2017年12月12日

「禅の心」作戦 その1。

「禅の心」作戦で 本州鹿大戦果。
本州鹿巻狩りの初心者及びこれから始めようとする人に助言です。
銃を所持するには1年間を要する数々の高いハードル、これを乗り越えて所持を達成した
のですから、3日坊主は1人もいない筈です。
しかしその新人ハンターが3年以内に80%も何故か辞めてしまいます。

野生動物の気配察知能力は理解不能の超能力レベルです。
それは鹿猟で射程内まで鹿を引き寄せる事が余りにも絶望的に難しく、姿すら見せてもらえ
ない連続敗戦が永遠の続くかの様に感じるからです。
その原因は鹿の五感が人間の想像以上に鋭く、人間は鹿の五感から隠れる事は出来ず、
射手の視界外で軽く交わされています。

鹿の感度はどの程度か? それは分かりませんが、以前の我が家の番犬は筆者の帰宅を
5km以遠から感じ取る事が出来ました。多数の車の中で筆者の愛車の接近が分かるのです。
勿論全ての番犬がそうではありませんが、飼い犬でもそうですから、命が掛かる野性の鹿の
行動もそれに準ずる程度と見た方が良さそうです。鳥も行動は違いますが同難易度です。
つまり人間の考えでは何をしても絶望的、鹿の欠点を突かなければ勝てる方法はないのです。

初回捕獲までは平均で30日以上を要します。
そんな連続敗戦出撃10日間までに、捕獲の可能性がもし見出せれば新人ハンターは生き残れ
ますが、見出せなければ辞めてしまうと筆者は考えております。
筆者の様に捕獲成功まで70余日も諦めない人はまずいないのです。
生き残った僅かな人はこの10日までに運良く出会いがあって失中或いはマグレヒット等々、
その捕獲の可能性を体験出来たラッキーな人達だけとなります。

.低率捕獲の原因とラッキーな初心者が生き残るメカニズム。
そのマグレのメカニズムとそれが低率である理由は次の通りです。鹿は圧倒的に足が速く、
猟犬はジグザグに歩き匂い追跡をします。鹿は数kmのリードを保っている事が通例ですが、
ゆっくり歩き数十m毎に立ち止まって気配を取りながら進む事を繰り返します。

この状態が全体の推定80%程度、この間で勝負すれば待ち場の射手との気配勝負となり、
射手が相当ベテランでも殆どが鹿の一方勝ちに終わります。
本州鹿巻狩りの獲れる率が低いのもここに原因があり、また初心者が鹿に会えなくて辞めて
しまうのもこれが原因です。

マグレのメカニズムはこうです。全体からすれば10%程度と思われますが、鹿はたくさんおり、
前の鹿を追跡中の猟犬は時に近くに隠れていた別の鹿を追い出します。
そうなれば鹿は数百mをダッシュして猟犬を引き離そうとします。この間に射手がいれば気配
勝負ではなくなります。
走る鹿の音は大きく未経験射手でも鹿の接近を感じ、ダメ元射撃で捕獲の可能性を感ずる事
が出来、マグレ被弾であわよくば捕獲成功となる事もあります。

筆者がもがいていた頃に比べて現在は10倍以上の鹿がおり、もっと簡単に獲れそうに思え
ますが、基本的な勝負の図式は今も全く変わっていない為、その難易度は変わりません。
しかし圧倒的に増えた鹿により、前の鹿を追跡中の猟犬が、別の新たな鹿を追い出す確率は
増えており、そのお陰で多少獲り易くなっていると思われます。

諦めから「禅の心作戦」
後刻に分かったのですが、筆者の獲れなかった原因は自己の気配の撒き散らしにありました。
野性動物の気配察知能力は予想より遥かに高く、理解不能のとんでもないレベルだったのです。

筆者は捕獲第1号までに70余日を要しましたが、その間も唯々何もせずに通い続けていた
のではなく、思い付く限りのあらゆる手法を試しましたが、それでもずっと連続敗戦でした。
その捕獲第1号達成となった当日は、もう考えられる手法は全て試し諦めの心境、大木を背
に丸見えの位置で見張りもせず「今日も絶対に獲れる筈がない」と「フテ寝」をしていました。
つまり何時もの撃ち獲ってやろうと言う「殺気」が消えていたのです。

これが結果的に「禅の心作戦」に近くなり、鹿は射手の気配を取れずに射程内まで来ました。
何時もは強い自からの気配の影で隠密接近中の鹿の気配を感じなかったのですが、自己気配
の低下により接近を感じ、心の中で射撃準備態勢が取れましたので、捕獲成功となりました。

「禅の心作戦」は鹿を何処まで引き寄せられるか?
つまり、本州鹿猟成功の最大のポイントは自己気配の振り撒きを如何に低下させるかと言う事
にあったのです。これだけ守れば他は全て誤差範囲だったのです。
1頭捕獲成功の後はすでに決心していた様にこの低捕獲率のアホらしい猟を辞める予定
でしたが、もう少し試したい項目が頭に浮かび、続ける事にしました。

9年目のその後は獲れず、物陰作戦を改良した10年目と11年目は平均値程度の捕獲でした。
開花したのは12年目、物陰作戦から「禅の心作戦」に全面的に変更した時です。
あれ程までに獲れなかった本州鹿を何と3週連続で捕獲成功しました。
鹿が連続で来たのはマグレですが、気配合戦と射撃勝負に勝利したのは実力です。

その後に「禅の心作戦」は一体何処まで鹿を引き寄せられるのかを試しました。
2回試し、結果は何と2mと5mでした。鹿の眼は左右に付いており立体的に見えず、丸見え
でもじっとしていれば発見される事は無いと言う事が、これで完全に証明出来ました。
これが鹿の欠点を突く手法であり、勝てるのはこの手法だけ、他の手法は殆どダメでした。

人間的に考えれば絶対に物陰の方が良い様に思えますが、物陰からでは周囲の動向が
見えず、ゴソゴソ周りを伺い、物陰とは言えGPSや無線等を運用するので、鹿に感付かれて
しまったのです。
本州鹿巻狩りの殆ど全員がこの物陰作戦を運用し、その結果の平均捕獲が0.05頭/人-日です。

筆者が禅の心作戦に変更してからは0.5頭/日となり、従来より一桁捕獲率が上がりました。
こうして筆者は本州鹿猟に12年間の約100日余を費やして開眼したのです。
「禅の心」作戦 その1。「禅の心」作戦 その1。「禅の心」作戦 その1。
               丸見え作戦の結果、3週連続3段角若鹿の捕獲。

本州鹿巻狩りの気配勝負を勝つ為には「禅の心作戦」。
筆者の開眼から次の4点を全て守れば、鹿は5日以内に貴方の射程内まで絶対に来ますが、
超能力を持った鹿との気配勝負である事を十分に自覚して下さい。

  1.けもの道が多数ある視界の良い場所で、大きな木等を背に座ってじっと待機します。
    更に肝心の1時間だけは呼吸も半分に控え、眼球を除き、仏像の様に微動もしない。
  2.見張りは全くする必要はありません。鹿が来れば自然に分かります。
  3.撃ち獲ってやろうと言う殺気を持たない様に、何も考えず禅の心の様に瞑想する。
  4.鹿が来ても銃を引き寄せない。銃は予め膝の上等に置き、撃つ時はスナップショットです。

禅の心で完璧に動かなければ、横に付いている鹿の眼では絶対に判別出来ず、彼らの
超能力でも絶対に感知不能です。
その為には肝腎の1時間だけはGPSや無線の運用中止に徹しなければなりません。
GPS上ではまだ遠くても鹿と猟犬はしばしば数kmも離れており、僅かな微動でも音声でも近く
にいる鹿には立ち所にバレてしまいます。

一方で自らの気配が低下していれば、隠密接近中の鹿は木の影で見えなくても手に取る様に
分かります。そして充分に引き付けスナップショット、気配勝負に完全勝利しておれば、鹿は
その瞬間にフリーズとなり、ダブルもイージーです。

射撃すると、発射音に続きボルト等の複数のメカ音が「ドガシャッ」としながらから空薬莢が
ゆっくり飛んで行き、僅かに遅れて「ボココッ」とバックショットの複数弾着音がします。
同時に各射入口周りの毛が立ち、それが波の伝搬状に広がって行き、それらが重なり合い
ながら直径30cm程でゆっくり消えて行きます。そして鹿がゆっくり倒れて行きます。

心が平静で頭が冴えている時、想定通りの動きならば、事象が非常にゆっくり進み、且つ
良く見えるのです。想定通りでない時は全ての事象が早送りになります。




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Posted by little-ken  at 09:03 │ハンティング