2017年02月10日

本州鹿巻狩りの成功させるポイント。

巻狩りの成功は自分の気配をひたすら消して鹿を待つ、この言葉に尽きます。
鹿は猟犬(洋犬)よりも足が速い為、猟犬が近くに来ると数百mをダッシュし、リードすると立ち
10秒間止まって100m先の安全を確認、OKなら更に数十m進み、再度10秒ほど安全確認、
以後これを繰り返します。
筆者は鹿を2mまで引き寄せた時に実際に観察しました。

そう言う鹿の特性を知らなかった頃の獲れない筆者は「さあ、何処からでも来い」とばかりに
待ち構えていますが、鹿の側から見ると射手の気配プンプンです。
鹿は危険を察知する能力が非常に高い為、射手を100m以上手前で発見、全く気が付かない
内に迂回され敗戦が確定、これが9年間70余日、ずっと敗戦が続いた拙者のパターンでした。

結論的に言えば大きな木の陰に隠れていても周りを伺えば、すぐに鹿に悟られてしまいます。
一方で木に背中を付けじっとしていれば半ば丸見えであっても鹿には判別出来ません
もちろん銃も体に密着させておかなくてはなりませんし、動かして良いのは眼球だけであり、
呼吸すら半分程度に控えなければ鹿に悟られてしまいます。

更に言えば鹿をやっつけ様とする事を考えてはなりません

鹿は自然と違う音や動きに関しては物凄く敏感で、人間とは3桁以上の能力差があります。
相当に心して掛からないと何時も鹿の一方勝ちに終わってしまうのです。

ここに至ったその日の事が傑作でした。
9年間70余日の配線が続いた拙者ですが、その間に何もしなかった訳ではありません。
考えられる事の全てを試して見ました。

そしてそのアイデアも尽きたその日は「もう諦めの心境」で「どうせ今日も獲れっこない」と思って
いました。
結果的にはこれが大当たり、やっつけてやろうと思っておらず、ふてくされてじっとしていました
から、周りへの気配振り撒き量が一桁下がり、筆者の気配を感知出来なかった鹿が近くまで
やって来ました。

そして更に自らの気配の陰で今まで分からなかった鹿の気配も、この日は自分の気配レベル
が下がった為、鹿の接近に気が付いたと言う訳でした。
銃は手元にありますから、20mまでじっと引き寄せ、一気に射撃、そして命中となりました。
こうして9年目の実戦累計70余日目、拙者は本州鹿の小物を初めて射獲出来たと言う訳でした。

そしてその経験をベースに更にまた色々を試しました。
10年目には10日ほど出撃しましたが成果を出せませんでした。
しかし11年目には同じく10日ほど出撃し、小物鹿3頭の捕獲に成功、成果が上がり始めました。

12年目、ここで一気に花が開きました。あれほど獲れなかった鹿ですが、3週続けて3段角の
捕獲に成功したのです。
3週続けて筆者の待ち場のコースに来たのはマグレですが、3回続けて気配合戦に勝って引き
寄せに成功したのは実力、また3回続けて射撃ミスしなかったのも拙者の実力でした。

鹿の目は左右に付いており、物を立体的に見る事は出来ません
従って物陰に隠れて様子を伺わなければ気配を取られる事はありませんが、様子を伺わな
ければ状況も分りません。そのゴソゴソで鹿に気配を取られてしまうのです。

従って待ち場は視界の良い丸見えの場所で、大きな木を背中に付けているのが良いのです。
丸見えですからこちらから様子を伺う必要はありません。
そして鹿の側から見れば大きな木と一体になって見えませんからじっとしていれば鹿には
完全に分からないのです。

後刻、この手法でどこまで鹿を引き寄せられるかを試しましたが、2mまで引き寄せられました。
丸見えの草原で座っていた時でも5mまで引き寄せられました。

そして射撃はスナップショットになりますが、それ程急いで行う必要はありません。
それは本当に動かなければ、こちらが銃を構えた瞬間に鹿はフリーズになって全く動けなく
なってしまうからです。

この技術を確立してから毎年10日ほどの出撃から5頭前後を頂く事が出来、そのトータル
は25頭程になりますが、特筆は1度も気配合戦に敗れた事は無く、且つ射撃ミスも皆無
あった事です。

この時の拙者の銃はレミントン11-87、銃身は21インチの特性、これにフルチョーク、弾は
もちろんバックショットです。40~50mまで有効でした。
今は下写真のSKB1900の24インチのフルチョークを使っています。

尚、散弾はなぜ捕獲効率が高いかと申しますと、それは複数被弾複次効果によります。
被弾粒数が多いほど2乗的に有効であり、その弾粒のエネルギーの大きさには余り関係ない
のです。
極端な比較ですが、走る鹿にライフル弾を命中させても急所でなければ3発を要します。
ところが1粒のエネルギーが308の僅か2~3%である、直径6.1mmが27粒の4号バック
ショットのたった3粒でも即死します。5粒なら完璧です。

ハンター諸君、ぜひこの気配合戦に勝つ事を目指し、銃は取り廻しの良い短銃身のフルチョーク
弾は4号バックショットの27粒弾、これをお試し下さい。
弾は驚くほど浅い所で止まっており、肉も傷みません。

鹿が自分の待ち場に来る確率は20%前後ですが、待ち場を選ぶセンスが良くなればこの
数倍まで確率は上がります。
そして気配合戦に勝った場合の射撃は「待ってたホイ」のイージー射撃ですから殆ど失中
しないのです。

本州鹿巻狩りの成功させるポイント。
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Posted by little-ken  at 14:27 │ハンティング