2022年10月11日

テレビ取材-2.

  NHK特集「僕は猟師になった。」2008年。
エゾ鹿猟の密着取材申し込みがありましたが、例によって条件を付けましたので流れまして、結局は千松信也氏と言う罠猟師の「僕は猟師になった」と言う番組になりました。銃による狩猟ではありませんので、評価は避けたいと思います。
テレビ取材-2.
一般的に言えば罠より銃による捕獲の方が、圧倒的に効率が良いのですが、罠猟師も当然上手い人と下手糞な人がおり、銃の猟師にも同じ事が言えます。本州巻狩り平均値は0.05頭/日人、上手い罠師ならこれを超えます。

因みに巻狩り開眼後のケンさんですと、捕獲率は10倍の0.5頭/日まで向上します。
これを超える罠師もいるだろうと思いますが、非常に僅かだと思われます。


  クレージージャーニー、2009年。
国内猟や海外猟の話を写真等を中心に、座談会形式で紹介して行く番組内容と聞きました。
手持ちの写真や資料と話だけなら、こちら主導ですから問題はありません。

しかし、やはり取材があると言う事で、例によって条件を付けた所、流れました。
結局番組は「服部文祥」氏の「狩猟サバイバル」になっておりました。服部氏は「狩猟大全集」の頃は山岳雑誌の出版社に勤めていましたが、その後はフリーになっていました。
テレビ取材-2.
彼の道具はミロクのMSS-20、ボルト式のノーライフルのスラグ専用ショットガン、散弾で鳥の捕獲も可能ですが、番組では容易な鳥猟は行われず、岩魚を釣り、本州鹿を獲っていました。

本州鹿とは言え1頭を1人で食べるには余りにも多過ぎ、有効活用や残滓処理はどうしていたのでしょう? 埋設は合法ですが、少なくともスコップは持っておらずでした。

また登山の専門家だそうですが、シールスキーを知らない様でした。シールとはアザラシの事で、その毛皮を張った(或いは後付け)スキーはかなりの登坂も、アザラシの毛皮が逆目となって真直ぐ登る事が出来ます。近年はアザラシ毛皮が入手困難となり、ナイロン製又はエゾ鹿の脛の毛皮が使われています。

登山家なら知っていて当然と思うのですが、彼はこれを知らず、雪上で毛皮の目に逆らって顔を真っ赤にして、鹿を引っ張っていました。登山家の経歴も怪しく感じてしまいます。

最近は空き家をタダ同然で購入したと本人は言ってますが、狩猟サバイバルの書では空き家を 無断借用しており、これは法的に良いのでしょうか? 

最近は銃をミロクMLRと言う、西部劇時代の様な、レバーアクションライフル銃にし、猟犬を連れハンティングをしている様ですが、猟犬に頼ったハンターに名人は1人もおりません。

それは猟犬の能力のみに頼り、自らが狩猟能力を向上させる努力を一切しなくなってしまうのが普通であり、彼も例に漏れずと思われます。


  JKツアーのロシア猟。2014年。
当時狩猟雑誌「けもの道」を書いていましたが、これを見た大阪のマイナーツアー専門の旅行業者が、ロシア猟の宣伝になる記事を書いてくれと言う、依頼をして来ました。

しかし見た事もないロシア猟の記事を書く事は出来ず、また捕獲率すらが分からないハンティングツアーを紹介或いは賞賛する記事も書けません。
テレビ取材-2.
写真の銃も、大物猟には全く不適なブローニングオート、ムースと書いてある写真は赤鹿、信頼の置けないと言うか、狩猟を全く知らないと言うか、疑問だらけの怪しげなツアーでした。
ムースの写真は無いのかと言う質問に対し、提供されたのはWikiの写真その物でした。増々怪しげです。

他の銃はあるのかと言う質問に、5種のライフル名の回答がありましたが、どれもWW1の博物館級の古い軍用銃ばかりでした。狩猟形態はどうも捕獲率が最低の巻狩りらしいのですが、JKの担当者は絶対に獲れると言います。これは実際に行って体験しなければ、とても書けないと伝えました。

しかしJKツアーも全額負担は厳しいと言い、それならケンさんはまだムースを捕獲していませんので、片側12ポイント以上の良型ムースに本人が撃てるなら、50万円を出しても良いと答えました。

それでも厳しいので、もう1人モニターはいないかとなり、100万円で300㎏以上のブラウンベアと12ポイント以上の赤鹿又はエルクが撃てるなら、行っても良いと言うモニターハンターを探し出しました。

それでは2名によるモニターツアーは行われたのか? 結局行われませんでした。ロシア側もJK側も西側のトロフィーハンティング制度を全く知らなかったのですから当然です。

トロフィーハンティングとは、巻狩りで誰かが捕獲するのではなく、本人が目標の動物と直接勝負 する事が前提条件であり、支払いは成功後となります。
捕獲出来ない場合、或いは勝負の機会が無ければ、動物代を支払う必要は無いのは当然です。

しかし、撃てば未回収でも動物を消費した事になり、料金的には成立するのが国際ルールです。失中は無料とする場合と、失中でも有料となる場合があり、この辺の契約内容によります。

JK側は獲れるか全く分からないのに全額前金を要求、入金がないので手配が行われなかったのですが、この場合に妥当なのは飛行機代等だけの先払いでしょう。何は共あれ、怪しげなツアーで、関わらなくて幸いでした。

  NHKプロフェッショナル、2017年。
NHKが本格的なエゾ鹿猟の密着取材を申し込んで来ましたが、例によってこちらの条件を付けましたので、流れました。番組にはヒグマ猟の久保俊治氏が出演していました。
テレビ取材-2.
久保氏の猟法はヒグマの単独追跡猟、日頃からヒグマの周りを歩き続けあの人間は無害だと思わせる作戦です。若くして猟犬ハンターとなった彼は、20代から狩猟内容的には余り進化していません。猟犬ハンターはどうしても猟犬に頼り過ぎる傾向があり、本人の努力が疎かになります。

彼の銃もその他の狩猟道具も、20代の頃から進化はなく、その頃マグナム銃が流行しましたので、彼も338ウインマグを使っています。しかしマグナム銃の流行は銃業界の陰謀であり、アグナム効かと言うのは皆無だったのですが、不勉強な彼は知識の更新が行われないままでした。

番組で見た食料用エゾ鹿を捕獲した時は、非常にガッカリする内容でした。自分の牧場、僅か50mノーマークのエゾ鹿、立ち木による半委託射撃、338ウインマグ、この好条件の塊でもクリーンキル出来なかったのですから、お粗末でした。

またこの番組ではヒグマを獲る事は出来ず、姿を見せる事も出来ず、これもお粗末でした。
彼は近くまで接近して1発で仕留める事を信条とし、それが続けられたから今でも生きていると、豪語していますが、それが甚だ白々しく聞こえて来ました。

ケンさんの拘りの狩猟:ケンさんはそうなりたくないので、ドッグレスハンターに拘り、そして後述の様な拘りの狩猟になりました。NHKはケンさんのエゾ鹿猟も、そんな単独忍び猟だと決め付けて いた様ですが、スクールの猟は、「ポイント猟」の「横着猟」(よこつけ猟と読みます)がメインです。

ポイント猟とはこの1週間の天候変化等を考え、鹿の行動を予測し、当日朝の状態なら、朝1番は○○牧場の奥とか、朝2番は△△池の隣とかを予想して、そのポイントに直行する、非常に高確率な猟の事です。長い経験から、確立した独自の猟法です。

鹿は常時その周辺にいるのではなく、悪天候明けの早朝に山からまとめて降りて来ます。その場所は概ね決まっています。その鹿が出ている猟場に直行するのですが、そこにいるのは僅か数分程度です。

先に行って待っているのではなく、数分しかないその時間に、偶然現場を通り掛かった様にする必要があり、車で向かう途中にも綿密に計算して、車の速度を調整しています。

ケンさんのエゾ鹿猟は、獲物を警戒させてしまう定時パトロール方式ではなく、捕獲する為の現場には敢えて1週間に1度位しか行きません。そこに出没した鹿は、ここはサンクチュアリかと勘違いしている所に、突然車を真横に乗り付け、鹿があっけに取られている、数秒間が勝負となります。

そもそもエゾ鹿は通過交通に関しては無関心です。アクセルを離すと、鹿はハンターの車では  ないかと気に掛ける様になり、ブレーキランプが点灯すると頭を上げ、止まると逃げ始めます。

従ってかなり手前からギヤをニュートラル、アクセルは走行回転数を保ち、直前まで通過交通を装います。ハンドブレーキでタイヤがロックしない様に注意しながら、出来るだけ短時間で止まり、通過交通からハンターの車に豹変します。

もう1つのやり方は速度を落とした車から、射手は滑り降り、車はそのまま進みます。
鹿は車を見ていますので、ハンターは数秒間ノーマークになり、この間に勝負します。

或いは通常のハンターは射撃に適した場所に車を止めますが、敢えて射撃不能に近い様な場所に車を止めます。鹿はハンターの車かどうか迷っていると、幅5㎝と上下10㎝の隙間があれば、 弾を通す事は可能であり、鹿は林の中から飛んで来た弾で、一巻の終わりとなります。

そして山から降りた鹿は、午後には少し離れた場所の出没し、翌日はある一定パターンに従い、数㎞下流に移動します。これを数日間繰り返し、徐々に確率低下しながら、鹿の動きを予想して追い掛けます。

悪天候の前日は多少出会いが増えます。5~6日目には悪天候明けとなり、新しい鹿が山から降りて来て、また新しいサイクルが始まります。

その出会い回数は平均実績で5回/日となり、16年間 捕獲ゼロは皆無、平均捕獲実績は2頭/日となり、その中に0.5頭の大物が含まれます。ここからスクールの名称を「5205」としました。

出会いの70%が「3段角の成獣」、20%が「ビッグゲーム級の大物」、5%が「ビッグトロフィークラスの超大物」となり、巷では大物捕獲が一生の憧れとなりますが、スクールなら3日で十分、これがケンさんの拘りのエゾ鹿猟の実績内容となります。




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Posted by little-ken  at 16:29 │ハンティング狩猟大全集