM3」や「スパス12」ですが、両者ともそう言う機能は全く付いていません。両者に付いているスライド機能は自動で上手く回転しない空包やゴム弾等を撃つ為の機能であり、ハンターには全く無用の長物です。

  3.各用途毎の銃。
リブ銃身12番オートと、ボルトアクション308のスコープ専用銃の2丁で、小鳥撃ちからヒグマまで国内の全ての狩猟をはじめ、海外大物でも体重500kgクラスまでは大丈夫です。無用な銃の典型的なのがヒグマ用大口径マグナム銃、ヒグマ猟は出会える確率が低過ぎて狩猟として成立しません。

クレー射撃専用銃も試合で上位を目指す事が目的でなければ、12番オートの方が実戦の練習を兼ねた方が良好な結果に続ながります。
銃にはそれぞれバランスの違いがあり、使いこなす為には相当な練習時間が必要です。

  4.中折れ2連銃2丁で4連発。
中世のヨーロッパの貴族猟では多摩湖目係を付けて銃を取り換えて射撃をしていましたが、現在は自動銃3連射後に2発を追加装填し、5連発にした方が銃を取り換えるよりも遥かに速いです。
銃を持ちかえる事なく、排莢口に1発放り込み、次いで下からもう1発をマガジンに押し込みます。
慣れると一瞬で2発を込められますが、レミントンが最速です。

  5.効果の薄いマグナム散弾銃。
散弾銃の最大のメリットは素早い連射ですが、マグナム弾を使えば速い連射が不可能になります。
通常のマグナム限界は人間の体力的にStd弾の1.5倍が限度で、この時の散弾密度は22%増となります。多少の散弾密度増を得る為に最大メリットの連射が封じられては割が合いません。
ライフルに於きましても後述の様に無意味の代表の1つです。

  6.連射の夢を果たせないオートライフル。
オートラフルは一見すると最も連射に向いている様に思えますが、発射の反動でスコープから目標を見失い、これを再捜索しなければ射撃再開が出来ず、ボルトの再肩付けのスナップスイング射撃には敵いません。

また射撃精度もボルト銃に比べれば劣り、遠射にも動的連射にも不向きとあれば、総合的に言って本銃は 「最も期待外れの銃」と言う事になります。この延長上にレバーアクション、スライドアクション、ストレートプルボルトアクション等があります。オートの散弾銃は最強ですが、オートのライフル銃は真逆の銃でした。

  7.最も使えないのが、オープンサイトのライフル銃。
スコープは遠射には有利ですが、視界が狭く、かつては近距離や動的には使えず、その用途にはオープンサイトしかないと思われていました。しかしケンさんの経験から言ってその様な事は全くありません。近距離や動的に対してむしろ使えないのはオープンサイトの銃でした。

それは照準器の指向性が全く無い事が主原因でした。
これらの用途に使えるのは、短時間ですぐに使いこなせる様になるスコープ専用銃のスナップショットでした。

  8.ライフル銃には不要な連発メカ。
ライフル銃の連射機能は1度も有効に機能した事は無く、勝手な次弾装填は単に危ないだけ、実際に車に多数の穴が空きました。幸いに人的被害は皆無でしたが、時にはヤバい事もありました。

エゾ鹿猟では対戦相手が大きく、その迫力に負けた足が地に着かない射撃も良くある出来事です。考えれば狩猟は気違いに刃物までは行かないにしても、異常興奮状態で銃を取り扱う事を言うのと概ね同意語です。

そこで安全に狩猟をして頂く為に、鹿を見付けてからマガジンに1発だけ給弾、発砲直前に装填、肩付け時に安全装置の解除をする 単発運用を義務付けました。もちろんこれで車に穴が空く事は皆無となり、安全度は著しく向上しました。

捕獲率の低下が心配されましたが、実際はこれも倍加し、ライフル銃の連発不要の裏付けを取る事が出来ました。逃げる鹿には誰もが命中不能ですから、元々これが正解だったのです。

  9.高精度を謳う役に立たないカスタムライフル。
ケンさんの銃は市販品、スコープは安物、弾は激安弾改、これらの組合せは150mで5cm程度の精度でした。これで十分な成果が上げられたのですから、高精度カスタム銃の高額出費は全くの無意味でした。

また生徒の多数の事例からも、カスタム銃が有効に機能した事は唯の1度もありません。命中に必要な条件は 多少の射撃術と、経験量不足をイメージトレーニングで裏打ちした物事に動じない不動の心でした。

  10.半矢率激減を謳うマグナムライフル銃ですが即倒率に変わりはありません。
人間の体力的な限界からマグナム弾の再大パワーはStd弾の1.5倍が限界です。
スクールの多数の事例から、1.5倍パワーのマグナムでは、即倒率は全くの変化なしの誤差範囲でした。即倒率が向上しなければ、反動が大きく精度も出し難く、しかも高額なマグナムライフルにメリットは全く無いと言えます。

初期のエゾ鹿猟ではマグナム銃をもっているだけでベテラン扱いとなりましたが、昨今では後述の様に無理解なダメハンターと見られるのがマグナム銃なのです。

  11.高精度には必需品を匂わせるだけ高級スコープ。
300m先で㎜単位を狙う競技銃なら高精度なスコープも意味がありますが、実戦では直径150㎜程度の急所を狙います。急所の真ん中である必要はなく、150㎜に命中すれば良いのです。150㎜はかなり大きいので 照準はアバウトでも十分に命中します。ケンさんのスコープはリューポルドの3万円弱の1番安いやつです。

これで大記録を立てられたのですから高級高精度のスコープは全く不要であったと言えますが、単に不要だけではなく、大きく重いスコープは銃のバランスを悪くします。

ケンさんが尊敬していたある名ガイドは角長90cm以上を10数頭捕獲しています。
ケンさんは88cmがMaxで90cm級の捕獲はゼロでしたから足元にも及びません。今もその点に於いては尊敬しています。

しかし昨今のその名ガイドは動画撮影に凝り、7㎜マグの銃には大型スコープだけではなく、更にそのスコープにビデオカメラを載せています。銃に余計な架装する事とマグナム弾を使う事は感心しません。名ガイドのビデオを見ますと即倒は殆ど皆無、何時も半矢の追跡をしています。

7㎜マグで即倒しない事の証明をしている様な感じです。7㎜マグはマグナムとしては控え目のパワーで308の1.2倍、弾速で1.15倍程度です。なぜ彼が7㎜マグに拘るのか、理解に苦しみます。

銃にはバランスが重要ですが、ハンティングライフルは銃が軽いので大型スコープを載せるだけでもバランスが崩れ、更に架装するのですから悪影響は更に大きくなります。この5年程80㎝オーバークラスも捕獲していないそうですが、動画撮影開始の時期とダブる様な気がします。
ケンさんが大型スコープに興味が無いのは、載せれば銃のバランスが悪くなる事が分かっているからなのです。

  12.高精度には不可欠を匂わせるハンドロード弾。
銃を撃ちますと銃身が振動し、弾をバラ撒いてしまいます。振動はサインカーブですから、振動の安定時期に銃口から弾が出る様にハンドロードで火薬の量を微調整すれば精度が上がる事が期待されます。しかし弾道を決める条件は他にも色々あり、実際は火薬だけの微調整では余り精度は画期的に向上しません。またケンさんもやって見ましたが、工場製装弾に勝る精度の弾を作る事は無理でした。

ケンさんの場合は普及品の銃で弾は悪評激安弾を運用しています。それでも目的を十分に達成出来たのですから、物に頼って命中精度や捕獲率を上げ様とする努力その物が無駄だったと言えます。

高額カスタム銃や高級スコープやマグナム銃を含め、そんな暇やお金があるのであればイメージトレーニングやドライファイアや素振りをたくさんし、実戦をなるべく多く体験した方が遥かに好結果を招きます。

  13.危険な動的射撃。
再肩付けのスナップスイング射撃は連射の間に肩から銃を降ろし周囲の安全の再確認が出来ますが、しかし類似に見える肩付けしたままで追尾するリード射撃は視野狭窄症状態で追尾する為に、非常に危険な射撃になります。

同様に自動銃の連射も同様に視野狭窄症ですから何時の間にか危険領域に入っている事に全く 気が付かず、非常に危険な射撃となります。お奨め出来るのは後述のスナップスイング射撃のみとなります。

    自称本格派ハンター
ケンさんがライフル猟を始めた1990年頃、射撃場の多数派はレミントン742のオープンサイト又はスコープの可倒式でした。

自称本格エゾ鹿ハンターは長銃身のウェザビーマグナムやサワーに高倍率スコープを載せていました。口径も300ウインマグや更にハイパワーの300ウェザビーマグ、300H&Hマグ、338ウィンマグ、375H&H等々のマグナムカートリッジのオンパレードでした。7㎜レミントンマグも多かったです。
当時は強力なマグナム口径の高額な銃やスコープを持っているだけで本格派と見られていました。

マグナムの目的は高速弾で遠射を容易にする事、又は重量弾頭のハイパワー弾で即倒率を上げる事です。ところが上記の自称本格派エゾ鹿ハンターさんの射撃は僅か50mで5~10cm程度のお粗末な精度でした。実戦でも150mの鹿は当たらず、300m遠射は夢のまた夢でした。
当たらないマグナムでは猟をする意味も無く、マグナムが泣いています。

本州猟では更にレベルが低く、ライフルを持っているだけで本格派と見られていました。本州では地形的に遠射は無く、20m先を走る鹿を撃ちますからボルトは少なく、レミントン742オート、ウインチェスターM100 オートが多かった様です。スコープは普及していましたが、着脱式、可倒式、シースルー式等々の様々でした。

自称本格派本州ハンターの射撃は50mで30cmの的紙からはみ出しかねない程の超お粗末な腕前、当然ですが、100mの静止鹿には言うに及ばず、50m先の静止鹿も命中せず、20m先を走る鹿に対しても連射が有効に作用した試しは皆無でした。酷い自称本格派でした。

当時はベンチレスト射撃が流行し、我こそは本物のライフルマンとベンチレストシューターは息巻いていました。彼らの当時の話題は薬莢形状を独自に変更したカスタムカートリッジでしたが、その自前設計が究極の目標でした。

しかしそんな特別製のカスタムカートリッジでも実際に150mのワンホールが出せるのは甚だ僅かな人だけ、銃や弾以前の射撃技術が甚だ未熟で多くはケンさんのH&Kオート+市販カートリッジに遥かに勝てない程度の結果でした。やがてベンチレスト射撃はケルブリーと言うメーカーのストールパンダと言う銃に落ち着き、口径は6㎜PPC又は6㎜BRが主流となりました。

しかしベンチシューターにとって良くない時代がやって来ました。従来の所持目的は狩猟又は射撃であり、どちらかの使用実績があればOKでした。ところが2005年頃からと思いますが、日本のライフル銃の用途は狩猟だけと変更され、ライフル射撃協会のルールに適合した場合以外の射撃用途はありません。

ハンティングライフルの射撃もベンチレスト射撃も射撃協会のルールにはなく、射撃目的ではダメ、狩猟目的のライフル銃となりました。

その為に狩猟実績の非常に提出が煩くなり、銃の数を減らす人が多くなり、また急にエゾ鹿猟に来て実績稼ぎをする人も増えましたが、昨今はベンチレスト愛好者も少なくなり、リロード資材も揃え難くなりました。

   時代の変化
やがて時代は変わり2005年頃からサボットスラグ銃が普及しました。サボットスラグ銃は100m程度までなら、ライフルに準じた精度が出せ、本銃によりライフルに手の届かないハンターでもエゾ鹿猟が可能になりました。更に2010年頃からのエゾ鹿猟はケンさんのブログ等の影響からか、308のスコープ専用銃が当たり前になり、マグナム銃は概ね姿を消しました。

マグナム弾は当て難いのに即倒率が変わらないのですから当然です。
時代は変わり、未だにマグナムライフルを自慢する人は、典型的なダメハンターと見られているのですが、気の毒ですが本人には分からない様です。

1時期は複数のライフルを所持している人も本格派と見られていました。従来のライフル銃の更新手続きはペーパーの実績提出で済ませられましたが、2012~2015年は旧技能講習と言う実技検定が新設されました。

50mで直径165㎜の的に20発実射して40点以上が合格点です。本来ライフル銃は100mの150㎜の急所を狙う銃ですからであり、50mの165㎜は妥当な設定と言え、事実北海道では90%が合格しています。しかしまともな射撃技術を持たない、本州の自称本格派のライフルマンは話が大きく変わります。

20mの鹿以外を撃った事が無く、急な付け焼刃的な練習で腕が向上する筈もありません。
殆どが40点に至らず80~90%が淘汰されてしまいました。彼らは50mの急所サイズにすらヒット出来ないのであればライフル銃を所持する資格が無いと言え、当然の結果と言えます。

この制度で儲けたのは悪徳銃砲店だけでした。マグナム銃の所持者には当て易い銃として受検用に308の追加所持を奨めたり、よく当たる様 にと高額スコープを売り付けたのです。ドサクサ紛れの悪どいビジネスをしたモノです。

    有意義側の代表
無意味な銃や装備に付いてお話をしましたが、もし無意味な銃に憧れていたなら、この際ここで進路修正をして、本項にある様な有意義な道具を揃えて下さい。但し射撃技術やその心構えが揃わなければ、良い道具の意味は全くありませんが、それでも間違っている道具選択をしているよりはマシです。トレーニングを続ければ、何時か必ず超大物エゾ鹿やヒグマに到達出来る日が来ます。

  1.スコープ専用ボルト銃 と 銃身で指向するスナップショット。
ストックの諸元はチークピースが調整だけは非常に重要ですが、他の諸元はアバウトで構いません。
発砲を決意したら指で指向する様に銃身で目標を指向します。そして体全体は同時に最終的な射撃フォームに移行します。銃はホッペをかすめて肩に真っ直ぐに引き寄せます。

頭は先に定位置にありますから肩に銃が着く少し前からスコープの映像が見え始めます。50m程度であれば肩に銃が着く前に撃っても命中します。西部劇並の早撃ちでもスナップショットはちゃんと安全を確認して照準をしていますから命中させられます。

更にスナップショットのメリットはあります。銃の装填や安全装置の解除を発砲直前に出来ます。
未装填の銃を装填しながら目標に向けます。そして安全装置の解除をしながら銃を引き寄せます。

この2つの操作を入れても操作時間は殆ど増えず、実用性は全く失われません。つまり直前まで安全確認が出来、且つ暴発の可能性も無いのですから、最も安全な銃の取り扱いが出来る事になります。

巷では装填や安全装置の解除にはそれなりの時間を要すると思い込まれており、90%以上のハンターは事前装填を行い、安全装置の解除も事前、暴発の可能性は一触即発でかなり高いと言えます。ケンさんの車に明いた多数の穴がそれを物語っています。狩猟時には異常興奮状態で獲物と対戦するので、危ない事この上なく、事故は確率だけの問題、これが通常の狩猟の現状です。

そして銃を構えて照準にも時間が掛かると言う事では早めに銃を構えてしまい、狙ったままで発砲タイミングを見計らっています。目標がずっと静止したままであればまだ害も少ないのですが、銃を構えた後の鹿の追尾では視野は超狭窄状態にあり、安全範囲を何時の間にか超えた事には全く気が付きません。誤射や流弾事故も確率だけの問題となり、これも通常の狩猟の現状です。

  2.再肩付けのスナップスイング射撃。
体全体で照準するのがスナップショットですが、目標が走っている場合にはスナップショットの変形判で対応 出来ます。それは銃身の指向時点から、もうスイングは始まっており、体が最終発砲状態に移行する時から、追尾は始まっているのです。従って体全体が走る鹿の追尾を継続しながら、銃を肩に引き寄せる時にスイングを更に加速し、追い越した時点で見ないまま引き金を引けば命中します。

何故見ないままで撃つのか? それは見えている映像が古い虚像であるからです。それに気が付けば、貴方は移動標的の名手になれます。

教えなくても出来る人が1流、ヒントを教えれば出来る様になるのが2流、詳しく教えて出来る様になるのが3流、詳しく教えても出来ないのが4流です。
手法を頭で理解する事は先送りとし、とりあえずは行動のみをフルコピーします。そんな行動も板に付けばやがて3流レベルに到達します。

ケンさんは自分の考えが正しいと信じ、ひたすら行動が身に付く様にトレーニングを積みました。
そして気が付けばライフル銃を始めて16年後の2006年のある日、ランニング5発5中が達成されていました。

  3.半依託射撃。
実戦の立ち撃ちはランニング射撃以外行いません。膝撃ちも伏せ撃ちも殆んど行いません。
最もよく使うのは近くの立ち木や車両等を使った半依託射撃です。体側と銃側共々半固定出来ると照準のブレが激減となった良い射撃が可能になります。従って立ち木に寄り掛かるよりも、抱き込む様にして撃ちますと、その条件を満たした良い射撃が出来ます。

ケンさんの半依託射撃の最長距離は380mでした。周りの委託物を上手く使う事が実戦の上手さと言っても過言ではありません。

   4.全依託射撃。
全依託射撃は銃を置いた状態で撃ちます。置き方はバイポッド、サンドバッグ等が一般的ですが、最大の特徴は銃を持つ左手にあります。通常の左手は銃の先台を持ちますが、この全依託射撃は銃のパッドエンドを持つ左手が照準微調整を行います。

照準ブレは完璧になくなり、300mの失中はあり得ないと思える様になります。ケンさんの全依託射撃の最長距離は、初弾命中ではありませんが、540mの連続2頭です。

    成功への架け橋
さて無意味な項目と有意義な項目の説明をしましたが、良い道具さえ揃えればそれで事が解決するのか? ケンさんが全ての憧れの項目を全て達成したのは2006年でした。それまでの経験量は下記の通りでした。

 1.狩猟を始めて42年、ライフル銃を始めて16年、エゾ鹿猟の総出猟日数は約500日でした。
 2.同上、エゾ鹿に向けて発砲した数は約3000発でした。
 3.ライフル銃をサコー75バーミンターに換えたのが、2006年でした。
 4.照準ポイントをナミビアポイントに変更しました。

500日出猟に達するのはシーズンに5日出猟としても100年を要し、絶望的な年数となります。では庶民では絶対に到達出来ないのか? 対策方法は全て狩猟大全集にまとめられており、下記のやり方で行けば出来ます。狩猟大全集の教えの内容は経験量が2桁違いますから、理解する事は困難だと思います。

従って理解出来なくてもその教えの行動の部分だけを忠実にコピーし、それが自らの板に着くまで繰り返せば、数年後のある日、気が付くと出来る様になっており、その頃には教えの真髄も自然に分かって来ると思います。

達成したい項目は下記の通りです。
1.スナップショット:肩に銃が着く前に撃てる早撃ち技術であり、全ての射撃法の基幹となります。

2.スナップスイングショット:ランニング射撃の技術で再肩付連射は自動銃より速く且つよく当たります。静止状態の鹿とは別の技術が必要です。出来るハンターは非常に僅かです。
理解する事は難しくてもやる事は簡単です。努力を続ければ数年後には間違いなく貴方の有力な戦力になる事でしょう。

スナップスイングショットは直前まで安全確認が出来、最も安全な射法ですが、追尾によるリード射撃は視野狭窄症の為に何時の間にか危険領域に達した事が分からず、非常に危険な射撃となります。

3.ムービングスタート射撃:撃つ直前に動かれた場合の射撃方です。

4.待ってたホイ射撃:多くの鹿は特定位置で振り返りますので、その位置を予測し、それが合えばスコープの中に鹿が止まってくれ、微調整の後に直ちに発砲と言うイージー捕獲となります。

5.全依託射撃:銃を手に持たず置いて撃ちます。空いた左手はパッドエンドを持ち、照準微調整を行います。これをマスターすればワンホール達成も300mの遠射もイージー射撃となります。

6.150mアバウト早撃ち:エゾ鹿の急所は直径15㎝とワンホールに比べれば遥かに大きく、しかもド真中に命中させる必要はありません。本射撃の殆どは半依託射撃で行います。
と言う事で本射撃はワンホール射撃の出来る人が行う、良い加減で撃つ急所を外さない程度で行う 早撃ちです。ワンホール技術に程遠い人が撃てばイイ加減な当たらない射撃となります。

7.遠射300m:ライフルハンターの夢の遠射も5項の全依託射撃で外し様のないイージー射撃となります。

8.超大物の迫力負け対策:獲物が射手の体格を上廻るとその迫力に負け、足が地に着かない射撃となります。中型エゾ鹿までは対戦相手も多く、5回ほどそのクラスと対戦すれば乗り越えられますが、20% 鹿が大きくなると再発します。超大物クラスとの対戦は巷より1桁多いケンさんの出会術を以ってしても5%、乗り越えは容易な事ではありません。

ケンさんも2005年以前は散発的成功しかなかった超大物戦ですが、2006年以後はシミュレーション訓練により常勝となりました。考え方の基本は足が地に着かない時でも、ちゃんと銃の基本操作をしてNPを撃ち抜ける様にイメージトレーニングを繰り返します。

9.ヒグマの恐怖負け対策:対ヒグマ戦は迫力負け対策の他に恐怖負け対策が必要になります。
この対策が済んでいない状態ではヒグマの眼前で動けなくなるか、乱射しまくる事に陥ってしまいます。同行者がこの両方に陥るのを見ましたが、ケンさんは幸いにもシミュレーション訓練のお陰で6戦6勝を収める事が出来ました。内容な超大物エゾ鹿用と同内容の訓練です。

10.外さない御呪い:発砲する直前に「そっと撃つ」を3度唱える御呪いを開発してからの、失中は皆無となりました。この御呪いのお陰でアフリカ猟の失中ペナルティーも乗り超える事が出来ました。

11.ナミビアポイント:北海道が銅弾規制に切り替えられて久しいのですが、鉛弾には大きな欠陥があります。具体的な欠点として至近距離のヒットでは表面爆発が起こります。
また適正距離射撃でも骨にヒットすれば鉛部分の全飛散により、パワーを全く発揮出来ません。

銅弾はこれらの鉛弾の欠陥を対策する為に新開発された弾頭であり、骨にヒットしても飛散しません。
そう言う特性の銅弾ですからお奨めは積極的に骨を撃つ事です。銅弾で前足軸線上の背骨との交点を撃つ、これがケンさんの超大物戦の成果を激増させ、またヒグマ戦の連勝をもたらせてくれた原因です。

ナミビアでヒントを戴きましたのでそう呼んでいますが、銅弾頭+NP(ナミビアポイント)、最高即倒率の組合せはこれで決まりです。この即倒の理由は骨を通した神経系のショックによります。

このNP射法の唯一の欠点は、ヒットすれば概ね100%がその場に倒れますが、最大20%が10~30秒後に再び起き上がり逃げ様とします。その為に倒れたらそれで終わりではなく、出来れば10秒以内に上半身の何処でも良いですからもう1発撃ちこむ事です。30秒を過ぎますと鹿の体はエマージェンシー状態が確立しますので、急所を破壊しない限り止められません。

憧れの目標が違い過ぎなければ、狩猟大全集の教えは完璧であり、非常に有効です。
教えの文章は難解であっても、銃を撃つ事は向けて引き金を引くだけですから、行動はそれ程難しくはなく、素振りやイメージトレーニングを数年間続ければ、達成は時間の問題となりますが、ケンさんでも全項目の達成には16年を要したのですから、一朝一夕に出来る筈がありません。

1項目に数年を要すると思いますが、約20年後には憧れだった項目の殆どを達成されている事でしょう。20年間頑張れるかどうかで成果が分かれます。




同じカテゴリー(ハンティング)の記事画像
50年間で分かった事、その5:スコープ専用銃のスナップショットは画期的だった。
50年間で分かった事、その4:ショットガン効果。
50年間で分かった事、その3、マグナム効果は皆無だった。
50年間で分かった事、その1。
白糠のメス特別解禁。1994年。
新射撃法のメリット。
同じカテゴリー(ハンティング)の記事
 50年間で分かった事、その5:スコープ専用銃のスナップショットは画期的だった。 (2024-05-07 17:30)
 50年間で分かった事、その4:ショットガン効果。 (2024-05-05 09:36)
 50年間で分かった事、その3、マグナム効果は皆無だった。 (2024-05-02 09:58)
 50年間で分かった事、その1。 (2024-04-22 17:19)
 50年間で分かった事。 (2024-04-20 17:31)
 白糠のメス特別解禁。1994年。 (2024-04-14 08:46)

Posted by little-ken  at 18:41 │ハンティング銃と弾