2023年01月23日

失中記録。

 伝説の失中事件:その昔1995年と思いますが、まだ「ランニング射撃」も「待ってたホイ射撃」も実用化していなかった頃、白糠で鹿3頭を踏み出しました。

5発撃って1頭も倒す事は出来ずでした。マガジンが丁度空になった頃、鹿は立ち止まり振り返りました。急いで弾を補充、撃ちましたが、すでに時は遅し、鹿は再び走り出し、結局は命中弾を得る事は出来ずでした。

更に未熟だったもう少し昔の1971年、自宅近くの休猟区明けのキジ猟に出撃、オスキジを25羽踏み出し、50発を撃ちましたが。捕獲は僅か2羽でした。未熟の限りでした。

又渥美半島ではキジ猟が解禁となり、出撃しました。夕方畑には50羽程のキジが出ていました。距離40mからフルチョークで群れに向けて5発撃ち、大猟の筈でしたが、捕獲は僅か1羽に留まりました。

これはケンさんの射撃ではなく、1975年頃の友人の射撃ですが、神野新田と言うカモの有名な付場に、数万羽と言う超大きな群れが入りました。メンバー3人は3方から隠密接近、配置完了後にケンさんが1発撃って追い出す事になりました。

そして1発発射、追い出しました。伝説の失中事件の始まりです。すぐに弾を補充、当時はまだ5連発時代です。群れは四散し、ケンさんの方には小さな群れが高高度で掛かりまして、遠射の高速5連射、2羽を撃墜、2羽が半矢未回収となりました。

未熟なS友人の方にも小さな群れが適正高度で掛かり、1羽撃墜出来ました。T友人の方には群れの主力が低高度で密集状態で掛かり、本人を含む誰もが超大猟を予測しました。

群れは5連射しても、まだまだ続き、弾を補充、2回目の5連射を行いました。しかし抜群の好条件射撃10発からの結果は撃墜ゼロであっただけではなく、被弾カモがゼロ、奇跡の失中射撃となりました。

 10全く撃たずに定数:1985年の2月だと思います。猛烈な季節風の為、海ガモの20羽程の群が防波堤の陰に隠れていました。海ガモが飛び立つ場合は助走が必要です。

防波堤側から近付くと、弱い向かい風に向かって防波堤から遠去かる方向に飛び立ちましたが、すぐに防波堤を超えの強い追い風季節風の直撃を喰らい、十分な高度が取れないまま、養殖池の端に達し、やむなくUターン、高度不足のままで防波堤超えを試みます。

しかし防波堤直前は激しい下降乱流が発生しており、群れは防波堤斜面に強く叩き付けられ、1発も発射しないで3名分の定数、15羽が捕獲されました。

 11撃墜は3発で15羽、全てが未回収:その反対の話となりますが、1992年の岩手花巻のコガモ猟です。15羽程度の群れに隠密接近、しかし遠くの銃声により射程外で飛ばれてしまいました。しばらく待機していると、コガモの群れは元の池に着水しようとケンさんの頭上30mを通過しました。

すかさず無チョークのスラグガンから7.5号を3連射、驚いた事に15羽のコガモ全てが撃墜されました。しかし深いブッシュに墜ち、その全てが被弾粒数不足もあって未回収となってしまいました。

 12撃ったのは6回で20発以上、しかし捕獲はゼロ:1998年の根室のモンゴル丘の話です。モンゴル丘でまたもや面白い事がありました。モンゴル丘には沢が5つありますが、この内の3つから 鹿が出ました。1の沢からは5頭ほどの群が2つ、その内の1つは大物オスばかり5頭の群です。

200m先を走っており、射撃しましたが、残念な事に当時は有効射撃50mのH&Kオート、有効弾ゼロでした。

次に3の沢を攻めました。ここからも5頭のメスの群と3頭の大物オスの群が出ました。走ってはいますが距離は約150m、決して当たらない距離ではありません。1番大きいオスに集中射撃を送ります、被弾しましたが、倒れません。1kmほど追跡しましたが、未回収になってしまいました。

次は左の沢です。1頭がブッシュ越し距離30mにいます。撃ちましたが、弾がブッシュに喰われて当たりません。今日はなぜかツイテいません。驚いた事にここからは何と10頭程の群が5つ以上出ました。

200~300m級を走っています。持っていた弾を全部発射、有効弾はありませんでした。
3つの沢とその入り口でチャンス合計は14回、鹿は合計約75頭以上、撃った数は20発以上、しかしランニング射撃は未熟の限りで捕獲はゼロ、こんな事もこの頃はよくありました。

 13ランニング射撃は必ず命中: 初期の2000年以前のランニング射撃は、当たればラッキーと言うダメ元射撃でした。2000年前後には11項の様な恵まれた環境で育ちましたので、1998年H&Kオートで射程50mのランニング射撃の初歩を確立、初期のダメ元射撃から、やがて捕獲は5発強に1頭となり、ランニング射撃は徐々に本物に育って行きました。それらが実を結んだのは上記の様に、2006年に銃をサコーボルトに換えてからとなります。

自動銃はランニング射撃の連射の為に生まれて来たのですが、ケンさんの運用結果ではサコーボルト銃は射程距離、命中精度、連射速度のどの項目も自動銃より圧倒的に優れていました。

2006年、銃はサコ―75ボルトに換わり、銃を変えた直後から、有効射程は200mまで延長され、射程が3倍以上に延長されたにも拘らず、命中率は2倍の2.7発/頭となりました。それだけでも凄いと言えるのですが、2007年1月(狩猟2006年度の後期)には更に1.4発/頭まで向上しました。

初弾急所直撃率は70%に至り、3発目を要する確率は0%、ライフル銃によるランニング射撃は必ず命中すると言える射撃に育ちました。結局、オートによる連射は射撃の反動により1度視界から消えてしまった獲物の、再補足には思ったよりも時間を要し、この間に焦りの心を生じ易く、低命中率に留まりました。

長い間憧れであった5発5中は、高精度な自動銃により、何時か誰かによって達成されるだろうと思っていましたが、ボルト銃はいとも簡単に5発5中を達成してくれました。

ボルト銃では再肩付けのスナップスイング射撃となり、最遅速と思われますが、こちらは思ったよりも圧倒的に速く、連射速度はボルト銃の方が速く、肩から銃を降ろしている時間帯も体全体で追尾は 継続されており、目標を見失っていないので焦りの心を生じず、高命中率となりました。
従って自動銃の優位は、散弾をバラ撒く、ショットガン時に限られますが、50m以内では最強です。

 14.ボルトアクションライフルの射程距離
:スコープ付ライフルの弾は銃口を出た瞬間から地球の引力に引かれ降下が始まりますが、スコープ付の銃では下図の様に上向き発射します。
失中記録。
40mで1度ゼロ点を通り、更に上昇を続け、100m付近では3㎝上を飛行し、その後降下飛行に入り 150mで再びゼロ点を通り、200mで5㎝下を通り、その後は2乗カーブで大幅降下を続けます。

従って急所の直径15㎝に命中させる為には、200mまで落差補正を要せず、直撃照準が可能となり、300m前後までは落差補正をすれば、十分な実用性があります。

スコープ銃はオープンサイトの銃に比べ、上向き発射のお陰で射程が約2倍に延長されるのです。しかし99%は発射直前に反動を上手く受け様として体に力が入り、照準がズレた状態の発砲となります。

これをフリンチングと言い、これにより射程2倍が生かされないままとなっています。射撃練習が不十分な場合は、初期のケンさんも含め、50mで40㎝角の的紙からハミ出してしまいました。
失中記録。
写真の黒点直径は11㎝、1988年のケンさんの50m射撃です。暇さえあれば4年間しぶとく射撃場に通い、やっとこうなりました。これで辛うじて50mの射撃能力がある事になります。

本州では50mの機会が殆ど無く、過去の本州ハンターの多くは50mで鹿やイノシシの急所どころか、胴体ヒットが怪しげな程度なのです。

本来ライフル銃は100m以遠の獲物の急所に命中弾を送る銃です。銃と弾は十分それに応えられる精度があるのですが、多くの本州ハンターは練習不足で50mの実用能力を持っていません。

その理由は猟犬を使った猟に原因があります。
猟犬がいれば猟犬は半矢追跡の名人ですから、胴体被弾だけで相当な高確率で捕獲に至ります。
その点でエゾ鹿猟では即倒させないと未回収になる事が多く、急所ヒットが大前提の狩猟となります。

100m以遠のエゾ鹿猟をメインとする北海道ハンターでは、射撃練習を繰り返し、100mの急所付近なら辛うじて命中させられる能力を全員が持っています。これが北海道のハンターの実力であり、ベテランライフルマンの通常平均的な現状となります。エゾ鹿はハンターから撃たれない150mにいるのがその証拠と言えます。

このフリンチングを完全に克服するのは甚だ困難で、従ってワンホール射撃や、300m遠射は例外的1%未満の極めて少数のハンターしか、その能力を持っていないのが現状です。

 15例外的な1%になる為には?:簡単ではありませんが、誰でもなれます。
 その1:ワンホール射撃の達成が、その境目となりました。その為にはフリンチングを無くさなくてはなりません。2年間の実射ナシとドライファイアの練習に依り、射撃には反動を伴わないと体が理解する様になり、発射直前に体に力が入り、照準がズレて発砲する事が無くなりました。

全て銃の射撃が上手く行かない理由は、この反動を体が上手く受け様として、発射直前に反射的に 体が硬くなる事に起因します。その結果ライフル射撃では精密照準が乱れ、実用射程は100m以下と なり、ショットガン射撃ではスイングが止まってしまい、近距離&低速限定となってしまいます。

全ての原因が反動による条件反射にあるのですから、銃の発射には反動を伴わないと体を騙す訓練を積み上げる意外に対策方法は無さそうです。

ケンさんの場合は交通事故のリハビリ期間中の実射断とドライ ファイアが偶然体を騙す事になり、射撃再開のその日にワンホール射撃が達成されました。ケンさんが2年間実射を断ったのは事実ですが、ドライファイアの特訓は正味1年強でした。

ケンさんは数々の音痴を持っていました。運動音痴、漢字音痴、方向音痴、更にフリンチングが皆さんと同様にありました。音痴は死んでも治らないと言われていますが、3年間のつもりで対策を始めたのですが、結果から申しますと、そのどれもが1年少々で達成されました。

他の子供と一緒に遊べない程酷い運動音痴が、バレーボールの国体選手、漢字音痴がプロライター、方向音痴がプロハンティングガイド、気が付くとある日には出来る様になった自分に気が付きます。

そして射撃ではフリンチングを克服した、ケンさんはワンホール射撃達成後、全ての射撃で憧れのテーマを達成出来ました。実射を極力控え、ドライファイアと素振りをしぶとく暇さえあればで1年間続ければ、誰でも相当の効果が期待出来ると思われます。

特訓をすると言う事は、生活習慣を変える事を意味します。
最初はイヤイヤでも、3ヶ月もすればそうでなくなり、1年もすればそろそろ行動が板に付いて来ます。すると間もなく、自然に出来る様になる、そういう物なのです。

その2:銃の射撃は精神的な物が多く、当たると思えば命中しますが、僅かでも不安要素がありますと、途端にカスリもしない失中に激変します。典型的だったのは、300m遠射でした。

2002年、H&Kオートは着弾精度が良くワンホールが達成されたのですが、着弾の位置が毎回5㎝程変わり安定しない欠点がありました。故に300m射撃には不安があり、不安が故に1度も胴体にすらヒット出来ずにいました。

300mが実用化されたのは2005年でした。銃をレミントン700のボルトに変更、300mの即倒率は低い物の、銃に対する不安が無かった為、ヒットする様になりました。

レミントンはジャムが多いので、2006年には高精度&スムーズな回転が売りのサコー75にしました。サコーは当たると信じていますから、当然の様に300m遠射が命中し、外し様がないと思える様になりました。恐らくH&Kオートでも心に自信を持てば、少なくとも胴体には必ずヒットしたと思われます。

銃と弾は元々命中する精度を持っているのですから、自分の銃が信じられる様になれば、そっと撃つと言う何の効果もない筈の「お呪い」でも抜群の効果を発揮しました。

一方近距離ではスナップショットが至近距離の出会い頭の強い味方となりますが、装填&安全装置の解除を入れても殆ど時間遅れは無く、ヒグマ15mの鉢合わせも装填&安全装置解除のスナップショット1発で捕獲、ヒグマは5mと逃げられず倒れ、2発目は不要でした。これも誇れる内容だったと思います。

また中~遠距離となるエゾ鹿超大物戦では距離が遠い割に、照準時間も僅かしかもらえず、しかも大物程撃たれ強いので急所を完璧に撃ち抜かなくてはなりません。迫力負けも含み、初期には勝てる確率の低い超大物戦でした。

こんな超大物戦の強い味方は中距離アバウト早撃ちでした。
結果的に超大物33頭を捕獲しましたが、150~200mのアバウト早撃ちのお陰と言えました。どんな大物もショルダーの急所を早撃ちで必ずその場に即倒しました。これらも誇れる内容だと思います。







Posted by little-ken  at 17:03