2018年07月11日

連射ロマン(ライフルは単発がベスト)

  1.マスケット銃 時代は単弾と散弾は同じ銃から発射。
1700年代の後半までの銃はノーライフルで、マスケット銃と呼ばれていました。
銃は先込めの火縄点火式から始まり、やがて燧石式となり、これは非常に長い間使われました。
主力の口径は18~15mm、つまり散弾の口径で言えば12番~20番でした。
単弾は丸弾の1粒、ほぼ同重量の小粒散弾を運用する時もありましたが、銃は同じ物が使われました。
マスケット銃の時代から銃を2本並べる連発のアイデアはありましたが、重過ぎてダメでした。

  2.ライフル銃 と散弾銃が分かれました。
やがて1800年代の中場になりますとライフリングが普及し、単弾はドングリ型で口径が12mm程度となり、散弾との共用が出来なくなり、専用の散弾銃が出現しました。
散弾専用であれば銃身をかなり薄く作れ、水平2連銃にも出来ましたが、弾は先込め式のままでした。
銃は発火方式が燧石式の長い時代を経由してパーカッション式となり、ほぼ全天候式となりましたが、連発は  まだもう少し先の事になりました。

  3.ウィンチェスター 1873.
ハンターの憧れは確実な発火と全天候性と連発でした。
1864年、金属薬莢式が発明され、最初のヒット作品はウインチェスター1873とコルト1873でした。
前者は44口径、後者は45口径でしたが、コルトがウインチェスターレバーアクションと同じ弾薬を使う44口径  モデルを出し、これがピースメーカーとなり、このペアが西部を征服した銃と言われる様になりましたが、この黒色火薬の金属薬莢式は僅か20数年後無煙火薬の時代となり、甚だ短命でした。
黒色火薬のピストル弾を使うウインチェスター73の威力は現在の308の30%弱でした。

  4.ロングリコイル式。
1906年、レミントンがモデル8をデビューさせました。それはロングリコイル式のセミオートライフルでした。
このモデルは308の70%程度のパワーがある無煙火薬弾であり、何とか使える銃でしたが、まだ機械の精度が悪く100mが遠射の時代でした。時々起こる回転不良も悩みの種でした。
同じ特許の散弾銃版はレミントン製よりもブローニング製が世界中にヒットし、ベストセラーとなり我が国でも自動銃の事を「ブロ」と呼ぶ程に知れ渡り、よく普及しました。

長い間の憧れであった自動装填式は、散弾銃では非常に大きな効果を発揮しました。
散弾銃の連射は精度の甘さをパターンでカバー出来、連射の意味は大いにあり、捕獲率捕獲数の向上となりました。
しかし、ライフル銃の場合は急所に命中させなくてはならず、指向性の無いオープンサイトで精密照準のやり直しは100m先を走って逃げる獲物に対して難し過ぎ、実用性の薄い物である事が分かりました。
それでも連射に対する憧れは無くならず、スライドアクションやレバーアクションの手動式連発銃多数がデビューしました。

  5.レバーアクション銃。
連射ロマン(ライフルは単発がベスト)
1900年前後に無煙火薬化され従来のパワーが2倍以上の現在とあまり変わらない時代が始まり、間もなく自動銃も多種がデビューしましたが、満足の行く自動銃は少なく、1970年頃までは初弾命中精度の比較的高い写真のウインチェスターM88やサベージ1899レバーアクションのハンティングライフルモデル多種が使われました。
目的は自動銃と同様の肩に付けたままの連射にありました。

これで憧れのハイパワー銃に待望の連射機能が付いた訳で、ハンターは400年来の夢が叶った筈ですが、待望の新式連発銃も思った程の働きはしてもらえませんでした。
オープンサイトの時代には100mを超えると落差補正が必要であり、銃身精度上からも実用距離は100m前後でした。照準器側から見ても指向性の無いオープンサイトは、使いこなしても50mの走る鹿が限界でした。

50m先を逃げる鹿の胴体に命中させる程度であれば、ベテランであればある程度期待出来ますが、連発容量の5発ではショットガン効果が期待出来る3発の命中には届かず、倒し切れない状況でした。
スコープも後付けではチークピースの高さが合わず、走る鹿の連射には非常に合わせ辛い物だったのです。50mの走る鹿でしたらフルチョークのショットガンでバックショットを撃つ方が遥かに高確率です。

  6.スコープ専用銃 のデビュー。
そんな時代に終止符を打つ決定版と言えるボルトアクションのスコープ専用銃がデビューしました。
それが1936年のウインチェスター70でした。どの銃より高い命中率と高い回転率を誇り、ハンティングライフルの決定打と言える物で、ベトナム戦争で狙撃銃として大活躍しました。

スコープと銃身の取付高さの違いから、照準線を下向きに設定出来、狩猟用途でしたら150mゼロに設定すれば、200mまで落差補正せずに直撃で急所を狙えると言う素晴らしい物でした。
150mゼロの場合、40mで交差し、その後は3cm程上を飛行し、150mでゼロ、200mで5cm落ちました。

その後ウインチェスター70はマイナーチェンジ失敗でソッポを向かれ、レミントン700の時代となりました。
レミントン700のバーミンターは100mのワンホールが可能な銃であり、その後世界中の狙撃部隊にも採用されました。日本自衛隊も警察も同モデルを少数装備しています。

  7.スコープ専用銃 のその後。
スコープ専用銃のストックはスコープに合わせてありますから、これでスナップショットも可能になり、ランニングショットも落差無視の直撃距離の200mは難しくない物となり、急所狙いのランニングショットが可能になりました。

自動銃の最も得意とする連射でさえも、ボルト銃はスナップスイング射撃で撃てばそれより速い連射が可能となり、5発5中もそれ程の難易度ではないと言える様にもなりました。もちろん300mの遠射も楽勝でした。

これこそが究極のライフル銃であったのですが、当時はまだ誰もそこまで分かっていませんでした。

筆者が2006年にこれを発見したのが世界で1番早かったと思います。
その少し前から銃器業界のライターとなったのですが、どのレポーターも連射の操作性に付いてはレポートして おりましたが、ボルトの方が連射が速くて良く当たると言う話は何処からも出ませんでした。

銃は1990年頃、新しい合金鋼を使い、新しいNC加工をすると言う前提で再設計され、高精度となり再デビューし、2000年頃までの出揃いました。現在読者が使っている銃は殆んどがこれになると思います。

100mでワンホールが可能となり、同時に高精度化した市販弾を使って300mの遠射も可能となり、200mのランニング射撃も可能とするスコープ専用銃です。
しかしスナップショットもランニングのスイングショットも多くの生徒等に教えましたが、誰1人出来ませんでした。

  8.ライフル銃 は単発で構わない。
誰もスナップショットやスイングショットが出来ない事から、1発で倒し切れなかった場合、走る鹿や一瞬だけ振り返る鹿に命中弾を与える事は最早絶望的になります。

また単発運用のスクールが何処よりも高捕獲率をキープしている事、EHG5205では1日に5回の出会いがあり、2頭の捕獲があり、その中に0.5頭の大物が含まれる、それが平均値です。

スクールでは鹿を見付けてから1発を装填するのですが、直前まで装填せず、発砲直前に装填&セーフティー解除をしてスナップショットモドキで撃ちます。狙うはショルダーのナミビアポイント、ここは1発でその場にひっくり返る可能性が最も高い急所です。撃ったらすぐにエジェクトしますが装填はせず、マガジンに1発入れるのみ。
撃つ時の装填は肩付け工程で行うのです。そして必要であれば止矢を撃ちます。

撃たなかった時は肩から降ろす時にボルトのハーフコック、次いで安全装置を掛けます。
そして脱砲は安全装置を掛けたままボルトオプナーを操作して脱砲を行います。
これが最も安全な銃の操作方法であり、且つ最もよく獲れる射撃方法でもあります。

つまり、銃が誕生してから500年来の長い間の憧れであった連射ロマンですが、ショットガンには抜群の効果を発揮した連射も、ライフル銃の場合はボルト銃に勝てず無用の長物だったのです。

またエゾ鹿猟を通して考えますと、連発機能その物も誰も使えずに危ないだけであるなら、不要だと思います。
これは法律で禁止しても良いと思います。

そして300m遠射能力があるライフル銃ですが、これも殆んどのハンターに取って憧れ状態のままとなっております。
こうして見ますと300mの遠射も200mのランニングショットも、銃にはその性能があるのですが、その技量を持っているハンターは驚くほど少ない事が分かります。それが出来るのは伝説級の名人だけなのです。
連射ロマンも遠射ロマンもそう言う物であり、巷のハンター諸氏には無縁の物だったのです。

筆者は15年間に500日近い出猟を得て、これらを独学で会得しましたが、これは年間30日以上で巷のハンターの10倍ペースです。筆者に言わせればスナップショットは単に素振りのトレーニングの回数だけの問題であり、これが出来る様になれば全ての射撃の照準時間が半分以下になりますから、自分の物にして絶対に損はありません。

検証はイメージが上手く行けば特に不要で、やがて実戦の全ての場面で証明出来ます。こちらは見て撃つのですが、見直しはありません。

これが出来る様になりますと、同時にアバウト狙いの早撃ちも出来る事になり、今まで遠射と思っていた150m 射撃が近射側に分類される様になり、それが出来る用になりますと、更なるテーマにチャレンジが可能となって来ます。300m遠射もこちら側の射撃技術となりますが、これらが出来れば名人級と言われます。

  9.見ないで撃つ スイング射法。
スイングショットにしましても同様です。こちらの場合は射撃場で検証する事は出来ませんから、実戦で検証するしか方法がありません。その為には速やかに車外に出る方法を含めてのイメージトレーニングとなります。

ランニングショットを頭で理解するには、見えている映像が古い虚像である事を理解しなければなりません。
従って目視照準では絶対に当てられないと言う事です。今現在の映像も見る事は出来ませんが、着弾時の未来位置の見えない映像位置を心の中で推定して、見ないままでスイングを止めずに、引き金を引きます。

見ないまま撃つのですからスコープは照準器ではなく照準補助具になります。
走っている鹿を見付けたら試行錯誤で積極的にチャレンジしてみる事です。

筆者の場合は理論も何もない状態でしたから90日3000発を要しましたが、理論はすでに出来ており、試行錯誤が残されているだけですから、2流の頭をお持ちであれば、30%の期間で会得出来ると思います。

上記実戦日数は1日5回の出会い数が基準ですから、腕の良いガイド猟が基準になります。
結局の処、実現させるには情熱であり、諦めなければ何時か達成させられます。従って成功率は100%です。








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Posted by little-ken  at 16:43 │銃と弾射撃ランニング射撃