2016年10月05日
デメキン鹿の思い出。
大雪山系にも冠雪が記録され、いよいよエゾ鹿の狩猟シーズンが近くなって来ました。
皆様もそれなりの準備を始められていると思います。
筆者は10月20日にこちらを出発し、23日には現地入り2日間の下調べをする予定です。
現在の様子ではまだ山から鹿が降りるのは何時になるか分かりませんが、この5年は全て
25~28日に降りています。たぶん今年もその頃には降りてくれる事でしょう。
山から降りたその日と翌日の朝1番だけは100m前後に多い鹿ですが、すぐに150m前後と
遠くなります。5年前位までは山から降りたばかりの鹿の1部は50m以内に降り、バックショット
でも捕獲の可能性だった時代が懐かしく感じられます。
何時しかそう言う超デメキン鹿はいなくなりましたが、デメキンとはもちろんあの金魚の事で、
メデタイ(目が出ている鯛)より更にメデタイ(目が出ている)と言う事から付いた名前です。
超デメキン鹿になりますと10mでも逃げず、発砲しても逃げず、10発近く撃った例も数多く
あります。そんな時代のエピソードを少し紹介したいと思います。
2002年のY生徒の話:
この年がスクール元年です。狩猟経験のないY生徒(県2位のスキート射撃選手)は50mの
中型鹿に対してアプローチを始めました。
車から降りて射撃位置に付けば速やかに初射撃の予定だったのですが、射撃位置で弾を
入れ様とした所、緊張で手が震えて弾を落としてしまいました。
そして落とした弾を探すのですが、焦っている為に見付かりません。
どうしましょうとこちらを振り返るので、ポケットから次の弾を出せとサインを送るのですが、
焦っている生徒には分からなかった様子、必死に落とした弾を探しています。
エゾ鹿は30~40秒に1回程ですが頭を上げてこちらを見ています。あの人間は焦って何を
やっているのだろう? そんな感じで10秒ほどこちらを見るとまた草を食べ始めます。
やがて2度首を上げてまた草を食べだした頃、やっと落とした弾が見付かりました。
エゾ鹿は相変わらず50m付近です。
長い長~い照準の後やっと発砲、弾着不明ですが失中は明らかです。
しかし鹿はキョトンとして頭を上げただけで逃げません。
急いでもう1発撃てと指示を送り、内容は分かった様子ですが、今度はポケットの弾が見付
からない様子、やっと弾が見付かり、弾を込めてまた長~い照準、そして発砲、先程と同様に
弾着不明の失中、また頭を上げましたが逃げません。
もう1発撃てと指示を送り、また長~い時間の後に発砲、今度は何処かをかすめたらしく
鹿はブッ飛んで逃げて行きました。
スキート射撃では数多い場数を踏んだ彼も初回エゾ鹿射撃はちょっとお粗末な結果に終わり
ましたが、誰しもそんな感じです。
そんな彼もあれからずっと北海道通い、今も愛車で毎年根室地区に出かけ、それなりの成果
を上げていると聞いています。
2003年のO生徒の話:
今やスクールのエゾ鹿だけで100頭以上捕獲した大ベテランですが、初回はそうは行きません
でした。その頃はブローニングオートを使っていました。
5頭程のエゾ鹿の群れを発見、知り合いの牧草地ですから入口に乗り入れ、車の陰からの射撃
です。群れは50m程度にいたのですが、そこまで行ってびっくり、1頭が興味津々で車の方に
近寄って来たので距離10mになりました。
そっと1発を入れてボルトを静かに閉鎖、ガチャンとやれば逃げられるからです。
そして照準、発砲になる筈ですが、ボルト閉鎖不良でハンマーは落ちても発火しません。
やむなく1度脱砲して再装填、しかしまたもや閉鎖不良で発火しません。
3回目はボルトを強く押す様に指示、これでやっと弾が出て10mのエゾ鹿は倒れました。
同じ年の数日後、今度は50m先の大木の陰に角長80cm近い大物オス鹿が隠れていますが、
急所は丸見えですから射撃条件に不足はありません。
ところがこの大物が隠れていた場所はハンティングベースから僅か1km足らず、まさかこんなに
近い所に大物鹿がいると思わなかったO生徒の銃にはまだ空マガジンが装着されていません。
ブローニングオートはロアーカバーを開けて、そこの所定位置にマガジンを装着して、ロアーカ
バーを閉じ、ボルトリリースレバー解除で装填となる銃です。
普段は空マガジンを装着し、ボルトオープン、安全装置を掛け、ロアーカバーは開けた状態で
待機しており、そこに弾を1発マガジンに入れてカバー閉鎖、そしてボルトリリースとなります。
O生徒は大物鹿との対戦は初めて、手が震えてマガジンがロアーカバーに装着出来ません。
数分掛かってやっとマガジンが装着されました。もちろんまだデメキン超大物は同じ位置にいます。
弾を1発入れ、ボルトを静かに閉鎖、そしてボルトを押し、安全装置解除、照準発砲、結果は
大物に圧倒され足が地に着いた射撃になっておらず失中に終わりました。
こうして初年度から超大物射撃に恵まれた彼は以後スクールの通い続ける事になり、何時しか
捕獲総数は100頭を大幅に超え、超大物1頭を初めとする大物多数を捕獲したのですが、
初年度はこんな様子でした。
ハンティングベースから僅か数百mの所には鹿の移動するルートがあり、毎年ここで
数頭が捕獲され、時には超大物エゾ鹿も捕獲されます。2009年
写真右は2007年、10mで捕獲した超々デメキン鹿です。
昨今のデメキン鹿。
こう言ったデメキン鹿の思い出はまだまだたくさんあります。
この頃ですとこう言ったデメキン鹿が出会い10~20回に1頭は必ずいました。
その頃であればフリンチング射手でもデメキン鹿を捕獲出来ました。
現在のエゾ鹿は駆除が年中行われる為に出会いの距離が遠くなり、冒頭の様に100~150m
に多くなりました。150mは本格的な射撃をマスターしたライフルハンターには全く問題はなく、
サボットスラグ銃を使いこなしたハンターには何とかなりますが、射撃技術の至らないライフル
ハンターやサボットスラグ銃の初心者ハンターにはかなり厳しい条件になりました。
2015年度までは捕獲ゼロ回避の連続記録は幸いにキープされ続けています。
皆様もそれなりの準備を始められていると思います。
筆者は10月20日にこちらを出発し、23日には現地入り2日間の下調べをする予定です。
現在の様子ではまだ山から鹿が降りるのは何時になるか分かりませんが、この5年は全て
25~28日に降りています。たぶん今年もその頃には降りてくれる事でしょう。
山から降りたその日と翌日の朝1番だけは100m前後に多い鹿ですが、すぐに150m前後と
遠くなります。5年前位までは山から降りたばかりの鹿の1部は50m以内に降り、バックショット
でも捕獲の可能性だった時代が懐かしく感じられます。
何時しかそう言う超デメキン鹿はいなくなりましたが、デメキンとはもちろんあの金魚の事で、
メデタイ(目が出ている鯛)より更にメデタイ(目が出ている)と言う事から付いた名前です。
超デメキン鹿になりますと10mでも逃げず、発砲しても逃げず、10発近く撃った例も数多く
あります。そんな時代のエピソードを少し紹介したいと思います。
2002年のY生徒の話:
この年がスクール元年です。狩猟経験のないY生徒(県2位のスキート射撃選手)は50mの
中型鹿に対してアプローチを始めました。
車から降りて射撃位置に付けば速やかに初射撃の予定だったのですが、射撃位置で弾を
入れ様とした所、緊張で手が震えて弾を落としてしまいました。
そして落とした弾を探すのですが、焦っている為に見付かりません。
どうしましょうとこちらを振り返るので、ポケットから次の弾を出せとサインを送るのですが、
焦っている生徒には分からなかった様子、必死に落とした弾を探しています。
エゾ鹿は30~40秒に1回程ですが頭を上げてこちらを見ています。あの人間は焦って何を
やっているのだろう? そんな感じで10秒ほどこちらを見るとまた草を食べ始めます。
やがて2度首を上げてまた草を食べだした頃、やっと落とした弾が見付かりました。
エゾ鹿は相変わらず50m付近です。
長い長~い照準の後やっと発砲、弾着不明ですが失中は明らかです。
しかし鹿はキョトンとして頭を上げただけで逃げません。
急いでもう1発撃てと指示を送り、内容は分かった様子ですが、今度はポケットの弾が見付
からない様子、やっと弾が見付かり、弾を込めてまた長~い照準、そして発砲、先程と同様に
弾着不明の失中、また頭を上げましたが逃げません。
もう1発撃てと指示を送り、また長~い時間の後に発砲、今度は何処かをかすめたらしく
鹿はブッ飛んで逃げて行きました。
スキート射撃では数多い場数を踏んだ彼も初回エゾ鹿射撃はちょっとお粗末な結果に終わり
ましたが、誰しもそんな感じです。
そんな彼もあれからずっと北海道通い、今も愛車で毎年根室地区に出かけ、それなりの成果
を上げていると聞いています。
2003年のO生徒の話:
今やスクールのエゾ鹿だけで100頭以上捕獲した大ベテランですが、初回はそうは行きません
でした。その頃はブローニングオートを使っていました。
5頭程のエゾ鹿の群れを発見、知り合いの牧草地ですから入口に乗り入れ、車の陰からの射撃
です。群れは50m程度にいたのですが、そこまで行ってびっくり、1頭が興味津々で車の方に
近寄って来たので距離10mになりました。
そっと1発を入れてボルトを静かに閉鎖、ガチャンとやれば逃げられるからです。
そして照準、発砲になる筈ですが、ボルト閉鎖不良でハンマーは落ちても発火しません。
やむなく1度脱砲して再装填、しかしまたもや閉鎖不良で発火しません。
3回目はボルトを強く押す様に指示、これでやっと弾が出て10mのエゾ鹿は倒れました。
同じ年の数日後、今度は50m先の大木の陰に角長80cm近い大物オス鹿が隠れていますが、
急所は丸見えですから射撃条件に不足はありません。
ところがこの大物が隠れていた場所はハンティングベースから僅か1km足らず、まさかこんなに
近い所に大物鹿がいると思わなかったO生徒の銃にはまだ空マガジンが装着されていません。
ブローニングオートはロアーカバーを開けて、そこの所定位置にマガジンを装着して、ロアーカ
バーを閉じ、ボルトリリースレバー解除で装填となる銃です。
普段は空マガジンを装着し、ボルトオープン、安全装置を掛け、ロアーカバーは開けた状態で
待機しており、そこに弾を1発マガジンに入れてカバー閉鎖、そしてボルトリリースとなります。
O生徒は大物鹿との対戦は初めて、手が震えてマガジンがロアーカバーに装着出来ません。
数分掛かってやっとマガジンが装着されました。もちろんまだデメキン超大物は同じ位置にいます。
弾を1発入れ、ボルトを静かに閉鎖、そしてボルトを押し、安全装置解除、照準発砲、結果は
大物に圧倒され足が地に着いた射撃になっておらず失中に終わりました。
こうして初年度から超大物射撃に恵まれた彼は以後スクールの通い続ける事になり、何時しか
捕獲総数は100頭を大幅に超え、超大物1頭を初めとする大物多数を捕獲したのですが、
初年度はこんな様子でした。
ハンティングベースから僅か数百mの所には鹿の移動するルートがあり、毎年ここで
数頭が捕獲され、時には超大物エゾ鹿も捕獲されます。2009年
写真右は2007年、10mで捕獲した超々デメキン鹿です。
昨今のデメキン鹿。
こう言ったデメキン鹿の思い出はまだまだたくさんあります。
この頃ですとこう言ったデメキン鹿が出会い10~20回に1頭は必ずいました。
その頃であればフリンチング射手でもデメキン鹿を捕獲出来ました。
現在のエゾ鹿は駆除が年中行われる為に出会いの距離が遠くなり、冒頭の様に100~150m
に多くなりました。150mは本格的な射撃をマスターしたライフルハンターには全く問題はなく、
サボットスラグ銃を使いこなしたハンターには何とかなりますが、射撃技術の至らないライフル
ハンターやサボットスラグ銃の初心者ハンターにはかなり厳しい条件になりました。
2015年度までは捕獲ゼロ回避の連続記録は幸いにキープされ続けています。
Posted by little-ken
at 11:36
│EHG5205近況