2016年09月06日

銃教本の間違い。

  1.銃口の管理。
銃を人に向けるなと言うのが教本の言葉です。これは間違っていませんが不十分です。
先頃受けた経験者講習会で初めて装填されていない折った状態や分解した状態であっても、
そして偶然にしても銃口が無礼な方向に向かない様にしなくてはならないと初めて教える様
になりました。かなり進歩しましたが、まだ不十分です。

正しくは銃口を何時も本人の管理下に置かなくてはならないと言う事なのです。
何時も銃口の方向は本人の責任に於いて管理し、ごく短期的に目を離して良いのは安全
が確保された方向に銃口が向いているのをキープしている時だけなのです。

方向を変える時は車の車線変更と同様に事前に安全確認し、そして良かったら更に安全
を確認しながら方向を変える、これが正しいやり方です。
我スクールでは銃口は何時も顔の前で上を向けておく様に指導し、これで何時も銃口を
自己の管理下におく様に指導しています。

肩に担ぐ事、脇に抱える事、スリングを使って担ぐ事の全てを禁止しております。
これはそうする事により、銃口が目の届かない位置になってしまうので、そう言う行為全体
を禁止しています。

但し獲物の回収時には両手が使えた方が好ましいので、スリングをその場で取り付け肩に
担ぐ事を認めていますが、その前にやる事があります。
同行者全員に対し、私の銃には弾が入ってなく安全装置を掛けた事を申告しながらその
動作を見せて了解をもらっています。

お互いにその確認動作をした後に銃を担ぎますが、リュックサックの様に両肩に掛ける
スリングをお勧めしております。
これにより銃口は頭の後方ですが何時も上を向いて固定する事が出来るからです。

  2.安全装置の取り扱い。
これは最新の講習会でもまだ全く間違っています。
安全装置は信じてはならないと言うのが相変わらずの教本の謳い文句です。
相変わらず射撃場ではその安全装置操作を全く習わせ様ともしません。

暴発事故の過半ところか90%位は安全装置さえちゃんと掛けておけば防ぐ事が出来ます。
安全装置を外して良いのは銃が肩に着いて目標を向いている時だけ、安全装置解除する
動作を肩付け行程の中に完全に入れなければなりません。
そしてそうする事によって裾銃動作が遅くなる事は全くありません。

同様に肩から銃を降ろす時には安全装置を掛ける様にしなければなりません。
確かに安全装置は絶対的な物ではありませんが、十分信頼に値するメカニズムです。
滑って転んでも銃を落としても、うっかり引き金に触れてしまっても、安全装置が掛かって
いれば暴発は殆どの場合防ぐ事が出来るのです。

多くのハンターはそろそろ獲物が出そうになると装填したまま安全装置を外した状態で
銃を携帯します。だから何かほんの僅かなアクシデントがあると暴発してしまうのです。
そして第1項の銃口の管理不十分と合わせて事故が起こるのです。

  3.装填のタイミング。
教本では獲物を見てから装填しなさいとやっています。悪くはありません。
しかし通常の銃操作技術でそのやり方では残念ながら撃たれてくれる獲物はまずいません。
その為に第2項の様に装填済の銃の安全装置を外した状態で携帯するのが普通になり、
僅かなアクシデントで暴発が起こります。

銃は装填されてなければ絶対に安全です。安全装置の項で裾銃動作の中に安全装置
解除を入れなさいと説明しましたが、実は銃の型式によっては装填までを入れても殆ど
遅くなる事はありません。
教本の絶対に安全な獲物を見てから装填しなさいは、やり方によっては十分実現可能なのです。

エゾ鹿猟ではボルトアクション銃を使います。もちろん車の中では銃にはカバーを掛け、
ボルトはオープン、安全装置を掛けた状態で乗っています。
フィールドに降りたてばマガジン内には弾があり、装填しない状態のボルト半起こし状態&
安全装置を掛けた状態で携帯し、鹿に出会って裾銃動作の一環でボルトを引いて装填し、
安全装置を解除しながらスナップショットで捕獲しております。

これによる遅れはほんの僅かであり、十分実用速度帯に成り得ます。
スライドアクション銃も同様の操作が可能ですが、残念な事にボルト半起こし状態に対する
スライドを保持するメカニズムが付いていません。

セミオート銃でもセーフティー解除で装填と安全装置の解除が同時に行われる様な
メカニズムがあれば獲物に出会ってからでも安全な装填が出来、画期的に安全度が増します。
現状ボルトアクション銃の1番残念な事はトリガーが落ちた状態で安全装置が掛けられない
事です。こうした対策がなされた銃の出現を強く望んでいます。

銃は装填しながら安全装置を外しながら、スナップショット、そして肩から銃を降ろす時はボルト
を半上げにして安全装置を掛ける、これが銃の取り扱いの基本だと思っています。

  4.銃の構え方の間違い。
教本では銃を構え、目標に十分向けてからトリガーに指を入れろとありますが、すでに装填
されている銃ですから慎重を期してこう言う教えになるのですが、これも間違いです。

銃を構えた状態の1番の欠点は視界が極端に狭くなる事す。
これにより矢先確認不十分や誤射が起こります。
銃を構えなければ視野は広い状態であり、安全を確保し易くなります。

装填しながら安全装置を外しながらスナップショットが出来る様に訓練を重ねますと、銃の
取扱い上は物凄く安全が増す事になり、時間を極限まで安全確認する事に使えます。
銃を先に構えてしまうから、視野が狭くなり、思い込みが強くなり過ぎ、矢先確認不十分や
誤射が起こるのです。

  5.優れた銃の型式は?
ボルトアクション銃はWW1の旧式銃で日本軍の38式歩兵銃はこの年代の型式、一方
アメリカ軍は新式セミオート銃、これでWW2を負けたと真しとやかに言われています。
戦争に対してはその通りの部分もありますが、こと狩猟になりますと話は大幅に変わります。

エゾ鹿猟に使われている銃の殆どがスコープ付ボルトアクションライフル銃です。
その銃を愛用しているベテランハンターですらその銃の本当の能力を知っていません。
まずボルトアクション銃は距離に関係なく、スナップショットが出来ます。
スナップショットは肩に着くや否やの撃ち方と言われていますが、それは間違いです。

正しいスナップショットは腕を伸ばして銃口を正しく指向してから肩にまっすぐ肩に引き
寄せるので肩に着く前にスコープから照準映像が入って来ます。
そして肩に着く以前でも条件が良ければ発砲しても当たる、これが正しいスナップショットです。

もちろん装填しながら安全解除しながらそれをやるので、圧倒的に安全度が高くなる事は
すでに説明しましたが、これらを全て行っても通常の早撃ちベテランの半分以下の時間で
かなり正確な射撃をする事が出来る、これが正しいスナップショットの本当の能力です。

そしてこの動作は移動目標、つまり走る鹿に対しても有効です。
筆者は平均150m先を走る鹿に対して平均2.7発で約350頭を倒しています。

但しこの射撃は直径150mmの急所に命中する事もありますが、必ずしも全てが命中して
いる訳ではありません。ショットガンと同様の複数被弾副次効果により、上半身に複数以上
の被弾があれば即死で倒れる事を利用しています。

そして驚くのはその時の連射速度が自動銃よりも速い事です。
筆者はH&KのSL-7のセミオートとサコー75ボルトを共に10年間で実戦にて数千発ずつ
使いました。そして両銃で多数の走る鹿を捕獲した結果、ボルトアクション銃の方が速い
と言う結論に達しました。

それは肩に着けたままの銃が反動で跳ね上がって、スコープから消えた鹿の映像を再捜索
するよりも、撃つと同時に肩から降ろし、再装填しながらのスナップショットの方がかなり
速くて精密な事を意味します。

筆者が両銃を共にかなり使い込みましたが、オートの時代に比べ銃をボルトに変えた途端
に射程距離は2倍、命中率も2倍、総合パフォーマンス4倍になりました。
これははっきりボルトの方が優れている事を示します。

と言う事でライフル銃に限りは、近射のスナップショットから遠射まで、そして静的でも
移動標的であっても、何と1800年代末期に開発された銃が今でも1番良いと言う事になり、
残す改良の余地は安全装置だけとなります。

安全装置に付きましては銃をちゃんと狙って撃つ時の条件を全て満足した時の自動作動に
しても良いのかも知れません。
左手の位置、右手のグリップの位置、肩当パッドプレートの位置、そしてトリガーにセンサー
を付ければよく、特に難しい要求項目でもなくぜひ実用化したい項目です。

散弾銃に付きましてはライフル銃とは使われ方が著しく違う為に、速い連射が可能なセミオート
銃が1番優れています。
ただ装填に付いては予め装填ではなく、その場装填が出来る様に改善されると良いと思います。
自動作動の装填&安全装置もぜひ実用化してもらいたい項目です。








Posted by little-ken  at 15:06