2016年07月27日

1.5mm差で大きな成果。

散弾銃には照準器がなく、銃身の上に付いたリブを通して目標を見る事が照準となり、その為
にはリブの真後ろ線上に目が行く様にしなければならず、その精度は±1mm以下を要する。
これは前にもお話ししました。

  1.ストックのセッティング効果
ストック合わせが重要と言う1例ですが、2014年のNZのカナダガン猟ではレンタルのレミントン
11-87のチーク部の厚さが不足し、急遽ボール紙とガムテープで1.5mmほど厚さを増しました。
その結果、2連射9発射撃し8羽撃墜の7羽回収と言う快挙となりました。

カナダガンは強敵です。目も良く頭も良く容易に射程内まで来てくれません。
そして巨大が故の錯覚で、見た目よりも遥かに遠くを高速で飛んでおり、リードを合わせるの
が非常に難しく、筆者も初回は3度射撃にも拘らず捕獲ゼロの惨敗でした。
一方では編隊で飛ぶカナダガンはこれまた巨大が故に急速に方向を変える事は不得意で、
引き寄せに成功しリードさえ合えばダブルやトリプル撃ちは比較的容易です。

  2.使用銃
この時の使用銃は筆者も1時期使っていた頑丈さが取り柄のレミントン11-87を選びました。
レミントンはそれなりにたくさん売れている銃ですがの何処が良くないのかと言えば、
下記の4点です。1時期とは言えよくこれでベストセラーになったと思います。

機関部の重量が重過ぎ、その割に先が軽過ぎて動的バランスが良くありません。
右手グリップが細過ぎです。ストックのチーク部が薄く頬付けが決まり難いです。
パットエンドの角度が立ち過ぎていて連射時の肩への納まりが良くありません。

選択したのはインナーチョークの3/4絞りの28インチのバレルです。インナーチョークの方が
銃身先端部が厚く、適度に先重で動バランスは良好です。
グリップの細さは厚手の皮手袋でカバーし、パッドエンドの角度はどうしようもありませんから
諦め、チーク部の厚さ不足は冒頭の様に紙をガムテープで張り付け厚くしました。後は体に
馴染ませるのみ、数百回の裾銃練習をし実戦に備えます。

  3.実戦
猟場は1辺が500m位ある刈取り後の大きなトーモロコシ畑、その中央付近に10羽ほどの
カナダガンの群れが4ついます。
風下から接近、発見されない様に物陰に隠れ待機、もう一人が反対側に回り追い出す作戦です。

現地ガイドはここが良いと指差しますが筆者はそうは思わなくそこには現地ガイドが入りました。
筆者は更に50mほど離れた丘の上が良いと判断しました。
経験上カモ類は丘のすぐ左右を通り、今回は地形からやや左を通る方に掛けます。

やがて打ち合わせの時間となり、サブガイドはバギーでカナダガンの群れに突入します。
カナダガンは賑やかに鳴きながら高度を取りやがて追い風に乗って離脱します。

最初の群れと2番目の群れは高高度でパス、後続のやや低高度の群れを狙います。
コースはほぼ正面で読み通りです。最初のチャンスはほぼ正面から高度50m、速度は追い風
に乗って80~90km/hとかなりの高速です。

射撃角度70度から3号55gの3インチマグナム装弾の0.4秒毎の高速5連射の迎え撃ち、
初弾はリード不足で失中、2発目もまだややリード不足、被弾不十分ながら急速に高度を
下げつつあります。以後はリードも合い順調に命中、合計4羽が墜ち大成功です。

パッドエンドの角度不良も厚手のラバーパッドのおかげか予想外によくフィットし気分を
良くしました。ふと見ると次の群れが接近中です。
4つ目の群れはすでに散ってしまったと思っていましたが、遅れて飛び立った様です。
急いで弾込めしますが時間不足で4発しか込めない内に来てしまいました。

当初正面コースでしたが、先程と違い筆者をすでに認識しており右に切れつつありますが、
高度は先ほどより更に低く30m以下、高度を取るよりも離脱を優先した模様です。

距離も40mに詰まり射撃開始、射撃角度は丁度撃ち頃の40度です。進路は更にやや右寄り
になりましたが、先程と同じ感覚で初弾発射、1番近いのに命中、それでも離脱を急ぐ群は
編隊を崩さずに飛行を続けます。この辺は蜘蛛の子を散らす様なカモとは大違いです。

先回と同仕様の0.4秒毎の高速連射、連射の都度手前のガンに命中、次々と1直線に10m弱
の間隔で墜ちて行きます。絵に書いた様な4羽連続撃墜となりました。

僅かストックのmm単位の違いですが、大きな効果が2つあります。
1つは照準性の向上であり、頬に当たる様に構えれば自然にベスト照準ポジションが得られ
ます。もう一つは連射時の安定性の向上で、頬と肩によって上手く保持された銃は連射時
にも抜群に安定し、その為に成果も大きく変わって来ます。

初めての銃で試射無しのぶっつけ本番にも拘らず、驚異の命中率は応急製チークピースの
おかげ、1.5mmが勝負の大きな分かれ目となりました。
なお現地ガイドの方はコースが合わず射撃不能、彼の奨めに従っていたら今回も捕獲ゼロ
の惨敗に終わる所でした。カナダガン猟も筆者がガイドした方が良さそうです。
1.5mm差で大きな成果。
      2連射9発射撃から8羽撃墜の7羽回収の快挙でした。
      チーク部分の仕様は約1.5mm厚くなり、約1mm高くなりました。





同じカテゴリー(ハンティング)の記事画像
50年間で分かった事、その1。
白糠のメス特別解禁。1994年。
新射撃法のメリット。
全ての射撃のベースとなる正しい「スナップショット」
ボウハンティング狩猟法。
アメリカでは大人気、日本では禁止されているボウハンティング。
同じカテゴリー(ハンティング)の記事
 50年間で分かった事、その1。 (2024-04-22 17:19)
 50年間で分かった事。 (2024-04-20 17:31)
 白糠のメス特別解禁。1994年。 (2024-04-14 08:46)
 新射撃法のメリット。 (2024-03-28 15:42)
 全ての射撃のベースとなる正しい「スナップショット」 (2024-03-19 09:50)
 ボウハンティング狩猟法。 (2024-03-17 17:03)

Posted by little-ken  at 15:47 │ハンティング射撃