2024年02月14日

「ショトガン効果」と「即倒」にパワーは無関係。

  ショットガン効果に必用なパワー。
トラップ射撃用7.5号弾は「ショットガン効果」に依り、50mのカルガモを3粒被弾で撃墜出来ます。
12番32g7.5号装弾の初速は350~390m/s、エネルギーは1500~2000ft-lbfの程度です。

1発に入っている弾粒数は400~430粒、1粒のパワーは3.5~5ft-lbfです。
50m先は弾速が30%程低下しますので、パワーは半減し概ね1.7~2.5ft-lbfになります。

その「ショットガン効果」なら3粒で撃墜ですから5.1~7.5ft-lbfとなり、カルガモ級には1桁強力な空気銃弾でも当たり所が良くないと捕獲出来ない事を考えますと、非常に低パワーながら上半身3粒で即死撃墜が可能な「ショットガン効果」は絶大と言えます。

鹿や猪の大型動物にもこれは有効であり、こちらの場合は「4号バックショット27粒弾」が相当します。


  10エゾ鹿即倒に必要なパワー。
巨大且つ被弾に強いエゾ鹿にはマグナムライフルが必要と言われていました。
単弾で即死させる場合、直径15㎝の「ナミビアポイント」に「正しくヒット」すれば「ショットガン効果」と同様に、「パワーには概ね無関係」で100%即倒します。要は上手く命中させれば良いのです。

エゾ鹿猟遠射時、308の150gr銅弾で、540mの大物エゾ鹿を2頭連続即倒させた事があります。FMJの弾速データに依れば、550m時弾速は60.4%まで低下、エネルギーはその2乗に比例し、残存エネルギーは934ft‐lbfとなります。

弾速低下は銅弾の方が大きく、残存エネルギーは鉛弾比で80%と仮定しますと737ft-lbf、マズルエネルギー比で僅か29%、この低パワーでも即倒したのです。初弾命中ではありませんが、ボス争い2頭が連続即倒ですから、満更マグレでもありません。

「幾らパワーに無関係」と言っても程度があり、数十㎝深くにある急所に届かなくては無効弾になってしまいますが、下限値が何処かは不明ですが、737ft-lbfの弾頭でも即倒出来た事は事実です。

西部劇のウインチェスター1873の黒色火薬500ft-lbfでも、近距離であれば即倒したと思われます。
ハイパワーや新口径に導こうと言うのは新しい銃を売り付け様とする、「銃砲店の陰謀」でした。

308は12㎜の鉄板を撃ち抜き、150mでワンホール射撃が可能、300m遠射も楽勝、500㎏前後の獲物にも多数の実績があります。
これ以上に何が必要なのでしょう。銃だけに撃たせれば良いのです。
そしてちょっと上手く引き金を引けば良いのです。


  11非常に良い趣味を戴きました。
「国内銃砲店の陰謀」で始った「エゾ鹿猟」でしたが、ケンさんは非常に良い趣味を与えて頂いたと感謝しています。狩猟は「如何にして銃を命中させるか?」の以前に「如何にして獲物に出会うか」と言う難題があります。目的の野性鳥獣に出会わなければ、全てが始まりません。

野性鳥獣の五感は人間より3桁以上鋭く、人間に出会う事には彼らの命が掛かっています。
散弾銃の射程内である、30mで出会う事は更に桁違いに困難でした。

ケンさんの家は海や大きな川が近く、カモ類がたくさんいました。しかしたくさんいてもそれは射程距離の遥か外、試行錯誤を繰り返しましたが、射程内まで近付く事は不可と思えました。

 11-1.野良猫のカモ猟。
ある時、ケンさんがダメ元接近チャレンジをしようとしていると、野良猫の先客がいました。
波打ち際ではカモがエサを食べています。餌場から50m強までは草があり、接近可能でした。

過去にそこまで隠密接近し、そこから射撃しましたが、当時はまだ2連銃、4号弾(3.3㎜150粒)を2発撃って半矢数匹に終わりました。更に10~20m前進したい所でした。

今回は猫のお手並み拝見をする事にしました。草のある所までは全く問題なく進みましたが、そこからに注目です。
猫は背を低くし、ゆっくりゆっくり足を進め、時に足を止めてじっとしています。
これの繰り返しですが、猫が足を止める時の条件を発見しました。

カモが警戒して首を上げた時には足が止まり、警戒が解け餌を食べ始めますと、また前進するのです。しかし幾ら何でも5~10mが限界だろうと見ていましたが、信じ難い事に2mまで接近に成功しました。やがて飛び掛かりましたが、僅かに届かず、野良猫のカモ猟は失敗でした。

 11-2.事前土木工事と射撃ポイントで3分間のフリーズ。
野良猫からヒントをもらったケンさんは、事前土木工事で35m射撃ポイントまで遮蔽物を設置しました。そして接近は猫の手法で、カモの警戒でフリーズに入り、警戒が解けると前進しました。

そして無事に射撃ポイントまで到着しました。今度はカモまで35mですから、絶対に獲れる事でしょう。2発を撃とうとした瞬間、カモは一斉に飛び上がり、捕獲は1羽のみに留まりました。

反省点として、やはりカモは何となく、ヤバイ気配を感じていた様でした。
次回は射撃ポイントに着いてから、更に数分間のフリーズをキープしようと思いました。

翌年、また同様の条件になりました。射撃ポイントまで断続で前進し、発砲まで3分間フリーズしました。今年から銃は自動5連銃となりました。

カモの群れを観察しながら、1発目はあの3羽の集まった所、2発目はあの集団、3発目は成り行きもありますが、そこの集団と決めました。
そしていよいよ射撃の時を迎えました。

今度は先回と作戦を換え、「サッ」と立ち上がりスナップショットです。立ち上がった瞬間、全てのカモが「ギョッと」振り返りました。当初の集団に地上で1発、3羽とも十分な被弾をした様です。

2発目と3発目はすでに飛び上がっていますが、予定の集団に向けて撃ちました。「ボロボロボロ」大量に墜ちました。
4~5発目は手近なのを撃ちましたが、その奥であおりを喰らったカモがまた墜ちました。

結果は超大成功、一瞬で当時定数の10羽が捕獲されました。これがケンさんのカモ撃ちがバイトに 昇格した瞬間でした。

当時の日当は1日3500円程度ですが、この一瞬だけで8000円になりました。
これを手始めに色々な条件のカモの付き場を発見、「ポイント猟」が可能となりました。

色々な接近法を考案し、各種のカモ猟が可能になり、やがて小粒弾有効に気が付き、スイング射法も開拓出来ました。またカモを希望の方向に飛ばし、希望の場所に撃墜出来る様になり、回収時間が激減、連日毎朝のゴールデンタイムに従来比で2~3倍の猟場を廻れる様になりました。





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Posted by little-ken  at 08:18 │ハンティング銃と弾