2012年03月20日

ギリギリでかなった男の夢の話。

I生徒の場合
2005年1月の根室に来られました。50代後半、某田舎町小学校の現役熱血校長先生です。
銃の経験は20年程になりますが狩猟経験は殆んどありません。
ガンに侵されて寿命半年となり、念願の大物猟を達成される為に残された多忙な中の丸1日だけのエゾ鹿猟でした。

2度良い射撃チャンスがありました。
1度目は約40m先の木の陰にやや小型ですが3段角のオスがいます。彼の鳥撃ち散弾銃+バックショットしてはちょうど良い距離です。
銃の準備は完了、鹿もまだ木の陰のままですが、問題は彼がまだ視認出来ていない事です。

そこで私が当たらない程度に撃ち、飛び出させました。鹿は予定方向に飛び出し、トラップ射撃の様に彼は銃をスイングしながら3連射しました。悪くない感じに思われましたが残念ながら命中弾は得られませんでした。

2回目のチャンスも木の陰の距離約40m、今度も小柄ですが3段角のオスです。
今回は彼にも鹿が視認出来るのでまず獲れるだろうと思いました。
慎重に慎重に狙いを付けておりますが幸いにもまだ鹿はそのままです。本来はゆっくりしていると間に合わなくなるのですが、根室では珍しいデメキン鹿です。
やがて彼は引き金をゆっくり絞りました。

命中、上半身に2粒命中しましたが倒れません。もう1~2粒命中させれば倒れたのですが逃げた方向には林があり彼には追加の連射が出来ませんでした。
100mほど走って鹿が立ち止まりました。苦しそうにしていますが、近くまで行けばまた走りそうです。I生徒の体力も考えて未回収になるよりは支援射撃で捕獲しようと考え、私が150mの距離から止め矢を撃つ事にしました。

その後2度程チャンスがありましたが発砲には至らず夕方になりました。
夕方の定刻が30分過ぎた頃、道路上にメス鹿20頭ほどの群れが立っています。
車が近くなってもまだ逃げません。車はとうとう群れの中に入り鹿は左右に散りました。

こうしてI生徒は一生に一度のエゾ鹿猟を大感激で堪能出来ました。
それから半年後、風の便りで旅立った事を知りました。
奥様の話では最後の直前までこの時の鹿角を手にして微笑んでおられたそうです。
角長65cmの中型のオス鹿ながら間に合って良かったと心から思いました。


ギリギリでかなった男の夢の話。ギリギリでかなった男の夢の話。
      2005 I生徒(B)65cm                 2005 B生徒(R)55cm
スクール初年度(同) 初撃墜で最後の鹿。      スクール3年(累計16年) 撃墜累計9頭



.B生徒の場合
彼は関東地区の会計会社社長で70代半ばでしたが、年の割に若く体力もありました。
2004~2006年まで3度お越しになり合計7頭(5頭が3段角)の鹿を捕獲されました。

彼も一生の思い出にと70歳を超えた時にエゾシカ猟を思い立たれました。当初は襟裳岬の近くの様似の巻狩り民宿に行かれました。
目標はもちろん3段角の大物ですが、それは1度として見掛ける事も無く3年間約10日の実猟で捕獲したのはメス数頭のみと言う余りにも情けない数値&内容でした。

そこでせめて3段角を捕獲したいと我がスクールに来られました。
何故か大物との出会いも少なく、写真の翌年にも3段角を捕獲しましたが同程度でした。
稀に大物に出会っても有効弾が得られない中で1度だけ75cm前後の大物を150mで撃ち命中、倒れましたが再び立ち上がって逃げられました。これを追い掛け追い掛けもう少しの所まで何度も追い詰めましたがその都度小さなミスが重なりとうとう捕獲出来ませんでした。

その後に銃をサコー75の新品に変え今度こそ大物を倒すと意気込んでおられたのですが、そのサコーが実戦で火を吐く事は1度も無く、半身マヒとなり銃を卒業しなければならなくなりました。様似を経由せず直接我がスクールに来られたらと思いますが、5頭もの3段角を捕獲し念願のエースになれた事は幸いでした。


G生徒の場合
彼は70代後半、某田舎町の猟友会長さんです。
地元でも大物猟歴は長く何頭かの鹿や猪を倒しましたが、なぜか3段角には無縁でした。
そこで夢をかなえる為に北海道エゾ鹿猟に遠征されました。当初は様似の民宿、やはりと言うか2年6日間で捕獲は2頭のメス鹿だけ、3段角は全く見る事もなかったそうです。
次の2年6日間は釧路に行かれましたが、ここでも捕獲は小物オスとメスだけでした。
なぜか3段角には縁が無く遥か射程外の出会いや、近い場合は止まってくれない出会いばかりで撃っても失中ばかりだったそうです。

そこで我がスクールに3日(4日に渡ります)の予定でお越しになられました。
到着日夕方に距離100mで60cm級3段角を1頭捕獲し、憧れの3段角はあっけなく達成されました。翌日は更なる大物に向けて撃ちましたが失中、その後又60cm級3段角をもう1頭捕獲されました。

この日は更に81cmの超大物を私の順番の時に捕獲し、記念撮影だけでしたが超大物としっかり対面も出来ました。

しかしその直後、体調を崩され丸半分を残して緊急で帰る事になりました。
そしてそのまま体調は戻る事無く銃を卒業する事になってしまいました。
最初から我がスクールに来て下さればの感もありますが、本当にギリギリでしたが3段角の夢は達成出来て本当に良かったと思います。
ギリギリでかなった男の夢の話。ギリギリでかなった男の夢の話。
     2009 G生徒(R)60cm               81cm超大物との記念撮影、
 スクール初年度(累計45年) 撃墜累計10頭   明日こそは更なる大物の筈でしたが・・・











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Posted by little-ken  at 17:34 │ハンティング